昭和第3期ウルトラシリーズ
しょうわだいさんきうるとらしりーず
1979年から1980年にかけて連続放送された、
・『ザ☆ウルトラマン』
・『ウルトラマン80』
の2作品。
『ウルトラマンレオ』の放送終了した1975年以降、シリーズは2度目の休止期間にあった。
しかし、児童誌によるウルトラマンの漫画連載、子供、青年向けのウルトラマンの各種関連書籍やグッズ、『ウルトラセブン』などの過去作の再放送が好評を経ていたこと、『スター・ウォーズ』シリーズを中心としたSFブームにより他の特撮テレビシリーズや特撮映画への再評価、『宇宙戦艦ヤマト』等のアニメブームもあって、ウルトラシリーズにも再評価の声が上がり、復活を望む声が上がっていた。
当初こそ特撮作品の復活を目指したものの、円谷プロの財政を苦しめていた制作予算の都合等も相まって、アニメでウルトラマンを復活させることとなった。
それまで特撮専業であった当時の円谷プロにはアニメの制作ノウハウはなかったため、制作は日本サンライズ(現:サンライズ)が手がける事となった。
それまでの作品から世界観を一新し、旧作の設定を引き継がずにアニメならではの挑戦を繰り返した『ザ☆』は、平均視聴率11%を記録し、商業アニメとしてはまずまずの成功を収めた。
これにより、実写作品によるウルトラシリーズの復活を求める声が上がっていき、翌1980年、5年ぶりの実写兼M78ワールドを舞台とした『ウルトラマン80』が放送されることとなった。
『80』でも当時ブームであった「生徒と悩みを分かち合い向き合う」といった先生要素を加えて、教師と防衛チームそしてウルトラマンという三足のわらじを履いて奮闘する姿を描いた。
しかし、「学校の教師」という設定は、生徒役の子役の(リアルな)学業との兼ね合いから、収録の日程やロケが極度に制限されるなどの困難を最後まで克服できず、結局1クールで断念せざるを得なかった。その後の度重なる試行錯誤と路線変更も結局功を奏したとは言い難く、平均視聴率は10.0%と前作を下回り、これにより円谷プロとTBSの関係悪化は深刻化し、『80』終了後から12年後の『電光超人グリッドマン』を最後に特撮制作から退き、ウルトラシリーズも『80』が終了して以降16年間テレビシリーズが途絶えた。
もっとも16年の空白期間を経てテレビシリーズに凱旋した『ウルトラマンティガ』は、製作局こそ毎日放送だが、依然TBS系列での全国放送であり、TBSとの関係悪化が決定的になったのは後の事である。
そして『ウルトラQ』から『ザ☆』を除く『80』までの作品と同じ世界観を舞台として『ウルトラマンメビウス』は『80』の完結から25年もの月日が流れており、テレビシリーズとしても最後のTBS系列となってしまう。
結局TBS制作のウルトラシリーズは円谷一族が追放され経営も安定し和解した2023年まで制作されず、ゴールデンタイム枠を得られなくなったシリーズの四半世紀後の消滅危機の一因にもなってしまった。
2007年に円谷プロが子会社化されたことで経営も徐々に安定し、健全経営に切り替わりシリーズの復活も実現したが、その後もしばらくは長らくスポットが上がる機会は少なかった。
例としては、2016年にウルトラシリーズ放送開始50周年という大事な節目を記念して、NHKで放送された「祝ウルトラマン50 乱入LIVE!怪獣大感謝祭」のアンケートの中で昭和シリーズでありながら選択肢から外されてしまうという憂き目に遭った。
さらに、アーケードゲーム『ウルトラマンフュージョンファイト!』にも参戦したものの、彼だけTVシリーズで主人公を務めたウルトラ戦士の中で彼らの力をお貸ししたフュージョンアップ形態やフュージョンライズ形態を用意してもらえていない。ちなみに、これは昭和ウルトラマンではジョーニアスと80のみである。
映像作品への客演にもなかなか恵まれず、『ゼロファイト』、『ファイトビクトリー』、『ファイトオーブ』、『ウルトラギャラクシーファイト』第1作などのファイトシリーズでも、昭和ウルトラマンの中では第3期組は出演できていなかった。
また、バンダイのソフビ『ウルトラ怪獣シリーズ』では怪獣のラインナップが少なかったうえに、2002年にはギマイラの生産終了により定番から消滅。さらに2013年には500シリーズとして仕切り直されたものの、『ザ☆』の怪獣はゼロ、『80』もサラマンドラのみの発売のうえに後に生産終了。なんと主役のヒーローであるはずのジョーニアスもなく、80も一時は生産終了していたことがある。
そもそも、ウルトラシリーズだけでなく、大抵の長寿シリーズ番組は「ちびっ子が親や保護者になってから我が子やその友達らに見せる」という流れを組んでいる。平成のウルトラシリーズも当然その例に漏れず、かつて子供だった世代が親世代となった土台に注目して制作されたが、第3期ウルトラシリーズの場合放映時期が他の昭和ウルトラマンとズレており、リアルタイムで見ていた世代が限られているため認知度が低いという問題点がある。また、第3期の作品は2作品しかなく、それに加えて片方はアニメ、もう片方は実写作品であり、前作が今作との繋がりがないことから、一部では単発で終わったと説明される子もある。
しかし、過去作の再放送などもあって少しずづ知名度が上がると、『ザ☆』は直接的な関連性はないものの現在も高い人気を誇る『ティガ』の先駆け的な設定(過去作と違う世界観)や当時としては挑戦的な内容とSF描写、『80』は特撮の技術、80のアクロバティックなアクションが再評価を受けた。
時代の価値観によって当時は良しとされたものが否定されることも少なくないが、本シリーズの姿勢は現在でも高く評価される内容であった。
なお、再評価とは言うものの、当時から不評であったわけではない。
2019年、第3期シリーズが40周年を迎えたこの年を境に、かつてないほどスポットライトが当たることとなった。
同年放送が開始されたシリーズ『ウルトラマンタイガ』に、40年ぶりかつ実写シリーズ初出としては初登場となるU40出身のウルトラ戦士・ウルトラマンタイタスが登場した。アニメという媒体が露出に恵まれないハードルとなっていたため、それを越えたという事で凄まじいサプライズであり、情報公開時はタイタス本人や『タイガ』に並び『ザ☆』も大きな話題となった。これに合わせてYoutubeで公式配信が行われた。
『SSSS.GRIDMAN』などのアニメ作品が放送・配信された事で、円谷プロ原作のアニメ作品に大変大きな注目が集まっており、そうしたアニメ作品の原典とも言える本作を配信する上ではこれ以上にない打って付けのタイミングであったこと、さらには設定監修の足木淳一郎が『ザ☆』好きであり40周年であったことが理由とされる。
公式配信やタイタスの活躍と人気が功を奏し、結果として『ザ☆』の知名度は飛躍的に向上。また、"アニメ"という理由で敬遠されがちだった本作が再評価されるきっかけを作り、40周年となった2019年はまさに『ザ☆ウルトラマン』およびジョーニアスが「誰もが知ってるウルトラの戦士」となった、記念すべきアニバーサリーイヤーと言えるだろう。『タイガ』にジョーニアス本人は登場しなかったものの、『ザ☆』にスポットライトを当てることと下記の再登場への布石には十分な土台となった。
そしてこの流れは『80』にも及び、20年に当時と同じ4月2日から配信が始まった。
厳密には、ウルトラ怪獣擬人化計画の影響で80怪獣のザンドリアスが急激な人気浮上や『タイガ』での言及、追い風もあり、それによって徐々に『80』への注目度も上がっていた。
同年9月には、『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』に80が長谷川初範氏の声でメインキャラクターとして登場することが発表された。
そして『大いなる陰謀』では、ジョーニアスも40年ぶりの登場が発表された。これにより、昭和第3期ウルトラシリーズの主人公同士の共演が実現することとなった。
これは、前述のタイタス同様に足木が以前よりジョーニアスを出したいと言っており、スーツについても同シリーズ監督の坂本浩一によると、「足木さんからものすごい猛プッシュがあった」と話しており本人も自身のSNSで「大いなる陰謀にジョーニアスが出ることはファンの皆さんは思ったでじょうね」と認めておりギャラクシーレスキューフォースのボイスドラマでも準レギュラーのような立ち位置で出演しており80も同じくボイスドラマでタイガやゼットといった次世代を担う若手戦士を指導したりと活躍の幅を増やしている。
さすがに1期、2期ほどのパワーには至っていないが、それでも近年の注目度は40年以上の歴史の中で最も高いと言えるだろう。