解説
逮捕には、同一の犯罪事実について、同時に2回以上の逮捕・勾留を行うことはできないという原則(一罪一逮捕一勾留の原則)がある。警察や検察が被疑者(容疑者)を拘束し取り調べを行う行為は、被疑者の人権を侵害する行為であるので、刑事訴訟法などの法律で歯止めをかけているのである。よって、再逮捕・再勾留は原則禁止されている(再逮捕・再勾留の禁止)と解される。
しかし、逮捕された人間を留置場や拘置所に留置できるのは最大で22日間(警察が逮捕した被疑者は48時間以内に検察に送致しなければならず、勾留は原則10日間と決められていて最大10日間延長できるので2+10+10=22)であり、起訴に至らなかった場合は釈放しなければならない。そういうわけで、この間に捜査機関が十分な証拠や期待している供述(自白)を得られなかった場合は、最初の逮捕とは別の名目で逮捕することがある。これが再逮捕である。このほか、勾留期間切れ直前に新証拠が見つかった場合など特例として同じ事件で再逮捕するケースもなくはないが、これはかなりのレアケース。
逮捕時から後の再逮捕を見込んで、分かっている容疑について最初から一括で逮捕状を請求するのではなく、小分けにして逮捕・起訴することもよくある。さらに、本命の犯罪事実とは別に微罪で逮捕して身柄を拘束してしまい、本来の目当ての容疑についての取り調べを行うこともある(別件逮捕)。