ゴンドウ参謀「さあ動け!人類最強の防衛兵器──ウルトラマンよ!」
データ
別名 | 人造ウルトラマン |
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身長 | 55メートル |
体重 | 4万3千トン |
出身地 | 火星 |
概要
第49話「最終章Ⅰ新たなる影」に登場。
ゴンドウ参謀の主導の下、火星基地にて秘密裏に進められていた人造ウルトラマン計画「F計画」によって生み出された、「人類最強の防衛兵器」たる人造ウルトラマン。
イーヴィルティガも含む以前発見された古代の巨人像の破片から建造された石像に、無理やり連れてこられたアスカの光エネルギーを光エネルギー照射装置で照射して完成した。
外見はダイナに似ており、カラーリングもストロングタイプを髣髴とさせる(実際スーツはダイナストロングタイプの改造である)。
ウルトラマンダイナと同等の能力を持つとされ、劇中ではソルジェント光線とビームスライサー(「ソルジェント光線(フェイク)」「ビームスライサー(フェイク)」と表記される事も)を使用。ただし前者は構えが少々ダイナのものとは異なる。
また、人間と一体化していないため心を持たず、原理は不明だがゴンドウ参謀の指揮により機械的に動くその姿は正に兵器と言っても差し支えないであろう。
火星基地を襲撃したスフィアを迎え撃つべく出撃し、最初は圧倒的な力を見せつけるが、無計画にソルジェント光線を発射し続けた末エネルギーが急激にダウン、ダイナの活動限界である約3分を待たずにエネルギー切れになり、動きが鈍った隙に反撃を受け倒れた所をスフィアに寄生され異形の化け物と化してしまった。
ウルトラマンダイナ最終章・完全版「ひかりへ…」、『小説版ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』によると、アスカから抽出した生体エネルギーは特殊な物ではなく通常の人間の物と変わらない事が言及されていた。
更に小説版のゴンドウ参謀曰く、本来であればソルジェント光線を15分以上発射し続ける事も理論上は可能だったようだが、前述の想定外によってエネルギー供給が不十分であり、それが原因で即座にエネルギー切れを起こしてしまったと思われる。
その後の登場
現在映像作品に再登場したことは無いものの・・・
『ウルトラマンフェスティバル』ふれあいステージにてダイナと共に登場。ダイナのニセモノと呼ばれるのは少々気に入らない様子でにせウルトラマンの特徴を解説したり、かつて悪い敵(スフィア)に体を乗っ取られゼルガノイドとなって悪事を働いてしまったことを謝罪したりしていた。
終始敬語で話し、ロボットのような動きをしていた。
『SSSS.GRIDMAN』第9話に登場した「SEVEN DARAKE」の店頭に実寸大人形が置かれている。なお現実のその場所に置かれているのは鉄人28号。
余談
劇中では名前を呼称されておらず終始ウルトラマン、あるいは巨人と呼ばれていた。
当初は人体模型のように動脈と静脈のような赤と青のラインを這わせようと思ったが、それでは気持ち悪すぎてしまい、いずれかを立体にしないと成立しないため、決定稿のようになった。
ウルトラマンダイナ公式サイトではTPCのライドメカ・施設の項目で紹介されている。その他書籍でもメカの項目に分類される事がある。
元が機械ではないのでロボットである様な描写は見られないものの、どのようにして操られているのか等も不明なため明確にロボットではないとも言い切れない。
小説版によれば駆動システムによって完全に制御されているらしいがどのようにして操作しているか具体的な言及はなかった。
『ウルトラマン列伝』にてこのエピソードがピックアップされた時、ナビゲーターのウルトラマンゼロは「ウルトラマンは心を持たない超兵器なんかじゃない」とコメントしている。
『ウルトラマンクロニクルZヒーローズオデッセイ』第5話ではテーマが『人造ウルトラマン』としてこの事例が取り上げられており、「秘密裏に進められていた計画により生み出された怪物」と紹介された。そしてテラノイドと同じく紹介された後継者とも言える特空機4号ウルトロイドゼロの戦闘シーン後、この言葉で視聴者に呼び掛けている。
「俺達ウルトラマンは、力を見せびらかすために地球に来たわけじゃない!守りに来たんだぜ!?この違い、わかるか……?確かにウルトラマンは大きな力を持つ。だがしかし、その力を振るうのは平和を守るために戦う時だ!!」
そして最後に「力の使い方ってのは、間違えると取り返しのつかない結果になる。忘れないでくれよな」と回の2つの事例から見た彼なりの見解を述べている。かつて因縁の相手と同じように力を欲して父親であるウルトラセブンに止められたゼロが言うと、かなり刺さるモノがあるといえよう。
しかし、ダイナの世界では怪獣災害で親を亡くした子供やウルトラマン(奇しくもそのウルトラマンはあのダイナである)が取りこぼしてしまった犠牲者の存在も多く描写されている(特に後者についてはゼロ本人まで巻き添えを喰らう羽目になってしまった)。
少数のウルトラマンに自分達の未来を任せきるわけにはいかないというのは地球人側にとって自然かつ当然な感情である。しかしそれに執心するあまり道を踏み外す様を描いたのがF計画の一件なのである。
2022年7月に中野で開催された「ウルトラマンダイナPOP UP STOREin墓場の画廊」にて劇中で使用されたものかは不明だがスーツが展示され、スーツが現存している事が判明した上前述の『SSSS.GRIDMAN』第9話の一件が嘘から出た真になった。
関連タグ
電脳巨艦プロメテウス…同じくゴンドウ参謀の主導の下で建造された戦艦。経緯は違えど同じ様な末路を辿っている
ラブモス…ゴンドウ参謀では無いが、TPCによって作られたロボット。こちらも暴走するが、最終的にはやさしい心を取り戻した。
にせウルトラセブン、にせウルトラマンジョーニアス、ウルトラマンシャドー、ダークロプスゼロ…侵略兵器として生み出されたニセウルトラマン達。今回の人類の行いは、ウルトラマンに似た「心を持たない超兵器」を生み出したという点では、これらを生み出した侵略者たちと同じ危うさがあると見る事ができる。
エースロボット…テラノイドと同じく本物と同等の力を持つとされるがあまり活躍できなかった不憫なウルトラマンの模造品。もっとも、製造目的からしてそうなるのも仕方がなかったのだが。
ダークザギ…本来は母星の平和を守るためにウルトラマンを模して生み出されたが、最後には暴走したという点で共通している。ただ、テラノイドとは異なり歪んだ自我を持ってしまい、人間の体を乗っ取った事で人間体を手に入れている。仮にF計画が順調に進んだとしても、ダークザギと同じ末路を辿ったかもしれない。また、「心を持つが故に暴走し、人類に牙をむいた」という、先のゼロの評に対する皮肉ともいえる存在である。
ウルトラマンジード…ある意味同類。ただし、こちらは心を持った生命体であり、元々正義のために生み出された訳でもないが、創造者の思惑から離反し立派な正義の戦士となった。もっとも、創造者から見れば彼も紛れもない失敗作である。
特空機4号ウルトロイドゼロ…禁断のシリーズ2体目の地球産人造ウルトラマン。皮肉にもその姿はテラノイドをシビアに評したウルトラマンがモチーフになっている。やはりというべきか…その顛末はテラノイドの二の舞になってしまった。ちなみにどちらも登場が元号の2番目の作品であるという共通点もある。皮肉な説明をするならテラノイドは「ダイナの影の具現化」でありウルトロイドゼロは「ダイナのエゴの具現化」というべきだろうか。ちなみに、モチーフになったウルトラマンの直弟子は人類が自分の力で地球を守る兵器を開発する事、その結果人造ウルトラマンの技術に手を出す事自体は賛同している(人類が自分たちの選択の結果に責任を取ることを前提としての発言だが)。
メガノイド、ギガノイド…テラノイドの下位版……ではなくて別作品に登場する敵。どちらも自我を有する。特に前者は火星繋がりでこそあるものの機械化によりエゴを増大させた人間という成り立ちから「人の心の力の不安定さ」を示しており、「心持たぬ力の脆さ」を示したテラノイドとは真逆の構図になっている。また、後者の中には特撮TV番組の巨大ヒーローを模した個体が登場している。
カラミティ(ジャイアントロボ)…ジャイアントロボを元にして作られた言わばコピー。元は人間側の兵器として作られたが稼働実験中に不具合を起こしBF団に奪取され悪の手先となり最終的には本物に倒されるという似たような末路を辿ったロボット。
そしてダイナ放送から25年が経ち、2022年に新作のウルトラマンデッカーが放送された。ダイナとの類似点が多い作品である本作の発表当初、「また、テラノイドのような人造ウルトラマンが造られるのでは?」「この世界でもウルトラマンを造ろうとしている人物が出てくるのでは?」といった声が挙がっている。一方で、前作のあるキャラのように、「今度は味方として登場するのでは?」「今度こそ地球を守るウルトラマンになるのでは?」といった期待を持っているファンもいた。
結局、人造ウルトラマンに相当する存在は現れないまま『デッカー』の物語は(一応は)幕を閉じた。
…と思われたが、実は振り返ってみるとテラノイドの件に近い事象そのものは発生していた。
まず、人造ウルトラマンが変異した怪獣の役割はイーヴィルトリガーの事件でセレブロが召喚したデストルドスが、スフィアに利用される羽目になった兵器の役割はネオメガスとテラフェイザーが、そして何より、ウルトラマンダイナの光によって力を得た者の役割をウルトラマンデッカーとウルトラマンディナスが担っていた。
見様によっては、デッカーとディナスは、「人々の希望」という願いが込められたテラノイドの正の側面に相当する存在と言えるのかもしれない。