終身刑
しゅうしんけい
受刑者の身柄を、期間を定めずに拘束する刑罰。懲役である場合と禁錮である場合どららもありうる。対義語は有期刑。
日本も含めて、世界のほとんどの国で、終身刑(無期懲役)は存在している。終身刑がない(懲役の期間を必ず定める)国としては、モンゴル、ブラジル、フィンランドなどがある。
本来は、死亡までずっと刑務所に収監する刑罰であるが、実際には釈放の規定が定められている国が多く、釈放を一切認めない「絶対的終身刑」を運用している国は多くない。
実質的には日本の無期懲役および無期禁錮と、違いはない(日本の無期懲役も英訳は終身刑である)。
日本では、英語の「Life imprisonment(直訳すると一生涯の拘禁)」を直訳に近い終身刑と訳する事が多いが、これが「日本の無期懲役と海外の終身刑が異なる」という誤解の元となっている(英語の「Life imprisonment」は、仮釈放あり終身刑、仮釈放なし終身刑のどちらも含む単語)。
この誤解を嫌い、翻訳者によっては、きちんとその国の法制度を調べ、終身刑に仮釈放の規定があれば「無期懲役」と訳し、仮釈放の規定がない場合(絶対的終身刑)のみ「終身刑」と訳する事もある。
日本の無期懲役は収監から30年以上経つと仮釈放の対象となる可能性が出てくる(但しその運用は極めて厳しい)のに対し、俗に言う「終身刑」は死亡するまで釈放・仮釈放などの恩赦は与えられないという違いがある。ただし、前述通り、終身刑に仮釈放が全くつかないものを運用している国はそれほど多くない。日本の無期懲役のように「仮釈放のある終身刑」が事実上の最高刑となっていることが多い(日本の「マル特無期」のように、運用が特別厳重な者が個別に存在することもある)。
日本において「終身刑」が仮釈放の無いものと思われているのは、既に仮釈放のある終身刑である無期懲役が存在するからであると考えられる。死刑を廃止した場合の、それに代わる最高刑の候補として挙げられているが、2015年の内閣府による調査によれば、死刑以外の刑罰が現状維持であるとした場合、死刑存続を8割が支持し、終身刑を導入したうえでも5割以上が死刑廃止に反対している。なお、この場合でも導入すべきとされるものは「仮釈放のない終身刑」である。
海外の刑罰で見かける「懲役1000年」なども、人の寿命を遥かに超えているので刑期満了をむかえる事は実質不可能であるが、場合によっては懲役年数が数百年を超えていても減刑により、数十年で釈放されるという可能性が生じる。極端な事例ではスペインで懲役が30万年以上減刑された事例がある。この犯人は4万通の郵便は配達を怠り、1通につき9年の懲役が合算されてこのようになった。日本の司法はこのような「罪刑合算主義」をとらず、併合罪などにより刑を加重する場合には、吸収主義に基づいて「最長30年まで」と定められているので、懲役期間が極端に長くなることはない。
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