「戦争はヒーローごっこじゃない!」
「自分だけで勝手な判断をするな!」
「力を持つ者なら、その力を自覚しろ!」
概要
アスラン・ザラが彼の命令を無視したシン・アスカを叱責した際の台詞。
インド洋での戦闘中、強制収容所で、付近で戦闘が起きているにもかかわらず労働をさせられる人々、またその混乱から脱走を仕掛けた者を殺害する場面を目撃してしまったシンは、連合の兵士達や強制収容所をビームサーベルで焼き払ったり、生身の人間にCIWS(バルカン砲)をぶっ放したりと大暴れしてしまったため、戦闘後、アスランは上述の台詞で咎めた。
シンとのやり取りからも分かる通り、ガンダム作品では恒例の修正シーンと言える。
しかし、連合軍に対して半ば一方的な虐殺行為を行った事実を指摘せず、具体性に欠けたアスランの叱責は修正としてはよろしくなかった。
加えて、ザフトに復隊する以前はカガリの個人SPを務めていたアスランにオーブ解放作戦で家族を守ってくれなかった恨みに近い反感を抱いており、助けた民間人に感謝され得意げになっていたシンは、叱責された意味を理解出来ず、「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね!けど、俺は間違ったことはしてませんよ! あそこの人達だってあれで助かったんだ!」と反発していた。
久織ちまき氏のコミカライズ作品『機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE』では、この時周囲にいたヴィーノ・デュプレらの反応が描かれ、彼らはシンがプラントに移住及びザフトに入隊した事情を知っているためシンに対してかなり同情的な反応を示していた。
その後、マハムール基地で子供達に銃の使い方を教えようとしたシンを再び言葉足らずな叱責をしたことから意固地になって反発され、ハイネ・ヴェステンフルスに「下手だな」と指摘されたアスラン自身も自らの言葉に思うところがあったのか、自分達の行動を「ヒーローごっこ」と自嘲している。
その後
上述の事件でシンとの関係が険悪になってしまったアスランだが、シンの境遇と心境を改めて理解し、夕陽が照らすミネルバの甲板で、シンに力の使い方を問いかけた。
「自分の非力さに泣いたことのある者は、誰でもそう思うさ。多分」
「けど、その力を手にしたその時から、今度は自分が誰かを泣かせる者となる」
「それだけは忘れるなよ」
ただ闇雲に力を振るうだけの破壊者になるなという、言葉足らずで終わってしまった前回の叱責をより具体的に説明したアスランの言葉を聞いたシンも思う所があったのか、反論などもしなかった。
『THE EDGE』では、「お前がエースだ。頼んだぞ」という台詞が追加され、呆気に取られるシンの表情、そして帰り際に恥ずかしそうに頭をかくアスランが印象的となった。
シンに歩み寄ろうとするアスランと、反発しながらもアスランを理解し始めつつあるシン。
そこにハイネ・ヴェステンフルスと言う輪を取り持つ存在もあって、二人は不器用ながらも良好な関係を築けていた。
だが……ミネルバに配属された直後に行われたダーダネルス海峡防衛戦でハイネは戦死。
シンとアスランも頭を悩ませる問題に追われ、すれ違いを重ね続け、エンジェルダウン作戦でキラ・ヤマトが駆るフリーダムガンダムを初恋の少女だったステラ・ルーシェを、(ベルリンの市街がこれ以上焼かれるのを防ぐやむを得ない理由があったとはいえ)殺された憎悪を爆発させたシンのインパルスガンダムが撃墜したことと戦闘後の諍いによって、二人の関係に亀裂が入ってしまった。
結果的に、マハムール基地での出来事が二人が最も歩み寄れていた本編中最後の場面となってしまった……。
余談
続編にして完結編の『機動戦士ガンダムSEED_FREEDOM』では(経緯こそ異なるものの)キラ・ヤマトに対しても修正を食らわせていた。
こちらは「大したヒーローだな!」という台詞になっている。
関連タグ
言った側:アスラン・ザラ
言われた側:シン・アスカ
この、馬鹿野郎!:アスランがシンを叱った台詞の一つ