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歌舞伎小僧

かぶきこぞう

歌舞伎小僧とは、特撮テレビドラマ『五星戦隊ダイレンジャー』に登場する敵怪人の一体。
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「アッ委細承知ィ。次から次〜!アッ人に、人に、人に取り憑き、巷を、アッ混乱に〜、陥れるのだ〜!相手が人間では、ダイレンジャーも、手が出せネンジャー!」(第13話)

「見えないつもりで飛ぶ~! おんぶ☆」(同上)

ロボットだとどーも上手くいかねぇ・・・あ゛っケツが重い・・・まいっか」(第14話)


データ編集

登場話数第13話「カッカブキ小僧」、第14話「イヨッ 結婚ぢゃ
CV千葉繁

概要編集

その名の通り、歌舞伎役者を思わせる出で立ちが特徴のゴーマ怪人。元々は中国にて活動していたようであるが、とある理由で虞翻から追われる身となり、日本へ渡ってきたという経緯の持ち主でもある。

上半身の多くを巨大な顔が占め、見ようによっては2~3頭身にも見えるその体型は、その軽妙な口調や挙動と相まってコミカルさを醸し出すものとなっている。とはいえやはりそこはゴーマ怪人の一体なだけあって、行動原理や実際の作中での行いは悪役そのものと言っていい。


主だった能力として、人間無機物おんぶすることにより、その相手に憑依して意のままに操るというものが挙げられる。憑依された人間には、歌舞伎小僧の歌舞伎京劇を好む気質が反映され、鏡獅子のような出で立ちと口調に変貌するのが特徴で、その芝居がかった挙動ゆえに判別自体は比較的容易である。

一方で無辜の人間に潜んでいる上に、後述の通り対象の生死を問わずに憑依できるという性質、さらには老道士・虞翻の個人的な事情も絡んで、迂闊に攻撃できない難敵でもある。

作中ではこの能力を活かし、シャダムら三幹部の指示の下人間社会を混乱に陥れた。また戦闘でも、「拍子木ヌンチャク」や口から伸ばす黒い舌といった固有の攻撃手段こそ持ち合わせているものの、本来の姿で立ち回ることは殆どなく、基本的に憑依した相手の持つ武器や道具、それに特技を活かして戦うことが多い。


作中での動向編集

来日後、三幹部より任務を与えられた歌舞伎小僧は、手始めに現金輸送中の警備員 に密かに憑依して強盗を働き、街中で金をばらまいてその場を狂乱に陥れたが、たまたまその場には将児も居合わせており、彼らによって追い詰められた歌舞伎小僧はこれに応戦しながらも追い詰められてしまう。

幸か不幸か、謎の老人の乱入もあってその場は切り抜けた歌舞伎小僧はしかし、このことがきっかけでシャダム達にその老人――虞翻が自分を追ってきていることや、中国における動きに対して不審を持たれてしまい、これを誤魔化すべく彼らの追及からも逃れるに至った。


ともあれ、その後も工事現場の作業員、パトロール中の巡査、出前中の蕎麦屋と次々憑依の対象を変えてはその都度騒ぎを巻き起こし、虞翻から歌舞伎小僧を生け捕りにせよと指示されたダイレンジャーの捜索も巧みに掻い潜ってみせるが、その途中で宝石店に立てこもっていた強盗犯に取り憑いたところで亮と将児に捕捉され、とあるビルの屋上にて大立ち回りを演じることとなる。

ここでもダイレンジャーを翻弄しながらも、5対1という数の劣勢を覆せず追い詰められた歌舞伎小僧は、憑依した強盗犯の身柄を盾に取って難を逃れようとするが、そこに現れた虞翻は強盗犯のことなど構わず歌舞伎小僧を気絶させようと、憑依状態のままビルの上から転落させるという暴挙に及び、ダイレンジャーの懸念通り強盗犯も転落死するという最悪の事態となった・・・かに思われたのだが、後から駆け付けた警察から強盗犯は立てこもり中の銃撃戦で射殺されていたことが明らかにされたのであった。

程なくして、虞翻の口から歌舞伎小僧の生け捕りに拘っていた理由が明らかとなるのだが、歌舞伎小僧は中国で虞翻のフィアンセである京劇の女優・小喬を、腹の中に飲み込んで逃走するという事件を引き起こしており、歌舞伎小僧が日本へ逃れてきたのもそれが原因だったのである。


一方、すんでのところで強盗犯の身体から離れて逃げおおせていた歌舞伎小僧も、三幹部に小喬を呑み込んでいたことが露見した末に、その小喬の引き渡しを拒んでザイドスから制裁を受けるが、ここでシャダムから「虞翻を殺せば小喬はお前のものだ」と唆され、彼らにとっても邪魔者である虞翻の抹殺に乗り出すこととなる。

その前準備として、歌舞伎小僧は有名なスポーツ選手や武道の達人を次々誘拐した上で、虞翻に挑戦状を叩きつけると廃工場にてこれを待ち受け、檻に閉じ込めていた小喬の眼前で虞翻を始末しようとするのだが・・・ここでもボクサー柔道家、それに剣道家と次々憑依を繰り返しながらも、大陸古典拳法の使い手である虞翻の前にはまるで歯が立たず、劣勢に立たされた歌舞伎小僧は奥の手として用意してあったロボットに憑依。


いい意味でありあわせらしくなく

「驚いた?まさかロボットに取り憑くとは、お釈迦様でもご存知あるめぇ」


ロボットゆえの耐久性の高さに加え、目から放つビームや右肩からのグレネードといった重火器で一転して虞翻を圧倒せしめ、勝利を確信する歌舞伎小僧であったが、そこへ新武器・大輪剣を引っ提げリン達が駆け付けたことで戦況は再度逆転。人質に取っていた小喬も救い出されてしまい、自らもホウオウレンジャーの繰り出した「大輪剣・旋風斬り」を喰らってロボットの身体を失う羽目になった。

しかしその直後、虞翻と小喬を狙って三幹部が戦闘に介入し、歌舞伎小僧も三幹部に圧倒されたダイレンジャーに追い打ちをかけてみせるが、虞翻からの指示により5人全員で繰り出した「大輪剣・気力シュート」により、手痛い反撃を食らって吹き飛ばされてしまう。弾みで巨大化した後も、口から黒い舌を伸ばして大連王を締め上げるがさしたるダメージも与えられないまま、大連王・一文字竜巻に続けて大王剣・疾風怒濤を叩き込まれ「あれえぇ~!!!!」「一巻の終わりなのね~・・・」との断末魔を残して散ったのであった。


備考編集

デザインは篠原保が担当。それまでの器物をモチーフとしたゴーマ怪人とは異なり、歌舞伎という「概念」を怪人にするに当たっては大いに悩んだようで、最終的に「『ターボレンジャー』のスモウボーマのような感じでいい」「歌舞伎の顔がお腹にガーンと大きくあって、それに手足が付いてるような」といった制作サイドからの注文に則る形でデザインを仕上げたものであるという。造形においてはデザイン画稿よりもデフォルメ具合がより強調され、袴の色も黒から白へと変更されるなどといったアレンジが施されている。

篠原は後年のインタビューにおいて、CVが千葉繁なのもあってホント面白い怪人だったと前置きしつつも、「ゴーマ怪人としてこれはアリなのか」「自分の中では全然納得してない」と、キャラクターとしての面白さとデザインに関する自身のこだわりとの間での葛藤めいたものを窺わせるコメントを残している。

この歌舞伎小僧と、合体四天王のデザイン画稿については本放送以降長きに亘って所在が判明しておらず(※)、その間に刊行された戦隊怪人の公式図録『百化繚乱』の上之巻には、篠原による「それっぽい描き下ろし」のイラストが掲載されている。


ロボットへの憑依状態(歌舞伎ロボット)については、企画者104の河野成浩がデザインを担当。物語の展開上「とにかくロボットが必要だ」ということで、有り物前提で大泉の撮影所の倉庫の中から出てきた、使えそうなパーツをロボットの形に並べて撮影した上で、それらの素性を分からないようにデザインが起こされている。

各パーツの具体的な流用元については公式には言及されていないものの、胴体と両肩はガードノイド・ガッシュ(『超獣戦隊ライブマン』)、両腕はバイオロボ(『超電子バイオマン』)、両手はターボロボ(『高速戦隊ターボレンジャー』)、両足はのダイレオン(『巨獣特捜ジャスピオン』)から、それぞれ流用されているのではないかと指摘する向きもある。


演者のうちCVを担当した千葉は、東映特撮には1980年代末より他のシリーズにて度々客演経験を持っており、スーパー戦隊シリーズへは本作が初参加となった。自由闊達なアドリブ演技に定評のある千葉であるが、この歌舞伎小僧においても人や物に取り憑く時は「お~んぶ」、その逆に憑依した人や物から抜け出す時は「ぶ~んお」といった具合に、アドリブと思しき台詞が随所に見られるのが特徴である。そうしたアドリブを交えた怪演に引っ張られる形で、憑依状態でも蕎麦屋の自転車に股間を強打して悶絶、そのまま股間を抑えながら憑依を解除して逃亡といった、多くのコミカルな描写が見られた。

憑依された人間については、当時JACや東映テレビ・プロダクション事業部に所属していた俳優が演じているが、このうち強盗犯はベテランのスーツアクターとして名を馳せた高橋利道が、ボクサーはまだ若手であった頃の高岩成二がそれぞれ担当している。


(※ これらのデザイン画稿については、『百化繚乱』刊行後の2013年頃に発見されており、2023年現在では篠原の個人サイトにて確認することができる(参考リンク))


マイティ・モーフィン・パワーレンジャー編集

同作では、第2シーズンの第96話に「ブッカラ(Bookala)」として登場。同作への登場にあたってスーツも新造されており、現地で撮影されたパワーレンジャーとのオリジナルシーンも存在する。

原典とは異なり、善玉怪人として位置づけられており、その素性もブッカラ星出身の宇宙人と設定されている。知能が高く温厚な性格で、本来は人形サイズだが、宇宙船のエネルギーであるダイヤモンドの力で人間と同じサイズになることができる。

巨大兵器セルペンテラのエネルギー不足に悩むロード・ゼッドが、そのエネルギー源として宇宙船のダイヤモンドに目をつけ襲撃したため、地球に不時着。パワーレンジャーに助けられ、ブルーレンジャービリーと友情を深めていく。

最後はパワーレンジャーが囮の人形と偽の宇宙船を使い、ロード・ゼッドの目を引き付けた隙に地球から去った。その際にビリーの好きな雪を降らせ、またいつか会おうと約束している。


その後、囮の人形がロード・ゼッドの魔法によりモンスター、悪のブッカラ(Evil Bookala)(吹き替え:杉山紀彰)として登場。一目で偽物と見抜かれたため巨大化してサンダーメガゾードと戦う。

ブッカラと同じ姿であることを利用し「俺を倒したら後味の悪い思いをするぞ」と凄むも、パワーレンジャーからは「お前は友達なんかじゃない」と一蹴され、たやすく倒されてしまった。


歌舞伎小僧本人の他、歌舞伎ロボットの方もブッカラを狙い現れたモンスター「ウエルド(Weldo)」として登場。宇宙船を修理するビリーの研究室に現れ襲い掛かるも、ブルーレンジャーのブレードブラスターで倒された。


関連タグ編集

五星戦隊ダイレンジャー

ゴーマ族 ゴーマ怪人

愛すべき馬鹿


関連・類似する他作品の項目編集

キョウリュウバイオレット/ドクター・ウルシェード:『獣電戦隊キョウリュウジャー』の登場人物、およびヒーローの一人。歌舞伎小僧とは演者を同じくしているが、こちらは変身前も素面で演じているという相違点も有している


カブキノイド オヤクシャボーマ:いずれも、歌舞伎小僧と同様に歌舞伎モチーフの怪人達。このうち後者とは戦隊怪人という点でも共通項が見られる


北斗の拳:同作のTVアニメ版のナレーションは、歌舞伎小僧役の千葉によるものであるが、担当者の暴走で次回予告が歌舞伎調になっている


ケフカ・パラッツォ ジャコウ(北斗の拳):いずれも演者を同じくする悪役達で、印象的なデザインやぶっ飛んだ言動を見せるといった点でも共通項を持ち合わせている

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