「総統、その蛮族共も程なく一掃されることでしょう」
- cv:中村浩太郎
概要
『宇宙戦艦ヤマト2199』から登場する、大ガミラス帝星の軍高官の1人。ヴェルテ・タランの弟。デザインは変更後(ヤマト2~)のものを踏襲している。
兄が科学者かつ思慮深い人間なのに対し、彼は昔ながらの軍人気質で忠義に熱い人物。
宇宙戦艦ヤマト2199
国防軍参謀次長。階級は中将。彼の上司には参謀総長のネルン・キーリングがいる。閣議の席や、状況報告の為に良く姿を見せている。
経歴
大ガミラス帝星建国際にて、蛮族ことガトランティスの侵入を危惧していたところへ、ガデルがエルク・ドメルを派遣したことを、直に報告している。その後、余興として標的にされたヤマトが危機を乗り越えた際に使用された武器が、開発中のデスラー砲と同種のものと推測する兄のヴェルテに驚きの声を上げていた。
ガミラスの征服した惑星オルタリアで反乱が起きた時に、ハイドム・ギムレー率いる親衛隊がその星の住民を移民団ごと無差別に虐殺した際には
「親衛隊はやりすぎだ!」
と不快感を露わにした。このことからも、タカ派の多いガミラスの首脳陣の中では比較的珍しい人徳者でもある(元々親衛隊の横暴な振る舞いを快く思っていなかったというのもあるが)。
ドメルの国葬の際にも、兄がこの場にいない事をセレステラに問われ別の所にいる旨を言うと、ギムレーが「それは残念です、ご親友だったのでしょう?」と如何にもワザとらしい言い方と、ふつりあいな笑みで返している為、ガデルは目線で睨み返している。
帝都防衛戦では、デスラーによる都市区画の落下作戦に唖然としていた。その後デスラーが行方不明(公的には死亡扱い)になり、収容所惑星に捕われていたガル・ディッツ提督が帰還してきたのを出迎えている。なお、兄とは異なりガミラス本星に残っていたため無事であった。
宇宙戦艦ヤマト2202
『宇宙戦艦ヤマト2202』第4章(第11話)にて、デスラーの元へ馳せ参じている。合流した際にはゲルバデス級航宙戦闘母艦3隻を含む多数の艦隊を率いていた。
「総統のご帰還を、全軍心待ちにしておりました!」
と久々に再会できた喜びを口にしている。
劇中にて合流した理由は明かされてはいないが、公式プロフィールにてデスラーの目的・真意を知ったことで、それを支援すべく馳せ参じたとされる。なお、知った方法等は明かされていない。
後に元親衛隊隊長ハイドム・ギムレーがデスラー復権に動き、旧親衛隊や一部の政府幹部とクーデターを企図していたことが露見しているのだが、タラン達との情報共有が全く行われていなかったため、ギムレー一派とタラン一派は別組織の可能性もある。
第6章終盤(第22話)ではヤマトとの決戦に単身向かったデスラーに命じられ、艦隊とともに後方に控えていたことがデスラーとの通信でうかがえる。この際、デスラーの身を案じて救援部隊を送ると言いかけたところで通信を切られてしまったのだが、その後実際に部隊を送ったらしく、次章(第23話)での悲劇の間接的原因を作ってしまった。
心境の変化について
『2199』では圧政(特に親衛隊のやり方に対して)に批判的な傾向があり、後にデスラーに殺されかけ、最後はディッツやヒスなどとともに新しい時代へと進むガミラスを支える道を進んだ経緯がある。
その彼が、『2202』ではデスラーを厚く支持している描写が唐突に入ったことから、視聴者の間でも不自然は拭えなかったのは事実である。
実際問題、彼がデスラーに与した理由については、劇中はおろか公式サイト、劇場パンフレット、設定資料集のいずれでも一切語られていない。『2202』はシナリオ→本編映像の過程で重要な要素がことごとく削られてしまっているが、彼に関してはシナリオ集にも特に載っていなかった。彼の動機について明かされるのは『2205』まで待つことになる。
このため本作が完結するギリギリまで「何かしら深い事情があるのでは?」と視聴者の間で仮説が多く立てられており、兄の遺言説・現政権から送り込まれたスパイ説などいろいろと囁かれたのだが、有体に言えば全部無駄骨に終わることになった。
宇宙戦艦ヤマト2205
本作での公式のキャラクタープロフィールにて、ガトランティス戦役時にデスラーに合流した理由がガミラス星の寿命が迫る中孤独にガミラス民族の行く末を案じていたデスラーの真意を知ったためと明かされた(ただし知った経緯と方法は明かされていない)。本作でも引き続き副官として、そしてデスラー艦隊の司令として傍に控えている。
副官として助言し、またはデスラーが座乗艦に不在の際には変わって艦隊の指揮を取るなどの活躍ぶりを見せている。
また忠義に厚いのは変わらず、時としてデスラーの身を案じて制止する行動ぶりも見せる。
なお、彼のみならず民主化されたガミラス政府もまた、デスラーの真意を汲みガミラス民族の移住計画に協力している。
余談
旧作のタランは1作目だと脇役止まりで、続編で出世したキャラだが、実は彼も脇役スタートのキャラである。
『2199』時、元々のシナリオでは「タラン」と名がつくキャラはヴェルテ・タラン唯一人だった。その後(おそらくファンサービスのために)ガデルが追加で設定された模様。そのためデザインはメインキャラを担当している結城信輝ではなく、出渕裕総監督がラフを描き、サブキャラ担当の山岡信一がクリンナップしたもの。しかも出渕氏のラフはキーリングや他の閣僚と一絡げに描かれている。『2202』の公式サイトで彼の全身画の右半身が顔のアップに隠れているのは、そもそも『2199』で彼の全身が描かれた設定画は身長対比図しかなく、右半身部分に他のキャラが被っていて描かれていないため。
彼の出番は元々のシナリオだと他のキャラに充てられていたもので、例えば第8話の初セリフはヴェルテのもので、第25話でディッツ提督がやり取りする相手はメルダだった。そんな経緯なので『2199』だとメインストーリーに影響を及ぼすような出番は与えてもらえておらず、そもそもあまり喋らない(ヴェルテがドメルとしていたような私的な会話に至ってはほぼ無い)ので、穏健派ということくらいしか人柄は窺えない。
『2202』で登場した時も、デスラーはクラウス・キーマンやミルとやり取りすることの方が多いためガデルの出番は少なく、出ても基本的にデスラーの脇に控えているだけで先述の通り内面はほぼ描かれないので、脇役の域を出られなかった。
『2205』にてようやく彼にスポットが当たり始めており、今後の活躍が期待される。