「私はイグレック…ギャラクシアンイグレック!」
「正義は『力』…強ければいいのだ!フハハハハハ……!!」
CV:柴本浩行
データ
- 身長:44m
- 体重:2980t
概要
ヴォッファがベートーヴェン作曲の交響曲第3番「英雄」をモチーフに作り出したギガノイド第2番。第8話に登場。
特撮TV番組『ギャラクシアンイグレック』に登場する同名の巨大ヒーローをヒントに生み出され、見た目は普段子供達がTVや絵本で知っているギャラクシアンイグレックそのもの。このギャラクシアンイグレックというのは当作の世界でのあの巨大ヒーローに相当するほどメジャーな存在らしく、胸にはそれっぽい部位まで存在する。
だがヒーローの仮面の下に隠されたその本性は、「正義のヒーローに憧れる子供達の純粋な心を平然と傷付ける」と言う卑劣な心の持ち主である。
子供達の憧れるギャラクシアンイグレックを模して生み出された存在だけに、能力もギャラクシアンイグレックと同じらしく、「ギャラクシアンイグレックはパンチとキックを使った格闘戦を得意とするヒーロー」と言う子供達の認識に因んで、「ギャラクシアンパンチ」及び「ギャラクシアンキック」と言う必殺パンチと必殺キックを持つ。
どちらも高層ビルを粉々にする程の威力を誇り、加えて長柄の両端に刃の付いた武器「ツインギャラクシー」で武装している。
更にはイグレックPKと呼ばれるサイコキネシスで、ビルやガスタンク等の大型建造物を浮かせる事も出来る。本物のイグレックは「ギャラクシアンカタルシス」という特徴的なポーズの癒し技が使えるらしく、子供達の間では元気の出るおまじないとして通っている。
劇中ではジャンヌの目的の為、子供達の憧れるヒーローであるギャラクシアンイグレックの姿で悪事を働き、ヒーローに裏切られた絶望の涙を流させると言うスーパー戦隊シリーズの悪役の中でもトップクラスに下衆な悪事を行った。
繰り返し言うが、このギガノイドは決して「醜悪な正体を持ちながら、格好良いイグレックの姿に化けている」のではなく、「本来の姿がイグレックそのもの」であり、倒される時もその姿のままであった。
活躍
暗黒の鎧を着こなそうとするジャンヌの、「子供達から絶望の涙を集める」作戦を補佐すべく、ヴォッファに生み出されて行動を開始。その第1歩として先のギガノイド第1番「運命」を再生させて街中に出現させると、爆竜達が駆け付けるより先に登場し、大衆の衆人環視の中で見事撃破する事で注目を浴び、「架空のTVヒーローのはずが、本物が現れた」と子供達の心を掴む。一連のマッチポンプが効いた所で本題に入る為、今度は子供達に自身の元に集まるようにテレパシーで伝える。
翌日の日曜日、子供達の目の前でイグレックPKを披露。手を使わずにサイコキネシスで浮上させたビルやガスタンクを、子供達の目の前で落下させて破壊活動を行う。
この事態を受けてアバレンジャーがアバレンオーに乗って駆け付けるや躊躇無く襲い掛かり、その光景を目の当たりにした子供達を深い悲しみと絶望のどん底に叩き落としてしまう。
こうしてジャンヌは子供達から絶望の涙を集め、その際の彼女の口上を偶然キャッチし、やっとイグレックでないと知ったアバレンオーを身軽な動きと驚異の攻撃力で苦戦させる。
涙を十分に集めたジャンヌの元にアスカが駆け付けると、子供達を悲しみのどん底に陥れた卑劣なやり方に強い憤りを覚えた彼はとうとうアバレブラックとしての力を取り戻す。
ジャンヌが真の力を発揮したブラックに押されて撤退した後、ブラックに襲い掛かるが、ダイノスラスターのストームインフェルノに怯んだところに、続け様に放たれたグランドインフェルノで発生した地割れに挟み込まれてしまい、トドメのファイヤーインフェルノを喰らい空高く放り上げられて爆散した。
英雄の撃破後、今回の戦いで体力とダイノガッツを激しく消耗したアスカは、そのまま1週間もの永い眠りに落ちてしまった。
なお、事件の後、舞の描いたイグレックの似顔絵がどこからともなく吹いた風で空の彼方へ消え去るという不思議な現象が起きている。
凌駕が舞に真実を話した為、恐らく誤解は解けたものと思われるが、世間からの風評被害が消えたかどうかは有耶無耶にされている。願わくば、テレビのイグレックには子供達に夢と笑顔をもたらすヒーローであり続けて欲しいものである。
また、今回の構図は怪獣(アバレンオー)がヒーローを倒すという皮肉なものになっていた。更に言うと、その爆竜も第1話では怪獣映画然とした破壊活動を行なっていた事を思うとなんともやりきれない。
しかもアバレンジャーは作中で実在するヒーロー、イグレックは作中でも架空のヒーローという対立構造にもなっている。
加えてこの展開を主導した人物が後に一人の母親だった事が明かされるのも中々にえげつない。
しかしながら、子供(バキケロナグルス)の応援でヒーロー(アバレブラック)が奮起するなどヒーローものとしての王道展開は抑えられており、単に皮肉で終わる回というわけではない。
余談
モチーフはヒーロー或いはウルトラマン。特に、『ウルトラマンコスモス』の誤認逮捕事件をネタにしたんだとか。
デザインを担当したさとうけいいち氏はウルトラマンをモチーフにすることについては「ウルトラ系に見えなければよい」と言われたという。ちなみにこの翌年放送されたウルトラ作品には同名のOPが存在する。また、今作でアバレイエロー/樹らんる役のいとうあいこ氏は『ウルトラマンメビウス』でジングウジ・アヤ役を演じている。→ウルトラ戦隊シリーズ
今中笑里を素体にしたギガノイド第6番「巨人」を除けば、本編において人間の言葉を話す唯一のギガノイドである。
声を演じた柴本氏は昨年の『忍風戦隊ハリケンジャー』で霧吐き忍者キリキリマイ師、同年放送の『仮面ライダー龍騎』でもギガゼールやシアゴースト、レイドラグーンの声を当てていた。翌年の次回作『特捜戦隊デカレンジャー』ではスマスリーナ星人ニカレーダの声を担当する事となる。
なお、ギャラクシアンイグレックとは『ギャラクシアン』(銀河の)+『イグレック』(フランス語のY)を意味する。直訳すると『銀河的なY』というわけのわからない名前になるが、『ギャラクシアン』には"銀河系の人"という意味でも使われるので、ギャラクシアンが冠詞でイグレックが名詞に当たるという所か。
これをウルトラ戦士に例えるとウルトラマンエースやウルトラマンゼットのような感じか。
関連タグ
爆竜戦隊アバレンジャー エヴォリアン ヴォッファ ギガノイド
ベートーヴェン:元ネタの作曲者。
対バイオロン法:このギガノイドの外道な作戦は、この法律の第6条「子どもの夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い。」に該当する。
ナミアヤシ:6年後に登場する怪人で、こちらも子供の心を弄んだ下衆繋がり。
にせウルトラマン:外の人繋がりの偽物。その系譜は多岐に渡るが、この人が「自作自演行為を通して人々の心を掴もうとした」点で近いか。また、当の本人を演じた人は2年後の作品に出演している。
キリエロイド:マスクのフォルムはウルトラ戦士よりもこちらに近い。
アウターマン:似たような存在。ただしこちらでは、『アウターマン』という特撮ヒーロー番組自体が「自身を正義の味方と誤認させる」アウターマン星人の侵略作戦によって生み出されたもの。