エンテ型
えんてがた
主翼の前方に前翼(カナード)を持つ機体。特にその中でも水平尾翼を持たない機体のことをいう。
「エンテ」とはドイツ語で「鴨」を意味し、鴨が飛ぶ姿に似ていることから名づけられた。ちなみにカナードはエンテをフランス語で直訳した「カナール」が語源。このためか初期のエンテ型の機体は各国の言語で「鴨」を意味する愛称の機体が多い。
世界で最初に飛行した飛行機であるライトフライヤーがこの形態であるが、飛行機の黎明期を過ぎると主にピッチ方向の安定性の悪さから採用する機体は少なくなった。ただし、機体制御にコンピューターが使えるようになった1970年代以降は再び採用する機体が増えている。
一方で近年ではレーダー反射面積が増大するためステルス性能が低下するという問題点も浮上しているが、YF-23やX-36、J-20などカナードを有するステルス機も存在している。
1945年に日本式鴨型グライダーのテストパイロットを務めた藤倉三郎は「前翼が機体姿勢の指針となるので練習機に向いているのでは」と指摘している。
日本ではエンテ型機というと推進式のプロペラ機……具体的には震電がイメージされがちだが、カナードを持つ機体はジェット機であってもエンテ型である。逆に推進式のプロペラ機であっても、サーブ21のようにカナードを持たない機体はエンテ型とは呼ばれない。また、エンテ型のジェット戦闘機はカナード付きデルタ翼機、あるいはクロースカップルドデルタ翼機を称することも多い。
ちなみにエンテ型のプロペラ機は推進式に限るかと思いきやそういうわけでもなく、牽引式双発プロペラ機のリベルーラや機体の前後にプロペラのあるボイジャーといった機体が存在する。
プロペラ機
- ライトフライヤー号
- フォッケウルフF19
- 震電
- MXY-6(震電の実験用モーターグライダー)
- XP-55
- MiG-8
- マイルスリベルーラ
- ビーチクラフト2000
ジェット機
特異な外観から創作上にはエンテ型の航空機が登場することが多く、特にプロペラ機の場合震電のイメージの強さから震電に酷似した外観の機体が多い。