概要
J-15(殲撃-15)は、中国人民解放軍海軍が運用している艦上戦闘機。原型となったのは旧ソ連製のSu-27をベースに中国が開発したJ-11。
当初中国は、Su-27の艦上戦闘機型であるSu-33を相当数購入することを希望しており、ロシアと積極的な交渉を持っていたとされる。ところが2006年、J-11の派生型の一つで中国が独自技術を盛り込んだJ-11Bがロシアと締結した知的財産権協定に違反していることが発覚。結果、ロシア側が態度を硬化させたことでSu-33の導入は頓挫してしまった。
そこで中国は2001年にウクライナから入手したSu-33の試作型・T-10K-3をベースに、J-11Bで培った技術を導入した艦上戦闘機の開発に着手。そうして2009年に試作機が初飛行・2013年に本格運用が開始されたのが、本稿で取り上げるJ-15である。
機体
先述したように、J-15はT-10K-3をベースにJ-11Bの技術を導入した、言わば中国とロシアの合いの子のような機体である。外見上はSu-33と殆ど同じであり、主翼と水平尾翼に折り畳み機構を有し、アレスティングフックなど発着艦用装備を有しているのも共通している。
だが、一方でJ-15には多くの独自技術を投入しており、端的に言えば外見だけ似合った別物とも言っていい。
まず、開発に当たってはランディングギアなど主要なチタン合金の耐荷重構造を3Dプリント技術で製造しており、これにより大幅な開発期間短縮に成功している。他にもSu-33よりも複合材料の使用割合を高めることによって、機体軽量化がなされていると言われている。
そして、空対空ミサイルや爆弾程度しか運用できないSu-33と異なり、J-11Bと同じく対艦・対地ミサイルや各種精密攻撃兵器・対レーダーミサイルも運用可能な本格的なマルチロール機に仕上がっている。
エンジンはロシア製のAL-31F、国産のWS-10A/Hの2種類のターボファンエンジンが採用されてはいるものの、後者は艦上戦闘機向けエンジンとしては信頼性が低いという理由で当初は量産型には搭載されていなかった。一方でWS-10の改良は継続的に続けられているようで、将来的にはWS-10搭載機が主力になると思われる。
運用
中国初の空母である「遼寧」で離着艦訓練に用いられたほか、その後就役した同国の国産空母「山東」への搭載が確認されている。
また、派生型としてアビオニクス類を更新しカタパルトによる発艦能力を備えたJ-15B、複座の電子戦機型であるJ-17(J-15Dとも、計画中止となった複座型のJ-15Sもこの計画に合流したといわれる)の開発が行われている。
中国初のCATOBAR空母「福建」にも搭載されると見込まれており、次世代機のJ-35と合わせて、人民解放軍海軍空母航空団の主力機として運用されていくだろう。
創作作品では
日本に隣接する国の空母艦載機とあって、媒体を問わず日本周辺を舞台とした架空戦記に度々登場する。
但し、初飛行が2009年、配備開始は2013年と比較的新しい機体なので、それ以前に描かれた作品にはSu-33として(或いはそのものが)登場したり、或いはSu-33に相当する中国製で架空の番号が振られた機体とされることも。
関連項目
J-35:次世代機