「サブマリン707」に登場する同名の空母についてはサブマリン707の項を参照
概要
『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』に登場する、「地球連邦防衛軍」の最新鋭艦『前衛武装宇宙艦』又は『アンドロメダ級』の3番艦で、空母型として建造されたのがアポロノームである。艦長は安田俊太郎。
艦ナンバーは『AAA‐3』、艦体色はブルー、両舷にグレーのラインが艦首から艦尾にかけて引いてあるのが特徴。同型/準同型艦5隻の中で、本艦のみ神話由来の名称がつけられていない。
といっても脚本段階では「アポロ」という名前だったため、ローマ神話の太陽神が由来と推測される。その後、アポロと空母からサブマリン707を連想したものと考えられる。
構造
空母とはあるが、アンドロメダの設計を流用したため、実質的には戦闘空母と言った方が正しい。大まかに、格納庫は3ヶ所(戦艦型と共通のも含めると4か所?)に設けられている。
1つ目は、艦橋と一体型となった大型の格納庫とその端にねじ込まれたカタパルト24基で、艦橋の頂上から艦尾側にかけて大きく張り出しており、取り分け独特な雰囲気を醸し出す。その為、艦橋を正面から見ると極端な“T字”に見える。また、この後方に張り出した格納庫を支える為か、後部主砲2基を撤去し、その撤去した後部甲板スペースを利用する形で、支柱がそそり立っている。ちなみに発進口は上下2段となっているが、格納スペースは1段である。
2つ目は、艦体中央両舷部のバルジ状構造物に設けられている。このバルジ状構造物は、元々アンドロメダ級に備わっていた単魚雷発射管であり、これを廃して、内部に収納式カタパルト24基(片舷12基づつ)を装備している。使用時は、このバルジ部分が引出の様に外側へスライド展開し、上下面6基づつ(片面3基2列)に収まるカタパルトが、外側へ斜めに展開する。(※ちなみにこの格納庫のみ発艦させた搭載機の回収方法が不明。底部格納庫あたりから移送すると思われるが……?)
3つ目は、艦底部(ちょうど艦橋の真下、タンクがくっついている部分)に設けられている。この部分が丸ごと下に下がり、中から真横方向に向けての発進口が片側8基、計16基現れる。
2つ目と3つ目は第5話でのみ確認可能だが、2つ目と違ってこちらは追撃隊を発艦させる時に遠目で1カット地味に映るだけなので気付かない人も多い。
なお、元のアンドロメダ級にもある格納庫に関しては残っているのか不明(一応発進口は外見上残っている)。
ちなみに上記の上部格納庫の影響で、全長が戦艦型と比べ40m長くなっている。
また、主砲と単魚雷が撤去された代わりに、上部格納庫を支える巨大な支柱側面には、18門(片舷9門)もの大型魚雷発射管を備え付けている。
母艦能力
なるべく多くの艦載機を詰め込めるように設計した成果ゆえか、艦載機総数は驚異の180機。(ガイペロン級であれば3隻分である。)
また、発艦能力も驚異的な物である。全てのカタパルト+底部着艦口(本編ではさらに上部格納庫後端の着艦口からも1回4機を放出しているが、母艦が加速していると発艦させた機体が相対速度で遥か遠くに置き去りになってしまう。原典ヤマトから指摘されている問題点である。そのため停泊か微速航行中でなければ使えないと思われる。)を用いれば、4回の射出で全機を展開する事が可能である。ただ、着艦/回収に関しては、格納庫後部と艦底部で合計2か所の回収口(しかも狭い)と、格納庫上部甲板(エレベーターらしきものが見当たらず一度に多数を収容するのは難しい)から行わなければならず、戦闘中に回収と再爆装を行うより、初撃で殲滅してしまった後にゆっくりと回収する……のが前提と見て取れる。
ただ、搭載機数こそ膨大であるが、弾薬や燃料の備蓄量や、機体整備スペースなどについては全く説明されておらず、空母としてどれだけの継戦能力があるかは不明。
なお、小林誠のTwitterでは、後方から前線まで砲火の飛び交う戦場内を長距離飛行させるのは危険なので、前線で直接展開させるとしている。(艦載機が一番無防備で危険なのは発着艦時なのだが…)
また、玉盛順一朗は原作の空母に関して、(設定ではなく想像であるが)アンドロメダ空母を支援する軽空母的な立ち位置で活躍したら面白そうと発言している(全記録集の下巻にて)。もしその通りに実現したとしたら、本艦の運用は戦闘開始直後に発艦させた大量の艦載機で敵艦隊を攪乱した後、周りと一緒に波動砲艦隊の一員として行動し、役目を終えた艦載機は自艦には戻らず後方に待機している別の空母に着艦するという形が考えられる。
そうなるともはや空母というより前線に艦載機を速やかに展開させることだけを考えた航空機輸送艦と言った方が良さそうではあるが、「波動砲艦隊の空母」としてはこれがベストな形なのかもしれない。
搭載機
ヤマト追撃時は艦上機としてコスモファルコンを搭載していたが、パイロット育成が間に合わなかったためなのか人工知能で制御される無人機であったとされる。(ただし、劇中にも公式資料にもそれらしい説明がなく、小林誠がTwitterで明かしているのみである。副監督の発言ではあるが、アンドロメダ改の一件などもあるので、確定情報としては扱い辛いことに留意)
土星空域での決戦時は搭載機がコスモタイガーⅡに更新され、少数のコスモタイガーⅡ派生型や引っ張り出されてきたと思われる失敗作のコスモタイガーⅠなども露天係止の形で搭載していた。ただし劇中では空母も含め波動砲一本槍で戦闘している関係で艦載機は使用されず、彗星からの撤退時にアポロノームを脱出してきたと思われるコスモタイガーⅡが映るのみである。
スペック
- 艦番:AAA-3
- 全長:484m
- 機関
- 主機『次元波動エンジン』×1基
- 補助機『ケルビンインパルスエンジン』×4基
- 兵装
- 二連装次元波動爆縮放射器(艦首拡散波動砲)×2門
- 40.6㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×2基
- 重力子スプレッド発射機×4基
- 四連装対艦グレネード投射機×2基
- 速射魚雷発射管×4門
- 亜空間魚雷発射機×4基
- 小型魚雷発射管×8門
- ミサイル発射管×10門
- 大型魚雷発射管×18門
- 司令塔防護ショックフィールド砲×3基
- 近接戦闘用六連装側方光線投射砲×2基
- 対空パルスレーザー砲塔×4基
- 艦載機
- コスモタイガーⅡまたはコスモファルコン×最大180機
- 100式空間偵察機×2機
- 空間汎用輸送機SC97〈コスモシーガル〉×2機
- 内火艇×2隻
- 艦長
- 安田俊太郎(一佐)
経歴
第一章
姉妹艦3隻共々地球市民の見守る中進水式が挙行され、会場に建てられた長大なレールより射出され、そのまま大空へ向かって垂直に飛び立った直後ワープで姿を消していった。
第二章
木星軌道上で艦隊を組んで演習に参加。アポロノームも、アンタレスと共に艦載機を一斉発艦させる。ヤマト叛乱の際は一部艦載機群を差し向け山本や篠原を妨害に掛ったものの、クラウス・キーマンの介入で阻止される。
第五章(ネタバレ)
対ガトランティス戦に参加。土星圏で現地守備艦隊がガトランティス軍と接敵したことを受け、総旗艦アンドロメダや姉妹艦と隊列を組み、大量のドレッドノート級らと共に地球軌道上から土星圏へワープを行った。その際、飛行甲板上にはコスモタイガーⅡや、空間輸送機などが係留されているのが確認される。
劇中では目立った活躍こそ無いものの、インフェルノ・カノーネを重力子スプレッドで防ぎきった他、波動砲戦で大量のカラクルム級戦闘艦を屠っている。
その後、白色彗星に対して総攻撃を仕掛けるべく、マルチ隊形をとりつつも重力子スプレッドの集約作業に移る。いざ収束波動砲を撃ち込むが、ガス帯を取り払っただけで終わり第二射目も無効化された。
直後、重力傾斜によって艦隊諸共引きずり込まれ、陣形もバラバラとなった。そこへ追い打ちの破滅ミサイルが襲い掛かり、アポロノームは左舷側に至近弾を浴びて重度の損傷を追う。総旗艦アンドロメダも被弾して機関出力が低下し、重力傾斜に捉まれていたところへ、本艦が最後の力を振り絞って接舷して押しだした。(この接舷行動でアポロノームが都市帝国の放った重力波を遮り、アンドロメダの離脱を可能とした事が、シナリオ集や絵コンテで書かれている)
総旗艦を守り抜くために最後の力を振り絞ったアポロノームは機関が停止して重力傾斜に引き込まれ、圧力に耐えかねて爆沈(よく見ると後方から破滅ミサイルの第二波が来ており、爆発も次話などで見られる特有の青い光なので、破滅ミサイルで爆沈した可能性が高い)。安田艦長も運命を共にしてしまった。
余談
空母型に関しての評判は、そのトップヘビーな外観と相まって、ヤマトファンの間からは戸惑いの声も多く見られた。ファンの期待として原作の空母あるいは、PS版でリデザインされた戦闘空母の登場を期待していたことが大きな要因と考えられる。
第五章パンフレットに記載されている玉盛へのインタビュー記事によると、空母型は当初外見が全く同じで中身が異なるという方針だった模様。しかし外観がそのままだと搭載量に限界があることが判明してきたた為、特徴的な艦橋を持った空母型をデザインすることになった。
ちなみに、艦橋部分は小林誠、両舷や艦底の発進口は高倉武史と異なる人物がデザインしている。両舷発進口内部は、劇中では六角形が大量に敷き詰められているだけだったのだが、高倉デザイン稿ではリニアカタパルトのレールや機体を固定するアームなどが描かれていた。
関連タグ
宇宙戦艦ヤマト2202 宇宙戦艦 前衛武装宇宙艦 アンドロメダ(宇宙戦艦ヤマト) アキレス(宇宙戦艦ヤマト) アルデバラン(宇宙戦艦ヤマト) アンタレス(宇宙戦艦ヤマト) 安田俊太郎 空母 英国面