概要
遼寧とは、中国人民解放軍海軍が運用している空母である。艦級名は「001型航空母艦」で、遼寧省から艦名が取られている。
元はウクライナで建造中のまま放置されていた旧ソ連空母「ヴァリャーグ」(アドミラル・クズネツォフの準同型艦)で、中国がダミー会社を介して巨大な海上カジノにするという建前のもと購入、その後改修を施して再就役させたもの。
中国海軍では過去にも何度か空母建造計画があったが、それらはいずれも実現してこなかったため、本艦は中国海軍初の空母となった(水上機母艦であれば太平洋戦争前の中華民国海軍に華甲と鎮海が居た)。
全長約300メートル、満載排水量約6万トン、乗員は航空要員や司令部要員も含めて2000人超。艦載機はソ連のSu-33を事実上コピーしたJ-15を18~24機ほど搭載し、これに加えて哨戒用や警戒用、救難用の各種ヘリコプターを搭載する。米海軍の空母のような航空機用カタパルトは持たないため、傾斜を付けた飛行甲板(スキージャンプ台)から航空機を発艦させる短距離発艦方式を採っている。
- 主力艦載機のJ-15多用途戦闘機
就役に際しては機関、兵装、電子システムなどを自国製のものに入れ替えるなどの大規模改修を加えたとみられているが、元が1980年代に進水した後に放置されていた空母なので、能力不足ではないかと外部から疑われている。また、船体の背骨にあたる竜骨(キール)に問題があるという指摘も一部からされている。
このため中国海軍はあくまでも空母運用の経験とノウハウを獲得するための練習空母として用いているのでは、とも言われるが詳細不明。ただ人民解放軍海軍の命名規則では訓練艦や練習艦はいずれも歴史上の人物名から命名されることになっているため、少なくとも実戦用艦艇としても使っていく意思はあるようだ。
その後、中国海軍は本艦をベースに建造した初の国産空母、002型航空母艦「山東」を就役させた。
遼寧も山東就役後、定期メンテナンスに合わせて総合的な近代化改修がなされており、就役時からの運用で浮かび上がった問題点の解消が図られている。
なお、2023年2月にはJ-35ステルス艦上戦闘機の実物大モックアップの搭載が確認されており、J-35の遼寧への搭載が検討されている可能性がある。