「絶景かな絶景かな!『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ』あぁ~、とっとっとっと・・・とっと、あぁ~っ!!」
「近くば寄って目にも見よ! 遠くば耳かっぽじって音にも聞け! 俺様はブドー魔人衆が一人、煙ヱ門だぁ!!」
登場話数:第十五章「恐怖のしゃっくり」
概要
宇宙海賊バルバンの4軍団のうち、ブドー魔人衆に属する魔人の一人。
ウニの如く刺々しい髪型に、縞模様の着物と褞袍(どてら)を羽織ったような、如何にも歌舞伎に登場する豪傑のような出で立ちが特徴で、得物として巨大な煙管を携えている。その立ち居振舞いもまた、見た目同様に歌舞伎役者のような大仰さが目立つものであり、後述の火種飛ばしを弾き返されて悶絶したり、記事冒頭上段の台詞とともに見得を切ろうとして、誤ってビルから落下するなど、魔人衆の一員としては珍しいコメディリリーフ的な側面も持ち合わせている。
戦闘においては、前述の煙管を打撃武器として用いる他、火皿から火種を相手に向けて飛ばす「火種飛ばし」、それに頭部から針を飛ばす「針飛ばし」といった攻撃を駆使する。また煙管は戦闘だけでなく、対象に火皿を被せた状態で一服することで、探し物の当たり外れを判別する働きも持ち合わせており、目当ての物でなければ✕型の煙が出るようになっている。
作中での動向
ギンガの光が姿を潜ませるものとして、「深く眠りし物」を次なる標的と定めたブドーは、これを古代遺跡の出土品と解釈し、煙ヱ門を差し向けて探索に当たらせた。
かくして、骨董品や遺跡からの発掘品を狙い、博物館や考古学者の研究室に押し掛けては煙管を駆使し、地道にギンガの光の有無の判別に当たっていた煙ヱ門であったが、その過程でTVで目にした3000年前のとある出土品に狙いを付け、研究に当たっていた佐伯助教授(演:市川勇)に迫るも、長々と名乗りを上げているうちに佐伯には逃げられた上、駆け付けたギンガレッドとイエローに火種飛ばしを見舞おうとして自らに誤爆させるなど、まるでいいところのないまま一時撤退を余儀なくされてしまう。
それでもなお煙ヱ門は佐伯を付け狙い、件の出土品をまんまと手中に収めることに成功したのだが・・・実はこれより少し前、煙ヱ門から逃げる途中で佐伯とリョウマ達が鉢合わせした際、佐伯の持っていた出土品入りの缶と、リョウマが手にしていた風邪薬の缶とが入れ替わりとなっていたのであった。中身が風邪薬なので当然ながら煙管による判定も✕でしかなく、煙ヱ門を当惑させる結果となった。
さらに厄介なことに、この出土品の正体は3,000年前にバルバンが作った爆弾であり、一度体内に入ったが最後100回しゃっくりをする(もしくは強い衝撃を与える)と爆発するという性質を備えていた。そうとも知らず、リョウマが(仮病を使っていた)ヒカルに風邪薬と間違えてこれを飲ませてしまったがために、彼等は爆発を止めるべく佐伯とともに「打ち消しの滝」へ向かう羽目になったのである。
一方の煙ヱ門も、狙いの爆弾がヒカルの腹の中にあることを知るや、これを確保すべく行動を開始。火種飛ばしでヒカル達を乗せた佐伯の車を妨害したり、ヤートット等が偽装した幼稚園バスを使い、乗り合わせたヒカル達の身柄を押さえようとするが、悉く失敗に終わってしまう。
とはいえ橋のない川を渡るべく、ヒカル達が佐伯の用意した凧を使って渡河を試みようとしたところを火種飛ばしで撃墜し、ようやくヒカルとリョウマを追い詰めた煙ヱ門であったが、リョウマの必死の足止めによる間隙を縫って、ヒカルが打ち消しの滝へと身を投じたことで、腹の中の爆弾も滝の水の働きにより爆発寸前で消失、事なきを得るに至った。
目当ての爆弾の消失という事態を前に、煙ヱ門は「命だけでも手土産にしてやる!」と2人に迫るも、とある事情から足止めを食っていたハヤテもようやく駆けつけたことで劣勢に立たされ、自身もレッドとイエローに火種飛ばしで応戦するが及ばず、銀河獣撃弾の前に敗北。巨大戦でもギンガイオーに火種飛ばしを銀鎧剣で打ち返された末に、「もはや、これまでっ・・・!」と捨て台詞を残し、流星弾によって敢え無く散ったのであった。
「お宝を 煙(けむ)で探すは 大泥棒」(ブドーの句より)
備考
デザインは下條美治が担当。制作サイドからの具体的な注文としては「ウニの怪人で」という点のみで、後は基本お任せだったためにやりやすかったと後年のインタビューにて述懐している。また、魔人衆の共通項である和風モチーフとしては、歌舞伎の演目にも取り上げられることの多い石川五右衛門がチョイスされている。
放送当時の『てれびくん』では、作中での数々のドジぶりが災いしてか『役に立たないバルバン魔人リスト』にランクインしてしまっていたりもする。そもそも、前述の通り作戦遂行のための手段が地道に過ぎる上、目当ての爆弾が自陣営のものであるとも知らずに付け狙うという見識の低さからすると、この評価もむべなるかなといったところではあろう。
CVを担当した宮田は、スーパー戦隊シリーズへは前年の『電磁戦隊メガレンジャー』(ドクガネジレ役)に引き続いての参加となる。後年、和のモチーフの戦隊にも複数関わっている宮田であるが、シリーズ中で明確に和のモチーフを含んだ怪人を演じたのは、後にも先にもこの煙ヱ門のみである。
『ギンガマン』の英語版ローカライズ作品『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』にも、ミュータントラムの名義で登場、日本語吹替版では川村拓央が吹き替えを担当している。登場エピソードがオリオンの光(ギンガの光)編の初回と、原典よりも前倒しされたのに伴い、その役割も原典におけるグリンジーのそれに置き換えられている。
関連タグ
砲烈道:同じブドー魔人衆に属する魔人で、歌舞伎役者の要素を含んだ出で立ちという点で共通項を有する一方、何かと失態の目立った煙ヱ門とは対照的に、こちらは軍団における精鋭中の精鋭として数えられている。
クラゲウニ怪人、イーガロイド、ゲド星人ウニーガ、トゲーノ・エイブス:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、ウニをモチーフとした戦隊怪人達。
歌舞伎小僧、カブキノイド:こちらは東映特撮の他作品に登場する、歌舞伎の要素を含んだ怪人達。このうち歌舞伎小僧とは戦隊怪人という点でも共通項が見られる