ゲルグ(ウルトラマンタイガ)
げるぐ
CV:千葉航平
惑星O-50の戦士の頂に挑みに来た宇宙人。
両生類の特性を持ち、鋭い牙を生やし、首からえらを見せ、水かきを付けた四本の腕を持つという、かなりクリーチャー要素の強い姿をしている。(ちなみに既存の怪獣ではウルトラマンGに登場したゲルカドンと特徴が一致する。設定的には他人の空似だと思われるが)
巨大化能力や光の手裏剣を生み出す力を持つ。
"化け物"と形容される容姿に反し性格は温厚で、道に迷ったり、金を受け取ろうと手を差し出したフーマに対し、勘違いでうっかり握手をするなど、どことなく天然な一面も垣間見られる。
但し本人も多少なりともこれにはコンプレックスに思っていた模様。
生まれ故郷は星の大半を海が占める海洋惑星であり、様々な種族が暮らしていたが、種族間の争いで滅びてしまったのだという。ちなみにオーブクロニクルの中には星の大半が海で構成されており、少ない陸地をめぐって先住民同士で争っているヌオックと呼ばれる惑星が登場するが、ゲルグがこの惑星の出身なのかは不明。
戦士の頂に向かう途中で道に迷い、出会ったフーマに案内を頼んだ。
フーマは「装備を調達してくる」と騙り彼から金をくすねて逃げ去ろうとしていたが、どうやら彼の目論見に気付いていたらしく、後を追った先で山賊たちに絡まれていたフーマを助けた(フーマ曰く気配は感じられなかったらしい)。
その後「怪物は何処までも怪物なのか、負け犬の子は何処までも負け犬の子なのか、試したくは無いか?」と彼を戦士の頂への挑戦に誘った。
その後、フーマに修行と教育を施した。
フーマによれば「滅茶苦茶きつかった」らしく、音を上げる彼に対しては「どんな英雄も努力している。そして、努力し続けている」と諭していたのだという。
光の手裏剣のように現在のフーマにつながる要素が散見されるため、フーマとは師弟関係(もしくはそれに近い関係)に発展すると思われていたが、それが的中することになった。
その後、善行を重ねるべくフーマと何でも屋を開業し、O-50中で名を知られるようになる。
そしてフーマに「最強の楽観主義者は最悪の悲観主義者」という「とっておき」を彼に授けた。
後に遂に戦士の頂に挑みに行ったが、フーマの下に帰ってくることは無かった。
それから暫くして、フーマの下に星間連盟から戦士の頂の挑戦者を襲う怪物の討伐依頼が舞い込んできた。フーマは事情を「そういうこと」と察し、溜息をつきながらも戦士の頂を目指すのだった。
フーマが察した通り、やはり怪物の正体はゲルグだった。
ゲルグはまるで正気を失ったかの如く黙り込み、フーマの問いかけにも答えず、
極寒の高山において生命線とも言える防寒具を投げ捨ててフーマに襲い掛かった。
両者の戦いは、フーマの勝利という形で決着が付きかける。
しかし、突如として周囲に発砲音が響き渡り、ゲルグとフーマは倒れ込んだ。
星間連盟はゲルグだけでなくフーマも抹殺対象としていたのである。
連盟は更に追い打ちとして周囲を砲撃し、二人を爆殺しようと試みた。
砲撃を耐え抜きつつも満身創痍となったゲルグは巨大化し、フーマをその手に掴んだまま戦士の頂へ辿り着いた。
ゲルグはフーマの命を救うため、才覚や人柄をオーブの光にアピールし、彼をウルトラマンにするよう懇願する。しかし、光は何も答えを返さなかった。
フーマを救えなかった事に絶望の言葉を漏らすゲルグだが、瀕死のフーマはゲルグのとっておきである楽観論を例に挙げて、「俺達がオーブの光に選ばれなかったことは『幸運』だった」と語る。
直後、連盟が再び放った砲撃が周囲の全てを破壊し尽くした。
その後、オーブの光に選ばれたフーマはウルトラマンフーマとして覚醒したが、
彼を掴んだまま砲撃を浴びたゲルグの生死は、明確には描かれていない。
因みにゲルグが挑戦者を襲っていた理由は最後まで明かされなかった。
しかし、彼が悪人とは到底思えない事、戦士の頂では「挑戦者同士の潰し合い」で多くの犠牲者が出ている事、「今までの連盟の手口」などを考慮した場合、「連盟の重役の子息がゲルグに襲い掛かるも返り討ちにされて逃走した為、ゲルグを貶めるデマによって彼とその相棒のフーマを戦わせ、両者を合法的に殺処分しようとしたのではないか」という疑惑が生じる。ただ、ゲルグが真相を話さぬまま爆発の中に消え去った為、全ては闇の中である。
また、フーマ自身の口からは「ゲルグの嘆願を見届け彼共々砲撃を受けて気を失った後、気が付くとウルトラマンの姿で一人"戦士の頂"に立っていた」ことしか語られておらず、フーマがウルトラマンの姿になる間どうなっていたのか、姿を消したゲルグがどうなったのかは現状定かではないため「実はウルトラマンフーマの正体は『瀕死のフーマとゲルグが融合し蘇生された姿』なのではないか?」と解釈するファンの声も上がっている(派生としては「ゲルグの肉体にフーマの意思が宿っている状態なのではないか?」「ゲルグが自覚のないまま自身本来の正体に気付かずフーマとして行動しているのではないか?」などの説もある)。
現状非公式の解釈ではあるものの、ボイスドラマの挿絵で描かれたフーマの後ろ姿のトサカが背中の部分で長く突き出た背びれのように見える形に描かれているのが水かきやエラ、ウロコなど水棲生物の特徴が強く表われたゲルグの容姿をどことなく思わせるのが一因かもしれない。