アーストロン
あーすとろん
『帰ってきたウルトラマン』第1話「怪獣総進撃」に登場。
ウルトラマンジャックが地球で2番目に戦い、初めて倒した怪獣。
直立した恐竜のような体格に三日月のような一本角と、子どもたちが「怪獣」と聞いて連想する姿をそのまま具現化したかのような王道的なシルエットが特徴。第1話には打ってつけの正統派怪獣である。
頑丈な皮膚と骨格を持ち、頭の鋭利な角「スラッシュホーン」と、口から吐く「マグマ光線」が主戦力。鋼鉄の二千倍の強度を持つ尻尾と持ち前の怪力も強力な武器で、尻尾の一振りは強力。
角に関しては、武器であると同時に最大の急所でもあり、折られると急激に弱体化してしまう。
鉄を常食しており、皮膚の頑丈さと黒い体色は摂取した鉄分に由来すると思われる。体内には冷却効果のある特殊なリンパ液が流れており、100万度の熱にも耐えるとされる(地球型惑星の内部はどんなに暑くても1万度もないのでやや誇張気味な設定だが、地球には生息地を同じくし、地球内部に匹敵もしくはより高い温度の火炎を吐き出す猛者がわんさといる為、そいつらとの生存競争の末に手に入れた形質だと考えれば、そこまで不自然は無い…はず)。
そこまで手強い怪獣ではなかったのだが、その秀逸なデザインから『帰ってきたウルトラマン』に登場した怪獣の中でも人気・知名度共に比較的高く、以降のシリーズでも度々客演している(殆どは噛ませ犬の役回りだが)。
朝霧山に出現し、マグマ光線を用いて山麓の村を破壊する。現れたジャックと戦闘になったが、弱点であるスラッシュホーンをへし折られて弱ったところへスペシウム光線を受けてそのまま火口へと転落し、噴火に巻き込まれ爆死した。
撮影後、着ぐるみはゴーストロンに改造された。なお、書籍によってはゴーストロンの兄とされているが真相は不明。少なくとも、作中においてそのようなことは明言されていない。
企画段階では「鳴門海峡から現れてジャックを倒し、アーストロンの再襲来の脅威を抱きながら、日々特訓しながら怪獣と戦う」というストーリーになる予定だった。
Battle-3, 4, 52, 55, 56で登場。3, 4, 52では単独でレッドマンと戦った。
アーストロンの着ぐるみは、放送当時既にゴーストロンへと改造されてしまった(ゴーストロンも『レッドマン』に登場している)ため、アトラクション用のものを使用している(ちなみに、後半に登場したものはなぜか尻尾がペニャペニャである)。
第27話「怪獣島浮上!!」に登場。
バラドン星人によって弟のゴーストロン共々怪獣墓場から復活させられ、ゴキネズラと大喧嘩を行う(この私闘はバラドン星人も予期していなかったらしい)。その後科学警備隊に襲い掛かるも、マルメ隊員の新開発した特殊なロケット弾(まさかこれが『ウルトラマンメビウス』に登場する「メテオール」の伏線だと誰が気付こうか)により倒された。
この個体は爪に毒を持っており、ジャンプ力は300mで、目からはX線を放射して透視する能力を持っている。火炎の色は従来の個体とは異なり、青色。
第20話「総監の伝言」に登場。
ドキュメントMATに初代の出現記録が残されている。怪獣研究所のハーメルンプロジェクトの実験中に地中から出現し、メビウスと交戦する。
その最中、突如乱入してきたケルビムに従うような仕草を見せるが、これは研究所の音響放射装置の誘導音波を共鳴支配したケルビムに操られていた為であり、そのまま二対一でメビウスを痛めつける。
しかし、サコミズが搭乗するガンブースターに音響放射装置を破壊された事で洗脳が解けてしまう。正気に戻り、戦闘を放棄して住処の地底へ帰ろうとしたところをケルビムに咎められ、尻尾を思いっきり踏んづけられてしまい逆上。ケルビムに猛反撃を仕掛けるも、最期はメビウスブレイブによりケルビム共々爆殺されてしまった。
読んでみればわかるように、今回のアーストロンはケルビムに操られていただけであり、洗脳が解けた後はそれ以上暴れようとはせずに退散しようとするなど、そこまで凶暴な怪獣としては描かれていない。アーストロンにとっては勝手に利用されて操られた挙句、最後は訳も分からないままに命を奪われてしまうという災難以外の何物でもなく、ある意味このエピソード最大の被害者と言えるかもしれない。
操られているだけのアーストロンを単なる悪役にはしたくないという特技監督の鈴木健二の意向により、コメディタッチの描写となった。
大怪獣バトルシリーズ
ウルトラギャラクシー大怪獣バトル
第8話「水中の王者」
湖の畔でケルビムと対決。死んだフリをしてケルビムを油断させ、ケルビムの耳を引き千切りマグマ光線を浴びせて勝利を収める(ある意味、『メビウス』の展開に対する意趣返しである)。しかしその直後に水中に潜んでいたエレキングによって湖に引きずり込まれ、水中戦に持ち込まれてしまい、最後は放電攻撃によって倒されてしまった。
第11話「ウルトラマン」
カレンの回想シーンで別個体がレッドキングと戦っていた。
バット星人によって怪獣墓場からフューチャーアースに連れて来られた個体が登場。
歴代の個体では初めて市街地に出現し、チームUに襲い掛かるが、そこへウルトラマンダイナが立ち塞がる。マグマ光線が通じず慌てて逃げようとしたが、尻尾を掴まれハリケーンスイングで空中に投げ飛ばされ、ソルジェント光線で空中で爆砕された。
なお、着ぐるみは『ウルトラ銀河伝説』までに使用された物の流用だが、瞳が赤くリペイントされ、顔つきがより初代に近い造形になっている。
企画段階ではガボラが登場する予定だった。
新世代ヒーローズでの登場
ウルトラマンジード
第5話「あいかた」に登場。
宇宙生物モコの持つリトルスターに反応して地中より出現。モコを保護していた愛崎モアを襲おうとしたところで現れたジードと戦闘になる。
互角の戦いを繰り広げるが、途中ガスタンクが近くにあった事で思うように戦えなくなったジードを手こずらせる。
その最中、モコの祈りに反応してモコから分離したリトルスターによってコスモスのウルトラカプセルが起動すると、ジードは新形態アクロスマッシャーを発現させる。華麗な高速移動とに翻弄され、最後はスマッシュムーンヒーリングを浴びて大人しくなり、地中へと帰って行った。
第5話はコスモスの能力を持つアクロスマッシャーの初登場回であり、第5話監督の市野龍一も『コスモス』に参加していたことから、倒されずにおとなしくなるという展開になった。
ウルトラマンZ
第24話「滅亡の遊戯」にて、ストレイジが監視している休眠怪獣として画像のみ登場。場所はアメリカのワシントン州またはカナダのバンクーバー付近。
セレブロが操るウルトロイドゼロに吸収され、ウルトロイドが変貌した最凶怪獣の頭部と胴体を構成するパーツとなってしまった。
ウルトラマントリガー
第24話「闇の支配者」にて、メガロゾーアにより世界各地のエタニティコアが暴走し地球の危機が間近に迫ったことで他の怪獣達と共に避難した。
『トリガー』に登場した怪獣の中では唯一昭和第2期に登場した怪獣でもある。
なお、同話に登場した他の怪獣たちが同一個体かどうかは不明ではあるが続編の『ウルトラマンデッカー』で登場したのに対し、アーストロンのみ登場しなかった(劣化により着ぐるみが使えなくなった可能性もあると思われる)。
ウルトラマンSTORY0
弟のゴーストロンと共演。
「火の民」と呼ばれる種族が作り上げた怪獣の鉄像に、ガッツ星人が渡したカプセルを投入したことで金属生命体(こいつらとは関係ない)として誕生した。
がらんどうの鉄人形の中に溶鉄を流し込んだだけの極めて単純な構造だが、皮膚は触れただけでウルトラマンがのた打ち回るほどの高温を発している他、手は鎌状になっており、鎌の一撃はウルトラマンの腕をへし折るほどの威力を持つ。
ゴーストロン共々「火の民」によって操られ、敵対民族「風の民」を殲滅するために暴れ回るが、ウルトラマンとジャックの起こした竜巻「ストームテンペスト」に巻き込まれ、木端微塵に引き裂かれた。
ウルトラ怪獣擬人化計画 feat.POPComiccode
怪獣墓場学園の生徒の1人。
第19話で、遠足の際に勝手に地球に残ったレッドキングさんを炙り出すために校長先生から点呼を取られた際にアギラやワイアール星人と共に登場した(なぜか「アストロン」と呼称されている)。
設定上は主人公のメフィラスたちと同様、人間の少女のような姿になっているはずだが、擬人化された姿が発表されていないため、終始黒いシルエットのような姿で描かれていた。
企画時の名前は「ストロンガ」。
『ウルトラマンタロウ』に登場したバードンの火炎放射の方法はアーストロンから受け継いだとされている。また、『タロウ』第19話団地の住人を襲った人物の中に『帰マン』第1話でアーストロンが初登場した回で、村の老人役で出演してた俳優がゲスト出演している。
『ウルトラマンオーブ』第10話では、ナックル星人ナグスの発言として「名付けて、怪獣総進撃!」が登場する(同エピソードの「サブタイを探せ!」の答えにもなっている)。
ゴジラとの関係
角があることを除けばゴジラを一回りスリムにしたような外見をしており、しばしばゴジラをモデルにしたのではないかと言われることがあるが、実際にデザインを担当した池谷仙克氏が「ゴジラのような怪獣を」との発注があったと証言しているため、強ち的外れな話でもなかったりする。
また、アーストロンの造形を担当したのは東宝特美の安丸信行氏であるが、氏は後に84年版『ゴジラ』で実際にゴジラの造形を手がけることとなり、両者を比較すると目つきなどがかなり似ている事がわかる。
さらに、第1話の監督を務めたのはゴジラシリーズでも数多くの作品を手がけた本多猪四郎氏である。
この時造られた着ぐるみはタッコングやザザーン共々硬くて動きにくく、開米プロで一度解体して作り直したという(作り直す前は腹の部分がゴジラの着ぐるみの流用で知られるゴメスにも似ていた)。
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