「石川や、浜の真砂は尽きるとも、世にバイオロンの種は尽きまじ!」
『機動刑事ジバン』第30話「美少年小太郎一座の怪人」に登場
概要
歌舞伎の演者をモチーフにしたバイオノイドで、体にエビ・カニ・蛾・ノコギリザメを掛け合わせたような意匠がある。
歌舞伎モチーフとしては、「暫」+「鏡獅子」のような感じだ。
歌舞伎調の言葉でしゃべり、何か事あるごとに見得を切り、拍子木と鼓を打つ音が流れてくる。
登場時には「絶景かな絶景かな!」
ジバンとの初戦では、「暫く! しばらく!」
逃亡する際には「おぼえておぉれぇ」と見得きりを忘れない。
そもそも、冒頭の決め台詞……今回の話のキーパーソン、竜千之丞らしき男に迫ったときに放ったセリフ……、は石川五右衛門の辞世の句であり、元ネタは「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」。
余談だが、ストローバンキも、この句をもじったセリフを断末魔に発している。
移動も、片足でジャンプする、歌舞伎の「六方飛び」と徹底している。
登場時も、歌舞伎の幕が上がり、花吹雪飛び散る中たたらを踏んで派手に登場。
人間体で、小太郎の踊りの相手方を務める。という、実に「傾奇者」らしいバイオノイド。
月の光を浴びると変身して人を襲う怪物人間を作る怪物細胞を体内で増殖して怪物人間を作るのが目的だが、冒頭でマーシャ&カーシャが不注意で怪物細胞を落として舞踊家・竜千之丞にわたってしまい、執拗に千之丞とその息子・小太郎を追い続けた。
武器
大キセル
カブキノイドが手を構えると、任意に出てくる大キセル。
マシンガンにもなっており、ジバンを銃撃した。また、打撃武器にもなっており、反撃のすきも与えず、流れるような動きで連撃をかけた。
また、キセルはさすまたにも変化。必殺技「花吹雪爆弾」で大ダメージを受けたジバンの首をこれで締め上げ、さらなる猛攻をくわえた。
そもそも「捕り物」=「警察側」のアイコンであるさすまたを、「悪」側のカブキノイドが駆使するというところに、そこはかとなくユーモアを感じる!?
蜘蛛の糸
歌舞伎の蜘蛛の糸を放ち、敵をがんじがらめにする。
初期設定では、手のひらから出される物らしかった。
設定画では、手から糸を出すのがきちんと明記され、脚本にもそれに従っている。
しかし、実際にはさすまたから出てくるような演出になった。さすまたで締め上げたジバンに、放出される蜘蛛の糸で相手の動きを封じた上、さらにまとわりつくような電撃攻撃を放つ。
面分離
顔は実は仮面となっており、分離して敵に襲いかかる。
仮面を外した素顔は、蛾のバイオ怪物のようになっている(劇場版に登場したスパイダーブロックに似た形状をしている)。
さすまたを失った奥の手として、ひげのような部分と合わせて空に放り投げると剣に変化、ジバンと鍔迫り合いを行った。
ケイブンシャ『機動刑事ジバン大百科』では「刀の腕も確かだ」という通り、屋根の上までジャンプ! そしてジバンは屋根の上で転がされるという具合に、ジバンを追い詰めるほどの腕前だ。
幻覚ジャンプ攻撃
かっぽん! かっぽん!という歌舞伎の合いの手なような音とともに、瞬間移動的にあちこちにテレポートシャンプ。相手を幻惑する。
しかし、ジバンには一発で見破られた。
花吹雪爆弾
「花吹雪爆弾!」の掛け声とともに巨大な煙管を振り上げる。
(脚本では、「絶景かな絶景かな花吹雪爆弾」とある)
すると、無数の花吹雪が相手を包み込む。
その花吹雪に幻惑されているうちに、花吹雪が相手の体に着弾。
爆発が連続で起こる。
カブキノイドの必殺技であり、モチーフ「歌舞伎」怪人ならではの必殺技。
実際に、技が決まった時点で、カブキノイドが感極まったように叫ぶ「絶景かな絶景かな!」が印象深い。
脚本、および『機動刑事ジバン大百科』では、直接口から吐き出す設定になっていた。
怪物人間
ゲル状の怪物細胞が付着したことで竜千之丞が変身した姿。
月光を浴びることにより、歌舞伎の隈取のようなものが顔面に現れ、次第に手も足も獣化。怪力と爪で人間に襲いかかる。舞台に上がったハリボテの月にさえも反応して変身する。
獣化時は人間である時の理性・記憶が飛ぶらしく、自分を救いに来たジバンにも襲いかかった。分離薬が開発されたことで元に戻ることができた。
怪物細胞の被害者・竜千之丞役に、『バトルフィーバーJ』で倉間鉄山将軍を演じた東千代之介があたり、特撮ファンの間でちょっとしたネタになった。
書籍での取り扱い。
「自分の体の中で、怪物細胞をふやすことができる。」と、モチーフの「歌舞伎」には触れてないキャプションが多い。
講談社のテレビ絵本『たいけつ!バイオノイド図鑑』では、「おしばいが好きで、にんげんにばけて、おどりをおどる。」という、おもしろ系のレッテルを貼られている。
また、『たのしい幼稚園』では、ドクターギバの「ジバンを倒せる強力な怪物」として、ゾウノイド、ダブルノイドとともに集められている。
また、メタルヒーローの怪人の設定イラスト集『怪奇千蛮』原案イラストには、なぜか右上にNo2とナンバリングされている。ちなみにNo1は、ダブルノイド。
備考
白地をベースにした肌の色、そして「正義のヒーロー」を表すとされる「赤い」隈取。
くしくも、雨宮氏が、『奇怪千蛮』述べていた「『ジバン』では敵を白にしたかったというのがありました。本来、白はヒーローとか正義側の色なんだけど、そこはあえて逆を狙って」っていう言葉を彷彿させるような一体だ。
(ちなみに、おなじ歌舞伎役者モチーフの「ダイコンワルド」の隈取は、悪役を表す青。)
関連項目
同じく歌舞伎モチーフの戦隊怪人達。
「コメディリリーフである」「『絶景かな! 絶景かな!』『石川や、世に……』などの決め台詞」「メイン武器が煙管」と、カブキノイドと共通点が見られる。
断末魔で、「石川や……」をもじったセリフをあげた
髪型が歌舞伎の獅子、セリフが歌舞伎口調、技が歌舞伎にちなんだもの、と共通点が多い。
カブキノイドもメカムサシンも多彩な技を誇ったが、カブキノイドはあっさりジバンにはじき返されたのに対し、メカムサシンは屈指の強さを誇る。
一文字違い。