DATA
概要
南米原産の吸血植物が進化した生物。人間のように歩き回って動物を襲い生血をすすり、さらに人間に擬態しUFOを作って飛び回るという常識外れの知能を持っていた。自分の苦手な火を気合一発で消し去るような超能力を持ち、更に目からは破壊光線「アイ・スパーク」を放ち、巨大化時には戦車も破壊する。体からは電気が流れているらしく、触れた機械の電源を入れる事もできる他、手の先から光線を発射する事もできる。
活躍
南米ボリビア支部の科特隊隊員のゴトウ隊員に化けて日本に襲来、気候のよい日本で仲間を増やし、植物を苦しめる人類を殲滅して地球を支配しようと目論む。しかし言動で科特隊隊員達に怪しまれ、正体をゴトウ・ジロウ博士(=後藤先生)を恩師と仰ぐ二宮博士にバラされてしまう。
その後、調査の為に彼の宿泊するレストルームに潜入したフジ隊員に襲い掛かり、目から放つ光線で気絶させる。この際の演出・アングル(メイン画像)はかなり怖く、トラウマになった人も多い。
業を煮やしたケロニアは本性を現して身長50m・体重1万tに巨大化、自衛隊や科特隊の攻撃をものともせずに仲間の機甲師団と共に暴れ回る。ハヤタはウルトラマンに変身し、スペシウム光線を浴びせるが全く通用せず、怪力とアイ・スパークで苦しめられる。しかし一瞬の隙をついてウルトラマンはケロニアを投げ飛ばし、ひるんだところに新たな必殺技ウルトラアタック光線を発射。直後にケロニアは大爆発、UFO部隊も全て撃墜された。
なお、完成作品では、ケロニアとゴトウ隊員の関係が今一つ明確ではない。
それは…
①ゴトウなる人物は存在しないのか?
②ゴトウは存命でケロニアがその姿に化けているのか?
③ケロニアがゴトウを殺害してすり替わったのか?
…の3点である。
脚本では、二宮博士がゴトウに当たる人物(二宮博士の恩師にして科特隊員である「後藤先生」の息子)は子供のころに病死したと述べている。この場合、①に挙げた科特隊員としてのゴトウは始めから存在しないことになる。一方、完成作品ではハヤタが「ゴトウの顔写真はリストの中にあり、経歴も彼の言った通り」と発言している。②もしくは③の可能性があると同時に、①であってもケロニア達が科特隊の資料を改変・捏造した可能性も出てくる。そこまで可能なのであれば、ボリビア支部はケロニアの勢力により既に占拠(もしくは制圧・全滅)されていたのではないかという見方も出来るしボリビア支部の音信不通も納得できる。
その後…
ケロニアは植物ゆえに細かく砕くと燃えやすい(スペシウム光線は効いていないのは質量がでかくなったからと考えるのが妥当か)という特性を持っており、幼年期は全て焼却処分された。アラシ隊員によれば、その一部は近隣住民が燃料として持っていったという…良いのかそれで!?
本当に怖いのは知能を発達させた植物よりも、それを嬉々として燃料に使える人間なのでは…?
なにはともあれ、後続の作品でケロニアが暴れたという話は聞かないので、本当に全部燃やされてしまったと考えるのが妥当なところか。
派生作品
ウルトラファイト
新撮に度々登場しており、「イカルスの凱歌」「墓場からの使者」「岩上の死闘!」「この勝負は貰った!」「みな殺しの子守唄」「まぼろし怪獣ウー参上」「怪獣無常」「怪獣はつらいよ」「怪獣岬の絶叫!」に登場。しかし「ケロニヤ」と思いっきり誤記されていた。
初代と異なり全身が緑色になっている。
ウルトラ忍法帖
朧党の忍獣として登場。毎日1人ずつ鶴亀の国の住民から1滴残らず吸血しミイラ化させて殺害する「鶴亀の国無人化作戦」を行っていたが、最初の犠牲者からセブンに犯人の目星を付けられ、深夜に仲間と見回りをしていたマンの怪談にビビって姿を現し、計画自体も7万3千人もの人口(と出生率)を考慮していなかったために失敗してしまう。
戦闘では前述通りの吸血攻撃の他、朧忍法「鍋の蓋」であらゆる光線を跳ね返す。他にも吹き矢や含み針を使用する…が、吹き矢は間違えて持ってきた縦笛であり、含み針は後ろからマンに驚かされたことで飲み込んでしまった。
それでも鍋の蓋でマンの光線をセブンに当てて倒し、マンも吸血してミイラ化させるが、タロウがマンに輸血を多量に行ったために自分がデブになって身動きが取れなくなり、最期は解剖バラバラの術で倒された。
登場話は刑事漫画風に始まっており、ゾフィーがボス、マンとタロウが刑事の先輩と後輩という設定で現場にパトカーで向かっていたが、セブンにワイドショットでツッコまれていた。
死体はタロウによって回収されたようで、口が合体忍獣のパーツに使用されている。その後なぜか再登場を果たしており、朧党のラーメン屋のオーディションを受けていたが、声が汚いという理由で落とされていた。
ウルトラジャーニー
人々の愛情を奪って成長するバラが、茨で象った無数の端末がケロニアの姿をしていた。
イベント・ステージ
ウルトラマンプレミアステージ2
バルタン星人配下の怪獣で、レッドキング、ジェロニモンと共に初代ウルトラマンと戦った。
商品化
ウルトラ怪獣シリーズからは長年未発売であったが、2023年にプレミアムバンダイ限定で商品化されることが決定した。特徴的な左右非対称の頭部と葉状の皮膚もきちんと再現されている。
備考
- 後にスーツは改造されて「戦え!マイティジャック」のミイラ怪人に流用された。
- 人間体であるゴトウ隊員には、東宝特撮路線の常連にして『社長』シリーズ・『国際秘密警察』シリーズ・『暗黒街』シリーズ・『東宝クレージー映画』等の東宝娯楽路線にも出演していた桐野洋雄が演じた。また二宮博士を演じた中山昭二は、次回作でキリヤマ隊長を演じた。
- 当初、『ウルトラマンメビウス』第40話の脚本を担当した朱川湊人は、ケロニアを登場させることを希望していたが、第1期シリーズの怪獣はなるべく外すという方針であったため、ソリチュラに変更された。
- 2006年頃に円谷プロの怪獣倉庫から『ウルトラファイト』で使われたケロニアのマスクが発見された事が漫画『ウルトラファイト番外地』のコラムで触れられている。