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概要編集

 アニメ『宇宙戦艦ヤマトⅢ』に登場する惑星。また、それを信奉する宗教の名でもある。


 数千年前、銀河系を支配した強大な星間国家。代々「マザー=シャルバート」と呼ばれる女王によって治められており、宇宙に愛と平和をもたらしたと云われている。

 しかし、いつの頃かその勢力は衰え、銀河系から忽然と姿を消した。


 現在では伝説となっている存在だが、多くの人々から愛と平和の象徴として扱われ、女王を女神として崇めるシャルバート教となって銀河系に広まっている。劇中時代ではガルマン・ガミラス帝国ボラー連邦による銀河系大戦の真っ只中であることもあり、信者たちの信仰心はより一層強まっている。

 劇中だと総本山的なものはおろか教義の類も確認できず(単に登場していないだけか、元々無いのか、あったが潰されたのか)、生活や道徳の規範という一面も持つ現実の宗教とは大分赴きが異なる模様。どちらかというと単純な救世の神として崇めているという感じのようで、意地の悪い言い方をするなら「神頼みしているだけの宗教」にも見える。

 信者たちの行動は基本的に女王の顔を彫ったペンダントを空にかざし、空に女王のホログラムを表示して平和を祈るという程度だが、直接祈願するためにどこにあるかも分からないシャルバート星を目指して旅に出る猛者もいる。

シャルバート巡礼者たち

 残念なことに宗教にはつきものの過激派も存在しており、武装蜂起やテロ活動を行っている。


 現代の銀河系の支配者であるガルマン・ガミラスとボラーからは支配権を脅かす存在として最大限に警戒され、シャルバート信者は激しく弾圧されている。ボラーはシャルバート信者を流刑惑星の強制収容所に収監しており、ガルマン・ガミラスも軍の高官が信者だと発覚すると、デスラー総統自ら裁判も無しに即射殺している。

 また、「かつて銀河系を支配した高度な軍事力」は、銀河系の覇権を狙う者には垂涎の的であり、ガルマン・ガミラスとボラーは警戒する一方でシャルバート星の捜索や対抗勢力の捜索活動の妨害の妨害も行っている。


 ボラーは数年前に宇宙航海の最中のルダ王女を発見・捕獲することに成功しており、惑星ファンタムへ幽閉していた(実際には現地生命体に保護され、匿われていたが)。

 しかし、偶然にもその星を訪れたヤマトによってルダは解放されることになり、ガルマン・ガミラスとボラーはルダ王女を確保すべく、彼女の乗るヤマトを付け狙うことになる。

 そして後にルダ王女は、人類を救うための移住先探しの旅が失敗に終わったヤマトをシャルバート星に案内する。彼女の導きでヤマトがシャルバート星に辿り着くと、そこでシャルバートの真実を知ることになる。


真実編集

 かつて銀河系を支配したシャルバートは「戦いでは平和や幸せは生まれない」という境地に至り、銀河系の支配を放棄して、母星を異次元空間へと隔離した。

 武器を含む高度な科学文明の産物はほとんどが王家の墓所の地下に封印されており、人々は地球の古代のような文明レベルの慎ましい生活を送っている。その街並みは古代のローマかギリシャのような雰囲気。

 ただし、全く科学の産物を使っていないわけではなく、動力付きの艀などは使われている。また、ヤマトが現れた際、住民に特に驚いた気配が無いことから、歴史そのものを封印したわけではなく、少なくとも宇宙艦のような科学の産物が存在するという程度の知識は全員持っている模様。まあルダ王女からして宇宙航海に出ているし……


 単に文明レベルを下げるに留まらず、戦いという行為そのものを極端に忌避する非暴力主義者となっており、ボラー連邦が攻めてきた際も反撃は一切せず、逃げ惑うか言葉で制止しようとするだけだった(当然ボラー兵士はお構いなく襲ってきたが)。

 古代は「それで殺されてしまったら何にもならない」と言ったが、彼らはたとえ自分たちが滅びてもその意志は宇宙に伝えられて残り、いつか第2第3のシャルバートが生まれると考えている模様。テロに走った過激派信者達涙目である……

 ただ、その主義主張が非常に困難なものであることは理解しており、無理に押し付けることはなく、「誰もすぐにできるとは思いません。いつかそうなるよう努力を続けていただければよいのです」とも述べている。ヤマトが戦ってボラーの魔の手からシャルバートを守った際にも、戦ったことへの文句等はなく、普通に感謝を述べている。


 これらの真実が明らかになると、デスラーはシャルバートは脅威にはならないと判断して手を引き、去っていった。

 シャルバートは侵略者から守ってくれたお礼に、地球を危機に陥れている太陽の核融合異常を抑制して正常に戻すことができる「ハイドロコスモジェン砲」をヤマトへ譲渡。

 ヤマトが去った後、シャルバート星は新たなマザー=シャルバートになったルダ王女改めルダ・シャルバートの下、再び静穏な日々を送っていくこととなる。


余談編集

  • 劇中で偶像崇拝の対象となっているマザー=シャルバートが何代目なのかは不明。初代なのかそれともシャルバートが銀河系に平和をもたらした最盛期の代なのか。
  • 実は初期設定ではルダはシャルバートではなく「サレムーン」という別の星の王女だった。
  • シャルバートの思想は所謂「無抵抗主義」であり、扱いようによってはかなりシビアなネタである。特に最終話でのルダは「“平和”とは、絶対に戦わないという決意をたとえ殺されても守り通すことでしか生まれない」と中々尖ったことを言っているため、ファンからの評価は割れ気味。まあ当人たちが満足ならそれでいいだろう。周りを巻き込まなければ……
  • 勘違いしてはいけないが、無抵抗主義なのはシャルバート自体であって、シャルバート教は別に無抵抗主義ではない。むしろ全盛期のような武力を以て銀河系の争いを鎮めてほしいという、現在のシャルバートの思想とは真逆のことを祈っている。そもそも信者達はシャルバートが戦争を放棄したなんて事情は知らないのだから仕方がない(というかそんな状態なのにシャルバート人は自分たちが滅んだ後もその思想は伝わって残るなんてよく思えるものである)。
  • シャルバートのモチーフは不明。一応「ロマンアルバムエクセレント54」に掲載されている設定検討段階の資料では「隠れキリシタンのように表現するのは安易ではないか」「ギリシャ神話、あるいはムーアトランティスのような失われた大陸伝説の如き代物→太古に栄え一夜のうちに消え去った幻の惑星的な性格付けが必要ではないだろうか」というような文章もあり、どのようなモチーフにするか思案していた形跡が見られる。
  • 同じく設定検討段階の松本零士のアイデアだと機械化人ネタがあった。太古の時代、シャルバートは科学が極めて発展した結果、管理システムに邪悪な心が芽生えてしまい、「機械化女王」を戴いて“生命”に戦いを挑んできたため、シャルバート女王によって星ごと封印されたという風になっている(その後シャルバート人達は科学を捨てて星々へ散っていった)。そして作中時代にてヤマトがルダの力によって封印を解き、機械化女王と戦うという展開になる(ちなみにラスボスではない)。
  • リメイク版シリーズの『宇宙戦艦ヤマト2205』では『ヤマトⅢ』からガルマン星が先行登場しているが、ガルマン人は何かの宗教を信仰している模様。大聖堂内には女性を模った巨大な石像が設置されており、明言されてはいないものの公式解説で「シャルバートの聖母像に見える」とされている。支配者であるボラー連邦の仕業か、石像は目の部分が抉り取られている。

関連タグ編集

宇宙戦艦ヤマトⅢ ガルマン・ガミラス帝国 ボラー連邦

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