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魔族化アリオス

おちたゆうしゃのなれのはて

「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー」のキャラクター アリオス・オーランドの新たな姿…もとい堕ちるところまで堕ちた姿である。
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※この記事は、ラノベ作品『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー』の重大なネタバレを含んでいます。

記事内全体に書籍版、コミカライズ版、アニメ版のネタバレが多数含まれているので、web版以外が初見の方…特にweb版 第687話以降を未見の方はご注意ください。







「僕は、英雄になれなかった。正義を謳う勇者にもなれなかった。ここにいるのは、ただの魔族。ただのアリオス・オーランドだ」






概要編集


勇者パーティーを追放されたビーストテイマー』のメインヴィランの一人 勇者アリオス・オーランドは、仲間のアッガスリーンミナと共に、主人公レイン・シュラウドを理不尽に虐げた末にパーティーから追放し、その後もその勇者とは思えないほどの傲慢さや身勝手さで周囲を翻弄していた。

しかし、それからしばらくしてある事情で再会した際に、自らふっかけた形で引き起こした決闘でレインに惨敗した事がきっかけで、彼に対して尋常でない憎悪を抱く様になり、勇者としての使命よりも彼に対する復讐を最優先させ、あの手この手と行く先々でレインの謀殺や、一連の素行により徐々にボロが出て失われつつある我が名声や誇りを守るべく、魔族封印されていた最強種など、本来勇者として戦うべき存在さえも利用し、時には略奪殺人さえも厭わなくなるなど、勇者はおろか人間としての道さえも外れつつあった。


そんな中、勇者パーティーにお目付け役として派遣されてきた騎士 モニカ・エクレールによって言葉巧みに誘惑されたアリオスは、レインとを破滅させるべく、王家をも巻き込む壮大な陰謀を決行したが、最終的に失敗しただけでなく、それにより自身を勇者に指名した国王の怒りを買ってしまい、勇者の資格を剥奪された上に、それまでの数々の悪行も重なり、死刑を宣告されてしまう。

それでも執行直前にモニカの手で助けられたアリオスは脱獄し、アッガス、リーン、ミナ共々、国を混乱に陥れた指名手配犯として逃亡生活を送る事となった。


その後、web版第290話にて、以前から自身に反抗的となっていたアッガスがアリオス達を追手に売ろうと謀る裏切りに走った事から、アリオスはリーン、ミナと共に彼を粛清すると、モニカの真の主である女魔族リースの元に案内され、『魔族と人間の共存』を嘯く彼女と、現状打破の目的から手を結ぶ事となった。


以降はリースの本拠地で匿われながら潜伏していたが、その間、web版第438話でリースの陰謀に手を貸していたリーンがモニカに嵌められ、魔族化した果てにレイン達に討ち取られ、戦死…

その後、ミナもweb版第667話で、リースと繋がっていた教会関係者が引き起こした陰謀に巻き込まれる中、レイン達と和解した後、己の罪を償う形で自己犠牲の末に命を落とした…


こうして(元)勇者パーティーはアリオス以外の全員が死亡し、その魂は往くべき場所へと堕ちていった。


実質的に旧来の仲間を全員失ったアリオスであったが、当の本人は一向にレイン達の前に現れる事はおろか、物語そのものにも姿を見せず、長きに渡り潜伏を続けていた……








「やあ、久しぶりだね」


レイン「アリ、オス……?」







だが、web版 第687話にて、とある施設を訪れていたレインの前に、前触れもなく突然、アリオスが久方ぶりに現れてみせた。



明らかに人間とは異なる異形の姿へと変貌して……




その変貌ぶりに動揺するレインを後目に、アリオス自身は恨み重なる筈のレインを前にしても取り乱す事なく、今は互いに対峙する時ではないとこの時は顔見せだけに留め、自分から撤退しながらも、余裕さえを感じさせる態度で一言言い残しながら去っていく…



「レイン……君は、僕が殺す」



堕ちた“元”勇者 アリオス・オーランドは、とうとう『勇者』の肩書への未練はおろか、『人間』として生きる事さえも放棄し、越えてはいけない一線を越えた果てに、本来であれば討伐すべき筈だった存在 魔族へと自らが成り果ててしまっていた……



キャラクター像編集

容姿編集

人間であった頃のトレードマークであった自慢の輝くような金色だった髪は、悪意を凝縮したかのような漆黒へと変わっている他、端麗だった顔の半分にはなにかの傷跡の様な黒い痣ができ、無理矢理一回り大きくされたかのような明らかに不自然な体格(レイン曰く「明らかにトレーニングなどで強化したような姿容でない」)、禍々しく赤く光る左目など、一見して怪人然とした禍々しい姿へと成り果ててしまっている。


性格編集

魔族となった事で純粋な身体能力だけでなく、頭脳もかなり思考を突き詰めることが可能となったのか、事ある毎に感情を剥き出しにする程に短慮で激情家な気性や、何もかも自分の思い通りにならないと気がすまなかったエゴイストな一面、そして度々その行動の弊害となっていた『身の丈以上のプライド』、そして人間時代は失脚して尚も、返り咲く事に執心していた『勇者』の地位や、それによって齎される周囲からの称賛や名声への執着心といった彼の人間性を物語っていた問題点や俗的な欲望などが全て無くなり、その立ち振る舞いや言動、他者への態度は、冷静さを通り越して非常に冷淡なものへと変わっている。

以前であればその名前を聞くだけで不機嫌になっていた宿敵 レインと対峙しても感情乱される事なく、対等に会話する事ができるだけの精神的余裕をみせたり、状況に応じて、今は対峙する時ではないと判断したり、状況的に不利であると理解すれば、無意味に交戦を仕掛けようとせずに素直に撤退を選ぶという、合理的な(もとい読者目線で見れば、ようやく人並みに)思考能力、判断力を得るまでになったばかりか、味方であるモニカやリースが自分を利用して何か別の策謀を目論んでいる事に自力で察する勘の鋭さも見せるなど、以前の彼を知っている者達からすれば、違和感さえも覚える程に、その性格は精錬されており、まさにレインの宿敵に相応する切れ者になったといえる。


当然その様相を目の当たりにしたレインもまた、身体的では格段に強化され、精神面では自然体となった故に無駄がなくなったアリオスを、「性格が歪な人間」ではなく「存在自体がおぞましくなった」と強い危機感を含めながら評していた。


激的な性格変化の真相編集

ここまで無駄を削ぎ落とせる思考は大多数の人間ではそう簡単には成せないだろうが、この180度反転したともいえる性格の変化の理由は、魔族になり人間とは異なる価値観を手に入れた事で「魔族となった自分が何故、人間の声など気にする必要があるのか?」と、それまで狂信的に駆られていた俗的な欲望(特に勇者の称号や人々からの称賛や名声)への興味が喪失。無駄なものを削ぎ落とした事で、あと残った自分の本質が「強き者である己のプライドを守ること」であると気づいた事だった。


『勇者』という絶対的な力を持つ者として生まれ、強き者である事を狂信的に叩き込まれたアリオスは、『力を持つ者の頂点に立つ』事、さらには『強くある』事そのものが、己の生きる上での全てと考え、それが彼の本質ともいえるプライドの土台となっていった。

そして、『強き者の頂点=勇者として褒められること』=勇者としての称賛や名声は、そのプライドを死守する為の方法でしかなく、例えばさらなる利益を得る手段として利用するなどの目的はなかった。自分の保身や名誉向上、そして目の敵であるレインを陥れようと謀る時に限って頭がよく回るのも、プライド死守の手段=『常に強い存在でいなくてはならない』という自分の生き方に忠実に果たそうとしていたからであり、「強き者の頂点である勇者として見放されるのであれば、その原因たるレインを殺すこと」に執着していたのも、その結果論に過ぎなかった。


人間時代に目先の感情に捉われて賢く立ち回れず、レインを相手に負のスパイラルと言える暴走と自滅劇を繰り返していたのは、人間という小さな存在では、何時しか制御しきれない程に肥大化してしまったプライドに釣り合うだけの力が足りず、そのギャップの差があまりに大きすぎた事で、プライドを守るための方法がわからず、その結果、力無き故にもがいていたのが真相である。


つまり彼は、プライドに釣り合う超越者でなければ理性的になれなかった


言い換えれば、プライドを身の丈に合うよう調整するのではなく、大き過ぎるプライドを呑み込んでなお暴走しないスペックの脳を持つ超越的な肉体を手に入れるという、斜め上の方法で解決が図られたのである。


それでも、人間時代とて『限界突破』という勇者の血を受け継ぐ者の特殊能力をもって成長限界のなかったことから、順当に成長していれば超越者になりえたし、当初は仲間たち全員をいずれ切り捨てる腹積もりでいたことも符合する。単独で自尊心を満たせるほど強くなれれば、もう仲間というしがらみなど必要ないからである。かつてレインを最初から使い捨てにする一連のやり方も、はけ口という形で自尊心を満たす手段と考えれば腑に落ちる。

ところが成長過程そのもので躓き、筋道を見失ってしまった彼は、禁忌の手段を行使した一足飛びに強くなるしかなかった。

したがって闇に堕ちたというよりは収まるべき所に収まったというのが今のアリオスであり、幼少期の熾烈な環境で歪んだ彼がやっと自分らしく生きられるようになったとさえいえる。


人間を捨てた元勇者…人間らしい心を得る…編集

こうした魔族化した事で精錬されたアリオスの性格を見た読者の間では、一時は「人間時代よりもクセ者になった」「余計に厄介な敵になりそう」等と懸念されていたが、王都においてレインと決着をつけるべく動き出した事に伴い、アリオス自身が、人間時代の勇者パーティとしての勝手な立ち回りやそれによる転落といった暴挙(もとい愚挙)の数々を、客観的な観点で一切合切正直に認め、「魔族になってから視野が広がった」、「人間だった頃の自分の愚かさには呆れてしまう(意訳)」と自嘲すらしたこと、そして人間であった頃は頭から見下して、その才覚を意地でも認めようとしなかったレインの事を『英雄』であると素直に認めるという、読者の予想していたものとは大きく異なる一面が露呈し、レインもレインで、今のアリオスであれば悪徳勇者ではない真の勇者に相応しいパーティメンバーを集められそうだと分析し、その様子にまるで人間味を感じさせるほどだと感じるまでになるなど、風向きが変わる事となる。


勇者時代、そして零落から魔族化するまでの言動からして、大部分の読者からは今更アリオスの性格やそのキャラクターに対する評価が改善されるような展開など『ありえない』と思われていた中で、上述の展開に至った事は、ある種の衝撃を与える形となった。


だが、人間でなくなったことで逆に人間らしい性格や思慮深さが身に着き《勇者》の肩書を失い、仲間を失い、後に戻る術も完全に絶たれた今になって『勇者に相応しい』と評されるまでになったというのは、アリオスにとってはこの上ない皮肉であると同時に、優しさや他者への配慮さえ垣間見せるほどの人格に落ち着く為には『魔族になる』という邪道でしかなす術がなかったという、改めて彼の人生が周囲の悪意や野心によって歪み、そして翻弄された哀れなものである事を実感させるものでもあった。


レインへの執着心の本質の変化編集

魔族として落ち着いた後も、レインに対する執着心だけは相変わらず変化は無い事は認めているものの、その執着心を構成する動機も、人間だった頃…ひいては勇者だった頃のような『『自分の自尊心を満たす為の気まぐれで加えただけのおもちゃ』の分際で自分に楯突いた果てに、打ち負かされ土下座をする羽目になった』ことや、『冤罪を着せて引導を渡したつもりが切り抜けられ、最終的に反撃された末に知恵負けした』こと、そしてその結果、『自らの“勇者”という称号を剥奪されてしまった』ことといった逆恨みの私怨は全て削ぎ落とされ、あくまでも『強き者の頂点に立つ者と信じていた筈の自分を地に膝を付けさせた事実に対する「悔しさ」』という純然な反骨心によるものだけとなっている。


また、アリオスが魔族へと転身した具体的な経緯は作中では書かれていない為、仔細は不明であるが、アリオス自身の回想から察するに「最初は気まぐれの為のオモチャとしか思っていなかったレインが軽々と自分を追い抜いて先に行ってしまう事実を受け入れられず、更にはどうあがいても彼に勝てない悔しさに苦悩した果てに、最終的にレインに勝つための方法として『魔族になる』事へと行き着いた」と、人間である事を捨て、魔族へと転身する過程で、レインに執着する動機も逆恨みから少しずつ変化していった経緯が示唆されている。


ちなみに、彼が“人間として“本編に直接登場した最後の場面では、『仲間であったリーンがレインに斃された事をモニカから(虚言込みで)報告され、レインに対する恨み憎しみを更に募らせて怒り狂う』というものであったが、魔族化しレインと再会したアリオスは、彼に対してリーンについて言及する事もなければ、その他の勇者パーティーの仲間達(アッガス、ミナ)に関して触れる事さえもしない等、魔族となった事でアリオスの脳裏からは亡き仲間達の存在を含む人間時代の心残りは全ての捨て去り、果ては数少ない味方であるモニカやリースにさえも自分は都合の良い『駒』のひとつとしか見做されていない事を薄々察しながらも、それでもあくまで『プライドのためにレインに勝つ』というに唯一人間時代から変わらずに残った最大の目的の為に進もうとする姿は悲壮感さえも感じさせ、そんな傍から見れば悲しく、惨めな立場に甘んじてまでもレインとの決着だけに執心する様は、これまでの性格や行動とは別種の意味で『救えない』運命に身を落としてしまったともいえる。


その事は、後にアリオス自身の口から、レインが最強種と契約してその力を借りているのと同じく、彼もリースやモニカから力を借り受けるも、レインのそれとは違い、レインとの決着を果たした暁には、自分の魂をリースやモニカへの捧げ物とするという後戻りの効かない契約の上で成した事であり、この力の代償として、死後は生まれ変わる事もできずにこの世から消滅してしまう運命が待っているが、アリオスもそのリスクを承知の上で契約を果たした事を打ち明けた事で、決定づけられる事となった。


その覚悟を見たレインも、遂にアリオスと全力で戦い、せめてこの手でその救いのない運命に終止符を打つべく、決着を着けることを決めた。


経歴編集

レインとの再会から更に話数を経た後、web版765話にて、再びレイン一行や自分に代わって勇者となった少女シフォン・ノクスの前に姿を見せたアリオスは、モニカと共に、次々と冒険者達を無差別に殺傷してまわるという『冒険者狩り』に手を染めている事が判明。


撤退後、モニカとの会話から一連の冒険者狩りは、新たに手に入れた剣『ソウルイーター』を強化する為であり、さらにそれらの果てにモニカ達が目指す最終的な目的が「ロールリーズ王国(人間領)の崩壊」である事が明らかになった。


長き潜伏を経て、動き始めた“堕ちた元勇者”は、灯台元暗しの発想でモニカ達と共にロールリーズ王国の宿屋に堂々と宿泊して計画を練り、いざ動き出すとごく短時間でロールリーズ王国の結界を破壊。これにより人類最後の砦は丸裸となった。


同時に、事前に王国各所に潜伏させていた魔族の活動を開始したのを確認すると、自ら引き起こした混乱に乗じる形でレインを魔装具を使って王都の郊外に転送。


レインに対して、決着をつける前に自らの心の内を明かしたアリオスは、かつて、まだ自前の武器を揃えていなかった丸腰のレイン相手に抜剣して襲いかかったり、今は亡き勇者パーティーの仲間達や大勢の騎士を引き連れて襲いかかっていた2度の対決時とは異なり、双方共に援護無し小細工無しの正真正銘の”一騎打ち”によるレインとの最後の戦いの戦端を開く…


装備・技能編集

  • 武器
    • ソウルイーター
      • 魔族化して以降、王都でレインと二度目の会遇を果たした際にアリオスが所有していた剣。
      • それまで所有していた剣とは打って変わり、当初は錆びた刀身にボロボロの刃という、一見すれば武器として使うに耐えない代物であったが、人を斬る時だけは見た目からは想像もつかないほどすごい切れ味を見せる一種の魔剣
      • これを与えたモニカ曰く「伝説の装備である〝彗星の剣〟と対を成す武器で、魂を喰らい成長する性質を有し、人の血を吸えば吸うほど強くなる」との事。一定数以上の魂やその欠片を使ったことで、ついに剣は真の存在に昇華し、血を思わせる赤色をした、宝石のように輝く綺麗な刀身になった。以上をもってアリオスが魔族としての真の完成を迎えた証拠と言える。
      • その性能を引き出した際は暗黒の力があふれ出るらしく、目の当たりにしたレインはかつてエドガー・フロムウェアに使われた即死魔法と同等の危険性を感じ取った。

  • 技能
    • ナイトメアボルト
      • 龍のごとく荒れ狂い、天に向かって昇る黒い稲妻。
      • おそらくギガボルトをベースに強化したものか。アリオスはこれを使い、魔族や魔物から王都を守護する結界を一撃で破壊した。レインも使用可能になった雷魔法程度なら貫通する。
    • 幻影
      • モニカが使用したものをベースに改良したもの。幻影成分をあえて減らすことである程度は質量を持った残像として展開できるため、本体を仮に見抜いても幻体を無視する戦術が通用しない。
    • 瞬間移動
      • リースが使用したものをベース。
    • 豪炎
      • リースが確保していた四天王のアルテラから奪い取った力。これにより自分の剣に炎を纏わせた。ちなみにアッガスも似たような技を使用していたが、それを模倣したものなのかは不明。

  • アイテム
    • 水晶玉
      • レインとの決着をつける目的で持参した。拳サイズの水晶玉「らしきもの」。過去にリーンが使用した『闇水晶』と似ているが、同じものなのかは不明。転移魔法が封入されているのか、彼は自分とレインを人気の無い王都郊外へ転移させた。

人間関係編集

魔族編集

(元)勇者パーティーの仲間達全員を失った現時点(web版)でのアリオスにとっては最大の味方である女騎士。彼女がリース共々、自分も知りえぬ壮大な陰謀を企んでいる事に勘づきつつも、それまでの自分への献身的な態度から、自らそれに協力すると言いのける程、その信頼関係は人間だった頃に増して親密なものとなっている。


アリオスが手を組んでいる女魔族。現時点では魔族となったアリオスと対話する場面はないが、彼の魔族化も恐らくは彼女が何らかの関与をした可能性がうかがえる。


レイン一行編集

人間だった頃からの最大の宿敵。性格が変化した事で、以前のように会遇する度に挑発的だったり、激情を顕にするといった態度を見せるような事はなくなったばかりか、上述したとおり彼を『英雄』と称すなど、彼の才覚を素直に認めるまでになったが、アリオスの目的の根本にある『レインに勝つ、そして殺す』という目標には変化がない。一方のレインは良くも悪くも人間だった頃から一転したアリオスの変貌ぶりに、「(今のアリオスは)何を考えているのか全くわからない」と自分達にとって大きな脅威になったと認識しつつも、同時に(歪な形であれど)成長した彼を認める様な節も覗かせている。


  • リファ、サクラ、フィーニア、ライハ

いずれもアリオスが勇者の資格を剥奪され、逃亡・潜伏する事となった後にレインの仲間に加わった鬼族、呀狼族、不死鳥族、魔族の少女達。その為、長い事アリオスと対峙する事はなかったが、リファは噂でアリオスの悪行を知っていた他、サクラ、フィーニア、ライハも、王都でアリオスと初対峙した際に彼の行っていた凶行や、ティナの言葉を聞いて直ぐに彼を「敵」と認識している。


新勇者パーティー編集

失脚した自身に代わって勇者に選ばれた少女。彼女と会遇した時には既にアリオスは魔族となって勇者の称号に対する執心を失っていた為、彼女に対しても然程興味がなさげであったが、対するシフォンの方は、アリオス達の『冒険者狩り』によって仲間が被害を受けた事から、強い敵愾心を抱いている。


旧勇者パーティー編集

人間だった頃のアリオスの仲間の一人だった魔法使い。アリオスが魔族化した時点で既に故人となっているが、彼に先んじて魔族化した勇者パーティーのメンバーである。


余談編集

魔族化する以前から、『勇者』の地位を含んだ全てを失って尚も、物語から退場する事なく、レインへの逆恨みだけを生きる糧に、どんなに落ちぶれ果てようともしつこく暗躍を続けるその異常なまでの執着心・復讐心を、大抵の悪徳勇者の主な役回りである「主人公のかませ犬だけで収まらない」と評する意見もあったが、魔族化した事で、あの度し難いエゴイストだった性格とはまるで別人の如き広量な性格へと変貌した様子に、それまでアリオスの事を蛇蝎の如く嫌っていた読者も予想外といえる展開に半ば戸惑いつつも、これまでのように唯ヘイトだけを集める存在ではなくなったとして、(人間時代の愚行や凶行は許せないとしても)好感を抱く声が少しずつ上がりつつある。


レインvs魔族化アリオス 最終決戦!! (※ネタバレ注意)編集


※以下、web版最新話における重大なネタバレを含んでいるので、web版 第788話以降を未見の方はご注意ください。
















魔族となり力を付け、装備を整え、後ろ盾を得たアリオス。

しかしそれでも、レインの変幻自在のビーストテイマーとしての幾重の策は見抜くことができず、徐々に戦況はレインに傾いていく。

やがて王都を襲っていた魔族の大軍を退けたレインの仲間が集まってくるが、レインにとっては自分自身の問題であり、あえて1対1の対決を望み続けたため、互いの力量のみが勝敗を決する状況に変わりはなかった。


そして、レインの攻撃をアリオスはついに受けきることが出来ず、敗れる。



互いの表面上のスペックが仮に対等だとして、それでもレインに追いつけなかった理由は主に2つあった。


1つはレインから「指摘」された点、それは「力を借りる」だけでなく「背中を預ける」ことのできる心からの仲間の有無が差を分けたこと

翻ってみると自分を勇者として育成した家族然り、勇者パーティー然り、リースモニカ然り、アリオスが結んできた人間関係は、常に“打算”の上でしか成り立っておらず、アリオスの事を利害の一致抜きで心から信頼してくれる人間が1人もいなかった上、アリオス自身も損得抜きで他人を信じる事をせず、心許す相手を一人も置こうとしなかった。

幼少期の育てられ方まで含めて、仲間の真の価値を教えてくれる人間との縁に一切恵まれなかったことが要因としてあろう。


2つ目はレインから「思索」されていた点、それは「人を見ていなかった」こと

アリオスはレインを当初、使い捨てできる存在としてのみ認識していたが、レインはアリオスの戦い方をビーストテイマーとしての観点で知識を積み重ねていた。

アリオスは、自分の根本的な戦い方が相手に読まれていることを認識できず、強大な力をレインに当てるための立ち回りがどうしても追いつけなかったのだ。


生き方の違いこそが勝敗を分けたことをレインから教えられ、改めて自分の敗北を認め、受け入れたアリオスに、勝利した筈のレインの表情は憂いでいた。


そんなレインに向かって「敵が消えるんだから、もっと喜んでみせたらどうだい?」と尋ねるアリオスだったが、それに対してレインは「喜べるわけないだろう。お前のことは許せないけど、でも……」とその複雑な胸中を告白。


あれだけ邪険な仕打ちをして追放し、その後も不倶戴天の敵と付け狙い続けた自分にさえも憐憫の情を向けてくるレインに「本当に甘いヤツだな、君は」と呆れながらも「でも、それでいいのかもしれないね……そんな君だからこそ、僕は……負けた」と改めて彼の人となりを認めながら、力を使い果たしたアリオスの身体はリース達との契約に伴って静かに塵と化し消滅していった…



「僕が間違っていたよ……すまない」



というレインへの謝罪の言葉を最後に残して……



対立する理由が消えたこの瞬間、彼はカナデからかつて言われた「レインに(した酷い仕打ちの事を)ちゃんと謝って」を自らの意志で果たしたのである。


のちに生前の行いが祟って地獄へと落ちた彼は、かつての仲間たちと再会する。

本作の世界観における地獄とは「自分が犯した罪に関わる全員から許しを得るまで責め苦にあう」というものであり、最初に亀裂が入ったメンバーであるアッガスからはそれを踏まえたうえで「絶対に許さない」と釘を刺される。しかしそれは、胸中を包み隠さず明かしあえる仲にはなったことを意味しており、ようやくここに来て彼らはまともなコミュニケーションを取るに至ったのである。


だが、それもここまでであった。

リース、モニカらとの契約の代償…「魂を差し出す」効力によって、その魂は完全に消え去った。


ほんのわずかな間ではあったが、彼らは確かにこの瞬間、本当の意味で「仲間」となる事ができたのであった……。



こうして、アリオスの消滅を以て、旧勇者パーティーは全滅となった。

また、アリオスとの決着を以て、自らの過去に纏わる全ての因縁に終止符を打つ事ができた今、レインは頼れる仲間達と共に、過去の忌まわしい歴史を繰り返す形で再び勃発しようとしている人間と魔族との全面戦争を回避する為…そして、その裏で已然、暗躍を続けるリース、モニカ、そして人間に絶望し、滅ぼさんとしている『始まりの勇者』=ラインハルトを止める為に、本当の意味での戦いに身を投じることになる……




そしてそれからしばらく後…


契約の代償でモニカ、リースの手中に収められたアリオスの魂は、彼女達の魂と共に魔王復活の為の糧に捧げられ、遂に魔王は完全復活を果たしてしまった。



余談2(※ネタバレ注意)編集

  • 人間時代の人物像、そして物語のタイトルにもあった『勇者パーティー』のリーダーにして、実際にレインとの間に浅からぬ因縁を築き上げたキャラクターであった事から、読者からは今作品におけるラスボスの筆頭候補と目されてきたアリオスであったが、同じくラスボス候補であったリースやラインハルトとレインが本格的な対峙を果たす前に、中ボス的な扱いとして退場した事に驚く声も少なからず上がっていた。
    • だが、リース、モニカ、ラインハルト達がいずれも今作の根幹にある『人間達の過去の業と、魔族を含む最強種との因縁』に深く関わっているのに対し、アリオスはそれに関与していた描写は(現時点では)見られず、勇者の座から転落して以降はリース達程にストーリーの本筋にはあまり関わる事がなく、彼自身もあくまでレイン以外眼中になかった事から、リース一派の手駒・当て馬程度の存在にしかなりえなかったといえる。

関連タグ編集

勇者パーティーを追放されたビーストテイマー

元(悪徳勇者 魔族化 人外


ミイラ取りがミイラになる:魔族となったアリオスを表す台詞、ことわざ。


毒親の被害者:上述したとおり、魔族化した事で性格が改善されたアリオスを見た読者からは「彼は『勇者』として生まれ、『勇者』になるべく育てられたが故に、救いようがない人物像になってしまい、もしも勇者でない形で生まれていたのならば善良な人生を送る事ができた」と考察され、原作者である深山鈴氏もその考察を肯定する節を見せている。


悪のカリスマ(?)、哀しき悪役:魔族化以降の動向、特にレインと決着をつけるべく対峙した際に見せた大物感が増した言動や、雪辱を果たすために己の命までも顧みない覚悟を示した姿から、これらに値すると評価する声が増えている。

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アリオス・オーランド ありおすおーらんど

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