「あのウルトラマンブレーザーよりも先に、怪獣を倒してみせろ」
演:加藤雅也
概要
『ウルトラマンブレーザー』の登場人物。
地球防衛組織SKaRDの創設者であるGGF日本支部司令部参謀長。漢字表記は「榛野烈」。
北米に本部、世界各国に支部を置くGGFは度重なる怪獣の対応に苦悩しており、この状況を打開すべく怪獣の特性を迅速に調査、分析。これに対応する特殊部隊SKaRDを新設した。
ゲントを隊長にスカウトしたのも彼であり、GGFの組織の中で叩き上げという立場ながら、参謀長という要職にまで上り詰めた野心家である。
劇中ではゲントやSKaRDに事あるごとに難題を無理強いしてくる人物として描かれており、第2話のラストで早速、「アースガロンを使い、ウルトラマンブレーザーよりも先に怪獣を倒してみせろ」という無茶振り同然な命令を下していた。後半以降はまともな戦果を挙げられていないことを理由に度々隊の解散をちらつかせるようにまでなっている。
ただし、GGFが過去作登場のウルトラマンが苦戦した怪獣を倒した戦績を残していることから、一概に無茶振りとは言い切れないという指摘もある。また、ブレーザー自身についても『得体のしれないもの』と称し、SKaRD発足後も地球防衛が彼ありきの状態にあることもあってか、その存在そのものを快く思っていないことも一因であろう。解散云々もSKaRD結成を主導した張本人である以上、結果が伴わなければ自分にも当然任命責任云々を問う声が上がることになるため、直属の上官として当然の反応である。
一方で、第2話や第12話のように、SKaRDが迅速かつ円滑に作戦を遂行できるよう、彼なりに関係各所への根回しやサポートはしっかり行っている。
また、エミ隊員とはプライベートの場では「おじさん」「エミ」と呼び合う間柄である。これは、エミ隊員の父親である蒼辺樹研究員と友人関係にあり、(恐らく)家族ぐるみで付き合いがあったためと思われる。蒼辺研究員は3年前の防衛隊の施設の爆発事故の際に消息不明となっており、彼女が父の失踪した事故に関連すると思われるV99に関して調べ始めた際には、組織のトップシークレット故に無暗に詮索しないよう上官としての立場から警告および命令をしつつも、彼女から事実の隠蔽に関与していることを激しく糾弾された際には、どこか悲し気な表情を浮かべている。
これらのことから、軍人気質の厳格な人物ではあるものの決して冷徹一辺倒な人物という訳でもない(見方を変えれば非情に徹しきれていないとも言えるが)ことがうかがえる。
後に番組公式の解説ツイートで、「上層部の下した無理難題を完遂しようとするSKaRDの姿に触れるなかで、かって思い描いていた地球防衛隊の凝り固まった怪獣対策の方針を是正するという純粋な理念に立ち戻っていくようになる」「元々は心の広い人物であったが、組織内で叩き上げられ這い上がっていくうちに野心家になっていった過去を持つ」と明かされている。
また、犬が好きという意外な一面もあるらしいが、劇中でその設定が直接的に活かされる描写は最後までなかった。
劇中での動向
第2話でゲントをSkaRDの隊長へと推薦して以降、長らく登場しなかったが、第9話にて名前のみ登場し、久々にその動向が語れる。ニジカガチ戦でのダメージで応急修理中のアースガロンを『24時間以内に復旧せよ』という、またしても無茶振り同然な命令を出しおり、ヤスノブが「整備班長になんて伝えればいいねん…」と頭を抱えていた。
第10話にて久々に登場。GGF日本支部中央指揮所から出現したデマーガの掃討作戦の指揮を取る。ベビーデマーガを目指して進行している事を利用して攻撃地点を限定して攻撃を開始。SkaRDにも攻撃命令を下す。ブレーザーが突然攻撃を阻止した事に対しても驚かず、事態を見守った上で指揮所を去った。
第11話では、地球に接近する怪獣と思われる隕石を日本支部司令源川稔(ゲンカワ・ミノル)の下で前回に続き中央指揮所から迎撃を指揮する。結果的に攻撃は失敗してしまい、源川司令より直ちに次の作戦の立案をするよう要請され、悔しさからその場で机を叩いた。
なお、立場上はハルノは源川の部下ということになるが、源川の前でも堂々と腕を組んでいる他、会話の際には割とフランクな口調で話しており(さすがに職務上のやり取りを交わす際はその限りではないが)、それなりに長い付き合いがあるものと推測される。
第12話では、冒頭で、前回のゲバルガとの戦闘に於いてのSKaRDの対応(電磁パルス発生の兆候を確認しておきながら、それを止めようとせずに現場から退避したのを敵前逃亡と見做された)を叱責し、またもブレーザーに助けられたと主張するゲントに対して「あのような得体のしれないものに頼ってどうするんだ!?」「お前達は何だ?特殊怪獣対応分遣隊だろ!お前達が単独で撃破した怪獣が1体でもいたのか!?」と第2話で命じた『ウルトラマンより先に怪獣を倒せ』という命令が未だ実現できていない彼らの不甲斐なさに怒り、ゲントに対してゲバルガによる被害が相当なものであり、最早作戦の失敗は許されないこと、SkaRDの運用を疑問視する声も出ていることを伝えた上で「SKaRDの存在意義を示せ」と発破をかけつつ去っていった。
その一方で、以前と同様、SKaRDの対ゲバルガ作戦に関連した根回しを行っていた模様で、ゲントとエミもそれを察していた。最終的に司令から電磁核破壊作戦のGOサインを得ると作戦に於いてゲバルガにEMPを発動させる為に中央指揮所より誘導弾による攻撃を指揮する。
ブレイザーがゲバルガを撃破するのを見届けた後『セカンド・ウェイブ』を退けたと何者かに連絡していた。
第14話でGGF上層部が新たに現れた怪獣デルタンダルをゲバルガに続く宇宙怪獣=サードウェイブの可能性が浮上した為か、撃墜命令が下されていたにもかかわらず撃破できなかったSKaRDを前回に引き続き厳しく叱責、ゲントからは「アースガロンは空中戦が行えるよう設計されておらず、速力差もあったために撃破が困難であった」と理由を述べられても「そんなありきたりな理由は聞いていない! もっと臨機応変に対応できなかったのかと言っているんだ! お前たちに独自の作戦行動を取る権限が与えられているのは何のためだ!」と横暴とも言える言動で一蹴し、SKaRDの解体の可能性も浮上した事を伝えるとその場を去った(テルアキ曰く『グウの音も出ない』)。
その後、エミは情報収集を名目にすぐにハルノの後を追って元地球防衛隊日本支部長官のドバシ・ユウについて尋ねられると『SKaRDの存続に関わる』としてドバシに関わらない様に警告する。
しかし、エミはハルノの警告を無視して独自に調査を続行し、遂にはドバシに接触。直後、デルタンダル追跡中のゲントにエミの監視命令を伝える。
終盤、エミが父の行方不明になった事故の起きた研究施設に赴いた際に、「本来ならSKaRDは解散、お前は懲罰房行きだ」と警告しながら現れる。エミに事件について改めて問われるも、ハルノ自身は事の大きさを理解しているのか「下がれ!」と警告するだけであった(この時エミの父とハルノが友人関係にあり、プライベートでは「おじさん」「エミ」と呼び合っている事が明らかとなる)。
その後、「必ず見つけます」と言ってエミが去って行くのを、どこか悲しげな表情を浮かべながら黙って見送っていた。
第18話でイルーゴが宇宙怪獣と判明するとSKaRDに対して調査を中止して待機するように指示を出す(この時はよく見ると指示を出したハルノ自身も納得が行っていないように見える表情を浮かべていた)。理由に関しても『理由などどうでもいい』と即答で言い放つ。ゲントは事前にエミからV99の情報を得ていたことから察しており、V99の調査の為に不在のエミの所在を気にしつつゲントが知らぬ存ぜぬを通すと『隊員の行動を把握するのも隊長の義務だ』と言ってと去っていった。いつもより冷静で強引な指示にアンリ曰く『よりキツくなってないか?』と反応したほど。
続く第19話で、前回の待機命令を無視したSKaRDに対し上層部で問題視されていることを通達しにやってくる。ゲントからイルーゴは撃退したと反論されるが「撃退したのはブレーザーだ」とSKaRDの存在意義について手痛く叱咤する。
「結局最後は、ブレーザー頼みだ。お前たちがあたふたしている間に、何を考えているかわからない宇宙人が現れ怪獣を倒し去っていくその繰り返しだ。こんなことでは……SKaRDの存在意義が疑われても仕方がない、違うか!」
しかしこの頃にはSKaRDメンバーはブレーザーに対しただならぬ信頼をおいており、ブレーザーは仲間であると反論される。しかし「そんな言い分が上に通用すると思うか?」と正論を突きつけ、SKaRDに(「とにかく、今後の処遇が決まるまで…」と前置きして)一切の出撃と活動の禁止を言い渡す。
- この出撃及び活動の一切の禁止命令に関してだが、SKaRDの面々はもちろん、現場に調査に赴いている別の防衛隊の隊員たち(通信施設の地下に幾つものイルーゴの卵があり、大元となる本体もいる事が判明して危機感を募らせている)ももしこのいきさつを知れば、ハルノ参謀長に「この非常時にして厳戒態勢の時に何言ってんですか!? いつイルーゴ側がアクション起こすかわからないんですよ!?」ともっともな事を言ってもおかしくはなかった。同じように感じた視聴者も多かったことだろう。現に『SKaRD抜きでイルーゴやとうとう現れたブルードゲバルガに対して、どう対処しようというのか…』についても、何の説明もされていない。実際に本格的にブルードゲバルガが現れた際にも、SKaRDには何の通達も連絡もされなかった事から、てんやわんやだったであろう防衛隊の手に負えたかどうか怪しい。
しかし、SKaRDはこの命令も無視し、結果的にブルードゲバルガを撃破する。当然上からの呼び出しがあり、流石に今回はクビがとぶ覚悟をしていたゲントだったが、真実を知った2人の前に現れたドバシから、ハルノが謹慎処分になり呼び出しは無かったことになったと伝えられた。ハルノ自身が謹慎処分になったことについてはドバシの差し金だとも言われているが果たして…
- とはいえ、前述のようにイルーゴの大量出現で厳戒態勢時にも拘らずSKaRDに出撃・活動禁止命令を出したり、その上にブルードゲバルガまで出現してますます状況が悪くなったにもかかわらず、一切攻撃や他の部隊への出撃要請もしなければ、アースガロンへの援護も何もさせなかった。ドバシの差し金によるもの(エミとゲントが真実に辿り着き、遂に知った事への代償や人柱)ではあるが、先の現場の事情を考慮していないと言われても仕方のない言動や、以前までの横暴とも言える振る舞い及び度重なる無理難題な命令を踏まえれば、それらに対しての自業自得とも取れる。
翌第20話以降は、ハルノが謹慎になったことでこれまで以上にSKaRDは上層部からの影響を悪い方向で受けている。例えば、本来は広報がすべき一般人への怪獣対策講座を(事後報告が原因とはいえ)全国で行わされ、自由に行動がしにくくなってしまった。
第21話では、アースガロンの新装備の5回目のテストにこれまで関わってこなかった上層部が介入し、ヤスノブのバイタルが低下したのを見るや搭乗禁止を一方的に通達、許可を申請しても「手続きが難航してる」などと理由を付けては取り合ってくれなかった。
第23話で久々に登場。
タガヌラー戦終了後に司令部に呼び出され、(事情があって仕方なかったとはいえ、)SKaRDがタガヌラーへの総攻撃を妨害するような行動を取ったことが司令部から問題視され、ハルノはその責任を負わされることになってしまう。
第24話で前回のSKaRDのタガヌラーの作戦妨害の全責任を負って解任された事がゲントの口から明かされた。自宅を訪れたゲントにエミからの伝言を伝えられると「俺は出来ることは全てやった」と述べ、エミの事に関してゲントに「アオベはお前の部下だ。さっさと戻って来て首根っこ掴んでおけ!」と現役時代の厳格さを醸し出しつつ、ヴァラロン撃破のため月へ出撃するゲントの無事を祈る言葉をかけた。その後、ドバシのSPの中に潜り込ませていたであろう自らの協力者から渡されたアオベ・タツキの日記を手に取っていた。
第25話では、タツキの日記を手にドバシの内偵をさせていたSPと共にドバシに幽閉されたエミを救い出し、エミと共に作戦指揮中の司令室に殴り込みのような形で押し入る。司令室での会話を戦闘中のSKaRD含めた世界各地の上層部に聞かせる形でV99の真実を明かし、ドバシが指揮を降りると指揮権を取り戻し「V99艦隊はフォース・ウェイブでは無い」と伝える。V99艦隊が未来を求めて再び旅立つと、ヴァラロン撃破のため「ウルトラマンとアースガロンを援護せよ!」と指示を出した。
ヴァラロン撃破後は、エミに「よくやった」と言わんばかりの表情を向け、肩を叩いて労った。
劇場版では回想シーンだけでの登場ではあるものの、テルアキの口からGGFに復帰し日本支部司令官へ昇進した事が判明した。その時の指示からエミからは「司令官になっても人遣いが荒い」と評された。
ボイスドラマでは直接の登場は無いものの特殊部隊行きつけの焼肉屋で近くの席でゴンギルガン討伐の打ち上げをしてたSKaRDのメンバーも日頃の自分に対しての愚痴も混じった会話等を聞いており帰り際にゲント達の食事代も纏めて払っている。
ゲント達の会話内にて特殊部隊の超OBという経緯が明らかになりそのため前任の河野より特殊部隊の使い方を心得てるため長官になった今でも特殊部隊を使った作戦立案に口出ししておりレツの後釜になった参謀は立つ瀬がないようである。
余談
防衛チームにおいて隊長より立場が上の上層部キャラの登場は珍しくはないが、通常は隊長が主人公の上司役を務めるところ今回は主人公が隊長であるため、設定された上司役のレギュラーキャラと言える。
演者の加藤氏は1998年ハリウッド版『GODZILLA』に出演しており、『ウルトラマントリガー』のシズマ・ミツクニ役の宅麻伸氏以来のゴジラシリーズ出演者の上官となった。
OPでは各レギュラーキャラの履歴書が映るシーンがある中、何故かハルノ参謀長の履歴書だけは登場していない。
また、第10話で明確に地球防衛軍の作戦を妨害したブレーザーを見ても特に反応を示さなかったり、第12話で、宇宙から襲来してくる怪獣についてなにか重要な秘密を握っていることを示唆する台詞を残す等、徐々に只者ではない一面を見せ始めるようになる。
加えて、プレミア発表会で加藤氏は自身の演じるキャラについて「あまり多くを語れない」という意味深な発言を残している。
劇場版の発表にはキャストがクレジットされておらず、「黒幕の一角として死亡退場」「最終回でゲントかエミを庇って死亡」といった説に一層信憑性を持たせていたが、実際は上述の通り生存エンドとなったばかりか、その後順当に出世を果たし、健在であることが語られた(劇場版に元々登場させる意図がなかったのか、演者の加藤氏のスケジュールの都合が合わなかったので出演できなかったのかは不明)。
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クリヤマ・サブロー:田口清隆監督が以前メインを務めたウルトラシリーズに登場する防衛軍上層部のキャラクター。こちらは説教臭い一面はあれど、ハルノ参謀長よりもコメディリリーフ寄りの苦労人。終盤では冷徹な性格に豹変していたが、それは本人の意志ではない。
ゴンドウ・キハチ、神山政紀、ユウキ・マイ:いずれもウルトラマンに頼り切りな現状を憂う、或いはウルトラマンを信用出来ず、独自の兵器を開発して戦力増強を測った防衛軍幹部の人間達。しかし、いずれも事態を余計に悪化させてしまう大失態を犯した。ハルノ参謀長に関しても、第2話でのアースガロンを開発して「ブレーザーよりも先に怪獣を倒せ」という無茶振り発言や、第12話でブレーザーを「得体のしれないもの」と吐き捨てたことなどを受け、彼らのような事態を起こさないか不安視する視聴者もいた。
アサカゲ・ユウイチロウ:前作に登場する、主人公達の所属する防衛チームとは別の部署に所属するレギュラーキャラ。彼は序盤から時折意味深な要素を漂わせていた結果、中盤で該当作のもう1人のスーパーヴィランだったという衝撃の事実が明らかとなった。ハルノ参謀長も作品の立ち位置的には彼と似ており、上記の通り意味深な描写が幾つか見受けられ、視聴者たちの間で不穏な噂が立っていたこともある。