「お前たちは何か壊さないと怪獣を倒せないのか!?」
演:小倉久寛
人物
フルネームは「クリヤマ サブロー」。地球防衛軍日本支部の長官であり、防衛チーム『ストレイジ』の創設者。64歳。
説教臭い性格だが、神経質な胃痛持ち。厳しくも常に隊員の事を考えている。
ロボットと怪獣の戦いで起こる被害と開発予算の捻出に頭を悩ませている。
上層組織に所属しているためか、普段基地にはいないことのほうが多い。
漢字表記は「栗山」。
余談
同役の小倉氏は、『仮面ライダーウィザード』にて「輪島のおっちゃん」こと輪島繁を演じていた。
また、偶然にもクリヤマの情報公開とほぼ同じタイミングで、東映YouTubeチャンネルにて『ウィザード』の配信が開始された。
上層部キャラとしてはウルトラマンオーブの最終章以来の登場(前作の外事X課は主人公の所属組織とはあくまで独立している為上層部とは言い難い)。
そして防衛チームの長官(あるいはそれに準ずる隊長より上の役職)がレギュラーとして登場するのは、かなり珍しい(テレビシリーズでは『ウルトラマンマックス』のトミオカ長官以来15年振り)。また、かつての隊長や隊員が昇格して登場した例は多いものの、最初から長官としてレギュラー出演するのも珍しい。
関連項目
トリヤマ・ジュウキチ…現場の隊員たちに頭を悩まし、説教臭い、裏方として予算関連などで貢献を果たすなど重なる点が多い。だが、彼の場合は現場の隊員を振り回して、頭を悩まされる側になる事のが多い。
この先、第21話のネタバレにつき、閲覧注意
第21話以降
「私たちはウルトラマンのおかげで偶然地球を守れているに過ぎない」
「ウルトラマンはな、不確定要素なんだよ。もし彼がいなくなったら私たちはどうする?」
第21話にて殺し屋超獣バラバの剣を応用した『異次元壊滅兵器D4』が開発されてから、雲行きは怪しくなる。
当初はハルキ達と同じくD4の運用には乗り気ではない様子を見せながらも、現状ストレイジがウルトラマンの存在があってこそ怪獣を撃退できている状況から『ウルトラマンがいなくなってしまった場合』を想定する上層部の意向故に、仕方なくといった様子で、D4を運用する事の危険性を訴えるハルキ達の言い分に理解を示しながらも「わかってほしい…」と沈痛な面持ちで頭を下げ、作戦司令室を出た後もハルキ達と上層部との板挟みに心を痛めたのか、日頃以上に重い胃痛を訴えながら(というかあちこち痛いとボヤいていた)アサノとすれ違うが、弱々しく歩く彼の後ろでアサノの片目が不穏に赤く光り……
その後宇宙凶険怪獣ケルビムが現れ、作戦を練るハルキ達の前にアサノらを伴って戻ってくるが、その場面から明らかに様子がおかしくなってしまう。
まるで人が変わったように、「上層部の判断」を名目に冷徹な声質や口調でD4レイの使用を強要し、ハルキやヨウコ、ヘビクラ達を嘲笑うかのような表情や、どこか狂気さえも滲ませているかのような表情までも度々見せるようになった。おかしいのは口調や表情だけに留まらず、マザーケルビムを倒しに向かったウルトラマンゼットの帰還を願うユカに対し、「ウルトラマンは戻ってこない!」と、先程とは一転してウルトラマンの実力を軽視しているかのような発言を煽るように言い放ってまで、D4レイの使用をしつこく迫る。
ケルビムの大群を前に万策尽きたヨウコに「D4レイを撃て」と執拗に煽り続けた結果、追い詰められた彼女がD4レイをやむなく使用。
その威力たるや凄まじく、ケルビムは掃討されたものの広範囲に渡る次元崩壊が引き起こされ、D4レイを発射したキングジョーストレイジカスタムもダメージレベル80%まで追い込まれて機能停止する。
発射の様子を宇宙から確認し、引き返したゼットにより何とか崩壊は押しとどめられたが、それでも市街地には巨大なクレーターを残すほどの大被害をもたらした。
事前に住民が避難していたため死傷者こそ出なかったと思われるが彼が宛てにしなかったゼットがいなければ、更なる甚大な被害をもたらす所だったのは想像に難くない(さらに言えば、ストレイジ最高戦力のキングジョーSCをもパイロットごと喪失する一歩手前ですらあった)。
さらに終盤、「命令違反や反抗的態度を見せた」という名目で、ハルキ達ストレイジの解散を一方的に宣言してしまう。
そして第23話にて、冒頭の緊急会見、及びD4レイを(操縦者にダメージを与えつつ)完璧に制御したウルトロイドゼロを見て目が赤く光らせ、「カレカレータ」と発言。
このワンシーンによって、一連の豹変はセレブロに新たな宿主にされてしまったことが原因と判明。第21話劇中で明らかに人が変わりすぎている事や、豹変する直前のシーンでの意味深な描写から感じた多くの視聴者の不安が的中した瞬間であった。
第24話では、ファイブキングに変身し、ジャグラーが変身するゼッパンドンと戦闘するが、ゼットのデルタライズクローも参戦した事で劣勢に陥る。デルタライズクローを倒して油断していた隙を突かれてゼッパンドンに胴体を貫かれてウルトロイドゼロを奪われそうになるが、倒れているハルキを人質に手を引かせてお互いの攻撃をぶつけ合わせたことでゼッパンドンも退け、さらに借りパクされたままだったベリアルメダルを取り戻した。
その後、ヘビクラの正体の映像を根拠にストレイジの元メンバーの制圧を命じた上で、ウルトロイドゼロの前でナカシマ・ヨウコに自らの目的を語りつつ寄生していたセレブロが彼女に乗り移った後は、気絶して倒れた状態で発見される。その後、GAFJの隊員達の話によると搬送され、最終回に登場することはなかった。
しかし、最終回でカブラギが記憶を取り戻した事から、彼もまた記憶を取り戻す可能性がある。そして、カブラギの証言と捕獲されたセレブロによって、(宇宙人だとバレたヘビクラ以外の)ストレイジの潔白は証明された。
ウルトロイド暴走の責任を追求され、胃痛に悩まされるだろうが、ユウキと違い、上層部に従ったとはいえ、本来はD4の運用に疑問視していた上に、事前にイナバがハルキから長官の異変の事を聞いているため、何らかの情状酌量の余地を得られる可能性はある。
……まあ、ヘビクラが宇宙人だと知らずに彼がストレイジの隊長を勤めていた事や、ハルキがウルトラマンだと知らずに彼の前でウルトラマンを疑問視する発言をしてしまったという新たな胃痛の素ができそうだが。
更なる余談
セレブロに寄生された状態は、冷めているパターンと、気がふれてるパターンの二つを小倉が提案し、冷たくものを言う人となった。
関連項目2
神山政紀…強力過ぎる兵器を巡る意見の対立から主人公達を(ほぼ)軒並み解雇して、防衛チームの戦力を独占する暴挙に走ったウルトラシリーズにおける長官。彼の運用した兵器は主人公達の懸念していた通りロクな結果にならなかった。
ただし、クリヤマの場合は上記の通り、セレブロに憑依されたせいであり、彼本人の意思ではなかった事が判明している。
知られざる人生
会員制有料サイト「TSUBURAYA IMAGINATION」にて公開された『Z』の前日談にあたる小説『擲命のデシジョン・ハイト -ストレイジ創設物語-』では実質主人公として扱われており、特空機の開発およびストレイジ創設の為にクリヤマが奔走する姿が描かれている。
前編
本編から遡ること15年(2005年)。地球防衛軍日本支部の防衛部長として各国防衛軍による合同演習を視察したクリヤマは、周囲に気を使うことなくひたすら火力にモノを言わせ、やがてはジリ貧となるであろう現行の怪獣退治の姿勢に疑念を抱いていた。この頃には既に「巨大ロボットを駆使して周辺への被害を抑えつつ怪獣を迎え撃つ」という構想を温めていたようだが、突拍子もない考えを下手に推し進めて出世を逃し実現どころではなくなることを恐れ、まだ表にはあまり出していなかった。
その4年後(2009年)、日本支部副長官まで登り詰めたクリヤマはそれまでに培った人脈をフル活用。退役後も絶大な力を持つ防衛軍要職経験者のOG、OGに構想を話して回ったものの芳しい反応は得られなかった。同期や後輩まで視野を広げたものの、今度は自身の出世が裏目に出て逆に本気にしてもらえない。心が折れかけていたクリヤマであったが、直属の上司にして仲の良い先輩であった当時の日本支部長官キミサキの助言により構想は前進し始める。
後日クリヤマは統合先進装備研究所を訪れ、キミサキ長官に紹介されたある人物と出会う。後にストレイジ整備班班長となるイナバ・コジローその人であった。互いを初対面で気に入った2人はキミサキ長官の後押しを得て統先研にロボット開発部を新設。しかし前例のない試み故に十分な予算をなかなか回してもらえず、結果が出せないまま時間が過ぎていった…。
そんな中、富士山麓にサイボーグ化された1体の宇宙怪獣が休眠状態で墜落。「グルジオライデン」というコードネームを与えられたその怪獣の解析から判明した「巨大な二足歩行ロボットを動かすための莫大なエネルギーと、自重を支えなおかつ縦横無尽に戦闘機動をとれるようにする技術」の存在はロボット開発にとってはまさしく渡りに船であった。イナバは当初難色を示したものの、クリヤマの説得によりその未知の技術が開発に活かされることとなった。
そうして「特殊空挺機甲開発実験団」が創設。テストパイロットの選抜が始まった。送られてくる数名の勇敢なパイロット候補達の履歴書。
その中の一つに、あの男の名があった…。