解説
第5話「パッセージャー号地底突破!!」に登場。
かつてアフリカ大陸の森林地帯、2万ha(200平方㎞、さいたま市とほぼ同じ面積)樹木数千本を妻と共に一晩で食い尽くしてしまった大食漢の地底怪獣の一種。
体色が緑色のトリケラトプスとノドサウルスを足し合わせたような姿をしており、尻尾にはステゴサウルスのような鋭利な6本のトゲが生えている。
餌である樹木を求めて妻のタフギラス(後述)と共に日本アルプス山脈の森林地帯へとやって来た。
データ
別名 | 地底怪獣 |
---|---|
身長 | 118m |
体重 | 9万6千t |
出身 | アフリカ大陸 |
一見鈍重そうな四足歩行型だが意外にも跳躍力に優れ機敏な動きを見せる。首周りの鬣状のトゲが武器で、これを前面に発射して敵を攻撃して撃退する。
また、シーゴラス・シーモンス夫妻と同じく夫婦間の絆は強く、妻や子供に危機が迫るとすぐさま助けに現れる。
危機に陥ったタフギラスの助けを求める声を聞きつけて地底から出現すると、彼女を攻撃していた科学警備隊に襲いかかるが、ウルトラマンジョーニアスに邪魔された為、目標をジョーニアスに変更すると彼女と共に襲い掛かる。
夫婦間の見事な連係プレイで苦しめるが、最後は投げ飛ばされて気絶した所へ放たれた『プラニウム光線(Aタイプ)』を受け夫婦諸共爆散した。
タフギラス
別名 | 地底怪獣 |
---|---|
身長 | 96m |
体重 | 8万t |
出身 | アフリカ大陸 |
タフギランの妻である雌の地底怪獣。体色は茶色で、夫のタフギランより一回り小さく、頭とトサカの形状が違うという特徴を持つ。
子供がいる為なのかタフギランよりも食欲旺盛で、一日に1万3千haの樹木を平らげるとされている。見た目通り卵生であり、地底に作った巣で二頭の子供を育てていた。
地底戦車『パッセージャー号』で発見された後に地上へと出現。繁殖して同個体が増えるとその旺盛な食欲の為に地球上の全ての森林が無くなってしまうという危険性からやむを得ず駆除対象として処分する事を決定した科学警備隊の攻撃から子供を護ろうと必死の抵抗を試みるが危機に陥り、夫のタフギランを呼び寄せる。
夫と共に科学警備隊を追い詰めるが、そこへ登場したジョーニアスに阻まれた為にやむなくジョーニアスと交戦。夫婦ならではの見事な連係プレイでジョーニアスを苦しめたが、最後は夫の方へと投げ飛ばされてジタバタしている所に『プラニウム光線(Aタイプ)』を受け絶命した。
ウルトラマン版トロッコ問題
このように、タフギランとタフギラスは食性が地球規模の環境破壊を及ぼしてしまう恐れがあったとはいえ基本的には凶暴な怪獣ではなく、パッセージャー号と遭遇してもどついてひっくり返しただけで立ち去るなど、攻撃されない限り積極的に相手と戦う事はなかった。
向こうからすればただ食事をしていただけで攻撃され倒されたという災難以外の何物でもない末路であり、それでいて害の少ない子供達だけ都合よく保護された事も相まって、2019年の公式配信の際は視聴者から「さすがにかわいそう」「別の星に運んでやる事はできなかったのか」「後輩達なら家族一緒に保護したのではないか」というコメントが多く寄せられた。
前回の怪獣であるレッドスモーギですら無事に救われていた事も、この印象を余計に際立たせてしまったといえる(しかし、レッドスモーギは『実質的な不死身』であり『不死身じゃなかったら容赦無く倒されていた』と指摘する人も多い)。
また、放送当時には特にこうした反応がなかったことを考えると、『コスモス』や『X』をはじめとした昨今の作品で描かれるようになった、「怪獣とはいえ無闇やたらと殺して良いわけではない」という認識が視聴者の間でも広く共有されることになったことを示す好例ではないかという見方もある。
ただ、主題歌で「緑の地球を汚した奴等は決して許しておけないと」「この世のルールを乱した奴らは宇宙の果てまで運び去る」と歌っているように、存在するだけでこの世のルールを乱してしまう怪獣だったのも事実であり、その点で通常なら無害であった前回のレッドスモーギとは大きく異なる。
また、たとえ「宇宙の果てまで運び去った」としても、その先で同じ事を繰り返す事は容易に想像できる。「かわいそう」という同情心だけで他の星に厄介者を押し付ける事が果たして正しいと言えるのだろうか。「たとえ敵意のない怪獣だとしても、害をなしたならば倒さなければならない時がある」という見方もできるだろう。
またタフギラン、タフギラスだけでなく、後に登場するオプトや後にこの世のルールを乱しまくることになる宇宙球体スフィアやカオスヘッダーによって変貌させられたスフィア合成獣やカオス怪獣にも言えるが、何時・何処で・何が原因で文明に害なす存在が出現するか分からない状況もある以上、『自衛』であれ『自分達以外の被害を抑える』為にも、我々人間やジョーニアス(を含めたウルトラマンたち)には非情な決断をする必要性があるのだから。
いずれにせよ、正解が無い問題なのは確かである。
なお、後年『ウルトラマンZ』でここで取り上げた問題と似たような事情で主人公が葛藤する展開がある。ちなみにラスボスデストルドスには当初はタフギランの頭がデザインに取り入れられる予定で、タフギランの顔+ダンカンの目+クレッセントの牙という構成だったが、「やっぱりオリジナルの顔にしましょう」という事で現在の形になった。ただ後になってアニメキャラを立体化する機会はめったにないことから「やっぱり入れておけばよかった」と後悔したようである。
ちなみに超全集によるとウルトロイドゼロの起動実験の時に覚醒している怪獣の報告書の中にタフギランも混じっている。
仮にやっていたらセレブロの悪辣さや目的との合致性、作品のテーマとの相性が増していただろう。
関連項目
タフギラオとタフギラコ:子どもたち。
ギエロン星獣:同じくウルトラシリーズにおける問題提起回に登場する怪獣。
セルチェンジビーム:平成ウルトラマンにおける回答その1。
細胞変化能力(仮):平成ウルトラマンにおける回答その2。