「わしらはゲッターを倒し、世界のすべてを、宇宙を我が手中におさめる!!」
概要
2500年以上先の遠未来において、地球人類とゲッター艦隊、そしてゲッターエンペラーの侵略に抵抗していた昆虫から進化したとおぼしき異星人。
冷血無慈悲な殺戮を繰り返すゲッター艦隊を「宇宙の侵略者」と呼び、自らの宇宙を守らんとする。
ゲッターエンペラーに追い詰められ打つ手のなくなった彼らは、ゲッター線およびエンペラーの存在そのものを抹消すべく歴史改変を目論みゲッターが生まれたばかりの遥か過去…即ち現代の地球へと幾度となく戦力を送り込んだ。
その一つが百鬼帝国の本拠地である科学要塞島の元となった巨大宇宙戦艦であり、これから得られた科学技術を応用してブライ大帝が立ち上げたのが百鬼帝国である。即ち百鬼帝国とはアンドロメダ流国の尖兵の成れの果てに過ぎなかったのである。
最終的に百鬼帝国の残党カーター・マクドナル(ド)とその配下を拾い上げた諸葛孔明(コーメイ)の一派が、地球そのものを消滅させる最大規模の過去改変を実行するも、3代目ゲッターチームに逆侵攻を受け失敗。現代の地球に未完の最終兵器を送り込むことに成功するも自身らは母艦ごと自爆して果てた。
劇中で直接対峙してきた幹部達は倒れたが、本拠地である母星や大女王メルドウサについての描写は無く、作品自体が舞台を現代の地球に戻した上で絶筆・未完となったため、その後の動向や末路は不明となった。
被害者?加害者?
「アーク」におけるゲッター艦隊の所業だけを見るなら、原作者が同作ではゲッターを絶対悪として描いていたこともありまさに被害者に見える。しかし、彼らアンドロメダ流国をただの被害者と呼ぶには大きな疑問点が付く。
結論から先に言ってしまえば、本記事冒頭のセリフが彼らの目的だからである。
ゲッターエンペラーによって滅ぼす側と滅ぼされる側の立場が逆転された後でも、改心するどころかゲッターを討伐した後、改めて宇宙征服の再スタートを目論んでいる。
確かに宇宙に進出した地球人類は「輝かしい未来」と称して星々を植民地化していったが、流国は増長した人類を叩きのめした後「征服」ではなく「殲滅」を選んだ。降伏を許さず細胞の一片迄も残さずに根絶を選び、自ら「宇宙での戦いの掟」を教え込んでしまったのである(ただし、アンドロメダ流国が最初に人類に対してその方法を取ったという確証はない。別の種族が先に人類殲滅を行い、戦いの掟に染まり反撃してきた人類との闘いに後から参戦しただけという可能性もある)。
加えて、ゲッターサーガの世界観において異種族間の戦いは原則的に種VS種という善悪の無い生存競争、アークで武蔵が語ったところの「異文化同士が接触すれば避けられない戦い」であり、「被害者と加害者」と言うミクロな次元では語れないものである。
「アーク」時点での恐竜帝国も(一部の穏健派を除き)人類と和解などしておらず、流国打倒後のゲッター破壊を視野に入れているし、アニメ版においては拓馬のセリフから人類側もまた爬虫人類を信用していないことがうかがえる。人類と恐竜帝国の同盟は、宇宙船地球号に呉越同舟していただけでしかなかった可能性が高い。
禁忌を侵したという事実
しかして上記の推測混じりの考察がすべて的外れで流国が完全に被害者であったとしてもそれを台無しにする、流国を「悪」と呼べるかも知れない事実が存在している。
それは歴史改変に手を出したことである。
ゲッターロボサーガの世界において時間干渉は、完全にゲッターの走狗となった巴武蔵をして「科学的知識を持つ知的生命体であれば、決して触れない悪魔の領域」と言わしめる禁忌中の禁忌である。過去が未来へ与える影響はミクロの時空軸の歪みが星雲をも吹き飛ばすエネルギーを生じさせることもありうる。
事実、流国の干渉で生まれた百鬼帝国との戦いによってゲッターが本来の歴史よりも強大化した可能性は十分に考えられる。
ゲッターサーガ世界観の住人ですら禁忌呼ばわりしてドン引きするレベルのルール違反。宇宙の秩序の側に近いゲッター線(とその走狗と化した人類)が無慈悲な殺戮を選ぶのも仕方のないことかもしれない。
が、これは同時に禁忌に手を出さざるをえない程ゲッターに追いつめられていた証拠でもあり、「ルール違反はせずに黙って死ね」というのもまたゲッター贔屓の見方ではある。
大宇宙の掟
どっちにしろ互いを殲滅する事しか果てしない宇宙での戦いではありえない、滅ぼされたくなければ滅ぼす、というのがゲッターロボサーガにおける宇宙戦争である。
サーガ内ではこう綴られている。
—拓馬「こんなに甘えちゃっていいのかな…?何か…自分達で戦っている気がしねえぜ」—
—自分などという"個"はどうでもいい。ゲッターは…大いなる意志の戦いなのだ。それでなくては宇宙に存在するゲッターの意味が無いのだ!!—
—カムイ「大いなる意志とは何だ!」—
—本能だ!!本能に身を委ねれば全てがわかってくる!!生物が、人間がなぜ存在するのか。宇宙が…なぜ…存在するのか!!—
—そしてお前たちがなぜ殺し合うのか!これしか道は…ないことも…—
—―—戦う以外に道はない。生物の持つ『本能』によって——
それが宇宙の真理なのだろう。卵が先か、鶏が先か、という話ではない。人類が宇宙に進出したのも本能によるもの、アンドロメダ流国が人類を殲滅しようとしたのも本能によるものなのではないだろうか。
構成員
関連タグ
偽書ゲッターロボダークネス:悪しきゲッターの眷属「イデア」が支配する地球が舞台の作品。イデアもゲッター線に選ばれた勢力であるが、その本性はどちらかと言えば悪側に寄っていると言える。
大星団ゴズマ、宇宙帝国ザンギャック、宇宙幕府ジャークマター:スーパー戦隊シリーズにおける圧倒的な物量や軍事力を用いる宇宙勢力。ゴズマやザンギャックは流国同様に宇宙制覇の途中だが、ジャークマターのみは既に支配を完了している。
宇蟲王:令和戦隊における宇宙から来た昆虫モチーフの敵宇宙人軍団。こちらも侵略目的の為に改造強化された現地人の傀儡組織を利用していると言う共通点を持つ。
ベガ星連合軍:マジンガーシリーズにおける圧倒的な物量や軍事力で宇宙征服を目論む異星人勢力。当初は圧倒的に優勢だったが、後に窮地に陥ってしまったと言う共通点を持つ。
バッフ・クラン:伝説巨神イデオンに登場する異星人種族。こちらも圧倒的な物量や軍事力、更には高度な技術力や他種族とは馴れ合わない性質等の共通点を持つ。