呼称
日本ではよく「ヨハネの黙示録の四騎士」等と呼ばれるが、原典に騎士(古代ローマには「騎士階級」と和訳される「エクィテス」という階級はあった)に相当する単語はなく、そのため日本語訳聖書でも用いられない。
「それ(馬)に乗っている者」(新改訳)「それにまたがった者」(フランシスコ会訳)という訳語になっている。
英語訳聖書でもナイト(knight)とは呼ばれず「フォーホースメン」(Four Horsemen)と呼ばれる。
「ホースマン(Horseman)」とは「馬に乗る人」という意味であり、それ自体には騎士のような身分のニュアンスはない。
四人の乗り手を「騎士」と呼ぶ慣習は同じ漢字文化圏の中国にもあるようで、中国語版ウィキペディアでの項目名も日本語版と同じく「骑士(騎士)」が入っている。
ただし、中国語訳聖書でも騎士の訳語は用いられていない。
黙示録での描写
四人の馬の乗り手たちは6章において登場する。子羊(イエス・キリスト)が「七つの封印」の一つを解くと、智天使を彷彿とさせる異様な「四つの生き物」の一体が雷鳴のような声で「出て来い」と言う。
すると白い馬に乗った者が現れる。子羊による封印の解除は二つ目以降も続いていき、その度に馬に乗った者たちが現れる。
四人の乗り手たちには、剣と飢饉と疫病と野獣によって地上にいる人間の四分の一を殺害する力が与えられる。
白い馬とその乗り手
第一の封印が解かれると、一頭の白馬が出現する。それに乗っている者は弓を持ち、冠が被せられている。
英語ではこの乗り手を「ホワイトライダー」ともいい、侵略戦争を象徴している。
赤い馬とその乗り手
第二の封印が解かれると火炎の如く赤い馬が出現する。それに乗っている者は一本の大剣を持ち、地上から平和を奪う力が与えられている。
この力は人々を互いに殺し合わせるために用いられる。
英語ではこの乗り手を「レッドライダー」ともいい、内戦、内乱を象徴している。
黒い馬とその乗り手
第三の封印が解かれると黒い馬が出現する。それに乗っている者は天秤を持つ。
「四つの生き物」の一体の内から「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」という声が発せられる。
英語ではこの乗り手を「ブラックライダー」ともいう。前述の生き物の声は、この乗り手が象徴する、飢饉を描写したもの。
青白い馬とその乗り手
第四の封印が解かれると青白い馬が出現する。それに乗っている者は四人の中で唯一「死」という名を持つとされる。
その後ろには陰府(原語ではハデス)が付き従う。
英語ではこの乗り手を「ペイルライダー」ともいい、死と荒廃を象徴している。
創作での使用
X-MEN
スーパーヴィラン・アポカリプスはフォーホースメンという側近を擁している。
リビングデッドドールズ
四人の騎手をモチーフにしたドールがある。
それぞれが乗る馬は、馬頭のステッキになっている。
スーパーナチュラル
最終戦争を始める為に、ルシファーが儀式で呼び出した四体の死神。それぞれの指輪で力を使い、それぞれの死で人間を地上から消し去るのが目的。聖書でそれぞれが乗っているとされる馬と同色の車に乗って現れる。
※( )内はスーパーナチュラル内でのそれぞれの象徴する「死」
- 赤(戦争):フォード・マスタング
- 黒(飢饉):キャデラック・エスカレード
- 青ざめたような緑色(疫病):1972年型AMC・ホーネット ワゴン
- 白(終末=死そのもの・自然死):1959年型モデルのキャデラック
NetHack
最終局面にて第一・第三・第四の乗り手がプレイヤーの前に立ち塞がる。
第二の乗り手がいない理由は…。
SCP Foundation
「SCP-1295」では、とあるレストランの常連のフレデリック、パット、ドワイト、ウォーレンの4人組の老人達の正体が黙示録の4騎士であると仄めかされている。4人の会話によると、60年前に撃たれた核兵器の炎を終末の合図と勘違いして現世に降り立ったようである。
女神転生シリーズ
四体揃って種族「魔人」で登場。
『ペルソナシリーズ』でもペルソナとして四体とも登場している。
機動戦士ガンダムサイドストーリーズ
ペイルライダーというモビルスーツが登場。
他の三騎手モチーフの派生機も存在する。
ロードオブヴァーミリオン
「フォーホースメン」クラスの使い魔として登場。
「Re2」でペイルライダー、「Ⅲ」でレッドライダー、ブラックライダーが参戦し、次回作の「Re:3」でホワイトライダーが出揃った。
蒼ざめた馬
元ネタは上記にある青白い馬。同名の小説が2作存在する。
アガサ・クリスティの推理小説(原題『The Pale Horse』)。
もう一つはロープシン(ボリス・サヴィンコフ)の小説(原題『Конь бледный』)。
アニメ『ブラスレイター』に登場するサーシャが開発したナノマシン「ペイルホース」も同じ由来と思われる。
黙示録の四騎士(漫画)
戦姫絶唱シンフォギアGX
マスターであるキャロル・マールス・ディーンハイムを守護し、万象黙示録を完成させるために作られた4体の自動人形。
ニンジャスレイヤー
平安時代にヤマイ・ニンジャ、イクサ・ニンジャ、キキン・ニンジャ、ゼツメツ・ニンジャの4名からなる災厄の四ニンジャと呼ばれる強力なニンジャが存在したとされる。
チェンソーマン
「四人の騎士」と呼ばれる支配の悪魔、戦争の悪魔、飢餓の悪魔、死の悪魔という黙示録の四騎士に該当する悪魔達が登場している。
Fateシリーズ
四騎士の内ペイルライダーが『Fate/strange Fake』に登場するライダークラスのサーヴァントとして登場。
また、『Fate/Grand Order』の8周年記念PV『「Fate/Grand Order」Memorial Movie 2023』に黙示録の四騎士と思わしき存在が登場するシーンがある。
Lobotomy Corporation
ゲーム内における4種類ある攻撃属性がRED(赤)、WHITE(白)、BLACK(黒)、PALE(青)。
その他、各種UIにもその4色が使われているほか、その色を冠した便利屋達も出現する。
ONE PIECE
馬に跨りながら病を撒き散らす、ペイルライダーのような人物がいる。
また、偶然か否か原作1127話時点での四皇の髪色がその4色になっている。
- 赤:シャンクス
- 白:????? (???発動時限定)
- 黒:マーシャル・D・ティーチ
- 青:バギー
シン・エヴァンゲリオン
劇中ある人物が儀式を遂行させる為の道具として4体のエヴァオップファータイプと4機のNHGが登場。
それらが全て揃うことで「Horseman」と呼称される。
また、それぞれのエヴァとNHGのサブカラーがその4色に対応している。(一体のみ黒から黄色に置き換わっているが、元々のボディカラーは黒)