概要
『ウルトラマンZ』に登場する、地球防衛軍日本支部の対怪獣ロボット部隊「ストレイジ」が開発・保有している対怪獣用ロボット兵器。
従来のシリーズにおけるライドメカやマケット怪獣に近いポジションの存在。
正式名称は「対怪獣特殊空挺機甲」。公式サイトでは対怪獣ロボットとして紹介されている。
ウルトラマンゼットと共に怪獣たちに立ち向かう他、ガレキの撤去作業といった災害対応にも尽力している。
現時点で存在する機体は3機。完成・配備されたのは本編開始から5年前で当時2週間に渡って日本を荒らしていたナメゴンを撃破したのが最初の戦果だと言う。これを保有しているのはストレイジのみで、予算は限られているものの新型機の開発も進められている。
パイロットはナカシマ・ヨウコとナツカワ・ハルキが担当し当日の担当が決められているようだが、キングジョーSCについては操作技術の問題からヨウコのみが担当している。
ストレイジ基地内にメンテナンス設備も存在しており、イナバ・コジローをリーダーとした整備班がメンテナンスを担当している。
第12話にて、特空機は10年前に宇宙から飛来した"人為的改造の痕跡があった"半機械怪獣のグルジオライデンのデータを基にして開発されたことが判明した(鹵獲改造機であるキングジョーは例外と思われるが作中でも公式サイトでも明言はされていない)。
当初は予算の都合で開発が進まず、第3話では「特空機1機で従来の機械では成し遂げなかった様々な事態の対処が可能」というプレゼンテーションを地球防衛軍の上層部相手に行ったが、実際は量産できずに1機で奮闘せざるを得ないというのが現状であった。もっとも、そのプレゼンテーションに訪れていた事務次長は特空機と怪獣の戦闘を目の当たりにし、特空機の今後の必要性を理解してくれたことから、予算の増額が叶い滞っていた2号機の開発が成し遂げられた。しかし、更なるコストダウンのために(上からの御達しで)複数の業者にパーツの発注を依頼した結果、互換性に難が生じて充電の不効率化といった様々な不具合が発生し、整備班が悪戦苦闘しながら調整して開発を進めざるを得なくなり、更に開発が滞るという悪循環に陥った。その後、2号機のエネルギー問題はある怪獣の細胞組織を利用して解決した。
9話では、ゼットとの戦闘に敗れて大破したキングジョーを回収している。ヘビクラによると、長官のクリヤマが興味を示していたとのことで、恐らく上層部の強い意向があったものと思われる)。公式Twitterによると、「未知の金属とテクノロジーを解析している」とのことで、同じロボット兵器ということもあり、今後の特空機開発に役立てたいという思惑もあるのだろう。
そして、11話では鹵獲したキングジョーを独自に改良した新型機・特空機3号キングジョーストレイジカスタムが登場した。
第14話後、ストレイジ広報(Twitter)によって老朽化とキングジョーSCの本格稼働によりセブンガーの退役が発表された。
一方で、キングジョーSCの目覚ましい活躍を受け、それまでとは一転して各国の防衛軍から技術に関する問い合わせなどが相次いでいるようで、ストレイジではそれを祝って祝勝会が開かれていた。
ちなみに、一般市民への配慮なのかいずれも人型であり、怪獣型は今のところ存在しない。
最終回での戦いの後、ストレイジは宇宙用の特空機を開発して宇宙へ旅立ったゼットに加勢するつもりらしい。
一覧
ストレイジで初めて開発された特空機。パワー型。
腕力が強いらしく鋼鉄のパンチを繰り出す他、ガレキの撤去でも活躍する。背中のブースターを噴射して飛び上がることも可能。
スピード型でセブンガーの2倍のスピードを持つ。額からレーザーショットを撃ちだす。また、火災消化用の水流も装備している。コックピット内は青く照らされている。
バロッサ星人が使っていたキングジョーを回収・改造したもの。火力重視型。
セパレートモードと呼ばれる4機の飛行メカから合体。タンクモードにもなれる。コックピット内は黄色く照らされている。
他の特空機を凌駕するほどの凄まじい性能を誇るが、その分制御も難しく、操縦には相応の技量と精密さが求められる。
ウルトラマンのデータを基に作り出された、特空機の集大成とも言える機体。
胸部にバラバの角を解析して作り出された超兵器:D4レイが搭載されており、あらゆるものを粉砕する。
コックピット内は緑色に照らされている。
しかし、実はこの特空機の製造には、当初から本作の黒幕であるセレブロの思惑が介在しており、24話ではまんまとセレブロに機体を盗み出された上に、世界中から集められた怪獣のエネルギーと融合させられ、最強最悪の合体怪獣へと変貌を遂げてしまった。
だが回想から見て特空機の製造の元になったグルジオライデンの飛来自体がセレブロの差し金であったようで特空機はセレブロが原因で誕生したようなものである。
登場経緯
結論から言うと身も蓋もないが商業的な理由である。
ウルトラシリーズにおける防衛チームは、昔から撮影時の予算がかさむ上に玩具売り上げも伸び悩んでいた。このため新世代ヒーローズではメインとしての採用が見送られており、業績的には大きく回復した一方で古参のファンからは防衛チームが登場しない、登場したとしても影が薄い展開に対する不満の声も散見されていた(詳しくは防衛チームの記事を参照)。
『ウルトラマンZ』における特空機という設定は、そうした課題をセブンガーやウインダムといったロボット怪獣の起用により克服しようとしたものであり、過去に玩具関係者から「ウルトラの玩具はソフビしか売れない。武器は持っていないし、変身道具もシンプル過ぎる」と言われていたのを逆手に取り、ソフビ人形を防衛隊グッズとして販売することもできるようにしたと思われる。
そんなわけでウルトラマンとその変身アイテムがニュージェネレーションシリーズに入ってそれ以前と比べて派手なもの(嫌な言い方をすればゴテゴテしたもの)に大きな方針転換したことについて、成田亨を知る作品性を重視する古参ファンから戸惑いの声が見られたように、これまで否定的に描かれてきた、ロボット怪獣を地球人の戦力とする展開を肯定する事について同様に戸惑う声も見られた。しかしながらこの辺は公式も重々承知のようで、キングジョーSCの強大すぎる力に複雑な思いを抱く人物が出るなど、ちゃんと配慮はされている。
ほかにも『SSSS.GRIDMAN』超全集での田口清隆と監督の雨宮哲の対談から
雨宮 | 「ただ、深夜アニメのお客さんって、特撮はわりと別ジャンルとみているところがあって。それで深夜アニメの層に見てらもうために、美少女とか、ロボットとかを出しまして。そういう意味では『グリッドマン』は元からロボットがいましたから、相性良かったですね。」 |
田口 | 「ロボットならいいんですね」 |
雨宮 | 「そうですね。アニメはわりと。それもメカゴジラだとダメなんですよ。人型じゃないと許してもらえないという。」 |
(SSSS.GRIDMAN超全集より引用)
という回答をもらっており、その影響もあると推測される(上でも語られている特空機がすべて人型なのもこうした事情があるためだと思われる)。
いずれにせよ、『Z』においてウルトラマンと共闘する防衛チームのロボット兵器という要素が大成功を収めたことから、『デッカー』および『ブレーザー』では事実上の後継ポジションとも言うべきロボット兵器が登場することになる。
作中での扱い
放映前に判明していた特空機は、かつてウルトラセブンのカプセル怪獣と活躍していた怪獣達である(厳密にはセブンガーは怪獣ボールというカプセル怪獣とは若干異なる存在)が、『Z』ではカプセル怪獣の設定は引き継がれておらず、ストレイジが独自開発したものである。
田口監督はオンライン発表会にて「今はまだお楽しみにとしか言えませんが、今後もいろいろな隠し玉を用意しています!」とコメントしており、ストーリーの進展とともにさらに種類が増えるものと思われる(その隠し玉の1つがキングジョーであったのは言うまでもない)。
一方で、『Z』の舞台となる地球はストレイジ側のゼットに対する反応(彼のことをウルトラマンではなく"正体不明の巨人"と呼称するなど)からして、“物語が始まるまでウルトラマンが現れなかった世界”という可能性が高い。それにもかかわらず、この特空機がM78星雲由来のメカニックや金属生命体と全く同じデザインであることの理由については当初は不明であった。
そのこともあり、ファンからは特空機とオリジナルの類似性に関する考察がなされていたが、特別編『特空機シークレットファイル』にてゼットの口からウインダムがオリジナルと類似している点が初めて言及された。ゼット自身は「他人の空似」として疑問を持ちつつも流していたが、少なくとも特空機とオリジナルが全く無関係な存在ではないことがこの時点でほぼ確定した。
もっとも、シリーズにおいて無関係でたまたま姿が似ているだけという事例も多々あるので特に設定がされていない可能性もある。
ちなみに、『Z』作中において客演のウルトラマンは特空機をあまり目にしていない。もし仮に目にしたらどう反応するだろうか?(主にウルトラセブン)
だが『ウルトラマンクロニクルZヒーローズオデッセイ』の第6話で特空機の紹介があったのだがゼロは全く無反応であった(前の回ではウルトロイドゼロに対して文句を言っていたのに…)。
なぜゼットの世界でウィンダムやセブンガーがオリジナルと全く同じ姿で登場しているのか…
一つの予想として『大いなる陰謀』の最終回にて、ゲネガーグに寄生したセレブロがウルトラゼットライザーとウルトラメダルを強奪し逃亡した際に、光の国で保管されていたロボット怪獣のデータ(他にも怪獣メダルの元になったかもしれない有機生命体に当たる怪獣たちの情報)も盗み、ゼットの世界の地球でそれを利用したことが推測される。第1話目でゲネガーグに乗って初めて地球に飛来したように見られたセレブロだが、その前からグルジオライデンや特空機関連で暗躍していたことを考えると…
余談
- TSUBURAYAメンバーシップクラブ会員限定で、「ぼく、わたしの考えた特空機4号イラストコンテスト」が実施されている。詳しくはこちら
- 撮影に使われるコックピットのセットはあえて狭く設計されており、ロボットのアクションに対して煙や火花などの効果との絶妙なシンクロなど、細かな演技でアクションを見せている。コックピット内はウインダムが青、キングジョーが黄色、ウルトロイドゼロが緑の照明で区別されている。
- 企画発表時にはライドメカが合体して巨大ロボットになるのではないかという予想も存在していた…と思ったらキングジョーストレイジカスタムで本当に実現している。
- ちなみに特空機の人選はウルトラマンゼロ10周年という事もあってか、全て彼の父親であるウルトラセブン関係のキャラクターがピックアップされている。
関連タグ
かつてのとある防衛チームが使用した巨大ロボット。夢の中にしか存在しなかったが、放送開始当初は特空機としては最も登場の可能性が高い機体となっていた。しかし、ついには登場しなかった。が、2024年ニュージェネレーションスターズのPVでは、似たような見た目のロボットが映っている。
かつて侵略宇宙人によって地球に送り込まれたロボット怪獣を防衛軍が鹵獲して修復、地球防衛用として戦力化しようとしたもの。ただしいずれもろくでもない結果を招いてしまった。特空機3号は前者とほぼ同じ経緯で兵器化されたが登場から最後まで1度も暴走する事なく最後まで地球防衛用として戦い抜いた。
怪獣に苦しむ地球外の文明を守る為に作られたロボット兵器。しかしある悪党の陰謀によって、やはりろくでもない結果を招いてしまった。
とある星の民が怪獣に対抗するために神を模して造り上げた兵器。しかし歪んだ自我に目覚め暴走し、自らが生まれた星を滅ぼす結果となってしまった。
ゼットの師匠であるウルトラ戦士に味方した正義のロボットだが、こちらはAIにより自分の意思を持っている。特別編にて特空機と並び紹介された。尚、後者は当初殺戮ロボット「ジャンキラー」としてジャンボットを元に造られた後に正義に目覚めた経緯があり、ジャンボットを「兄さん」と慕っている。
漫画『ULTRAMAN』にて登場する防衛チームが保有するサポートロボット。こちらは搭乗型ではなく自立型のAIとなっている。現時点でウインダムのみが本編にて登場し他は設定画でのみ存在する。