ヒヤマ「何をやっているんだ!?早くあの怪獣を何とかしろ!!この施設が失われたら、どれだけ人類の科学が遅れると思っているんだ!!」
リュウモン「その独り善がりの科学が招いた結果がこれだろ!!」
DATA
概要
第21話「繁栄の代償」に登場するスフィア融合獣。
宇宙浮遊物体スフィアの亡骸を利用して莫大なエネルギーを生み出す「Sプラズマ増殖炉」の研究棟で行われた実験の過程で蘇生したスフィアが、無数の触手を伸ばして周囲の機械や建物を吸収して誕生した。
要はスフィアネオメガスと同様、人類の愚行によって生み出されてしまったスフィア関連の怪獣である。
なお、劇中や公式サイトでは「スフィア融合獣」という呼称とされている。これがスフィア合成獣の一種に含まれるかは現時点では不明。
無数のスフィアソルジャーが合体して誕生したスフィアザウルスの別名が「精強融合獣」である事を考えると、素体となる怪獣がいるか否かなのかもしれない。
『ウルトラマンダイナ』に登場したスフィア合成獣ジオモスもといネオジオモスのオマージュと思われるが、顔の横から生えた角や胸部の黄色い器官など共通点はあるものの、誕生素材やスフィアの出典の違いの為か、その容姿や能力には下記の通り大きな差異が見られる。
外見
細身だったネオジオモスよりもガッシリとした体型となっている他、肩からも突起が生え、全体的に刺々しさと禍々しさの入り交じったシルエットになっている。
また、顔の横から生えた角が悪魔のように湾曲した巨大なものに変化し、背中の棘も背鰭のように縦一例に並んでいる。
顔付きも鋭い牙の並んだ歯茎が剥き出しとなり、より邪悪さが滲み出たような表情をしている。
一方で、青白いスフィアの角や突起といった、『デッカー』版合成獣特有とも言えるスフィアの意匠は存在せず(辛うじて胸部の黄色い発光器官がそれっぽい)、カラーリングは全体的に青味がかった割とシンプルなものとなっている。
また、増殖炉や周辺の機械、瓦礫などを取り込んで誕生した為か、よく見ると体表には機械の部品のようなものも浮き出ている。
能力
周囲の炎や瓦礫、煙、オイル、電気を全身の棘から吸収して力にするエネルギー吸収能力を持っており、その際は棘が緑色に発光する。
口から放つ光線と、肩の突起から一撃でバトルモードのナースデッセイ号を撃墜できる程の電撃を武器とする他、強固なバリアを瞬時に展開できる(ただし、バリアは強力なエネルギーを伴った攻撃であれば破壊は可能)。
また、光の速度を生み出せる程のSプラズマのエネルギーによって、ウラシマ効果の応用で時空変動を起こして胸の器官から緑色のビームを上空に放ちワームホールを発生させる事で、繁栄した惑星を同化、吸収する為の要となるスフィアザウルスを未来の時間軸(宇宙)から召喚する能力を持つ。しかも、たとえ呼び出したスフィアザウルスが倒されても、その亡骸をエネルギー源として吸収する事で再びワームホールを発生させる事が可能で、エネルギー源となるものがある限り何度でもスフィアザウルスを呼び出せられるという性質を持っている。先にスフィアジオモスの方を対処しなければ、新たなスフィアザウルスが延々と送り込まれてくるという悪夢のような光景にもなりかねないと言え、非常に厄介な怪獣と言えるだろう。
経歴
サイテックスラボラトリーホールディングス会長のヒヤマ・ユウジが、停滞した人類の発展を求めて所有地で発見したスフィアの死骸から抽出した「Sプラズマ」を分裂、増殖させ、完成すれば光の速度を生み出す程莫大なエネルギーを生み出す「Sプラズマ増殖炉」を開発。
しかしスフィアの反応が出た事からカナタとリュウモンが調査に訪れた事で、再びTPUからの横槍が入る事を危惧したヒヤマがその前にスフィアをアンダーコントロールしようと実験抜きで増殖炉の出力を86%上げるよう命じた結果、スフィアの数値が増大して復活し、爆発した増殖炉を取り込みスフィアジオモスが誕生してしまう。
放電攻撃で発生した炎や瓦礫、煙、オイル、電気を吸収してエネルギーに変換し、それを空に放った事でワームホールを発生させ、未来の宇宙からスフィアザウルスの別個体を呼び寄せた。
ナースデッセイ号やGUTSグリフォンも撃墜させ、そして敵がいなくなった夕暮れの街にスフィアザウルスと共に侵攻し、そこで地球からのエネルギー吸収を開始させ、自身はその傍らでスフィアザウルスの護衛を担う。
このまま放置すれば翌日16時頃に一気にスフィアバリアが収縮し、人類が全滅しかねない為、GUTS-SELECTは「使えるものは全て使う」の精神で、破壊を免れた増殖炉試作機に残留したSプラズマで一度だけ生成できるエネルギーを用いて強化したマキシマナースキャノンでスフィアザウルスごと一掃する作戦を発動。地上連絡用エアーシャトルや地上からの攻撃で、射程の直線上(エネルギー吸収中で動けないスフィアザウルスの前面)まで誘導させる計画を練る。
作戦当日、地上部隊と共に足止めを行うカナタだったが、途中で彼に接触してきたアガムスから衝撃の事実を教えられる。
それは、彼の故郷を滅ぼしたスフィアは地球人が連れてきたという衝撃の真実であった。
そしてアガムスから言わせれば、今回の事件はスフィアの力を利用しようとして厄災を起こし、同じくそれを利用したSプラズマ増殖炉で対抗しようとしているという皮肉な構図となっていた。
一方スフィアジオモスは、発射されたマキシマナースキャノンをバリアを張って持ち堪えようとするも破壊されて転倒、背後のスフィアザウルスを倒されてしまう。しかし射程から外れた事で自身は生き残り、スフィアザウルスの死骸を分解、吸収してエネルギーに変換し、再びワームホールを発生させて新たなスフィアザウルスを呼び寄せようとする。
このピンチにカナタはデッカーに変身しようとするも、アガムスの言葉を真に受けた事で迷いが生じてしまい、変身ができなくなってしまう。
…だが突如、ワームホールから出てくる寸前だったもう一体のスフィアザウルスが爆散。
この時開いたワームホールが、未来で戦っているというもう一人のウルトラマン、ウルトラマンダイナをこの時代に呼び寄せたのだ。
そのまま現れたダイナと交戦するが、この事態に手を子招いて見ている訳には行かなくなったアガムスはテラフェイザーで出撃、2対1で優位に立ちダイナをも窮地に追い込んでしまう。しかしストロングタイプへとチェンジしてなおも戦うダイナ、そして今も地球を守ろうとするGUTS-SELECTの仲間達の姿を見たカナタは己を奮い立たせ、デッカーへの変身を成功させる。
最初からダイナミックタイプへとチェンジし、攻撃をものともせずに突撃する二大ウルトラマンのパンチで二体は吹き飛ばされ、スフィアジオモスのバリアの裏でエネルギーを溜めTRメガバスター発射を狙うが、2人の猛攻でバリアを崩されたところにダイナがウルトラフォークを投げ込み主砲が破損、この攻撃でテラフェイザー内部に組み込まれていたスフィアがコックピットへと逆流してしまい、苦しみ出したアガムスはこれ以上の戦闘は不可能と判断し撤退する。
残されたスフィアジオモスは単独で二大ウルトラマンを相手取るも、電撃攻撃をデッカーシールドカリバーによって防がれ、さらにダイナに間合いを詰められながら至近距離で放たれたソルジェント光線によって胸部の発光器官を破壊されてしまう。
最期は、ダイナから託されたティガとダイナのウルトラディメンションカードの力を込めたウルトラデュアルソードからの必殺光線「デュアルレジェンドフラッシュマルチスクラム」を受けて爆散した。
その後、ダイナは悩めるカナタに「未来は誰にも分からない」とメッセージを残し、スフィアジオモス爆発時に発生したワームホールを通り、未来世界へと帰っていった。
余談
- ジオモス系怪獣の登場は初出作品となる『ダイナ』以来24年振り、そして既出のスフィア合成獣が新たなデザインと名称で再登場するのは『ウルトラマンギンガ』のサンダーダランビア以来9年振りである。
- 上記の通り『ダイナ』のジオモス系統に当たると思われる怪獣なのだが、本作におけるスフィア合成獣の命名法則に合わせた名前とはいえ元々スフィア生まれの怪獣なのに名前に「スフィア」が入っているという一見シュールな名前と化している(スフィアとの関係がわかりやすくなってはいるが)。
- 名前の方は偶然の一致であるとしても、姿までネオジオモスに似ている理由は明言されていないが、インタビューで明かされた事実を考慮すると……。
- 劇中で対戦したダイナ・ストロングタイプは、かつて原典のネオジオモスと、テラフェイザーの元であるデスフェイサーを倒した形態であり、因縁の対決となった。
- また、スフィアジオモスの元になったジオモス/ネオジオモスとテラフェイザーの元になったデスフェイサーには、「ストロングタイプに倒される」以外にも「登場エピソードにGUTSのメンバーが登場している」「一度はダイナを倒す」「ミラクルタイプが勝てなかった」「最終決戦の舞台が市街地」「最期は空中で爆散する」といった共通点がある。
- 原典での大阪城公園でのネオジオモスとの最終決戦を意識しているのか、さりげなく背景に日本の城郭のような建物が写っている。
- スフィアの復活時に、焦ったヒヤマが放った「どうしてなんだ〜!?」というセリフは、監督の田口清隆氏が好きな平成ゴジラシリーズの『ゴジラvsスペースゴジラ』のオマージュと思われる。こちらも元を辿れば、人類自らのエゴによって悲惨な結果が生まれている。
- GUTS-SELECTの作戦会議シーンでは、スフィアジオモス、スフィアザウルス、ナースデッセイ号バトルモードを模した精巧な折り紙が登場した。Twitterにてアスミ・カナタ役の松本大輝氏がスタッフの中に居た折り紙名人が作った事を明かし、後に折り紙についての書籍などを出している今井雄大氏が作った事が本人のTwitterにて明かされた。
- スーツは『ウルトラマンタイガ』のセグメゲルの改造。当初は『ウルトラマンZ』のデストルドスを改造する案もあったが「ちょっと難しいと思ったので、セグメゲルでもいいですか?」という確認を取り、今後使う頻度が少なく、二足歩行の恐竜体形だったセグメゲルが選ばれた(田口監督はそれを知って「改造しちゃったの!?オレ、気に入ってたのになあ」と惜しんだという)。ほぼ芯しか使用していないため実質新造レベルだとか。また、当初は太めのボディだったが、もっと細身にするために肉を削ぎ落してスマートにしている。デザイン画では赤い目だったが、実際のスーツはスフィア融合獣と同様に青い目となった。
- 当初はダイナというキャラクターをサプライズで描くための怪獣の候補としてシルドロンやダイゲルンなどが挙がったが、ダイナが救援に駆けつけるにしてはパンチが弱いため、スフィアを絡めた地球規模の危機があり、最後の最後まで一同が奮闘するも勝ちきれないという流れを作るために、人類がスフィアを利用しようとして痛い目に遭うという物語となった(テラフェイザーを押し退けてのデッカー登場とウルトラフォークの使用はその名残と思われる)。
関連項目
サンダーダランビア:二段階進化から更に派生したスフィア合成獣繋がり。
ネオメガス:同作に登場した、同じく『ダイナ』怪獣のリメイク。過激な思想を持つ人間が原因で誕生した経緯や、後にスフィア合成獣と化して人類に猛威を振るった点などが共通している。
スフィアゴモラ:同作に登場したスフィア合成獣で、寄生された怪獣(及びその初登場エピソード)はジオモス&ネオジオモスのオマージュ元である。
キリエロイド:前作にて、過去シリーズのリメイクであるウルトラマンとそのモチーフ元であるウルトラマンに倒された敵怪人(登場エピソードの監督も同じ)。ただし、こちらはモチーフ元である作品初出の怪人であり、着ぐるみも新規造形である。
エンペラ星人:自身の尖兵を地球に送り込み、それが倒されてもすぐさま新たな個体を召喚し続けるという絶望的な状況を実現させた宇宙人。しかもこの時、当人はまだ地球上に姿すら見せていなかった為に対処のしようが無く、一度はウルトラマンも完全敗北を喫する事となった。
ビクトルギエル:こちらも人類の手に余るエネルギーを利用したシステムの暴走が引き金となって怪獣化した存在。
クレフ博士の提言:またこちらも人間の愚行のせいで[編集済み]年後の未来がオワタなことになってしまった、トップシークレットのSCPオブジェクトである。(まあ未来は誰にも分からないし...)