アルガス・ヴァン・ロールリーズ
あるがすおう
※このキャラクターは、現在ノベライズ版にのみ登場済みのキャラクターです。その為、記事内全体にコミカライズ版、アニメ版のネタバレが多数含まれているので、ノベライズ版以外が初見の方はご注意ください。
作中世界の人間達が住む中央、南、東大陸の三つの大陸を治める国王。
外見の具体的な特徴はノベライズ版では記載されていない為に不明であるが、『齢60を超えているというのに、その身に纏う覇気はまったく衰えていない』『歴戦の戦士というもの』との事から荘厳さ漂わせる威風堂々とした風格である事がうかがえる。
性格
勇者 アリオス・オーランドをはじめ、曲者揃いな勇者パーティーの面々でさえも平身低頭せざるをえない程の威厳を持ち、国や民の安泰を第一に考え、その為には時に冷徹な判断を辞さない場合もあるが、恩義ある相手に対しては身分の垣根を越えて対等に話し合おうとする公明正大な姿勢と、賢知と良識を兼ね揃えた名君である。
また、(現時点で登場している)後継者候補である実子達とも至って良好な関係を結ぶなど、権力者としては稀有な家庭人としても良く出来た人物である事がうかがえる。
また、自身の思惑を見抜いた上に、恐れる事なく自分に物申してきたレインの胆力に感心して、臣下達が非礼であると憤る中笑って許したり、アリオスが非道の末に失脚すると、彼の為に散々迷惑を被る事となったレインに対し、アリオスを勇者に指名した自らの落ち度であるとして頭を下げて謝罪するなど、王に相応しい大きな器量の持ち主。
勇者の末裔の一人であるアリオスを勇者へと指名した張本人であるが、そのアリオスが地方都市ホライズンで引き起こした魔族騒ぎや、南大陸の村 ジスで引き起こした天族と共謀してのマッチポンプといった勇者らしからぬ愚行や凶行に手を染めている事をジスの村民からの訴えや、冒険者ギルドへの報告などから知り、彼ら勇者パーティーを王都に呼びつけ、審問にかけるも、この時の処分は『王城の地下牢において一晩の留置』に留めた。
当然アリオスはそれらの悪行を一切認めようとしなかったが、明確な証拠も上がっていた事からアルガス自身は彼の悪行を確信しており、その処遇に頭を悩ませ、考えた末に『勇者パーティーに監視役をつけて、行動を抑制する』事を決め、王家の親衛隊に所属していた女騎士 モニカ・エクレールを派遣する事となった。
その後、ランク昇格試験の為に王都を訪れたレイン・シュラウドが娘のサーリャを救った事から彼とその仲間を城に招き、直接面会して礼を述べる。
その際にレインの名字である『シュラウド』と聞いて何か気づいた様子を見せると、その夜、王城で開かれた歓迎の宴の最中にレインを呼び出すと、その出身地を確認した上で、彼もまた、アリオス同様に勇者の末裔の一人であり、勇者に選ばれる資格がある事を明かした。
その数日後、政務の為に一時王都を離れるが、その間にアリオスの監視役についていた筈のモニカが、逆にアリオスを唆して、ランク昇格試験に挑んでいたレインに冒険者殺害の冤罪を着せて陥れる騒ぎを起こす。
更に勇者パーティーの仲間を使って、王都の騎士団までも動員してレインの仲間達を処刑しようとするも、レインの無実を信じるサーリャの協力もあって、最終的にアリオス達の陰謀は破綻。
騒動が解決した後に王都に帰還したアルガスは、早速捕縛されたアリオスら勇者パーティーを自ら取り仕切る裁判にかけ、その席上で、此度の政務の合間にアリオスがこれまで悪行を起こしたとされる場所へ直接赴いて、真偽の調査をしていた事を明かした。
それらの悪行と王都で起こした罪状とを併せ、遂に愛想が尽きたと告げた上で判決を言い渡した。
「アリオス・オーランド! 今この時をもって、勇者の資格を剥奪するっ!!!」
アルガスは、遂にアリオスから勇者の資格を剥奪した上で、冒険者殺し、そして『国を乱した反逆者』としての汚名を着せて、勇者パーティー共々投獄した。
その後、後任の勇者として、レインを推挙しようと直接打診するが、レインは「しっかりした覚悟を持たないまま勇者になってもアリオスの二の舞いになるかもしれない」「一般の依頼は引き受けられない立場となる勇者であれば、目の前で助けたい人がいても助けられなくなる」という理由から冒険者のままでいる事を選び、辞退した。
一方、アリオスに対してはその罪の重さ故に、死刑に処する事を決め、地下牢に投獄されていた彼に自ら宣告しに赴いたが、その夜の内にモニカの助けでアリオスは勇者パーティーの仲間共々脱獄し、姿を消した。
その際、アリオスから没収していた宝具(『真実の盾』『天の涙』)もモニカによって持ち出されてしまったものと当初は思われていたが、実際は万が一に備えてアルガスが密かに偽物とすり替えていた為に無事であった事が後に明らかとなった。
その後も脱獄したアリオス一行の捜索を国中に発令する一方、次代の勇者としてAランクの冒険者であった少女 シフォン・ノクスを指名した。
また、息子で第一王子のユウキ・ヴァン・ロールリーズが魔族の四天王の一人 豪炎のアルテラの動向調査に赴く事となった際に、彼の協力者としてレインと会うように勧めている。
家族・血縁者
第一王子。現時点で王家の後継者候補筆頭で、アルガス曰く、能力的には世継ぎとして申し分がないが、謙虚過ぎる性格だけが難点と考えている。
第三王女。実質彼女の存在がアルガスとレインを結ぶ架け橋となった。
レイン一行
(アリオス達の)勇者パーティーを追放されたビーストテイマー。
彼が娘のサーリャを助けた縁から知り合い、彼もまた勇者の末裔の一人であるという事実を教えた。
その後、王都での騒動を経て個人的に勇者と同等かそれ以上に強い信頼を置くようになる。
勇者達
アルガスが当初指名していた勇者。
次々と引き起こした勇者らしからぬ悪行に、その処遇について頭を悩ませていたが、王都で引き起こした騒動で遂に愛想を尽かし、勇者の資格を剥奪した。
アリオスが失脚し、次に打診したレインが辞退した事から、新たに指名した女勇者。
アリオスの一件に対する反省から、入念に選定した様で、実際その人となりはアリオスとは正反対に清廉潔白で真っ当な好人物である。
※以下、web版最新話における重大なネタバレを含んでいるので、web版 第801話以降を未見の方はご注意ください。
人類の王、魔族との全面戦争へ踏み切る…
しかし、女魔族リースと裏切り者である元臣下のモニカ、そして身も心も魔族へと成り果てた先代勇者アリオスによる陰謀で王都が魔族とそれに寝返った反乱分子によって危うく陥落の危機に陥るという未曾有の事態が起きたのをきっかけに、風向きが変わる事となってしまう。
その事件では終わらぬ魔族との戦いに辟易した人間側からも多くの者がリース達の勢力に同調していた事を考慮したアルガスは、自分の代でこの不毛な争いに終止符を打つ事を決意するが、その為の手段としてなんと『魔族との全面戦争』へと踏み切る事を決めてしまう。
それは四天王の一人 水王のジルオールとその部下 カシオン、そしてライハとの出会いをきっかけに『魔族も人間と変わらない』と考え、魔族とも手を取り合う道はないかと模索し始めていたレインの想いを無碍にする冷徹な決断であった。
当然、レインからはその決断を猛反対されるが、アルガスも人類を束ねる国の長として自分の決意を覆すつもりはなかった。そこで『予備の策』と称し、「半年の猶予を与え、その間に魔族との和平を結ぶ」という(半ば無理難題な)妥協案を提示する事でレインを納得させ、早速彼と仲間達は新たに最後の最強種 機翔族のコハネを加えた10人の仲間の最強種と共に再び魔族領である西大陸に赴き、ジルオール達と協力して、リースとの和平を試みるも、結局交渉は失敗。
やむなく戦いに挑むが、リースそしてモニカにとってはそれさえも最初から自分達の魂を糧に魔王を復活させる為の策謀に過ぎず、最終的にリース、モニカが自分達(と先の王都での決戦で敗死したアリオスの)魂を自ら捧げる形で、遂に魔王は復活を遂げてしまった。
だが、それからまもなく人間領から大量の討伐軍が一斉に西大陸に赴いたという事をレイン達は知り、更にその先鋒として西大陸に赴いたシフォンの口から、『アルガス王はレインの和平交渉の結果の有無に関わらず、大軍を魔族領に送る事を最初から決めており、レイン達が西大陸に赴いた直後には既に魔族討伐の為の軍を編成していた』事が知らされる。
つまり、アルガスがレインに行動を示したのも実質的には、彼を体の良い時間稼ぎに利用したに過ぎなかった…
この事実を知ったカナデ達レインの仲間の最強種達は「レインとの約束を破った」として当然の如く憤り、レインも多少なりともショックを受けていた他、作品外の読者達からのアルガスへの評価も大きく失墜する事となり、中にはそれまでとは一転して『クソ王』『アリオスみたいな奴を勇者に選んだだけの事はある』等と辛辣だったり、皮肉めいた評価の声も少なからず上がる事となった。