「本日出現した宇宙怪獣…あっすいません。ゲネガーグの断片、1番から39番、収容完了です。」
演:野田理人
概要
地球防衛軍日本支部怪獣研究センター生科学研究所に所属する青年科学者で年齢は26歳。
漢字表記は「鏑木慎也」。
ある日寄生生物セレブロに寄生されてしまい、その立場を利用され独自に暗躍する。
セレブロに寄生されて以降は素性を隠すつもりが一切なく、職場の上司からは「態度が急にデカくなり、連絡もロクにつかない」と不審がられている他、ストレイジのヘビクラ・ショウタ隊長からは逆に重要人物として完全に泳がされている。
それでもなおカブラギを演じようとする意思は全く見られず、デスクに宇宙語で書かれたウルトラメダルの製造法を書いた重要機密のメモを放置する等、地球人自体を軽視している可能性も高い。
これは寄生主のセレブロが、高い知能を持ちながらも「面白いかどうか」を行動の基準にする生物である事が大きいだろう。つまり彼の頭の中には「正体を隠す」と言う選択肢がそもそも存在しないか、面白い事を優先し余事を軽視しているかと思われる。
下手に刺激すれば、寄生先を変えて逃亡する恐れも懸念されていたが、後々実際にカブラギの身体を捨てて別の人間へ寄生先を移した(ただし、逃亡ではなく計画移行の段階でカブラギが用済みとなったため)。
今までの悪役は主人公(及びその関係者)のみに正体を明かすことはあっても、世間に対しては正体が露見しないよう活動していた為、この違いは大きい。
とは言え、第6話、7話ではバリスレイダーを、第8話ではピット星人姉妹など、使える手駒がある時は表に出なかったりと一応だが、最低限に警戒する時はしている。
本来の人物像
本当に良くも悪くも今時の若者。もっと言えばパッとしない上にダメな方向での凡人である。
超全集で明らかになった経歴だと、
- 小学校での人物評価は「ぼんやりしたやつ」
- 中学校では勉強しなくてもそれなりの成績だったせいで勉強をおろそかにしてしまい、調子に乗って進学した進学校では必死に勉強しないと付いていけなくなる。
- 高校での成績は常に底辺を彷徨う。
- 「なんとなく」という理由で早田大学先進理工学部生命科学科を受験するも案の定落第。
- 高卒後1年間浪人生活。
- 親の協力もあり何とか真面目に勉強して早田大学先進理工学部生命科学科に合格するも大学生活はダラダラとした無気力なもの。
- 初めての彼女も3ヵ月で破局。
- 大学卒業後就職活動すらせずダラダラと2年間フリーター生活。理由は「世の中の構造への疑問」。
- 怪獣研究センターへの入社は父親のコネ。(おまけに正職員ですらない委託職員)
といったように見事に良い所が微塵もない。
専門家の端くれなので、多分気が乗れば並程度に仕事はできるかもしれないが、基本的にやる気はなさそうだ。
惰性で生きてたような人生で一番の苦痛だったのはセレブロから解放された後の防衛隊での尋問・検査入院・サンプル回収のための手術だったとのこと。
ある意味この一番辛い経験をしたからこそ最終回での生き生きとした姿だったのかもしれない。
活躍
第1話
終盤にて登場。
この時点ではミスを犯して上司の整備員に叱られたり、その事で愚痴を零したりと、うだつの上がらない人物であった事が描写されている。
ウルトラマンゼットに撃破されたゲネガーグの残骸処理に従事していたが、ずっこけて缶の中身を撒き散らしてしまう。上司にどやされつつ渋々後処理に取り掛かろうとしたところ、ゲネガーグの肉片から突然飛び出してきたセレブロに寄生され、宿主となってしまった。その後、残骸の中からウルトラゼットライザーと謎の光る物体を回収し、不敵な笑みを浮かべた。
『キエテ カレカレータ…(いい気分だ)』
第4話
序盤、火炎を吐いて暴れ回るテレスドンを怪しげに観察していた。
その後ウルトラゼットライザーで召喚したインナースペースらしき空間で謎の機械に液体を注ぎ、ジラースの怪獣メダルを生成する。
終盤、ゼットらの攻撃で倒れ込んだテレスドンの口にジラースのメダルを投げ込みエリマキテレスドンとしてパワーアップさせる。その際、「コシ カレカレータ…(よしいいぞ)」と呟いた。
エレマキテレスドンが撃破された後、(直接の描写はないが)何らかの力を使って証拠隠滅のためにジラースの怪獣メダルを破壊している。
第6話
先延の謎の機械でウルトラマンベリアルのウルトラメダルを精製しようとするが、デビルスプリンターのみでは無理があったらしく、精製直後に消滅してしまう。この時、「やはりデビルスプリンターのみでは駄目か…」と、初めて地球語を話した。
その後残骸処理に当たる他の作業員達に混ざってギルバリスの残骸から別のデビルスプリンターを回収。終盤、レイディングガンを製造しバリスレイダーを大量に生み出すと「カレカレータ…」と呟く。そして、リクの姿を映像で眺め、何かを企むような様子を見せたが…。
第7話
人間に擬態したバリスレイダー2体をストレイジに送り込み、リクを誘拐。
そして専用の装置でベリアル因子が大量に混ざっているリクから出た液体(血液と思われる)を大量に採取し、謎の機械にデビルスプリンターと共に投入。見事ベリアルメダルの生成に成功する。
「検証実験」と称して先程のベリアルメダルにゴモラとレッドキングの2つのメダルを組み合わせ、スカルゴモラに変身して街を破壊している最中、ゼットとジードの2大ウルトラマンとの戦闘に突入する。
戦闘中、エースキラーとエレキングのメダルを使いサンダーキラーに変身。その後、ペダニウムゼットンにも変身し、まるでタイプチェンジをするかのような独特な戦法で2人を追い詰める。
しかし、遅れてやって来たウルトラマンゼロの加勢で形勢が逆転。ゼスティウム光線、ワイドゼロショット、レッキングフェニックスの同時攻撃の前に敗北した。
その後、満身創痍で歩いているところを不審がったヘビクラに呼び止められるが、隠し持っていた光線銃で怯ませた隙に逃亡。しかし、自身のネームプレートを落としてしまった事でヘビクラに名前を覚えられてしまった。
今回でレッドキングやゴモラ、エースキラー、エレキング、ゼットン、キングジョーのメダルを既に所持していた事が判明する。
ゴモラのメダル作成には、おそらく第3話で撃破されたゴモラの細胞が使われたと思われる。
残りのメダルの入手経路は語られていないが、次話で宇宙人の怪獣ブローカー相手に取引き、または洗脳を利用した強奪行為を働いている事が明かされたため、そういったルートで入手した可能性が高い。
第8話
ピット星人の姉妹を利用し、ファイブキングの素材となる5体の怪獣の細胞を収集していた。ゴルザ、メルバ、超コッヴの細胞まで手に入れたところで姉妹から報酬を求められたが、銃のグリップのような形状をした洗脳装置(これもギルバリスの破片から作られたもの)から波動を発して洗脳し、残りのガンQとレイキュバスの細胞を見つけるよう命じた。
だが、名札の返却と称してカブラギの職場を訪れたヘビクラにより、ウルトラメダルの技術を悪用したメダル(つまり怪獣メダル)の精製を目論んでいる事が発覚。
怪獣メダルを使用してトライキング、さらにファイブキングに変身するも、最終的にガンマフューチャーとなったゼットに敗北。
ボロボロになりながら戻ってきたところをジャグラスジャグラーに発見されるが、バリスレイダーを差し向けその隙に逃亡する。
だが、ジャグラーの斬撃を受けた拍子にファイブキング用の5枚の怪獣メダルを落としてしまった。
第9話
バロッサ星人が操るキングジョーを出し抜き、統合先進装備研究所に3枚のウルトラメダルを持ってきたヨウコに、統先研の研究員の東正明(ひがし まさあき)の扮装で現れ、ヨウコから受け取ったケースを開いてキングジョーをおびき寄せる。
コスモス、ネクサス、メビウスの入ったケースを抱え、ゼットとキングジョーの戦いを見る余裕を見せつつ(というか、ヨウコがゼットに気を取られ過ぎていちいち足を止めていたせいもあるが)逃げ出すが、キングジョーの攻撃に吹っ飛ばされ、ケースを奪われそうになる。ウルトラメダルは結局ゼットが入手するが、悔しがる様子はなく、逆に怪しく微笑んで静かに逃げた。
キングジョーに襲われた事から見るに、バロッサ星人と協力関係ではない事が窺える(ゼットよりもバロッサ星人にメダルを奪われる方が不都合だったのだろうか?)。さらにはケースを開けた時に高笑いしており、今回の行動は完全に愉快犯そのものと言える。セレブロの行動原理に一貫した思想はないため、別に何をしても不思議ではない。あくまで予測になるが、ウルトラメダル自体を渡す気はなく、メダルの反応を餌にバロッサ星人を誘導し、破壊活動をさせるつもりだったのかもしれない。また、後に語られたセレブロの真の計画を考慮すると、キングジョーをストレイジに回収させ、新たな特空機を作らせる事こそが目的だったとも考えられる。
なお、ヨウコは前回カブラギの顔を見ていたにも拘わらず、終始「研究員」とだけ呼んでいた(名前を知らなかった事と、彼が帽子を被っていたために顔をはっきりと識別できなかったためだろうか。拘束したピット星人が口を割らなかったため、素性が把握できなかった可能性もある)。
第14話
しばらく出番がなかったが、第14話で久々に登場。
特空機3号キングジョーストレイジカスタムでグルジオライデンを倒した記念に打ち上げに浮かれているストレイジの基地にやって来ると、赤と青の隕石を合わせてブルトンを召喚する。
ブルトンの四次元能力にハルキ達が混乱している様子を見てほくそ笑んでいたが、突然後ろからジャグラーが現れる。
自分の正体を知っているジャグラーに動揺し警戒するが、隙をついてブルトンの能力でジャグラーをトイレへ飛ばして逃走する。
この事から、セレブロはジャグラーの事を最初から知らなかった模様。もしジャグラーの事を知っていたなら、ジャグラーの性格上もっと慎重な行動を取ったはずであり、第7、8話でみすみすジャグラーに正体と目的を知られたにも拘わらず、何も対策をしていなかったのもこれが理由だと思われる。
ジャグラーに「邪魔をする気か?」と聞いたり、ジャグラーから今は打ち上げをやっていると言われた際には「そうか!それは良かった!」と歓喜の声を上げ、「もっとにぎやかにしてやるよ!」と告げるなど、ジャグラーに正体を知られていた事こそ驚いていたものの、面白い事のために行動するというのは一貫している様子。
第15話
前話から行方を眩ませていたが、隠れ家に潜んで(PCゲームに興じて)いたところにハルキとジャグラーからの奇襲を受ける。自身が召喚したブルトンが原因でグリーザが発生、その対処のために必要なベリアルメダルを狙っての事だった。
手始めにスタングレネードを投げ込まれた事で混乱させられ、バリスレイダー召喚にも用いていた銃で応戦するも流石に不意打ちだった事もあって分が悪く、銃撃戦ではスコープで狙撃してくるハルキに圧倒され、スタン弾を喰らって怯んだ隙を突かれてジャグラーに刀を向けられる(この際、「ノックぐらいしろ」と文句を言っていた)。
そして二人に武器を向けられた状態で尋問を受け、ジャグラーからベリアルメダルを渡すよう脅迫され、彼らにメダルを投げ渡した直後に姿を消した。わざわざリクを連れ去るなど手間をかけていた割に(強請られていたとはいえ)随分あっさりと渡した印象だったが…。
前回同様日本語は流暢だった一方で、突然笑い出すなど不気味な振る舞いも見せた。
第15話にしてようやく主人公のハルキと対面、そして対立。ハルキの方はセレブロの名前はもちろん、どうやらカブラギの事も知らなかった様子(しかしこの件がきっかけで、物語終盤でハルキは黒幕の正体に気付く事ができた)。逆にセレブロの方もこの時までハルキがゼットに変身するのを知らなかった模様。
なお、グリーザの事は把握していたかは不明。様子を見る限りでは特に関心がなかったのかもしれないが…。
第16話
「めでたしめでたし…じゃねぇんだよぉ! 借りパク野郎が!!
ベリアルメダル…返せえええっ!!」
以前ファイブキングのメダルを強奪された上、前話でベリアルメダルまで強請られたため、手持ちの強いメダルを全て失い、窮地に立たされていた。
このため自棄になり、ひたすら新規の怪獣メダルを生成に勤しんでいた(渡さざるを得ない状況だったとはいえ、本心ではやはり相当悔しかった模様)。
しかし手持ちの素材が不足しており、一度作ったことのあるメダルしか生成できなかったため、等身大戦闘で使っていたレイディングガンなど使えそうなものを片っ端から機械に突っ込んでいた。
そしてハルキとゼットからベリアルメダルを奪い返すべく、恐らくギルバリスの破片から生み出したであろうギルバリスと配下に当たるギャラクトロンMK2のメダルを大人しくなったホロボロスに与えてメツボロス(命名:セレブロ)に変貌させてしまう。
メツボロス撃破後にカブラギが吹き飛ばされた後、バロッサ星人がゼットを奇襲したが、別に二段作戦を行っていた訳ではなく今回も手を組んではいない偶然の出来事と思われる。むしろ状況から考えてバロッサ星人の方がゼットの体力消耗を狙って彼の暴挙を利用していたと考えられる。実際、彼が生み出したメツボロスの残骸(ギルバリスの腕)を借りパクされる事となった。
ちなみに、冒頭で怪獣メダルを生み出す様子はまるでガチャ廃人のようだと話題にされている(「持ってる!持ってない!」と叫び続ける様子や、ギルバリスメダルが出来た時にまるでスーパーレアを引き当てたかの様に狂喜していたため、本当にそうにしか見えない)。
ベリアルメダルを実質ジャグラーに強請られたカブラギではあるが、そもそもゼットがベリアルメダルが必要になった原因を作ったのは、元を辿ればブルトンを呼び出したセレブロ自身であり、加えてベリアルメダルの生成自体もリクを拉致するなど明らかに非道な手段を使っていたため、完全に自業自得でしかない。
借りパク発言についても「お前だってカブラギの体借りパクしてるだろ」とツッコミが相次ぎ、演者の野田氏にも指摘されているほど。少なくともセレブロの行動には一切の正当性はない。
セレブロの明確な精神年齢は不明だが、今回の彼の行動は逆ギレした悪ガキそのものでもあり、彼の暴挙に巻き込まれてしまったホロボロスが実に不憫であるとしか言い様がない(特に今回の場合、ゴモラやレッドキングの時と違って、無力化に成功していたため尚更である)。
第17話
怪しい行動を取り続けたせいで地球防衛軍から服務規律違反でマークされていた事が判明し、その事を知ったヘビクラに「ぐずぐずしているから尻尾を掴まれる」と嘲笑された。
前回の戦いの影響もありカブラギとしての体に限界を感じ、バロッサ星人撃破後の同話ラストにて彼を追っていた警務隊保安課の隊長アサノに見つかって拘束されそうになったが、謎の斬撃によってアサノの銃が壊れた隙に彼を押し倒し、寄生先をアサノに変更(この瞬間カブラギの顔がセレブロに近いものに変化しており、ぶっちゃけかなりトラウマになりそうなレベルである)。そしてまんまと新しい肉体と警務隊保安課隊長の立場を得たセレブロは、そのまま正気を取り戻したカブラギを拘束。本来のカブラギは状況が呑み込めないまま連行されて行き、この回を最後に表舞台から一旦フェードアウトする形となった(セレブロ本人の活動は継続)。
ちなみに冒頭でヘビクラが見ていた報告書を書いたのは「浅野武」…すなわち、カブラギに不信を抱いて調査していた本人がセレブロに取り憑かれてしまった。
防衛軍の隊員でありながら、地球外生命体の手足として操られ、挙げ句の果てに事情も分からぬまま全ての罪を着せられ捕らえられてしまったカブラギであったが…。
なお、セレブロを救った謎の斬撃だが、暗闇から見覚えのあり過ぎる目と傷が覗いており、十中八九彼の仕業だと思われる(現に、斬撃はカブラギとは別方向から飛んでおり、アサノも斬撃が飛んで来た方向を見てしまったためセレブロに取り憑かれてしまった)。
第17話以降のセレブロは、別の体に移ってもカブラギの時のウルトラアクセスカードをそのまま使っており、後に別人になってもゼットライザーを引き続き使用していた。これを見るに、ゼットライザーの主導権はあくまでセレブロにあったのかもしれない。
セレブロ自身特にカブラギの体に拘っておらず、最後まで彼の体を再使用する事はなかった。
…だがしかし、皮肉にも彼の命を取らなかった事がセレブロにとって後の失策となるとは、この時の彼は思いもしていなかったのである。
最終話
長らく音沙汰がなかったが、終盤で回復した姿(何気に髪型も変わっている)で登場。
経緯は描写されていないが、セレブロの存在と暗躍を周囲に証言していた模様。
ストレイジの元へ駆け付け、セレブロをユカと共に捕獲。その際には嬉々として写真を撮ったり、解剖を決めたユカに「姐さん手伝いますよ」とノリノリで伝えてそのまま彼女に付き合うなど、これまでと比べてかなりハイテンションになっていた。憎きセレブロに復讐できる事が余程嬉しかったのであろうが、第1話ではゲネガーグの残骸を気味悪がりながら処理していたため、かなりの変化と言える。また、これによってセレブロは最初に寄生した相手に引導を渡されるという因果応報な末路を辿る事になった。
この時、セレブロを指差して「間違いありません!こいつです、こいつが犯人ですよ!」と言ってる事から、セレブロに寄生されていた記憶が戻ったと思われる。また寄生されている間の記憶はなくとも、寄生された瞬間の記憶は思い出して、自身の行動の原因をセレブロと断定することは可能だと思われる。それにより、同様にセレブロに寄生されたヨウコやクリヤマ長官も記憶が戻る可能性がある。仮に戻らなかったとしても、それにより不自然な形で記憶の欠落が発生するであろう事から、それ自体が証拠になると思われる。
寄生主のセレブロにして見れば皮肉な結末となったが、完全な被害者であったカブラギにとっては自身のみならず他の被害者の潔白を証明することにも繋がったため、人類(および視聴者)にとって非常に胸のすく結果となった。
人物評価
上記の通り、新世代シリーズ恒例の「主人公と同質のアイテムを駆使して敵対するライバルポジションのメインヴィラン」であるが、(各々の作品でほぼレギュラー扱いだった)過去作の同ポジションの面々と比べると序盤での登場頻度が控えめであり、セリフ自体も非常に少ない。OPのクレジットも他の主要キャスト達とは異なり、テロップのみで記載されており、セレブロの寄生対象が移ってからはOPの映像からも姿を消してしまった。
そのため、物語のメインヴィランであるにもかかわらず(序盤ではある人物の作中の怪しげな行動の方にばかり注目度が高まった事も相まって)影が薄いという声もあった。さらによりアクの強い先輩が登場した上、その先輩に変身アイテムの使用及び変身まで先を越された事も、印象の薄さにより拍車をかけていると言えなくもなかった(とはいえ、その先輩の影が濃すぎるのも原因だが)。
ただし、新世代ヒーローズでは良くも悪くもヴィランのインパクトばかりが強くなり、シリーズにとって本来もう片方の主役であるはずの怪獣や宇宙人の影が薄くなっているという意見が少なからず存在していた(あるいは怪獣がヴィランの召喚枠、悪く言えば駒になっていたという意見もある)。カブラギ(および序盤のセレブロ)がそこまで全面に出てこなかったのも、怪獣や宇宙人のインパクトを残すと共に、ヴィランによって話の幅が狭まらないよう配慮されたものになっている、として評価する意見もある。
一方で、近年の作品のヴィランは大かれ小かれウルトラマンの変身者や防衛チーム等に接触し、存在そのものを知らしめていたのに対し、カブラギは正体を明かさず黙々と戦力を整える事に費やし、実験を繰り返すという一種のガチムーブに徹している。
第7話以降は怪獣へと変身して自ら戦線に登場し、隊長であるヘビクラとも接点を持つなど、本格的に物語に関わり始める事となる。ただ、第14話を見るに、セレブロはジャグラーの事を知らなかったようであり、彼の事は邪魔者と認識していると思われる。第15話以降に至ってはハルキとゼットの関係を知ってからは、彼も付け狙うようになった。
ただ結局のところ、カブラギ自身はセレブロに操られた被害者であり、本当のヴィランはあくまでセレブロである。そのセレブロも当初こそあまり目立った行動を取らなかったが、カブラギから寄生対象を移動し、最終的にラスボス怪獣の誕生を実現させて派手に暴れ回るなど、終盤で存在感を発揮した。
怪獣メダル生成のための素材は、カブラギの立場を利用して集めていた他、第8話ではピット星人を利用して怪獣の細胞を集めているのを見ると、第7話のゼットンやキングジョーなどのメダルは、宇宙人の協力によって入手した可能性も考えられる(第7話で使ったメダルの内、エレキングはピット星人が使役する怪獣である)。
なお、物語中盤から転落の道を歩み始めるのは近年のヴィランによく見られた光景だが、他の作品に登場したヴィランは主に戦況の変化によって窮地に立たされたのに対し、セレブロの場合は全てジャグラーの直接的な妨害行為が原因で立場が悪くなっている。
おまけに怪しい行動をしていたせいで、第17話で防衛隊に目をつけられていた事が発覚している。しかし、ジャグラーがセレブロを応援しているのは嘘ではなく、第17話の最後にセレブロを助けるような行動をしている(その行動も結局裏があったわけだが)。
シリアス寄りのキャラクターではあるものの、上記のように奇矯な言動が見られ、怪獣メダルガチャを引き続けた末にようやくPU時期である第7話にて目標の最高レアを引き当てたにもかかわらず、ジャグラーによって奪われた挙句、外れ続きの状況が続くその姿はソシャゲを日常的にプレイし続けている層に共感を与え、愛着を意味も込めて『ガチャ廃人』と呼ばれる事もあるとか…。
また、借りパク発言も彼のインパクトを一気に強める事となり、結果としてこれらの要素が視聴者に受け、次第に人気を得る一因にもなった。
最終話にて、年下のユカを「姐さん」呼びしていたが、これは彼女が自身の証言を信じてセレブロ捕獲に乗り出してくれた事に感激し、彼女を慕うようになったからではないか?とも言われている(その場のノリの可能性もなくはないが)。
とはいえ、お互いかなり馬の合った様子を見せており、「意外な組み合わせだった」と驚く視聴者もいたそうな。もっとも、ユカもホロボロスの件があったので、そうした意味では二人揃ってセレブロに一矢報いる事ができたとも言える。しかしその後、セレブロは別の世界に逃亡し…。
余談
演者の野田氏は2020年7月16日付けで芸名を「林カラス」に改名したが、改名後も『Z』におけるクレジットは、最終回まで旧芸名表記のままとなっていた。
野田氏は『仮面ライダージオウ』にてアナザー響鬼の変身者である鼓屋ツトムを演じており、これによりウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズの両方で悪役を演じるという快挙を達成している。
カブラギ・シンヤを演じるにあたっては「爬虫類っぽい動き」を意識しているという。また、同じ番組に出演している同ポジの先輩にも演技について相談したらしい。ちなみに、悪役としての演技をする上で「(ジャグラーには)絶対負けたくないんですよ」と意気込みを語っていたという。
序盤はセレブロに寄生されたばかりである事から、演技の際はあまり感情が出ない表情を意識していたらしい。第14話では、野田氏の演技もあって再登場前と比べるとよく喋るようになり、声の震えのようなエフェクトがなくなっていたため、この期間の間にカブラギはセレブロにさらに侵食されていたのでは?(=セレブロがカブラギの体に馴染んできたのではないか?)という意見も出ていた。
また、野田氏は幼少時にファイティングエボリューションシリーズをプレイしており、キングジョーとよく戦っていたが、「大人になってから追いかけられるとは思わなかった」とコメントしている。
前作のヴィランの演者同様、野田氏も主人公役のオーディションに参加していた。
バリスレイダーを生み出したり、ヘビクラにダメージを与えたレイディングガンは『ウルトラマンタイガ』第3話でギャラクトロンMK2の召喚に使われた銃の流用。
第6話で怪獣研究センターがギルバリスの残骸の回収をしていたので、デビルスプリンター回収のついでに残骸から作った可能性がある。
第1話および第8話に登場した上司の整備員は、シリーズ構成と脚本を担当し、第1話が放映される1ヶ月前に若くしてこの世を去った吹原幸太氏である。
当初は途中退場する予定だったが、野田氏の芝居が面白かったため、最終回にもシーンを追加することとなった。
関連タグ
ウルトラマンZ セレブロ(ウルトラマンZ) マッドサイエンティスト 愉快犯
山岡一、有働貴文:物語の黒幕およびその尖兵に身体を乗っ取られ、そのまま自我までも消されて死亡してしまった者達。本来なら防衛組織側の人間だったという共通点もある。一方で、最終的に本来の自我を取り戻して生存した分、カブラギは彼らよりは幸せ者である。
愛染マコト:同シリーズで身体を乗っ取られていた人物。ただし彼を乗っ取ったのは憑依生命体であり、その行動は乗っ取った側の意識に拠るところが大きく、愛染自身は悪事とは無縁の至って普通の人間であった。よって分離後も特に社会から糾弾される事なく、元の一般人として地球で生活を続けている。
溝呂木眞也:名前がよく似ていて、黒幕から精神支配を受けていた人物。溝呂木役の俊藤光利氏も、野田氏同様ウルトラマンに変身する役のオーディションを受けていたという共通点がある。
霧崎/ウルトラマントレギア←カブラギ・シンヤ/セレブロ→闇の三巨人/イグニス