概要
漫画:坂ノ市クバル 原作:裕本恭
ストーリーは現代の日本から異世界に飛ばされた織田信長と同じ読みの高校生尾田信長を主軸とした群像劇で、主な内容は地球における古今東西の名将・英傑たちが異世界に集い、天下統一を目指し乱世を戦うというもの。
言わば大規模なドリフターズ、あるいはぼくのかんがえたさいきょうの無双ゲーであり、当然扱われる人物の人数も多い。
用語
転移者(ストレンジャー)
劇中における異世界に現れた歴史上の人物(地球人)は“転移者”と総称され、現在勢力を確立している転移者は現地に存在していた国家を反乱の扇動、あるいは武力革命等の手段で乗っ取った事が明言されている。
また現地人によると「転移者の統治の方がマシ」との事で、説明の限りにおいては中近世の暴君の治世や現代の独裁者の統治下とそう変わらないものだが、統治者が変わり国政が転移者によって行われているだけで領民の生活が大幅に改善されている事から前政権の腐敗具合が常軌を逸していた可能性が示唆されている。
異世界に現れる転移者には一律した共通点があり、「自分が望む形で天下統一を果たせないまま、志半ばで命を落とした人物」である事らしく、また全員が転移の瞬間に何者かの声で「天下を取れ」という言葉を聞いている。
異世界
転移者たちが飛ばされた世界であり、 織田信長が所持している地図によれば現在判明している限りの領域はヨーロッパ西部の地形に類似している。
文化と文明は中世末期から近世初期程度のヨーロッパ地域のものに酷似している他、寒冷地では育ちにくい米を安定して生産できる土壌(織田信長領)があったり、同じく寒冷地に自生しないサトウキビから作られたと思われる角砂糖を頻繁に紅茶に入れる(諸葛孔明領)など、かなり特殊な気候と地質である事がうかがえる。
作中では前述通り複数の別の国家が存在しそれぞれの国の王家が政権を担っていたようだが、それら全ての国で口裏を合わせているかのように暴政が働かれていた事も示唆されているなど不自然な点も多い。
異能力(スキル)
読んで字のごとく異世界の人間が稀に発現する超能力のことで、異能力を発現させた者には体のどこか(多くは上半身)に独特な紋様が出現する。これは登場している転移者のほとんどに見られるが、彼らが生前培った経験と知識で磨いた戦術を用いた頭脳戦が物語のメインであるため、実際に行使している人物はごく一部。
登場人物
太字は転移者、()内は転移者の出身国。
織田信長領
織田信長(日本)
尾張国が生んだ日本で最も知名度の高い戦国武将。生前のうつけっぷりと革新主義的思考は健在で、また並みいる勢力を出し抜きいち早く火薬の量産体制を整えている。
近藤勇(日本)※死亡
幕末を生き抜いた佐幕派志士集団である新撰組の局長。物語冒頭でオッポこと尾田信長を保護する。その後オッポの初陣であり黒星となった諸葛孔明軍との戦いでしんがりの長を務め、最後は宮本武蔵との一騎討ちに破れて戦死。
尾田信長(日本)
本作の主人公。平和な現代日本を生きる歴史オタクだったがひょんな事から異世界に飛ばされ、その際に拐われ行方不明となった妹を探し出すため織田信長に仕える事になる。なお織田信長に「自分と同じ名前を名乗るのは五百年早い」とオッポという渾名をつけられ、以後その呼び名が定着してしまった。
諸葛亮孔明領
諸葛亮孔明(蜀漢)
三國が鼎立する激動の時代を生きた蜀漢の丞相にして軍師。史実三國志の正攻法と三國志演義の奇策を偏りなく操る本物の天才。
ウィリアム・テル(スイス)
ヨーロッパ有数のクロスボウの名手にして義賊。劇中では照準安定用のゴーグルを片目に装備し、三連式の高威力クロスボウをものともせず手足のように扱う体力を有する。
スパルタクス(トラキア)
圧倒的武力を誇るローマ帝国に対し自由を欲す奴隷たちを率いて渡り合った伝説的剣闘士。大柄な体格からくる怪力で自らの体格に劣らない大きさの剣を軽々と振り回す豪快な人物。
宮本武蔵(日本)
日本史上最強の剣豪の一人として今日も名を轟かせる二刀流使い。異世界に飛ばされてなお天下無双の四文字を背負い、精力的に強者と一騎討ちを求め続ける豪傑。
武蔵坊弁慶(日本)
源義経に仕えた破戒僧。スパルタクスと宮本武蔵に負けず劣らず見上げるほどの巨体を誇り、薙刀の他複数の武器を得物とする。
ナポレオン領
ナポレオン・ボナパルト(フランス第一帝政)
革命期の混乱を乗り越えて頭角を現し一代でフランス帝国を築き上げた稀代の英傑。銃と名声の優位を得られずとも持ち前のセンスで難敵と渡り合う才能は衰えておらず、数多く現れた転移者がひしめく中で誰よりも早く自らの勢力を確立した。
アルブレヒト・フォン・ヴァレシュタイン(神聖ローマ帝国)※死亡
30年戦争にてカトリック派閥の勝利に貢献した貴族にして傭兵。ハンニバル軍との戦いでは援軍に偽装した伏兵という奇策に破れ包囲されたナポレオンの身代わりとなり、圧倒的物量で襲い来る敵兵との凄絶な激戦の末に戦死
源義経(日本)
源平合戦において数々の活躍と残虐な逸話を残した狂気の名将。軽快な機動力は損なわれておらず、騎兵としても一級品の技量を持つ。
ハンニバル領
ハンニバル・バルカ(カルタゴ)
“雷光”と渾名された人類史上最高の戦争芸術家。
オイゲン・フォン・サヴォイエン(オーストリア)
スペイン継承戦争において活躍した名将。スペイン継承戦争の他にも大トルコ戦争からポーランド継承戦争まで生涯5つもの大戦争で終始オーストリアの将軍として参戦し、その尽くでオーストリアが勝利している。
ゴットフリード・フォン・ベルリヒンゲン(神聖ローマ帝国)
某錬金術師がごとき鉄製の義手から鉄腕と称される金目の物に目のない強盗騎士。
史進(北宋)
明代に完成した長編伝記小説『水滸伝』の登場人物だが、史実においては史斌なる盗賊だったとされる年若い豪傑。
呂布奉先領
呂布奉先(後漢)
「人中に呂布あり」と恐れられた中華史上最も凶悪な戦士。猜疑心が強く殺られる前に殺るを地で行く暴れ者だが、未知のものに純粋な好奇心を抱き知りたいと思った事を人質兼客将のオッポに何度も質問し説明させるなど子供らしい一面を覗かせる。
メアリー・リード(イングランド)
ジョン・ラカム、アン・ボニーとともにカリブ海を暴れまわった女海賊。豪快男勝りな性格。
真田幸村領
真田幸村(日本)
大阪冬の陣にて後に真田丸と呼ばれる出城を駆使し、徳川勢1万7,000の大軍を相手に三日に渡る足止めを成功させた日ノ本一の兵と称される防衛戦の名手。
マールバラ公ジョン・チャーチル(イングランド)
スペイン継承戦争を戦った名将。
夏侯惇(魏)
盲夏侯の異名で知られ三國志随一の人気を誇る猛将。なお、なぜかリーゼント姿で登場する。
ペンブルック伯ウィリアム・マーシャル(イングランド)
生涯で経験した500試合を越える全ての決闘に悉く勝利し続けたと言う逸話を持つ遍歴の老騎士。
項羽領
項羽(西楚)
前漢の始祖劉邦と中華統一を争った江東の覇王。合戦と一騎討ち両方でカール大帝を圧倒した末に瞬殺する衝撃的な初登場を果たし、躊躇する兵たちに淡々と虐殺を命じ悲鳴や罵声を間近で浴びても眉ひとつ動かさないサイコパスっぷりを見せつけた。
冒頓単于(匈奴)
項羽より後に成立した漢王朝を北方より圧迫した匈奴族の英傑。
ガウェイン(ブリタニア)
アーサー王の甥にして彼に仕えた円卓の騎士の一人。
マルクス・ユニウス・ブルトゥス(ローマ)
新約聖書のユダ、同じくカエサルを主君としていたローマのカッシウスに並ぶ、ヨーロッパにおける裏切り者の代名詞。
黒田官兵衛(日本)
小田政職、織田信長に仕えた日本史を代表する名軍師。
イヴァン雷帝領
イヴァン・ヴァシリエヴィチ(モスクワ大公国)
“雷帝”の二つ名で恐れられたロシアの礎で、現状名前のみの登場。物語冒頭の諸葛亮孔明軍との戦いでは諸葛亮の策にはまって大敗を喫する。
旧カール大帝領
カール大帝(神聖ローマ帝国)※死亡
現代のフランスの礎となるフランクの王にして今日ではヨーロッパの父と称される英雄。
……なのだが作中で描写された初戦で項羽軍に惨敗した挙げ句一騎討ちにも敗れ、今際の問いに対する「自分より強い男」という名乗りとともに討ち取られ、これが最初で最後の登場となってしまう。
ジャンヌ・ダルク領
ジャンヌ・ダルク(フランス王国)
英仏百年戦争においてフランスの勝利に貢献したオルレアンの聖女。
益田四郎時貞(日本)
日本史上最大規模のキリシタン(カトリック)による武力蜂起、『島原・天草の乱』を指導した少年兵。
尾田市子(日本)
主人公尾田信長の妹。優柔不断でお宅気質な兄とは対照的に、文武両道に秀でた才女で強気な性格。
その他の転移者
項羽に大敗し討ち取られたカール大帝の他、名前だけの登場であるエドワード黒太子、ガイウス・ユリウス・カエサル、フランシス・ドレーク、アレクサンドロス三世、韓信、石田三成、スレイマン一世、レオニダス一世、アーサー王など多数の転移者の名が確認できる。