惑星O-50
わくせいおーふぃふてぃー
『ウルトラマンオーブ』第23話、および外伝作品『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』にて存在が語られた惑星。
M78星雲やU40と異なり、分厚い雲と岩場ばかりの僻地のような星となっている。といってもそれ以外に何もないわけではなく、人は住んでおりきちんとした国家や政府も存在する。
宇宙の秘境であるその星には「戦士の頂」と呼ばれる摩天楼のような山があり、その頂上には戦士の力を授ける「オーブの光」が存在する。
近くの宙域には「スターゲート」が存在し、そこを潜ることによって並行宇宙への移動を可能としている。
しかし戦士の頂へたどり着く事はかなり難しく、中には途中でリタイアする者もいると言う。そのためかフーマはレアな観光名所と形容している。
『ガイア』以降の平成作品では世界観が全て異なっており、最新シリーズとしての展開が終了するとその後日談に舞台宇宙が描かれることはほぼないが、この惑星はその数少ない例外の一つでもある。(ちなみに他の例外は、『ガイア』以前のネオフロンティアスペース、コスモスペース、綾香市である。)
ウルトラマンオーブ
記念すべき初のO-50由来の戦士であり、銀河を渡る風来坊。他のO-50系ウルトラマンとは一線を画す存在であり、様々な宇宙で活躍してきた功績も相まってか多くの次元でその名を知られている。
フュージョンアップ能力により他のウルトラマンの力をお借りすることで、多種多様な形態に変化できる。何気に戦士の頂にある「光の輪」と直接会話した唯一の例でもあるのだが、何故O-50ウルトラマンの中でも彼だけが特殊な扱いを受けているのかは不明。
ウルトラマンロッソ
ルーブ兄妹の長兄、湊カツミが変身する。基本的に炎の力を使うフレイムが基本形態だが、ルーブクリスタルによって属性を変化させることが可能。変身者の影響で必殺技が球状のものが多いのも特徴である。少々熱くなりやすいブルを一旦諌めるストッパー役にもなっている。
ウルトラマンブル
ルーブ兄妹の次男坊、湊イサミが変身するウルトラマン。ロッソと比べるとややアグレッシブなファイトスタイルだが、クリスタルを駆使した頭脳戦も得意とする。水の力であるアクアが基本形態。また、カツミとイサミの変身能力は先代のルーブ兄弟から継承したものである。
ウルトラウーマングリージョ
湊家の長女である湊アサヒが変身する、O-50でも珍しいウルトラウーマン。兄たちと比べると回復や防御技といった補助形の能力に特化した戦士で、後方支援としては非常に頼もしい存在。戦闘力はその分控えめな点が目立っていたが、地道に訓練を重ねたことで(複製体とはいえ)ゼットンを撃破する程の戦果も上げた。
ウルトラマンルーブ
ウルトラマンロッソとブルが兄弟の力を一つにすることで合体変身した姿。2人の意思がバラバラになっていると変身ができないというデメリットも持つが、その戦闘能力は合体前のそれを遥かに上回る。先代ルーブ兄弟でも変身できなかったとのことで、ある意味"湊兄弟の"ウルトラマンとも称せる存在(実際、初めてルーブを目撃したサキも驚愕している)。
ウルトラマングルーブ
湊兄妹3人が融合して誕生する超進化戦闘形態で、かつての先代ルーブ兄妹でも成し得なかった、3人のポテンシャルを極限まで引き出した奇跡の境地。攻撃力、防御力、機動力、あらゆる面がルーブ以上の優れた戦闘能力を誇る。
ウルトラマンフーマ
目にも止まらぬ速さで敵を翻弄するスピード自慢な「風の覇者」。もちろん彼にも変身アイテムが存在するはずなのだが、彼は諸々の事情で「とある人物」から授かった技を武器に戦うことを信条としている(このため、O-50系ウルトラマンには珍しく変身前の姿に戻ったことがない)。
変身アイテムを使わない都合上で強化形態の類を持っていない分、経験と実力で数々の修羅場を潜り抜けてきた歴戦の精鋭である。
グルジオボーン
先代ルーブ兄弟の妹、美剣サキが変身する怪獣(尤も、この名前は地球に来てから付けたものだが)。割と誤解されやすいが、これはO-50が意図的に怪獣の変身能力を与えたのではなく、変身者の内面的な歪みの影響で本来あるべき大いなる力が変質して怪獣化しているため。
ただ、これは逆に言えば変身者が精神面で成長を遂げれば変身体も同調して進化できることも意味しており、実際サキは長い旅の中で自身の存在価値を見いだした後にグルジオキングやグルジオレギーナなどの強化体を獲得している。
アサヒがグリージョに初変身する場面ではレギーナの殻から脱皮するかのような形で変化しているため、グリージョに覚醒する前段階の姿とも考えられる。
グルジオライデン
こちらもサキと同様、サジタリという元特殊部隊の一員がO-50の試練を乗り越えて変身した姿…なのだが、諸々の事情により身体の一部が機械化してしまっている(また、"ライデン"の呼称は機械化した後につけられた物である)。
一応こちらにもサキにおけるグルジオレギーナやグリージョに当たる形態が存在したと思われるが、劇中では遂に真価を発揮することはなかった(仮に光の戦士に覚醒したとすれば、名称はウルトラウーマンサジタリになっていたと思われる)。
初出が新世代ヒーローズ作品であることもありO-50由来のウルトラマン達は基本的に他のウルトラマンの力を何かしらの形で使用している。勿論オーブオリジンなどを筆頭に誰の力も借りていないオリジナルの姿を持っている者もいるが、ロッソやブルは固有の姿はなく変身にはルーブクリスタルに依存している形なので、この辺りの区別は戦士によって様々な様子。
O-50はその特性上光の国やU40と比べると闇の力にも寛容であり、現にO-50由来のウルトラマン達には全員体に黒いラインが入っている。中にはベリアルの力を使用した形態も存在し、かなり珍しい例ではあるが怪獣に変身できる者すら存在する程で、このようにウルトラマンとしては特殊な文化からか変身者の経歴も千差万別であり、関連人物が軒並み奇人変人ばかりである。
また、O-50の戦士は自然由来の能力を使用できる者が多く、
- オーブ…オーブカリバーに搭載された火、水、土、風のエレメントで多彩な技を使用できる。
- ルーブ兄弟…基本形態に変身する際にはオーブと共通で火、水、土、風のルーブクリスタルを使用している。
- オーブダーク…オーブ本人とは異なるもののオーブダークカリバーには炎、氷、岩、嵐のエレメントが内蔵されている。
- フーマ…自らを風の覇者と名乗っているほか、トレギアに聞かれた際には上記の4大元素を即答しているため、知識自体はある模様。
また、歴代のウルトラマンと比べても八つ裂き光輪系の必殺技、若しくはそれに準ずる技を多用する傾向があり、多くの戦士達が光輪、光刀、カッター、ブーメラン系の技を使用している。なお、他の戦士の力を借りることが多いO-50の性質上ウルトラセブンやゼロの力も多く使用しているため、アイスラッガーと縁のある技もそれなりに存在する。(エメリウムスラッガーやハリケーンスラッシュなどはオーブスラッガーショット、ブルもルーブスラッガーでワイドショットスラッガーと呼ばれる必殺技を使用可能。)
オーブ
オーブダーク
- カリバースラッシャー
ルーブ
フーマ
等々、いずれにおいても主力技として活用されている。ちなみにトライストリウム形態のタイガはフーマも一体化している影響で風真烈火斬という巨大な八つ裂き光輪を使用できるほか、オーブがフュージョン元となっているギャラクシーライジング形態のジードもプラズマ光輪という技を持っている。
また上記2つほどはっきりしていないが日本神話や和風など古の日本の要素も共通している。
- オーブ…使用アイテムが三種の神器を思わせるデザイン。カードには漢字がモデルのエンブレムが描かれている。
- ルーブ兄弟…同じくクリスタルに漢字がモデルのエンブレムが描かれている。
- フーマ…忍者がモチーフ。また、技名は基本的に全て漢字表記。
惑星O-50のウルトラマン達は別世界のウルトラマン達の力を借りることで変身や強化をしているが、あくまでも魔王獣のクリスタルやウルトラ戦士本人から直接入手するウルトラフュージョンカードとは別に『R/B』前日談においては変身者達にあらかじめ何枚かルーブクリスタルを授けており、O-50がなぜ自らの惑星とは無関係のウルトラマンの力を行使できるのかは未だに判明していなかったりする。
光の国では元々オーバーラッピング状態のタロウをはじめアイテムを中継せずに直接ウルトラマン同士が融合する戦士やアイテムに頼る形ではあるが融合の経緯が極めて特殊な戦士など、その場限りの任意に変身できる形態でないことが多く、光の国で安定してフュージョン形態の融合が運用できるようになったのはジードライザーやウルトラゼットライザーが設計されたごくごく最近のことであり、実際これらの変身アイテムを使用して既存の戦士の更なる強化や力不足な未熟者をカバーする意味でも多くの戦士が恩恵を受けている。
勿論光の国自体が科学力の進化により容易にウルトラ戦士が別世界に遠征できるようになったこと、ウルトラマンゼロが戦いの最中様々な別次元のウルトラマンと交流を持つようになった関係上、多くのウルトラマンの記録が蓄積していったことなども大きいが、オーブリングやルーブジャイロの機能を考えると光の国がこれだけ時間と労力をかけて作り上げた技術をO-50は個人用の変身アイテムとして実用化しており、ある意味更に謎を深める要因にもなっている。
もっとも、力を授けてミッションを与えるだけというオーブの光の性質上、歴代の戦士の力を借りるのは早急に戦士達を実戦で戦えるようにするための緊急措置とも言える。無論フーマのように様々な事情から歴代の力はほぼ必殺技の強化のみに留め、本人の実力だけで戦い続けている者も存在する。
ウルトラマンR/Bにて
第19話にてロッソとブル、そしてグルジオが惑星O-50から与えられた力だということが判明した。
つまりオーブとルーブ(そしてグルジオ)は力の起源が同一ということになる。
超全集に掲載された小説『蒼い瞳の少女は灰色と名乗った』にてO-50の「戦士の頂」に到達したロッソ、ブル、グリージョに、それぞれ「火」「水」「魔」のクリスタルとルーブジャイロを渡したことが明かされている。
数々のミッションを与え成長していった彼らに(ルーブジャイロを持っている事情もあって)ルーゴサイト討伐の任務を与えるが……。
ウルトラマンタイガにて
新たな戦士:ウルトラマンフーマが登場した。
尚、ボイスドラマ及びウルトラヒーローズEXPO THE LIVEによると、戦士の頂が宇宙人連合の襲撃を受け破壊されそうになったもののタイガたちの応戦で阻止された、という出来事があり、これがタイガ・タイタスとフーマとの初対面であった。
なお、フーマはその惑星の生まれなのだが……
ウルトラギャラクシーファイト
「ニュージェネレーションヒーローズ」ではウルトラマンオーブが久しぶりにこの星に帰還。しかしその直後にエックスダークネスとジードダークネスが出現し、戦士の頂の麓で戦闘となる。
エックスダークネスとジードダークネスによってオーブは光のエネルギーを奪われてしまうが、ウルトラマンビクトリーの乱入によって完全に奪われる前にオーブは光の国へと撤退した。
「大いなる陰謀」ではフーマが久々に帰還し修行することになり、さらにゼロの指令でグリージョが初めてO-50に降り立っていた(彼女には殺風景と評されていた)。
ウルトラマンZにて
本編中では触れられることはなかったが、超全集収録の小説「ジャの道は蛇」でO-50宇宙が舞台となった。
元星間連盟の戦士サジタリを認めるが、彼女自身の心の歪みにより授けた力はグルジオに変貌した。
この事からO-50関連作品としては地味に3年連続となった。
DARKNESSHEELS_THE_LIVEにて
ダークネスヒールズを題材にした舞台作品『DARKNESSHEELS THE LIVE』ではO-50にも国や政府があることが発覚。
さらには惑星テリオの人間によって復活したダークザギ、およびもともと因縁のあったジャグラーがこの星に襲来する。
同作ではO-50の内政も明らかになっており、すべての住人が「光」の属性を持つ犯罪がない惑星で、治安も良いのだが、その実態は実力が何よりも重視される是正する事のできない程の超格差社会であり、治安の方も近年では、戦士の頂の挑戦者が増えたことで荒れ始めているとされる。
加えてO-50政府も「光の輪直々に選ばれた」と言う選民思想に傾倒しつつあり、他の惑星からの侵略者が地上で民を襲っていても、"より崇高なもの"の護りを固める為に平気で見捨てている。
もちろん中にはこの状況に疑問を抱き、一石を投じようとする者も存在する。また劇中では状況を見かねた惑星テリオが『正義の名』の元に住人を根絶すべく、光の力を宿すグレコ将軍率いる部隊を差し向けている。
しかし、テリオの目的は光の輪の調査と研究であり、戦争は大義名分に過ぎなかった。
ライブ版の続編である『DARKUNESSHEELS -Lili-』でも惑星テリオの存在が語られることから、現時点で明言はされていないものの、本作の舞台もO-50世界である可能性が考えられる。
作中の行動から、オーブの光はわりとスパルタという意見もあるが、それもそのはず。
惑星O-50は存在する宇宙からして世紀末状態な世界なのである。
怪獣を操るギャングが蔓延るだけでなく、長引く戦乱によって発生した多くの戦災孤児たちを洗脳教育で私兵に仕立てあげたり人身売買したりして私腹を肥やす悪人たちが横行。それどころか、治安維持を行っている星間連盟ですら強権を振りかざして弱者を踏みにじり、そのためなら討伐対象であるギャングさえも裏で利用する有様で、『善人は生きていけない世界』とも形容されている。
それは惑星O-50とて例外ではなく、原住民には山賊など悪事を働く者がいる上、戦士の頂にたどり着けない者が多いのは、選ばれたいという欲に駆られるあまり目指す者同士で妨害・潰し合いが多発している(星間連盟ですら、重役の子息が挑戦を邪魔されたというだけで邪魔者を罠に嵌めて抹殺しようとしている)事が一番の理由だと『タイガ』のボイスドラマにて語られている。そのような事をせずに協力して頂に到達したガイとジャグラーは(力を手にするのはジャグラーだろうと誰もが思っていたとはいえ)むしろ稀有な方だったのである。
O-50世界の恐ろしさを引き立てている要因と言えるのは暗黒宇宙大皇帝、数万年にわたって宇宙を支配した宇宙人、旧支配者、悪に堕ちたウルトラ戦士、狡猾な異次元人、暗黒破壊神とその眷属である相互理解不能な宇宙生物、闇の支配者と言った悪の大ボスらしい存在が明確に設定されておらず、上述のようにただただリアルな理由で荒廃と腐敗が進んでいる事にあると言える。
もしかしたら、ある意味で抑止力のような存在である彼らがいない「明確な善悪が存在しない」世界がいかなるものか、その最悪のシナリオを描いたものとも言えるかもしれない。
一方、これほど過酷な環境であるにもかかわらず『ウルトラギャラクシーファイト』にてガイ(オーブ)は「命の洗濯か…やっぱりここが一番落ち着くな」と語っている。彼がなぜこのような発言をしたのかは不明だが、彼としては"ウルトラマンに覚醒した第二の故郷"と言う思いがあったのだろうか。単に彼が図太いだけの可能性も考えられるが、O-50のブラックっぷりにドン引きしていた視聴者にとって、ガイの発言は意外なものだった為、驚きの声が多く上がった。
また、O-50で生まれ育ち、辛い体験をしたフーマも何気に故郷自慢をしていたりする。
そうした点を踏まえると、ウルトラマンとしての力と使命を授かった場所として彼らにも何かしらの思い入れがあるのは確かなのであろう。
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