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沿海域戦闘艦

えんかいいきせんとうかん

近年の多様化する任務に合わせて開発されたフリゲート艦。米軍での正式名称はLCS(Littoral combat ship)
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概要編集

21世紀を前にして冷戦が終結した後、戦闘は正規軍同士のものだけではなくなった。非正規戦は地上だけでなく、テロ組織や海賊などのか活発化している今日に、既存の駆逐艦では対処が難しく、しかし小型の船舶では外洋での活動は厳しいものとなる。

また21世紀に入るとネットワークを中心とする戦いに移り変わってきてこともあり、既存の概念で開発された戦闘艦では対処が出来ないことは目に見えていた。


そこで米軍が導き出したのが既存のフリゲートに変わり、浅い沿海での多様な任務に対処でき、コストが安い艦である。


ミッションパッケージと呼ばれる任務に合わせた装備を艦に搭載、対水上モジュール、対潜モジュール、対機雷モジュールを適宜載せ替えることにより、一つの船体で多様な任務に対応することも可能。


これにより、低コスト且つ汎用性の高い画期的な艦船が誕生する……はずだった。


実態編集

LCSは、当初の理想とは程遠いものとなった。

高速のステルス船体、多機能かつ高性能なセンサーの搭載は、低コスト計画には分不相応な代物であり、コストがうなぎ上り。とても低コストとは言い難い船になってしまったのである。


更にミッションパッケージシステムが完全に失敗作となっている。

モジュール交換自体の難易度もさることながら、各モジュールの操作はそれぞれに複雑で専門の要員を必要としており、パッケージを積み替えようとすれば人員も大勢入れ替えなければならないのがネックになった。

「家族」と比喩される船内の強固な絆がガタガタになることを差し置いても、人員手配にめちゃくちゃ手間と時間がかかるし、人員分の給料は彼らが船に乗っていない間も発生し続ける。結局のところモジュール交換は行われなくなり、LCSは「船体共通の複数艦種」になってしまった。


更に、開発中に国際情勢が一変、米海軍はソマリアの小規模な海賊狩りから、増強を続ける中国海軍との大規模な水上戦に意識を切り替えてしまった。その後もロシアによるウクライナ侵攻が発生し、国家同士の正規戦闘に備える必要性が高まってしまった。

すばしっこい以外にとりえのないLCSは、正規軍を相手取るには足手まといと判断され、価値を疑われることになる。


現在、モノハル型のフリーダム級と、トリマラン型のインディペンデンス級の二種類が開発・建造されており、運用されているが、当初55隻あった建造計画は32隻にまで減らされ、これより大型、重武装の小型水上戦闘艦(SSC)に移行予定。

その後SSCは情勢変化に対応すべく、コンステレーション級ミサイルフリゲート(FFG)へと発展した。


結果的にフリゲートを代替するハズだった沿海域戦闘艦は、(ミサイル搭載のFFGとはいえ)フリゲートに代替されるという皮肉な結末となった。




他国への販売編集

兵器である以上、他国への売り込みも行われている。サウジアラビアイスラエルがフリーダム級をベースとしたLCS-Iに関心を示した。しかしイスラエルは予算の関係で計画を中止した。一方のサウジアラビアは周辺国との戦闘・緊張状態を受け、旧式化した海軍の刷新を目的に購入計画を本格的に進めている。導入する艦は従来のフリーダム級より重武装になる予定であり、オイルマネーで予算が豊富はサウジアラビアらしいフリゲート艦であろう。

台湾(中華民国)も感心を寄せており、類似艦を建造・運用する可能性がある。


海自版LCS?編集

ちなみに海上自衛隊でも、現在海自唯一の沿岸護衛艦(DE)であるあぶくま型護衛艦全6隻以来久々のDEとして、DEXと呼ばれる新たな小型護衛艦の建造が計画された。

フリーダム級に類似した形状のイメージ画像が公表されるなどしたため、LCSと比較されることも多かったが、結局のところ、LCSより大規模、重武装の護衛艦になる模様。また、あぶくま型にはないヘリ運用能力も付加されるという。

元々予定されていた規模も3900t程度とLCSより大型である。

そうして計画された艦が、FFMこともがみ型護衛艦である。


関連項目編集

オリバー・ハザード・ペリー級フリゲート

あぶくま型護衛艦

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