作品解説
「サブマリン707」とは、潜水艦マンガである。作者は小沢さとる。
小学館の週刊少年サンデーに1963年-1965年にかけて連載された。
今井科学から各種プラモデルも発売され、大人気となる。今でいうキャラクターモデルのはしりといわれる。
「アポロノーム編」において連載が中断。単行本化の際に、とりあえずの結末が書き下ろされた。
その後の再開は「707F(フュージョン・1991)」まで待たねばならなくなる。
「707(ナナマルナナ)」の名前は当時の旅客機「ボーイング707」からとられた。
マンガ「沈黙の艦隊」は、本作の「U結社編」「アポロノーム編」の影響を受けているといわれる。
あらすじ
日本の海上自衛隊所属の潜水艦707号は速水艦長の指揮のもと、海で起こる様々な事件に遭遇。これを解決していく。
各部
「U結社編」
秘密結社「U結社」は独自に潜水艦隊を組織し、世界中の軍艦や商船を襲っていた。それらは怪潜(怪潜水艦)と呼ばれた。
彼等の指導者は第二次大戦中のUボート艦長ウルフ。速水艦長の親友でもあった。ウルフの真意はなにか。
707号は怪潜を追う途中、怪潜に襲われた商船の生き残りの少年三人を救出。
一度は沈没するも修理改装され「707一世改」として再度「U結社」に挑む。
「謎のムウ潜団編」
第二次世界大戦のアメリカの潜水艦コッド・フィッシュ号は、日本軍に攻撃を受けて行方不明となる。
彼等が漂着したのは海底のムウ大陸だった。
コッド・フィッシュの艦長レッド大佐は、ムウ人たちをだまして近代化改修したコッド・フィッシュを量産し、地上世界全てに挑戦する。
707号はコッド・フィッシュに撃沈されるが速水艦長には新造艦707二世号があたえられ、僚艦と共にレッド大佐のムウ艦隊に立ち向かう。
小型潜航艇ジュニアが初登場。以後、重要な装備となる。
「ジェット海流編」
707号と乗員は海上自衛隊からPSG(Pacific Sea Guard)に移籍になる。
PSGは太平洋に航路を持つ国が共同で警備活動をするために組織された。
一方、某国の潜水艦は海中に超高速海流を発見。これを軍事利用しようとする。
「アポロノーム編」
全長800mの大型空母アポロノーム。全米軍の1/3の能力を持ち、平和の守り主としてアメリカが技術の粋を集めて建造した。
だが米軍内の革命集団エイモス・リーグはアポロノームを公試中に乗っ取ってしまう。
公試に招かれていた707号は、アメリカからアポロノームの追跡を依頼される。
チーフアシスタントが事故にあって右手を負傷し、絵が描けなくなってしまう。そのために連載を中断せざるを得なくなった。
アポロノーム編のとりあえずの結末は単行本化の際に書き下ろされた。
「盗まれた潜水艦編」
時系列としては「U結社編」と「謎のムウ潜団編」の間に入る。
海上自衛隊の潜水艦うしお号は新兵器の実験艦。これが亜間野三佐たちに盗まれてしまった。
速水艦長の707号の他、707号の副長だった南郷の708号、南郷の弟の709号が追跡するが・・・
単行本では省かれた「U結社編」の1エピソードを書き直したもの。
単行本
秋田書店サンデーコミックス版
各編がダイジェスト版になっている。一方で新規に描かれたページもあり、それらはこのバージョンでしか読めない。
例えば岸壁から夫を見送る速水艦長の奥さんが見られるのは、このバージョンのみ。
ラポート版
少年サンデー連載時の状態を収録した完全版。さらに連載終了後に幾つか描かれた短編作品も収録している。
小学館レジェンドBOX版
ラポート版同様に少年サンデー連載時の状態を収録。ただし短編群は未収録。
セリフの一部は(差別用語などが)改変されている。
書き下ろしの長編「ゾーン編」が収録されているが、一部未完成原稿。
続編
「最後の航海編」別名「アジのたたき編」
「マンボウ編」別名「ガーフィッシュ編」
「サブマリン707F(フュージョン)」
「2万3千年の航海」
映像化
幻となったアニメ版をはじめ、映像化もされている。ただし、いずれも原作漫画をモチーフにしているものの、ストーリーの直接の繋がりはない。
没企画(1964年製作)
最初に企画されたアニメ版。日本テレビ系で放送予定だったが、諸般の事情により製作中止。既にアフレコもされていた旨が当時の少年サンデーに掲載されており、一度は放送開始日もアナウンスされていた。
深海の艦隊 サブマリン707 (1997年製作)
初めてのOVA。製作は東映。レンタルビデオ化もされるが、DVD化はされていない。海底のムウ帝国に侵略したレッド率いる艦隊と戦うストーリー。なお原作版「謎のムウ潜団編」のレッド大佐の名を出しているが、特に繋がりはない。
サブマリン707R(2003~2004年製作)
全2巻。製作はアニプレックス。海洋テロを起すレッド率いる潜水艦隊との戦いを描いた物語。原作をモチーフにしているものの、やはり直接的なつながりはない。前作と同じキャラクターも登場するが、こちらも設定が大幅に変えられている。