DATA
別名 | 変身怪獣 |
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体長 | 40m |
体重 | 2万t |
出身地 | 不明(後述) |
SA | 鈴木邦夫 |
概要
第36話「射つな!アラシ」に登場。
額からの閃光で、東京の市街地で多発していた「謎の閃光で失明する事件」を引き起こしていた怪獣。
各所に黒い甲殻を纏った体と前へせり出した頭、額の辺りから前に伸びている角が特徴。
前へ突き出す様に伸びた頭部の一本角は、厚さ10mのコンクリートを容易に貫く事が可能で、尻尾のパワーはブルドーザー20万台分。
鋭い爪で岩石を砕いて地中を掘り進み、地中の暗闇を見通す為に目からはX線を放っている。さらには頭蓋骨は鋼鉄の5000倍の硬さを持つといった地底怪獣としての素質を持つが、前述した通り出身地や出自がイマイチ明かされていない怪獣でもある(資料によって地中だったり宇宙だったり不明だったりする。なお、初代『ウルトラマン』の実質的なシリーズ構成の役割をしていた金城哲夫氏は、この怪獣を宇宙怪獣にカテゴライズしている)。
劇中では見られなかったが、足の爪には毒腺が存在するらしい。ジャンプ力はなんと3000m。
意外に知能も高く、ビルの展望台や電波塔を引っこ抜き、鈍器として使う芸当もこなしている。
こう書くとこの怪獣の別名が何故「変身怪獣」なのかと疑問符が浮かぶが、実はこの怪獣には“ある秘密”が隠されているのだ…。
能力
ザラガスは普段は背中や頭に甲殻を持っており、動きも緩慢。だが………
攻撃を受けると、その攻撃に対して耐性を持つように自身の体質を変化させる能力を持っており、さらに強いダメージを受けると自身の外見をも変化させる。後述の際には全身から真っ赤な煙を放ちながら甲殻を脱ぎ捨て、また性質も変化前よりもパワフルかつ凶暴化してしまう。
そして、甲殻のあった場所には頭部や腹部、背中等に無数(一説によると10万個)にある筒状の器官「フラッシュ発射口」が並び、そこから「ザラガスフラッシュ」という強烈な閃光を放ち、相手を失明させる。その明るさは6千万カンデラ(6千万燭光とも表記)にもなる(尚車のライトで22万カンデラ以下と規準があり、現実ならば至近距離に居ると発火するレベルの熱量を誇る)。
ちなみに、ザラガスフラッシュ自体は変化前でも使用可能である(頭部と甲殻の隙間から放つ)。
ただ、この体質変化能力にも弱点はあり、攻撃を受けてから体質を変化させて耐性を付けるまでに一瞬、攻撃が通用するスキが生まれる為、そこを突ければ攻略自体は可能。
活躍
最初は姿を見せないまま人々を失明に追いやっていたが、その際、児童会館の天井に描かれた空を割って閃光を放つ場面が印象的。その後地下から出現し、科特隊と交戦。科特隊は「ウルトラ十文字作戦」によって戦いを有利に進め、倒されたかに思われたが、前述の“体質変化”を発動させて復活。科特隊の攻撃を跳ね退け、攻勢に打って出る。
その際、児童会館から逃げ遅れた子供達を発見したハヤタ隊員が救出に向かうも失明攻撃で大ピンチに陥る。彼らを助けようとしたアラシ隊員はイデ隊員による相手の脳細胞を破壊する新兵器「QXガン」を使用。しかし、それは頭部に命中したものの攻撃は脳には到達せず、さらに悪い事にザラガスはQXガンへの耐性も獲得し、そのまま逃げられてしまう。
状況故にやむを得ない面が強かったが命令違反を犯したためにアラシは謹慎処分となり、バッジを取り上げられてしまう。
その後、責任を感じたアラシはザラガス再出現の一方を聞くや、ビートルに乗って無断で出撃。だが、フラッシュにやられて撃墜されかけてしまう。そこにハヤタが駆けつけ、ウルトラマンに変身してザラガスを迎え撃つ。
始めは五分の戦いでウルトラマンがザラガスの角を叩き折り優勢だったものの、背中にのしかかって攻撃している最中にまともにフラッシュを浴びてしまい、視力を奪われて苦戦。
ザラガスが引っこ抜いた鉄塔でウルトラマンに殴りかかろうとしたその瞬間アラシの乗るビートルがザラガスに急接近し、口の中にQXガンを撃ちこみ、脳へのダメージを与える事に成功。
ザラガスが怯むと同時にウルトラマンの視力も回復し、すかさずスペシウム光線を発射。遂にザラガスは倒されることとなった。この功績を認められてアラシは謹慎処分を解かれ、現場に復帰した。
本話は脚本段階では、ウルトラマンとの戦闘時に全身から棘を生やした第三形態が登場する予定だった。当時は(おそらく)時間・技術的問題からこれらの変化はオミットされたが、全身から棘を生やした第三形態というアイデアは、後述の通りおよそ46年後に実現する事となる。
以降の作品での登場
新世紀ウルトラマン伝説
映像は原作の流用。
紙飛行機に乗ってテレビの世界に迷い込んだ親子が遭遇。
ザラガスフラッシュで親子を威嚇したが、親子がウルトラマンをサポートした事で形勢が逆転し、原作と同様に倒された。
なお、原作での科特隊の援護射撃は親子の投げつけた投擲物(ビー玉又はスーパーボールのようなもの)という事になっている。
新撮映像部分としてウルトラマンが親子にポーズを送るシーンが存在する(ウルトラマンジャックも同様)。
ウルトラ銀河伝説
今回は最初から甲殻を外した状態で登場する。
初代と同様ザラガスフラッシュを放ち、新たに口から火炎を吐く能力が追加された。
惑星デントに突如出現し、ZAPを襲撃。レイが召喚したゴモラと対決する。ザラガスフラッシュでゴモラの眼を眩ませるが、オキ隊員のアドバイスで弱点を見抜かれ、レイを援護する為に放たれたワイバーンミサイルで体質変化を起こす一瞬の隙を突かれて、超振動波(ゼロシュート)で倒された(内山まもる氏のコミカライズでは大廻転打でフィニッシュとなっている)。
また、ベリュドラの左の角を構成する怪獣としても登場している。
これまでは流用映像を用いての再登場が多かったザラガスだが、本作でスーツが作られた事に伴い、新規映像でのザラガスが活躍が増えていくことになる。
ウルトラマンギンガ
第8話「奪われたギンガスパーク」に登場。区別の為に「ザラガス(SD)」と呼称される場合もある。
神経質な建築デザイナーの桑原(演:阿部翔平)が、ナックル星人グレイの手によりダークライブした。降星小学校を襲撃し、事前にグレイが桑原にギンガスパークを盗ませた(次元の歪みで学校から出られなくなっており、「脱出と引き換えに」と嘯いた)為に変身出来ない礼堂ヒカルを苦しめる。
そこへ石動美鈴がウルトライブしたレッドキングが登場。半ば偶然で尻尾攻撃が命中し吹っ飛ばされるも、原作と同様強化(甲羅の脱ぎ捨て)して逆に追い詰める。
ギンガスパークを取り戻して駆け付けたギンガとレッドキングの連携を受けるが、そこからさらに全身から棘を生やしたヤマアラシのような姿の第三形態に変貌。
レッドキングを退け、ギンガにもダメージを与えるが、最後は耐え切ったギンガのギンガクロスシュートで倒された。
しかしその直後、ギンガはさらなる強敵と連戦する事になる…。
先述のヤマアラシのような第三形態は、今回新たに登場したもの。突き刺しての放電や、それを収束させたような破壊光線を獲得した。尚、この第三形態は先述の通り『マン』の脚本の段階でアイデア自体は存在しており、今回およそ46年ぶりに晴れて日の目を見る事となった。
当初は棘から光線が発射されるという設定だったが、監督の石井良和の考えからレッドキングへ突き刺す形に変更された。しかし、ザラガスの顔は前に突き出ている為、胸の棘を突き刺すのに最適な長さへ調整する事に難航したという。
劇中では初代以来となる第一形態(甲羅が付いた姿)からの登場となったが、スパークドールズ(及び発売されたソフビ)は第二形態(甲殻を外した姿)で造形されている。放送当時のテレビマガジンの記事では、第一形態のスパークドールズ(ソフビ)が掲載されているが、2023年現在も未だ発売されていない。
ザラガスにダークライブした桑原役の阿部翔平氏は、後に『ウルトラマンデッカー』第21話でヒヤマ・ユウジを演じた。
ウルトラマンX
第12話「虹の行く先」に登場。今回は『ウルトラ銀河伝説』と同様、最初から甲殻を外した状態で登場。
デマーガが復活した原因の調査に向かったXioのアスナ隊員達を足止めする為に、ギナ・スペクターが所持していたスパークドールズから実体化した。
アスナが操縦するサイバーゴモラを相手にザラガスフラッシュで一時は優位に立ったが、サイバー超振動波を受け爆発。スパークドールズへと戻った。
尚、本編で初めて、ウルトラマンエックスと戦闘しなかった怪獣となった。
サイバーゴモラとの対決は、第12話の監督を務めた坂本浩一氏が『ウルトラ銀河伝説』で描いた対ゴモラ戦のセルフオマージュである。
ウルトラマントリガー
第10話「揺れるココロ」に登場。
今回は初めて、第一形態の状態からウルトラマンと戦っている。
当初はクワハラシティの地中で休眠状態にあり、数週間前から鼓動が観測されている事以外には動きが無い事からGUTS-SELECTにより警戒監視中だったのだが、闇の三巨人の一体・ダーゴンがとある一件で地団駄を踏んだ衝撃により覚醒してしまい地上に出現。原典と同様に電波塔を引き千切って辺りに放り投げるなどの破壊行動を開始した。
出撃したGUTSファルコンに対しては一度地底に逃げたと見せかけ、真下から攻撃を仕掛けたり、トリガーに対しては持ち前の格闘能力で応戦しつつ光線を受けて第二形態に強化、ザラガスフラッシュでトリガーの目を眩ましてからの体当たりといったクレバーな戦術で敵を翻弄する。
さらに、アキトの援護射撃を受けた影響で『ギンガ』でも見せた第三形態にも進化、身体中に生えた棘から放電攻撃を出して辺り一帯に甚大な被害を与えた(なお、今作では何気に細胞を変化させてパワーアップしていると明確に言及されている)。
しかし、アキトの冷却作用で細胞の変化を停止させるというアイデアからGUTSファルコンに搭載された液体窒素によって細胞変化を抑制され、第二形態に戻されてしまった上に、パワータイプにチェンジしたトリガーの怒涛の攻撃で吹き飛ばされた挙げ句、等身大のダーゴンに指一本で投げ返された所をデラシウム光流で撃破された。
今回は、GUTS-SELECT陣営にはタイミング悪く活性化したエタニティコアに反応して覚醒したと勘違いされた上に、たまたまクワハラシティで眠っていた所を偶然ダーゴンに起こされてトリガー達に撃破されてしまったので、つくづく間が悪い少々不幸な役回りだった。
ただ、一応トリガーとの戦いでは自前の変身能力を生かして互角以上に立ち回り、ザラガスフラッシュや『ギンガ』以来久しぶりの第三形態の登場と、ただの当て馬としてだけではなくしっかりとザラガスらしい活躍は見せたと言えるだろう。
第10話を監督した辻本貴則監督によると、第三形態は『ギンガ』時に作成された棘が残っていなかった為、CG処理になったとの事。
また、『ウルトラ銀河伝説』の頃から使い回されている(さらに元を辿れば、『ウルトラマンマックス』から使用されていたゴモラを改造した)撮影用スーツは経年劣化がかなり進行しており、口部分の可動メカが今回は搭載されていない為、終始口がパカパカと開いてしまっている。ただ、辻本監督曰く「上手く殴られている芝居になっていて結果オーライでした」との事。
派生作品
ウルトラマンSTORY0
バルタン星人に改造された個体が登場。腹や胸から無数の棘を発射する機能が追加されている。
ザージを襲撃するがカチカチに凍らされてしまい、あっという間に首を刎ねられて死亡した。
ウルトラマン超闘士激伝
キング星の怪獣として登場した。
ウルトラ忍法帖
朧党の巨大忍獣として登場。田舎の母親のためというどこかズレた理由でめひらすが鶴亀の国を乗っ取るため寿城に差し向けた(将軍は命惜しさに「国も城もあげるから、わしだけは助けてくれぞよ」と為政者にあるまじき言動でウル忍から袋叩きにされた)。
あまり利口ではないが、その巨体でウル忍の攻撃を受け付けず、城の天守閣や城下町を破壊し(ただしめひらすは城を破壊するつもりは無かった)、海外からウル忍を助けに来たパワードも踏み潰し(パワードは怪獣用の光線銃「マルス133」を持ってきたが、飛行機に忘れてしまった)、マンが体内から攻撃する為ショートケーキに変身して丸呑みされようとするも、ザラガスが食べ物をよく噛んで食べるとっても良い子だったため噛み砕かれて吐き出され失敗する。苦し紛れにマンが連載を終了しようとするまで追い詰めるが、タロウがデカ薬をマンに飲ませた事でマンが巨大化し、スペシウム光線で倒された。しかし、今度はマンが自身の待遇改善を要求して巨大化したまま町で暴れ出し、事態はむしろ悪化してしまった。
ウルトラマンメビウスDXウルトラコクピット
「出撃!ウルトラゾーンへの旅編」で登場。映像はほぼ全て原作の流用なのだが、ザラガスに攻撃するのはウルトラゾーンの捻れに引き込まれて『マン』の時代にやって来たガンフェニックストライカー(ミライと主人公が搭乗している)となっており、ザラガスが進化した元凶もガンフェニックストライカーという事になる。…歴史への影響は大丈夫なのだろうか。
ミライはザラガスの能力に言及しており、アーカイブを見たか、光の国で学んだものと思われる。
多々良島ふたたび
本作では、チルソニア遊星人(セミ人間)によって改造された地球怪獣となっている。
『ウルトラQ』の時代に地球に来た部隊の生き残りが、多々良島の秘密基地に怪獣を集め(島が怪獣無法地帯となったのもその為)改造した中で最も強力な個体。改造により元々備えていた再生能力に「進化」の特性が付与されている。
セミ人間は主人公の松井によって倒されるが、ザラガスは異次元に転送され数日後東京に出現することとなる……。(本作は怪獣無法地帯から半年後の出来事であるとされているため、その後の出来事は概ね初代マンと同じ道筋を辿ったと考えられる)
余談
- 初代の着ぐるみはゴモラの改造。また、鳴き声はウーのものを流用している。
- 『ウルトラ銀河伝説』の二代目ザラガスも、『マックス』から『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』まで使われ、『NEO』でレイオニックバーストにリペイントされたゴモラの着ぐるみの改造である。ゴモラとの対決が実現したのもこの繋がりから。このような経緯を持つ為か、近年の作品ではゴモラと戦闘する機会が多くなってきている等、半ば因縁めいた間柄になっている。
- 実は、『ウルトラマン』本編においてスペシウム光線で倒された最後の怪獣でもある(次話のジェロニモンは科学特捜隊の新兵器「スパーク8」、その次のキーラは「ウルトラサイコキネシス」、その次=最終話のゼットンはウルトラマンに勝った直後に科学特捜隊の「無重力弾」で倒されている)。
- 背中にある大量のフラッシュ発射口が人によっては集合体恐怖症を引き起こす為か、検索エンジンで「ザラガス」と入力するとサジェストに「背中 気持ち悪い」と出てきてしまう事も。
- 初代ウルトラマンでの登場回では上記の通りアラシ隊員がストーリーの主役を担っているが、何気に作中で使われた「QXガン」はイデ隊員が4年もの歳月(おそらくウルトラマンが地球に来るよりも前から)を掛けた研究の末に完成させた傑作兵器と語られている。この為、ようやく完成したこの自信作の武器が単体ではザラガスに全く通用しなかったばかりか、相手を強化する要因にもなってしまった事が次話でイデ隊員が異様なまでに自信を喪失し、ウルトラマンへの依存心を拗らせる一因となったのではないかと考察するファンもいる。
関連イラスト
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完全生命体イフ:攻撃を受けて体質が変化する能力はほぼ同様だが、こちらは光線を受けて爆散しても復活するというほぼ不死身に近い性質を持っている(今日浸透しがちな怪獣だから殺せばいいという風潮への皮肉とも言える)。