概要
怪獣や地球外生命体による世界的な災害の発生に対処すべく、世界各国が共同で1966年に設立した地球防衛隊。名称は「Global Guardian Force」(グローバル・ガーディアン・フォース)の略。
対怪獣任務を担ういくつかの特殊部隊を抱えており、ヒルマ・ゲントが当初率いていた特殊機動団こと特機団及び、日本支部に新設されたSKaRDもその一つである。
北米に本部を持ち、世界中にも支部を持っている。ウルトラシリーズの防衛組織としては設立及び防衛の歴史は最長クラスであり、物語開始前の段階での記録によるとペギラや、シルバゴン、クレッセントなどかなりの数の怪獣を撃滅していた(しかも、その中には一度はウルトラマンジャックに勝ったキングザウルス3世やウルトラマンが倒せなかったアントラーと言った強豪怪獣も含まれている)。
しかし世界各国に出現する怪獣に対しては、組織の特性上現実の警察や軍隊のように「事態(怪獣の出現)が起きないと対処できない」という理由でほとんど後手に回る事が多く、近年の環境変化などで多用複雑化する怪獣災害に対処しきれない問題を抱えていた。また作戦中に情報の伝達ミスも起きている。
SKaRDが設立されたのも、GGFが対処するまで時間がかかる怪獣の対応においても情報を調べ対処できる自由に動ける部隊を作るためであった。
その組織の歴史の長さ故に、元所属員が内部の情報を持ち出しレヴィーラを作り出し悪用、事件解決後にも上層部は責任の所在に追われるなど過去シリーズのTPCのような先端技術の悪用問題も発生している。また、上層部がV99と言う外宇宙からの存在に関する重要機密を隠蔽していた事(実際は非武装の宇宙船を危険な隕石と誤認して撃墜したと言う不祥事だった)が後に発覚した。
ゲバルガの出現以降、宇宙怪獣への警戒が強くなっている模様で、直後に現れた高高度を行き来するデルタンダルを宇宙怪獣ではないかと警戒していた。
その為か後半辺りから焦っているようで、18話以降はSKaRDに調査や作戦行動の停止を命じたり、21話では、新装備のMOD.3に於けるヤスノブの搭乗禁止やMod.3による怪獣迎撃命令、対宇宙怪獣用兵器の実験強行等、問題的な行動が見えてくる。
脅威警戒態勢
地球防衛隊では怪獣や宇宙人などの脅威が現れた際に脅威警戒態勢を発令する。それは段階ごとに分けられている。
- 脅威警戒態勢アルファ
怪獣ないし宇宙人の現出に伴う兆候が認められた際において。
- 脅威警戒態勢ブラボー
怪獣ないし宇宙人の存在が認識され、その現出が確実視された際において。
- 脅威警戒態勢チャーリー
怪獣ないし宇宙人が現出し、周辺地域に被害が及ぶと認識された際において。
メカニック
- 戦闘機
第1話に登場。スカイハンター編隊とユリシーズ編隊と言う部隊の所属機がバザンガと交戦していた。途中でゲントの要請により誘導攻撃を実施する。従来の作品では通常戦闘機は怪獣にあっけなく撃墜される事が多いのだがスカイハンターとユリシーズはバザンガの棘攻撃をよけている等パイロットの腕は良い模様。モデルはF-35と思われる。
なお第3話では姿は見えなかったが戦闘機部隊がタガヌラーを攻撃していた。
第10話においてもデマーガに対してハルノ参謀長の指揮で航空部隊がミサイル攻撃を実施。第一波、第二波攻撃を行うが、第三波攻撃をブレーザーに全弾撃墜される。
第18話ではF-15ベース機がイルーゴに対して毒ガスを封じるための強化ワイヤーを打ち込んだ。第21話でも駐機中のF-15ベース機が登場し、デルタンダルBによる磯竹基地への空爆に巻き込まれている。
- ジェットパック
ゲント率いる特機団が空中から降下した際に使用された物。実際にイギリスのレスキュー隊が使用している物に限りなく近い物がモデルになっている。
- 潜水艦
第2話に登場。海を荒らすゲードスに攻撃を加えるも返り討ちにされて撃沈された。尚、他にも海上艦があるようだがこちらもゲードスにより返り討ちにされた。
- ドローン
これまでウルトラマンZ、ウルトラマントリガーで登場した物と同型のドローン。レヴィーラに対して複数機で飛来、弱点である殺菌駆除剤FK1を浴びせる。
第5話で登場した、新たに開発された対怪獣用防衛兵器である大型レールガン。
- KEM(運動エネルギー弾)
第11話にて、地球に飛来する怪獣と思われる隕石の迎撃の為に発射されるが、電磁バリアで防がれ、放電で撃破される。
- サーモバリック弾頭
同じく11話に登場。運動エネルギー弾に続く第二次攻撃として大気圏外で気化爆発させるために撃ち込まれるが効果は無かった。
23話のタガヌラー戦にてティーテリウムによるエネルギー融合阻止の為にアメリカ本部と合同で使用が決定し、発射したがタガヌラーには目的があった事に気付いたSKaRDとブレーザーにより撃墜された。
- 誘導装甲貫徹弾
ゲバルガへの第三次攻撃として地上に降りたゲバルガに対して発射されるが、ゲバルガのEMPで全弾不発に終わる。
- チルソナイトスピア
第12話で登場。ガラモンを形成する物質「チルソナイト」を基に特殊装備研究所によって作られた貫通弾(20mもの長さがあるためゲント曰く『槍』)。そもそもが、素材研究の一環で棒状に精製した物だが、ゲバルガの放電熱にも耐えられるとして仕様が計画された。改良したメガショットで射出され、ゲバルガの電磁核を破壊しEMP攻撃を封じ込めることに成功する。その後ブレーザーによってゲバルガの電磁波と共にチルソナイトソードに変換された。
ブルードゲバルガ戦ではスペアが登場したが、なんとアースガロンが直に持って使用したため、まともに近づく事すらできない相手には戦力として全く役に立たなかったが、一度折られたチルソナイトソードの再生成に役立った。
- レーザー自走砲
第18話に登場。イルーゴを根元から切断するべく出撃。レーザー攻撃を行うが反撃にあう。
フロップは『ウルトラマンガイア』に登場したライドメカシーガルファントップの改造。
- 輸送機
第21話にて豆鳥岬から沖合2000kの地点にて対宇宙怪獣用の電磁波兵器の爆破テストを実施。その結果デルタンダルBを起こしてしまい、発進した基地を空爆される。
ウルトラマンティガに登場したTPC-1、前作に登場したTPU輸送機の流用と思われる。
また、これとは別に同話にてA400Mベースと思われる4発プロペラ機の輸送機が磯竹基地に駐機しており、デルタンダルBの空爆に巻き込まれている。
最終回ではゲントに借りがある第83特別整備補給連隊や特殊編成補給中隊等の機体がアースガロンの修理に加勢してくれた。
- 地対地誘導弾
劇場版大怪獣首都激突にて富士基地に設置された多連装ミサイルシステム。ダムノー星人にハッキングされてミサイルをネクロマス社の研究施設に発射、研究施設が破壊され保管されていたダムドキシンが暴走。ゴンギルガンの誕生を誘発させてしまう。
比較的、現実的な武装が多く、上陸したゲードスに対してAGM-65空対地ミサイルが撃ち込まれる描写もある。
以降、怪獣出現時、ミサイル攻撃描写がメインとなる。
寝ていたり移動速度が遅いガヴァドンや一箇所に留まるイルーゴに対しては、ミサイルではなく誘導爆弾が攻撃に用いられていた。
磯竹基地を空爆しようとするデルタンダルBに対しては、基地周辺から地対空ミサイルが発射されている。
個人携行火器
- カールグスタフM3E1無反動砲
特殊弾を発射するために使用された最新の無反動砲。
弾頭誘導用なのかPEQ-15レーザーサイトが装着されている。
バサンガに対して体内活動を非活性化させる特殊弾を発射するものの、ほとんど効果は無かった。
- GC16アサルトライフル
個人携行用のアサルトライフル。COMP M2ドットサイトが装着されている。
怪獣には通用しない小火器であるため、ゲントの未来予知らしき能力以外で発砲するシーンは無い。
プロップはG&G社製のエアソフトガンGC16 Wild Hog。
ハンドガードは四角に角ばった架空のデザインの物が装着されている。
- 対怪獣用麻酔銃
第10話でベビーデマーガが出現時、隊員達が一斉射するが効果は無く、逆に怖がらせてしまい親デマーガを呼ぶ結果となる。
- 捕縛用ネット
同じく、10話で使用。デマーガの攻撃地点を固定するためにベビーデマーガに対してネットガンで捕縛し、電流を流して行動不能にする。
- 高性能爆薬
外見はC4爆薬に似ている。12話で通信施設のゲバルガを爆破で覚醒、陽動させる為に使用。
同型の爆薬をズグガンの巣を爆破するためにテルアキが使った。二本でも威力は高く、ズグガンの卵巣と周辺のズグガンの完全に滅却、破壊した。
主な所属人物および組織
上層部
日本支部司令部司令官。
日本支部司令部参謀長。SKaRDの直属の上官。
劇場版の時点では上記の源川の後を継ぐ形で司令部の司令官になっていた。
元日本支部司令部長官。
現在は退役しているが、今なお軍に対して絶大な影響力を持っている。
V99に関する謎を握っている重要人物。
実動部隊
SKaRD
物語の主軸となる対怪獣特殊部隊。詳細はリンク先を参照。
第1特殊機動団
SKaRD設立以前にゲントが率いていた特殊戦闘部隊。
小松原、守口、室田、如月といった隊員の名前が確認されている(実際にはこれ以外にもいる)。
ゲントが除隊した後も存続しており(誰が隊長職を継いだのかは不明)、12話の対ゲバルガ戦ではSKaRDと合同で作戦を決行した。
要人の警護の任に当たることもあり、第66実験施設の爆発事故の際にはドバシの護衛を務めていた。
救護班
『ウルトラマンアーク』第19話で登場した隊。
負傷者の救護を主な任務とするが、不測の事態に備えてか通常の実戦部隊と同様の武装もしている。
劇中では民間人への対処に当たっていたが、恐らく負傷した隊員も対象に含まれるものと思われる。
作中では隊長を務める壮年の男性と、ナツメ・リンという女性隊員が登場した。
研究機関
宇宙装備研究所
詳細は不明だが、名前から宇宙からの侵略に備えた装備に関する研究を行っているものと推測される。
2020年に、岐阜県にある第66実験施設で大規模な爆発事故が発生し、多数の死傷者を出すという不祥事を起こしているが、この事件には何やら裏があるようで…?
怪獣研究所
『ウルトラマンアーク』第19話で登場した研究組織。
こちらも詳細は不明だが、その名の通り怪獣に関する研究を行っているものと推測される。
前線に赴くこともあり、その際には戦闘部隊と同じような武装をしている。
イシドウ・シュウ(『アーク』の世界における石堂シュウに相当する存在)が所属している他、彼の同僚であるヒゼ(苗字はオフショットで判明)も登場した。
教育機関
OPで映されるSKaRDメンバーの勤務記録より、
- 地球防衛大学校
- 地球防衛隊(日本支部)幹部候補生学校
- 地球防衛隊高等工科学校
などが存在している模様。
なお、バンドウ・ヤスノブは「日本防衛大学校」の卒業とされているが、こちらは地球防衛大学校の表記ゆれなのか、現実に存在する日本の防衛大学校なのか、それとも日本支部傘下の地球防衛大学校という意味なのかは不明。
その他
開発部
兵器等の開発を手掛ける部署。
第5・12話で登場したヒラノという男性がトップを務めている(と思われる)。
運用部
21話のデルタンダルB出現時に、ヤスノブをアースガロンに搭乗させる為にゲントが連絡を取っていた部署。ゲントの発言から、カンダという人物が部長を務めている様子。
このカンダという人物は融通が利かない性格らしく、基地が空爆されかけている緊急事態でも権限がないとしてヤスノブの搭乗を頑なに認めず、エミからお役所仕事だと嫌味を言われていた…。
基地
教江野基地
SKaRDの基地。千葉県にある。地下にはアースガロンの格納庫が存在する。
磯竹基地
電磁波兵器を搭載していた輸送機が発進した基地で、デルタンダルBの報復攻撃を受けた。
余談
戦闘機の部隊名であるユリシーズは『ウルトラマンUSA』のロボットトリオの一体の名前、スカイハンターは『ウルトラマンパワード』の空中母艦の名前と一致する。『ブレーザー』放送年である2023年は『ウルトラマンパワード』30周年である。
ファンからは『SKaRD以外は歴代防衛軍の中でも特に無能』と言う烙印を押されている。
ガヴァドン回が顕著だがGGFの戦法は
『ミサイルによる被害を考慮しない飽和爆撃』である。
この為、『撃滅と言われているが実際は倒していないのではないか』、『百歩譲って倒せたとしても都市を焼け野原にしたり隊員達に大勢の犠牲者が出ているのではないか』という考察がされている。
本編後の映画においても(今回の黒幕とはいえ)取り込まれている1人の子供の命と怪獣が向かっている霞が関への被害を犠牲にミサイルで倒そうとしていたなど、そのやり方は相変わらずである(幸いにもブレーザーとSKaRDの活躍により実行される事はなかった)。
関連項目
ウルトラQ:GGFの設立された1966年と言えばこの作品が放送された年である。この作品での出来事がGGF設立のきっかけになったと言う解釈も出来る。