「あまり俺をなめるなよ愚民が。この俺に逆らう者は処刑だ!! 今ここで始末してやっても良いんだぞ!!」(コミカライズ版)
「何故だ…何故死なない!? 俺は領主の息子で、誰も俺に逆らえない なのに…なんであの傀儡はのうのうと生きている!? やはり貴様は俺から全てを奪うのか!? 認めない…認めないぞぉぉッ!……認メラレル…モノカアァァァッ!!」(アニメ版)
プロフィール
概要
内陸奥地の街 ホライズン を治める領主(CV:こばたけまさふみ)の息子。
長い金髪の美男子で華美な服装をしている。
偶然街で見かけて一目で気に入ったソラとルナを自分の女にしようと、レインに二人を引き渡すように取引を持ちかけるが、レインからはきっぱりと断られてしまう。『自分に従わなければ反逆罪として処罰する』と脅しをかけるも、これも通じない事にしびれを切らし引き連れていた兵士達をけしかけるも返り討ちに遭う。
兵士達ではレインに太刀打ち出来ないと知るや、今度は無関係のホライズンの領民達を人質にする形で強引に懐柔(事実上の脅迫)を図るが、彼がソラと契約したことで得た力『連続詠唱』を発動した事で、残っていた兵士を全員打ち倒され、自身も剣を突きつけられて追い詰められた事で、一先ずは退却した。
館に引き下がった後も、自らに逆らうだけでなく邪魔をしたレインに対して腹の虫が収まらず、騎士団ホライズン支部長のジレーにレインの素性を調べ、可能ならば彼を捕縛して自分の前に連れてくるように命じ、更には本編開始前の頃に卑劣な手段を行使して奴隷にしていたニーナを虐待する事で憂さを晴らした。
しかし、エドガーが何かしらの報復を仕掛けてくる事を察していたレイン一行は、同じく領主親子の走狗と化している騎士団の現状を良しと思っていなかった副支部長のステラら数少ない良識派の騎士達と共闘し、ジレーらエドガーに与している騎士達を逆に罠にかけて捕縛した。
ジレーらが捕らえられ、騎士団が自分の味方でなくなった事を知った領主親子は、奥の手としてニック率いる傭兵達で構成された私兵を動員して迎え討つが、その私兵すらもレイン達によって一網打尽にされてしまう。
そんな時に黒いローブを羽織った人物から授かったマジックアイテムでレインを即死させようとするもレインがルナとの契約によって獲得した能力『状態異常の完全無効化』によって無効化されてしまう。そのまま館に突入してきたレインに追い詰められるも、尚も敗北を認めずに、自らの地位と権力に対する底しれぬ執着心を見せた結果、その強烈な負の感情に反応した指輪を介して出現した魔族(CV:鳥海浩輔)に身体を依り代にされてしまった。
キャラクター像
その美麗な外面に反して、ケダモノのような色欲の持ち主で、劇中での描写から、特に幼い生娘を好んでいる(アニメ版では騎士達を使って幼女を連れ去らっている描写がステラの回想シーンで描かれている)。
さらに、女性を愛でるよりも、虐待したり、慰み者にするなどして苦しめる事を楽しみとし、月に一度くらいの頻度で街で見かけた気に入った女を強引に連れ去って、言葉にできないようなことをするなど、最早変質者同然の暴挙を、恥も外聞もなく行っている。
その執念深さも並外れており、自分が欲しいと思ったものを手に入れるためには、その標的が明確な意志で拒絶しても「拒否権はない」と言わんばかりに兵士を取り囲ませていく。しかしそれさえも序の口であり、前述の通り「自分に逆らえば反逆罪に問う」と脅し、欲しいと思ったものさえも多少傷つけても手に入れようとする。
その強引なやり口から、領民の中には彼に目をつけられた事で、街から逃げざるをえなくなった女性やその家族もいる程。
領主の息子として生まれた事から自分をホライズンの街で二番目に偉い存在(一番目は父親である領主)だと思っており、民が自分に逆らうこと自体あってはならないと本気で考えている。「支配者とは頂点に君臨する者であって何をしようが自由であり、どんなに理不尽な事をしても受け入れるのが民というものだ!」と身勝手極まる腐敗した選民思想に一から十までどっぷりと浸かっており、レインから「バカに権力を持たせるとロクでもないことになるっていう、典型的な見本」と評される。
ホライズンの領民も「道具をどう扱おうが持ち主の勝手」といった考えから窺えるように道具か玩具としか見ておらず、兵士に領民を人質に取らせるといった行動を平然と取る。
さらにコミカライズ版では、真っ当な正義感を抱いていた騎士団長のジレーに屈辱的な仕打ちを行い、彼を欲望と腐敗に溺れさせる一因になった事を示唆させる描写が追加されている。
だが質の悪いことに自らが領民に心底嫌悪されている事を自覚しており、監査から逃れるために騎士団を賄賂で抱き込んでいる。更には予想外のトラブルに備えて領民に金を握らせ、騎士団に内通者を用意させたり、万一に騎士団が敵に回った時に備えて、100にも及ぶ私兵を雇うなど、別の意味で広い視野と頭の回転の早さを持っている。
そんなどこまでもドス黒く穢れきった心は、ある人物のお膳立てで入手していた禁断のマジックアイテムによって魔族を呼び寄せてしまう程であった。
反面、今まで何不自由なく挫折らしい挫折を経験せずに温々と暮らしていた為に、間近で叩きつけられる人の憎悪や暴力に耐えられるだけのメンタルも持ち合わせていない。それは被害者に比べれば遥かに軽い暴行を受けただけで取り乱し、その自尊心を簡単にかなぐり捨ててしまうなど本質的には極めて小心者である。
また、アニメ版では冒頭二段目の台詞をはじめ、レインという自分がこれまで(無理矢理に)押し通してきた『常識』が通じないばかりか、正面切って手向かおうとする気概を持った存在が現れた事で、自らの歪んだアイデンティティー(権威、冨)が崩されてしまう事に対して過剰に怯えている節を覗かせていた。
戦闘能力
領主である父から甘やかされて育ったのが祟ったのか、敵と戦うどころか自衛のための訓練も一切していないため、戦闘能力は皆無である。
そのくせ書籍版では「そういう力仕事(戦闘行為)は、自分でものを考える事のできない愚者がすることだ」という兵士をはじめとする戦闘を生業とする者たちを侮辱する暴言まで放っている。
その為、敵対者との戦いでエドガーが取れる選択肢は『手下の兵士や部下に戦わせる』『関係のない者を人質に取る』といった小物な悪党がやりそうなことのみで、それらも使えず絶体絶命の状況に立たされると、プライドをかなぐり捨てて命乞いをするしかなくなってしまう。
権力に胡座をかいた男の末路
激戦の末、レイン達に敗れた事で元に戻り、その後は治癒院へと運ばれたが、深い怪我を負った事による後遺症で杖なしで歩けない体となった上に、父親が既に犯罪者となって投獄され、エドガー自身の権力も既に無くなった事を知らされてしまう(エドガーは担当していた治癒術師になんとか治す様に命令するも反抗的な口調を叩かれ、しまいには哀れまれながらまともに相手にする事なく去られてしまう)。
そして追い打ちをかけるかのように、かつてエドガーが連れ去って暴行を働いた事で心に深い傷を残した女性達の夫・恋人・兄だという平民達がエドガーに復讐を果たしに訪れる。
始めは自分の現状を理解せずに相変わらず不遜な態度で接していたものの、平民たちに暴行を受けた(Web版・書籍版では『ナイフの切り傷』、コミカライズ版では『顔面への怒りの鉄拳』と差異がある)事で初めて受ける殺気と痛み、そして恐怖のあまりに半ば錯乱しながら頭を下げて、これまで散々見下していた平民相手に敬語を用いてまで見苦しく命乞いをしてしまう。
最早『小物』ですらない哀れな姿に、直前まで自身への復讐心に駆られていた平民達も一気に興が醒めて去っていった。結果としては命拾いこそしたものの、直前の醜態を思い出したエドガーは最後に残った筈のプライドさえも粉々に打ち砕かれ、とうとうまともに会話どころか食事さえもままならない程の廃人と化してしまった。
かくして、心神喪失状態となったエドガーは王都に輸送されて有罪判決を受け、一生を牢の中で過ごす事となるという因果応報な末路を遂げたのであった。
アニメ版
館の中でのレイン一行とエドガー配下の私兵との乱戦や、エドガーがレインに直接追い詰められる場面が丸々カットされ、ニーナを救出して、カナデ達やステラと合流した直後のレインをマジックアイテムで急襲するも無効化され、打つ手を全て失う。このままレインに自らの全てを奪われてしまうという恐れから冒頭の台詞(二段目)と共に強烈な負の感情(指輪の魔族曰く『醜く、悍ましい意志』)を暴発させた結果、指輪から分離する形で出現した魔族に取り込まれそうになり、「や…やめろ! 俺を…誰だと思っているッ!? お、俺はこの街の…うわあぁっ! い、いやだぁ! やめて! 誰かぁ! うわ、あぁ! やめて! 誰か…たす…け――ッ!?」と情けない悲鳴を上げながら依り代にされてしまう。自発的に魔族へと変貌していたノベライズ版、コミカライズ版と違い、どちらかと言えば自らの発した欲望に引き寄せられて現出した魔族に無理矢理吸収されてしまったという印象が強い。
また、魔族騒動が解決した後、ノベライズ版とコミカライズ版で描写されていた治療院へ搬送されて以降の顛末は全部カットされたばかりか、上述の魔族に取り込まれる場面を最後にフェードアウトし、後にステラの回想場面で描写された領主やジレーら腐敗騎士達が一掃される場面にも姿がなかった事から、アニメ版では彼が変貌した魔族がレインに討ち果たされた際に、依代となっていたエドガーも死亡・消滅したかのように描かれていた(アニメ最終回(第13話)放送後に原作であるWeb版の感想欄にて、アニメ版におけるエドガーの生死に関して読者から質問があったが、それに対する作者の回答は『秘密』とのこと)。
人間関係
味方・協力者
- ホライズンの領主
エドガーの父親。
彼も横領に手を染めているだけでなく、息子が引き起こした騒動を「仕方ない」と片付け、あまつさえ息子が攫ってきた女のご相伴に預かり、一緒になって楽しんでいる(アニメ版ではレインやステラ達と対峙した際に息子同様に自分の権力を笠に着た居丈高な態度をとっていた)辺り、人間性はおろか趣味趣向もエドガーと同レベルであるばかりか、他にも館の中で違法な物品の取引や薬物の原料となる植物の栽培など様々な法に触れる行為をやらかしていた事が示唆されている。レイン一行と良識派の騎士団員によって屋敷を襲撃された際には、息子さえもあっさり見捨てて自分だけ我先に逃げ出している(コミカライズ版では、息子よりも先にステラの手で拘束された。アニメ版ではエドガーに促される形で先に逃げ出そうとするも運悪くレイン達に鉢合わせてしまい、そのまま彼の手で拘束された)。
その後、息子に先んじて捕縛、投獄され、「裁判を待つ身となった」とだけしか明かされていないが、息子が終身刑を課せられた以上、彼もまた同様の刑かそれ以上に重い刑が課せられた可能性が高い。
騎士団ホライズン支部長。
彼に賄賂を引き渡し、それと引き換えに監査を見逃している。
そしてジレーを始めとする騎士団の半数は自らの意志で不正に手を染めており、実質エドガーの走狗に等しい有様となっている。
なお、エドガーからの評価は「頭の足りない男ではあるが、実力はそれなりにある」というもの。
エドガーや領主に先んじて、同様に癒着していた騎士達共々レイン一行と協力した副支部長のステラ・エンプレイスによって倒され、失脚し、正式な処分が下される事となった。
コミカライズ版では真っ当な騎士であった頃の彼に難癖をつけ、頭を踏みつけるという屈辱的な仕打ちをしている回想描写が追加されていた。
- ニック・グローリー
エドガーに私兵として雇われている傭兵達のリーダー格を務める男。
ジレー同様にエドガーの手駒であるが、当人は強い者と戦う事を好むバトルマニアであり、ジレーよりはエドガーとの関係はビジネスライクなものとなっている。
コミカライズ版、アニメ版では未登場。
ジレーが失脚し、騎士団と事を構える事になって焦るエドガーに、ローブで正体を隠しながら「善意の協力者」と自称しつつ接触し、騎士団方に自らに楯突いたレインが加担している事と、彼が最強種を行使するビーストテイマーである事を教え、即死魔法『デスサイズ』を一回だけ発動できるマジックアイテムを与えた男。
しかし彼からすれば、エドガーは単なるレインを消すことが出来る都合のいい鉄砲玉に過ぎず、後に余計な事を喋らないように始末を目論んだが、当のエドガーが心神喪失状態に陥った事で問題ないと判断して放置した。
ちなみに彼はエドガーの事を自分の体の良い鉄砲玉程度にしか見ておらずに見下していたが、皮肉にも彼自身もまた自分の立場に胡座をかき、「自分は何を言ってもやっても許される」というエドガーと同じような下衆な思想を掲げており、後にエドガー同様その報いを受ける事となった末に、(エドガーの様に憑依されたわけではなく、直接変貌する形で)魔族へと成り果てる事となる。
敵対
自分が狙った獲物を刈り取る邪魔をした上に、自分に恥をかかせた男。
レインの方もソラとルナを奪い取ろうとするだけでなく、住民を人質に取るようなやり方に怒りを顕にして返り討ちにしたが、その僅かな会遇の間にエドガーの人間性とこのまま引き下がるつもりはないであろう事を予想して対策に興じる。
その時点では、「自分に逆らう愚か者」程度にしか認識していなかったが、後にアリオスから、レインは最強種を使役するビーストテイマーである事を聞かされると流石に相手にするには分が悪いと警戒心を見せ、その焦りを突かれる形で手渡された危険なマジックアイテムに手を出してしまう事となる。そして再度対峙した際には、追い詰められながらも、頑なに自らの主義主張を改めようとしない自らの姿勢を「特権階級という名の甘い毒を吸い続けてきたせいで、腐りきっている」と半ば呆れられながら、評されていた。
金で懐柔したホライズンの騎士団の中で、数少ない自分に靡かない騎士の第一人者。
外見はエドガー好みの美女であるが、不正を許さない実直で正義感の強い性格の持ち主である為か、以前からジレーを介して、要注意人物として警戒していた。そんな彼女がレインと手を結んだ事から、エドガーや領主を一気に破滅へと誘う事となった。
レインに従う最強種である猫霊族と竜族の少女達。アニメ版では自らの屋敷に乗り込んできた彼女達を見たエドガーは、「(レインを殺した後は)俺が新しい飼い主になってやろうか」と歪んだ欲望を抱いていた。
その他
- ホライズンの領民
エドガーからすれば、道具または玩具でしかない存在。
一般の領民は勿論の事、自らが金で抱き込んでいる騎士団員達でさえも、都合が悪くなると「グズ」呼ばわりするなど、邪険に扱っている。
そうした横暴の数々から領民の方からも蛇蝎の如く嫌われ、街に出歩く度に汚物で見るような視線で見られていた。当然、エドガーが追い詰められた時においては、助けるどころか迷わず見て見ぬふりをする形で見捨てる(さらにアニメ版では、エドガーに一泡吹かせてくれたとしてレイン達を称賛していた)有様であった。
最終的には一部の領民(被害者の身内)は最終的に失脚・零落したエドガーに報復して外傷を負わせたものの、その卑小な本質を目の当たりにした事で報復する意欲さえも失せる。
精霊族の双子の少女。
その容姿からひと目で見て気に入り(エドガーからの評価は「極上品」)「俺の女にしてやろう」と言い放っているが、上記における態度を見る限り、エドガーにとって慰み目的の為の玩具としか見ておらず、二人は当然そんなエドガーに恐怖と嫌悪感を覚え、拒絶した。
最強種の『神族』。
彼女を捕まえてから奴隷のように扱っているだけでなく、理不尽な理由で躾という名の虐待行為を行っていた。
ちなみに捕まえる際には、彼女を崇めた村人を人質にとっていた。
レイン一行とステラら良識派の騎士団員による総攻撃の際にレインの手で救出され、領主親子失脚後はそのままレインと契約し、彼の仲間に加わった。
関連タグ
廃人:ノベライズ版とコミカライズ版の末路。
消滅:断言的ではないものの、一応アニメ版の末路。