演:辻本一樹
概要
元GGF科学部所属の科学者で、主に製薬を手掛ける大手化学企業「ノヴァイオ」の社長。
秘書(潜入中のエミ)を労う言葉を掛けたり、怪獣が本社ビルの近くで暴れても落ち着いた行動を見せるなど、温厚かつ冷静沈着な人物だが、一方で自室に自分の映ったポスターを飾ったり、自身が特集された新聞や雑誌をスクラップブックにファイリングしているなど、かなりのナルシストである本性が窺える。
また、「すごいぞオレオレ♪ ヤバイぞオレオレ♪」と自分を賛美する謎の曲(恐らく自作のキャラソンかテーマソング?)を聴きながら、30分間瞑想をする奇癖の持ち主。
ただし、1日のスケジュールが数時間単位で刻まれているような多忙の中でも、わざわざそのための時間を設けようとするなど、彼にとっては必要不可欠なルーティーン(本人曰く「リラックス」)であるらしい。
強力な再生能力と液体化能力を持つ怪獣レヴィーラに対し、唯一退散できる殺菌剤「FK1」を開発した実績を持ち、地球防衛隊とも取引関係にある。
だが、そんな輝かしい功績の裏では、「孫会社が生み出した『人工クリオネ』とレヴィーラの姿が酷似している」とのきな臭い情報をSKaRDが掴んでおり……?
※以下ネタバレ注意
「金?金だと?……フフッ、ハハハハッ! 私が欲しいのはリスペクトだ!私を讃える民の声だよ!ハハハッ! 曽根崎浩は日本の……いや、世界の救世主になる!防衛隊如きに埋もれていては絶対に叶わなかった夢だ!凄いぞ、俺! ヤバいぞ、俺! 最高、俺! 曽根崎、オレオレ~ッ! ハハハハッ!」
20年前、GGFがデジタル化に伴い古い資料を大量廃棄したどさくさに紛れて、軍の機密資料の一部を盗み出しつつ、自身の経歴を抹消した後、ノヴァイオを立ち上げ隕石に付着していた地球外生命体の細胞を人工クリオネに合成した上で遺伝子操作を施し、レヴィーラを生み出した。
本人曰く、レヴィーラは自身が丹精込めて育てた「子供」らしく、地下施設には巨大化した個体以外にも大量の小型レヴィーラが培養・保管されていた。
その目的は、わざとレヴィーラを暴れさせた上で自社製品のFK1で追い払うよう仕向け、自社が開発した商品が人類を救うマッチポンプを行い、防衛軍時代には叶わなかった民衆の「リスペクト」を集め、人類の救世主となる歪んだ野望の成就。
すなわち、レヴィ―ラの出現に纏わる騒動の全てはこの男の工作であり、曽根崎こそが事件の黒幕であった。
しかも「そんなにお金儲けがしたいの?」とのエミの疑問に対する上記の台詞から、金銭にはあまり興味がなく守銭奴ではないらしいが、実際はそれ以上に下らない理由からの犯行だったのである(エミからも「自分好き過ぎでしょ」と冷淡にツッコまれている)。
また、いずれレヴィーラにFK1に対する耐性が付く事態も想定済みであり、その際は他のレヴィーラ達と共に海外への高飛びも計画していた。
エミにレヴィーラの真実がバレたため、曽根崎は口封じのために彼女を冷凍装置で200年程冬眠させようとしたが、実はエミ達の仕掛けた罠により証拠は既に押さえられており、更にそこへゲントの突入も合わり失敗。護衛のSPを倒され、拳銃を発砲するも全て避けられた上に、誤射によって施設の一部が爆破されてレヴィーラが覚醒し暴走。直後にゲントに殴り倒され失神する。
意識を取り戻した後はエミと共に地下から脱出するも、先程までの余裕を完全に失い、暴走するレヴィーラにただひたすら怯えるばかり(しかもドサクサに紛れてエミの腕にしがみ付いており、エミにはかなり鬱陶しそうな表情を浮かべられた挙げ句乱暴に振り解かれている)。
その後、レヴィーラが倒されると計画の露呈と失敗により全てを失った現実を悟ってか、抜け殻のような表情で膝を地に付け、茫然自失となる。
自身を賞賛する雑誌や新聞の切り抜きをファイリングしていたスクラップブックも、ノヴァイオ本社ビルの倒壊と共に焼失し、曽根崎の足元に転がったイヤホンから自作のテーマソングが皮肉のように虚しく流れる中、彼の築き上げようとしていた(嘘偽りだらけの)栄光は、まさにレヴィーラの如く何もかも溶けて水の泡となってしまったのだった……。
レヴィーラはウルトラマンブレーザーに倒されたものの、元GGF所属の人間の不祥事だった事情もあって、上層部は責任の所在を巡って揉める未来が示唆されている。
後日、事の真相が判明し、ゲントの口からエミに伝えられると、「(科学者としての)才能があったかも知れないけど、どうしてそっちに行っちゃうかな〜」とエミに呆れられていた。
曽根崎自身はその後どうなったのか劇中では描写されていなかったが、公式twitterにアップされた新聞記事にて、逮捕された後に全ての罪を認めた旨が報じられた。
また、彼の会社であるノヴァイオも、本社ビルがブレーザーとレヴィーラの戦いに巻き込まれて全壊しており、社長である曽根崎の不祥事も相まって大打撃を受けたと思われる。倒産はなんとか免れたようであり、後に潮流新聞に新生ノヴァイオとして出直す旨の広告を出しており、本編でも本社跡地に新社屋を建設予定であることが描かれている。
なお、総集編によると世間では曽根崎のマッチポンプは周知されているが、曽根崎が元GGFであった経歴や事件の本質が『金儲け』扱いであるなど、事件のピースの幾つかが隠蔽された形で公表されている事態が判明している。
花言葉
本作では作中にいくつかの花が登場人物の状況を暗喩する小道具として登場している。
物語序盤の社長室には百合の花が飾られており、花言葉はそれぞれ白ユリが「純潔、威厳」、黄色のユリが「陽気」。曽根崎の表向きの人物像を表していると考えられる。
エミが社長室にダリアの花を飾った際にダリアの花言葉は「優美、気品、栄華」が曽根崎にぴったりだからと語っているが、ダリアには「移り気、不安定、裏切り」といったネガティブな花言葉も存在しており、曽根崎の過去の素性を示唆する伏線となっている。作中視点で見るなら、曽根崎がダリアの裏の花言葉に気づくことで花を持ち込んだエミの素性を察して警戒するよう誘導し、後々の作戦に繋げるための布石になっているとも言えるだろう。
物語ラストでエミがゲントにご家族向けにと言って渡したピンクのガーベラは「前進、希望」が花言葉であり、特にピンク色は「感謝」の意味合いも持つ。
余談
エミが閲覧していたファイルの中には彼のSNSのものと思われる投稿写真があり、そこには「転んでもいいよ また立ち上がればいい それさえできればヒーロー」と、どこかで聞いたようなフレーズが添えられていた。
曲のタイトルを考えると何とも皮肉である。
曽根崎の登場回を担当した監督は、演者と同じ苗字の辻本貴則監督である。
なお、劇中でエミが隠し扉の虹彩認証ロックを解除するために曽根崎の顔写真をスマホから探している最中に映った柴犬は、辻本監督が担当する回では必ずカメオ出演する事でお馴染みの辻本監督の愛犬・むーちゃんである。
曽根崎の演者である辻本一樹氏はJAE所属のアクション俳優であり、ゲント役の蕨野友也氏とは、『仮面ライダードライブ』第9話でも共演している。また翌年の『仮面ライダーガッチャード』にも出演している。
曽根崎のSPを演じた力丸佳大と齊藤辰馬は円谷専属のアクションチームキャスタッフのスーツアクターであり、力丸氏はウルトラギャラクシーファイトシリーズのメインヴィランの1人で騎士道精神を持つアブソリュートティターンのスーツアクター等を務めており、齋藤氏も同シリーズでアブソリューティアンの一般兵等を演じている新人スーツアクターである。また、力丸氏は同年のウルサマ2023でもライブステージ開幕前のミニステージでMCを務めており、その際にSP役で出演したことをネタにしている。
関連タグ
愛染マコト:『ウルトラマンR/B』のレギュラーキャラクター。憧れのウルトラマンのようなヒーローになるために、怪獣をわざと暴れさせて退治し自分の存在を世間にアピールしようとしたと、マッチポンプを行った社長繋がりのキャラクター。ただし、あちらは自分の体を乗っ取られていたため、曽根崎と違って自分の意思で行った訳ではない。
今里光:『ウルトラマンタイガ』のゲストキャラクター。曽部崎と同様に怪獣騒動を巻き起こすきっかけを作った馬鹿社長。こちらの前歴は一般人だが、劇中の行いは浅慮な注目集めのパフォーマンスの末に事故で他人を死亡させる=自覚なき悪意であり、人によっては曽根崎以上に質が悪い。
カルロス黒崎:『ウルトラマンX』の劇場版のゲストキャラクター。タイプ的には今里同様の馬鹿セレブで、彼もまた自覚なき悪意で怪獣騒動を引き起こすきっかけを作ったが、こちらは根っからの悪人ではなく愛すべき馬鹿or憎めない悪役に相当する。
シゲナガ・マキ:前作『ウルトラマンデッカー』のゲストキャラクター。(曽根崎とは目的こそ異なるものの)怪獣を人造した元防衛組織関係者。
ヒヤマ・ユウジ:シゲナガと同じ作品に登場したゲストキャラクター。地球外生命体を利用しようとした結果、とんでもない怪獣を生み出してしまった社長繋がりのキャラクター。ただし、こちらは本人の意志で最初からそうするつもりだった訳ではなく、想定を甘く見た結果から起きた不慮の事故である。
マサキ・ケイゴ:『ウルトラマンティガ』の登場人物。曽根崎と似て非なる方向で独善的かつ自己中心的な人物で、こちらは身勝手にも「人類の強制進化」を目論み実行しようとしたが、やはり失敗に終わった。
キリエル人:マサキと同じ作品に登場したウルトラ怪獣で、基本的な思考が曽根崎と全く同じの人外。こちらの称賛欲求は曽根崎を圧倒する程に強く、そのための暗躍を原典では2度も行った上、25年後の作品でも実行した。