伊之助「天空より出でし伊之助様のお通りじゃあアアア!!」
概要
鬼滅の刃の主要人物である嘴平伊之助が、育手も介さずに完全に我流で独自に編み出した“全集中の呼吸”である。ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ」によると、自然の環境下で独自に同様(または同等)の呼吸法に自力で辿り着いたようであり、名実共に完全なる我流である(初めて鬼殺隊士と接触した時点で少なくとも「空間識覚」は既に編み出していた)。鬼殺隊士と同じく著しく増強した心肺により、一度に大量の酸素を血中に取り込む事で、瞬間的に身体能力を上昇させて、人喰い鬼と同等の戦闘能力を得られる。
対応する日輪刀の色は藍鼠色(明確な説明はないが、編み出した彼自身の日輪刀がその色なので間違いない)。呼吸音は「カァァァァ」。
伊之助独自の剣技である為、胡蝶しのぶが独自に編み出した蟲の呼吸と同じく技は「〇ノ型」ではなく「△ノ牙」と名付けられているのも特徴で、攻撃技ではない漆と捌のみ「型」と付けられている。このように伊之助の好戦的な性格からか攻撃一辺倒に捉えられがちだが、感知能力や機動力に重きを置いた補助技があり意外(?)にも汎用性に優れた技巧派な呼吸法でもある(攻防一体の技などはそれなりに存在するが、攻撃手段ではない技は数が極めて希少)。
『公式ファンブック鬼殺隊見聞録』によると系統としては風の呼吸に近い性質の呼吸らしい。さらにその『弐』によると、獣の呼吸には「二刀流の素質」「鋭い皮膚感覚」「柔軟な関節」そして「並外れた戦闘本能」が必須である為に、編み出した伊之助以外の者には会得は困難かもしれないとの事。
型一覧
以下は、伊之助が独自に用いる獣(ケダモノ)の呼吸から繰り出される技。
育手から正式に伝授されたわけではない為、単純な斬撃や突きばかりだが、伊之助の身体能力と全集中の呼吸による強化により非常に高い攻撃力を誇る。また、剣術という型に嵌らないが故に戦術への応用が柔軟に効き、荒々しいイメージに反して共闘者のサポートにも長けている。
ちなみに『公式ファンブック鬼殺隊見聞録』にて、「型で参考にした動物や虫はいるのか?」という質問に対して作者は、「(伊之助は)造形は一番猪が好きなようですが、狼や熊も好きなのでそのあたりが影響している」と答えており、実際に動物的な動きで交戦する技も多い。
また、当代で生まれた呼吸とは思えない程に型の数が多いが、これについては上記の通り剣術という型に嵌らないような戦闘スタイルである事と、伊之助自身が思いつきで編み出した技も多いからであり、ぶっちゃけ本来なら異なる型として区別する必要がないような型同士もある。
- 壱ノ牙 穿ち抜き(うがちぬき)
両手に揃えた二刀による全力の突き。
鋸状の刃によって傷口がズタズタになる為、再生を遅らせる事ができると思われる。
- 弐ノ牙 切り裂き(きりさき)
腕を交差させるように二刀を振り、十文字状に広範囲を斬り裂く。
- 参ノ牙 喰い裂き(くいざき)
懐に潜りこんだ後、交差させた二刀で対象の両側を挟んで外側に向けて左右に振り抜く。
- 肆ノ牙 切細裂き(きりこまざき)
素早い六連撃により、前面広範囲に細かい斬撃を入れて斬り裂く。
弍ノ牙とはまた違った斬撃である。
- 伍ノ牙 狂い裂き(くるいざき)
宙を舞い、二刀を振って周囲を四方八方に斬りつける三次元的な攻撃。
敵に囲まれた時や多方面から攻撃を受けた時などに有効である。
- 陸ノ牙 乱杭咬み(らんぐいがみ)
攻撃面における、伊之助の切り札。
二刀の刃を、対象の一点で噛み合わせるように挟み込み、欠けた刃を鋸に見立てて引き裂く。反撃技としても適している。
単純な威力では伊之助の技の中でも最強であり、対象の剛柔といった物理特性をある程度無視できる上に、格上の鬼の頸を落とす事すら可能。
ただし、一点集中(二刀のメリットを捨てる)上、充分な威力を引き出すには刃の根本で挟む必要があり(超密着状態)、刃先まで引き切る為に技の始動から完了までタイムラグが生じる。
- 漆ノ型 空間識覚(くうかんしきかく)
攻撃系の技ではない為、『型』となる。
優れた触覚をさらに研ぎ澄まし、大気の微細振動を捉える事で、幻惑の術の類を無視して広範囲の索敵を行う。周囲の直接触れていないものの姿を捉える事も可能である。
ただし、この技を使用する際は集中の為に、刀を手放すので一時的に無防備な状態になる。その為に、近くに味方がいるか、敵に見つかっていない状況でなければ使用は困難である。
- 捌ノ型 爆裂猛進(ばくれつもうしん)
攻撃系の技ではない為、『型』となる。機動面における伊之助の切り札。
全集中の呼吸法で最大限強化した肉体で、超前傾姿勢をとり、両腕を背に流して空気抵抗を減らした上で、一切の回避・防御を捨てて直線軌道で走りぬく。
格上の鬼ですら一瞬怯ませ、虚をつく程の速度で駆ける事が可能。
- 玖ノ牙 伸・うねり裂き(しん・うねりざき)
関節を全て外した腕を伸ばして間合いの外にいる対象に斬撃を放つ。突撃戦法を主体とする獣の呼吸にあって敵の不意をつく隠し玉。関節の脱着は一瞬である(あまりにも衝撃的な光景を隣で見ていたカナヲは、頭がパニックを起こし、目を丸くしながら立ち尽くしていた)。
軌道が不規則かつ伊之助の視線が猪の頭部で隠れている為に、相手に狙いどころを悟らせないという強みがある。ただし、生み出して間もないのとその不規則さが災いして狙いの精度が低いのが難点である。
恐らくだが某ジャンプ漫画に登場するチベット発祥の秘術にも同様の技がある(原理も同じ)為に、そちらを想像した人も少なくないだろう。
- 拾ノ牙 円転旋牙(えんてんせんが)
手首を軸に日輪刀を旋回させる、激しい旋風を伴う回転斬り。その猛烈な回転は敵の攻撃を防ぐ際にも有効である。
何気にCVと二刀流スタイルが共通する某黒ずくめの剣士も同じような技を使っている。
- 思いつき 投げ裂き(なげさき)
戦闘中に文字通り思いつきで使用した技の為に、型や牙といった枠組みが存在しない。
フリスビーの様に刀を回転させながら投げつける。
自らの獲物を全て放棄する捨て身の攻撃だが、攻撃中の仲間の刀に当てる事で、仲間の刀の威力を上げる事が可能であるなど、サポートにも向いている。
使用者
性質が近い
風の呼吸
余談
対応する日輪刀の色について
那田蜘蛛山戦後、蝶屋敷での療養中に鉄穴森鋼蔵により新しく打たれた日輪刀を手にした際に、刃の色は藍鼠色(青・灰系)に染まっている。伊之助自身が自ら自分に合わせて編み出したオリジナルの呼吸が獣の呼吸である為、明言はされていないが藍鼠色が獣の呼吸に対応する日輪刀の色である(ただし上記の通り、獣の呼吸はそもそも伊之助以外が習得するのは困難である)。
ちなみに青、灰系と言う事で、水か岩の呼吸への適性もあるのではないかと考察もされるが、日輪刀の色は必ずしも同系の色の呼吸と適性がある訳ではないので可能性は低い(例として、日輪刀の色が桃色の甘露寺蜜璃は、桜色が適性色である花の呼吸とは全く関係ない恋の呼吸を独自に編み出している他、そもそも適性色が緑である風の呼吸に対して、その派生の霞の呼吸の適性色は白である)。
柱になった際の呼び名について
柱になった際の呼び名を伊之助自身は、「野獣柱(やじゅうばしら)…いや猪柱(いのばしら)か!?」と楽しげに考えていたが、結局彼が柱になる事は無く鬼殺隊は解散し物語は終わった為に、実際の所は不明である。彼のオリジナルの呼吸である為に、当然ながら過去に柱になった獣の呼吸の使い手もいない。
斬られ心地について
『公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』の斬られ心地取材では、伊之助だけが扱える独自の呼吸という上記の事情もあってか、斬られ心地を評価する鬼がいなかった(劇中この呼吸で斬られた事がある鬼は存在するが、取材ではまた別の呼吸について言及している)。
もしくは、取材をした後藤がこの呼吸の存在を認知していなかった可能性もある。