概要
「月刊コミックゼノン」にて2021年9月号から連載されている漫画作品。既刊9巻。
クラスメイトからのいじめを苦に自殺をしようとした主人公が異世界転生し、自分と同じく異世界転生して暴虐の限りを尽くすクラスメイトへの断罪に動き出す復讐もの。
あらすじ
「顔が豚に似ている」という理由だけで、クラスメイトから「豚」と蔑まれ、凄惨ないじめを受ける高校生の広田武。
心身ともに限界を迎えた武は自殺を決意するが、目を覚ますと異世界に転生していた。
そこで出会ったオーク達と打ち解け、エルフの美少女・カレリアと恋に落ちた武は新たな幸せを掴み始めていたが、これまで自分をいじめてきたクラスメイトが自分と同じように異世界に飛ばされた上、手に入れた強力なスキルで勇者として名を挙げていたが、勇者としての肩書やそのスキルを悪用して暴虐の限りを尽くし、仲間のオーク達や相思相愛だったカレリアまでもその犠牲となってしまう。
現実でも異世界でもクラスメイトに幸せを踏みにじられた武は生き残ったオーク達と共に復讐に立ち上がる。
登場人物
主人公とその仲間達
- 広田武(ひろた たけし)
主人公。幼い頃からいじめに遭い続け、高校でも「顔が豚に似ている」という理由で3年B組のクラスメイトから「豚」と罵られ、凄惨極まりないいじめを受けている。
ある日クラスメイトが仕組んだ放火で自宅を焼かれ、母や妹の文奈を喪い、全てに絶望して自殺を図ろうとするが、突如飛ばされた異世界でオーク達と仲良くなり、エルフのカレリアと恋に落ちて新たな幸せを掴むも、自分と同じく異世界に飛ばされたクラスメイト達によってその幸せを踏みにじられた怒りと悲しみから、復讐を誓う。
異世界に飛ばされた武が初めて出会い、仲間となった種族。
しかし、松永・野理・鎌田によって集落を襲われ、殆どの仲間達を殺されてしまい、武と共に復讐に動き出す。
オーク達に固有の名前はなく、僅かなイントネーションの違いで判別する(コッラに指摘されるまで武達は特に気にしてすらいなかった)。
その際に、武と最も長く共にしているオークには「オーゴ」と名付けられた。
- ラドガ
カレリアとは旧知の仲で、彼女からよく武の話を聞かされていたが、元々人間のことは快く思っていなかった。
しかし、自身が諸事情で里を離れていた間に松永・野理・鎌田によって里を襲撃され、戻ってきた際にその惨状を目の当たりにし、息絶えたカレリアを弔った。
それからはカレリアや仲間の仇を討つために生き残ったエルフから里を襲った賊の人相を聞き出してその行方を追っていたが、既に武とオーク達によって葬られた後であり、その後はゴブリンの群れを率いる斎藤に占領されたエルフの里を救うべく、カレリアの仇を討った武と共闘して里を救った後に仲間となる。
元々エルフとは敵対関係にあったが、34人の勇者たちを倒すために協力を要請しようと訪れると既に彼らの村は伊藤・山下に支配されており、女子供を人質に強制労働させられていたが、武達に救われてからは彼らに協力するようになる。
- サラ・トルヴァ・ヤルヴィ
この世界の王女。王都に34人の勇者が攻め込んだ際にスキルを無効化する能力をもっていたため、調査のために連行されそうになるも、呪いで城から出られないと嘘をついたため城に幽閉され、星・上山・喜多川・木野間に拷問されていたが、武達に救出される。
それ以降はスキルを無効化する能力と王都剣術大会で優勝する程の剣の腕で武達をサポートする。
- コッラ
大賢者の孫娘である小柄な少女。少なからずも大賢者の知識を豊富に身に着けている。
大賢者の知識や蔵書を狙う宮市・桜井・岡田によって村を支配され、武達に助けを求めた。
宮市ら三人への復讐では祖父を目の前で殺された怒りから桜井に報復を仕掛けるが、彼女の一言に動揺し、武から「君は人殺しにならなくていい」と諭され、涙ながらに思い留まった。宮市ら三人への復讐で村を救ったその後は祖父をはじめとした犠牲者達を弔い、仲間となる。
主人公の関係者
- 広田文奈(ひろた ふみな)
武の妹で、中学2年生。身体は弱いが、健気で兄思いの優しい少女。
兄のクラスメイト達によってSNSで顔を晒されて見知らぬ男達に付きまとわれたり、警察沙汰の騒ぎを起こされる等の不幸に見舞われた末、安田を乗せた車にひき逃げされたのが原因で体調がさらに悪化、本編の数日前に兄のクラスメイトが起こした放火により、母と共に命を落とした。
最初の復讐を果たして以降、武は妹の死に関する謎を求め、その下手人であるクラスメイト達に問い詰めていく。
- オググ
異世界に飛ばされた武と仲良くなったオークの子供。
武からは弟のように可愛がられていたが、自身の集落やエルフの里を襲った松永らに殺され、命を落とした。
- カレリア
異世界に飛ばされた武が出会ったエルフ族の少女。
武から亡くなった妹の面影を重ねられ、心を通い合わせていたが、オークの集落や自身の里を襲った松永らに陵辱された末に命を落とした。息を引き取る直前、里に戻ってきたラドガに「自分が死んだら里を見渡せる丘に墓を建てて欲しい」と遺言を残していた。
彼女やオググをはじめとする半数ものオーク達の死が武の復讐心を目覚めさせる大きなきっかけに繋がった。
復讐対象(34人の勇者)
武の高校でのクラスメイト達。クラスメイトのほぼ全員が何の罪悪感もなく日常的に犯罪行為(不法投棄や痴漢冤罪、ホームレス狩り等)に手を染める程の醜悪かつ下衆な性格の持ち主であり、武のことを「豚」と罵倒し、日々非人道的ないじめを繰り返していた。
クラスのリーダー的存在である安田を中心に、誰も武へのいじめを止めず、クラスメイトのほぼ全員が積極的・消極的にいじめに加担している。ただし、現時点でクラス内でのいじめに否定的(もしくは見て見ぬふりをしていた)と思われるのは、クラスメイトから虐げられる武を写したクラスの集合写真でただ一人怯えた表情をしていた田山のみ(一見すると復讐対象とは言い難い人物だが、彼が真っ当な善人なのか、或いは他のクラスメイトと同じように醜悪な本性を隠し持っているのかは不明)。
現時点で理由は明らかにされていないが、クラス全員が武と同様に異世界に飛ばされており、その世界で手に入れた強力なスキルで魔王を打ち倒して勇者となるが、魔王討伐後は「勇者」としての肩書やそのスキルを悪用して殺傷行為や奴隷所有等の傍若無人の限りを尽くし、極悪非道を当たり前のように行う外道集団と化す。
しかしそのほとんどはスキルの力に頼りきっている上に己の立場に完全にうぬぼれており、確かに厄介な能力を持っていようが、少しでも油断を誘って隙を突ければあっさりと罠に嵌められるし、スキルの力の源である「宝玉」を奪って無力化することも容易い。
また、ほぼ例外なく元々の醜悪な人間性に加えて人としても致命的なレベルで知性にも欠けており、たとえ自分が危機的な立場にまで追い込まれようが、被害者達への謝罪はおろか説得や命乞いをするという発想すらない。
その結果、この世界に住む多くの人間やオークをはじめとした他の種族達からは強烈な憎悪の対象とされており、被害者となる民衆はクラスメイトが武の復讐を受ける際も自分達を虐げるクラスメイトに容赦なく罵声を浴びせたり、武から復讐の手を委ねられると問答無用で壮絶な報復や拷問を仕掛け、その息の根を止めている。
※安田を除く以下のクラスメイトの名前後の括弧内にはそれぞれの所属先、文字体が太文字の者は安田と同等のスキルを持つとされる幹部クラスのクラスメイト、斜体文字の者は武から復讐の手を委ねられた民衆に直接始末されたクラスメイト。名前後の★印は単行本9巻時点における生存者で、現時点で24名に復讐を遂行、鏖まで残り10名となっている(未登場の残り2名に関しては、現時点で詳細不明)。
詳細は個別記事を参照。
- 安田徳則(やすだ とくのり)★
政治家の息子で、表向きは学園内でも高い人気を集めるクラスのリーダー的存在。しかしその実態は人の命を何とも思わない傲慢かつ冷酷無比な選民思想に凝り固まった上級国民で、武いじめや放火事件の首謀者である全ての元凶(ただし、自身はクラスメイトに指示するのみで、直接手を下すことはなかった模様)。
現時点で所有スキルは不明だが、上空から光の砲弾を乱射することができる。その威力は極めて強力で、街一つを壊滅に追い込むほど。
- 松永琉絆空(亜人解放隊)
- 野理勇五郎(亜人解放隊)
- 鎌田信男(亜人解放隊)
- 岩本夏喜(駐屯局)
- 加村翼(駐屯局)
- 津玉繭子(人民管理局)
- 原松由美子(人民管理局)
- 古家敬子(人民管理局)
- 斎藤信二郎(所属局無し)
- 伊藤紗友美(資源回収局)
- 山下早苗★(資源回収局)
- 三ツ屋茂幸(国家公安庁)
- 星ヒカル(人民教化庁)
- 上山恵都男★(人民管理局)
- 木野間美穂(人民管理局)
- 喜多川織香(人民管理局)
- 岸山頼太(資源回収局)
- 中田愁子(資源回収局)
- 笠川博(国家公安庁)
- 宮市珠美子(執行省)
- 桜井寿美礼(人民教化庁)
- 岡田遊々美(人民管理局)
- 内田一二三(哨戒局)
- 塔本伊佐美(哨戒局)
- 槇山未華子(人民教化庁)
- 佐々木晃典★(国土開発庁統括の執行省)
- 金巻健次★(国家公安庁統括の執行省)
- 村中朱里★(国家公安庁)
- 仲村幸由起★(人民教化庁)
- 田山輝之★(国土開発庁)
- 長谷川哲(人民教化庁)
その他
- 民衆
武やクラスメイトが転移した異世界の住人達。
当初は魔王を討伐した34人の勇者を称えていたが、魔王討伐後は勇者としての肩書きやスキルを悪用して傍若無人の限りを尽くす勇者達から虐げられるようになり、殆どの者が勇者達によって悲惨な最期を遂げている。
しかし、武やオーク達によって勇者が次々と葬られていくと、これまで自分達を虐げてきた勇者達に反乱の狼煙を上げ、武を「救世主」として称えるようになり、武から勇者に対する復讐の手を委ねられると、微塵の容赦もなく激しい怒りをぶつけ、息の根を止めている。
- カーナ
岩本・加村によって父親を殺された少女。
母親と共に民衆への見せしめとして、目の前で罪のない父を焼き殺されてしまった上、岩本らからは好きな芸能人(本橋アンナ)に似ているという理由で一方的に気に入られ、彼らが根城としている屋敷に拉致され陵辱されそうになるが、武やオークによって救出される。
岩本・加村に対する復讐では、父を殺された恨みを晴らすべく、ゴミを見るような目で岩本らを容赦なく焼き殺したり、津玉・原松・古家に対する復讐でも自分と同じように勇者に家族を殺されて恨みを抱く民衆達を率いて武の復讐に協力した。
津玉・原松・古家への復讐後、安田のスキルによる強襲で街を壊滅に追い込まれて生死不明になるが、後に生き延びていたことが判明。武を自分達を助けてくれた救世主として称えており、武が去った後に長谷川に洗脳された街の住人の目を醒まさせるため、尽力した。
名前の通りのゴブリンで、武曰く「この世界で最底辺な生き物」。登場時点では斉藤の手駒にされている。
エルフからは忌み嫌われているが、斉藤のスキルによって操り人形にされているだけであり、パシリ扱いされたり憂さ晴らしで暴力を振るわれたりしており、その点では他の種族達と同じように勇者の被害者とも言える。
武との戦いでも盾にされる等の扱いをされていたが、斉藤が宝玉を落としたと同時に解放され、これまでのうけてきた仕打ちから怨みと憎悪を剥き出しにした顔を向けながら他のゴブリン達と総出で斉藤に壮絶なリンチを仕掛けた後、ラドガの気迫に気圧され、どこかへ逃げ去った。
なお、ゴブリン達にリンチをされる斉藤を見た武はその様子を「最底辺決定戦、弱い方は明らかだな」と吐き捨てていた。
- ミリカ
木野間、喜多川によって父親を殺された少女。
星・上山・木野間・喜多川に対する復讐では、父を殺された恨みを晴らすべく、自分と同じように勇者に家族を殺されて恨みを抱く民衆達と共に武の復讐に協力し、自分達を虐げた上にサラを辱めた木野間と喜多川に壮絶な報復を仕掛け、息の根を止めた。
- 大賢者
コッラの祖父。文字通り異世界に関する知識を身に着けている。
自らの知識を欲した安田の命令を受けた宮市達に襲撃された挙句、拷問を受けて尚も口を割らずに村人達の解放を訴え続けた。
桜井の攻撃から村人を庇って致命傷を負ってしまい、その後の顛末は描かれていないが、サラの発言から受けた傷が原因で死んでしまった事が発覚している。
宮市らへの復讐後は、武達によって手厚く弔われた。
- エルフの少女
内田達が襲撃したエルフの集落に住む外見年齢10代前半程度の少女。
内田に捕らわれて陵辱されそうになったラドガを内田達が離れた隙をついて救出した。
ラドガ救出後は武に協力し、自ら体を張って内田を人食い蟻の巣へ誘き寄せた。
- ラーテ・トルヴァ・ヤルヴィ
サラの妹。
国を地王令として勝手に領主達の財産を没収した事が問題となり、修道院に幽閉されている(その後の調べによると領主達から奪った財産が、不正に蓄積されたものであり、それらを国の農業の発展に使った事が明らかとなっている)。
未華子と佐々木の襲撃を受け、武達に助けを求める。
- 女神
34人の勇者にスキルを授けた存在。現在は安田によってクリスタルに封印される形で囚われている。
- 魔王
武達が転移する前に世界を支配していた魔王。登場時点で既に34人の勇者に既に倒されている。
- 本橋アンナ
元の世界で大人気のアイドル。岩本・加村をはじめとする武のクラスの男子達からも高い人気を集めており、アイドル志望の未華子が目標としている美少女。
用語
異世界
作中の舞台となる武達が転移した世界。
よくあるファンタジー世界だが、建物や文化が武のいた世界のある地域に似ていると指摘されている。これについて武は「過去の時代の人間が何らかの理由で転移し、元いた世界の文明を再現したのではないのか」と推察した。
なお転移者達はこの世界で生涯を過ごしており、サラや大賢者は転移者の末裔とされている。
能力(スキル)
34人の勇者達が持っている女神から授かった力。
一言で表すならチート能力だが、効果や名前がその者の下劣な本性を体現した様なものになっている。
力を発揮するには「宝玉」と呼ばれるものが必要であり、それを奪われると陸に打ち上げられた魚の如く無力な存在となってしまう。
ちなみに鎌田のみスキルを発動する事なく、あっさりと武達に復讐された為、現時点で復讐を受けたクラスメイトの中で唯一、所有スキルが明かされていない。
関連タグ
豚 オーク いじめ スクールカースト 復讐 異世界転生 クラス転移 復讐もの
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