あらすじ
(原作のサイトから引用)
人種(ヒューマン種)・ライトは、信じていた仲間達『種族の集い』リーダーからダンジョン内部で追放宣告を受ける。
この世界では人種、獣人種、竜人種、エルフ種、ドワーフ種、魔人種の6種(※)が存在した。その中でも人種はレベルが上がり辛く一般的に他種族から見下され、差別を受けていた。
『種族の集い』はそんな差別を払拭するため各種族が集まったレギオンだったが――実際は裏の目的があった。
彼らは人種を除く国々の命令を受け『ますたー』という存在を探し、あわよくば自国に取り込むのが目的だったのだ。
ライトはギフト『無限ガチャ』という、『ますたー』が所持していそうなギフトを持っていたため目を付けられたのである。そしてライトは『種族の集い』や各国の調査から、『ますたー』ではないと判断をくだされる。しかし、今後何があるか分からないため、念のために殺しておこうとなったのだった。
ライトは『種族の集い』のメンバーに殺されそうになったが、誤ってダンジョン内部にランダムで飛ばされる『転移陣』を踏む。
結果、ダンジョン最下層に転移しメンバー達から殺されることは無くなったが、地下深くでLV1000の神話に登場しそうな魔物に襲われる。
ライトは破れかぶれで『無限ガチャ』を連打。運良くSURカード『レベル9999探求者メイドのメイ』を引き当てる。彼女によってライトは魔物を撃退し命を救われる。
危機を完全に脱したライトは、元仲間達『種族の集い』メンバーに復讐し、殺されかけた真実を知るため各国家に対しても戦うことを決意。
メイは元メンバーに復讐、国家から真実を得るために『無限ガチャ』で自分のような存在、本当に信じられる仲間カードを集めるよう忠言する。
ライトはその言葉に同意し、ダンジョン地下深くで復讐と各国家に対抗する力を蓄えることを選択したのだった。
――それから約3年後。
地上にある全戦力、国家と戦い滅ぼせるほどの力を蓄え、ダンジョン地下深くに最強国家を築き上げたライト。
元仲間達に復讐するため、自身が虫けらのごとく殺されそうになった真実を知るため、再び地下から地上へと逆侵攻をしかけようとする。
しかし、3年ぶりに地上に出た彼を待ち受けていたのは、生まれ育った村の全滅、両親の死、生死不明となった兄妹の苦境であった。
なぜだ! ぼくがここまでの仕打ちを受けるほどの、何をしたというんだ!
故郷の村の残骸を遺す荒野に、ライトの空をも裂き大地をも砕く慟哭がこだました。
自分のみならず、親兄妹までをも襲った惨い仕打ち。ライトの怒りは、この理不尽を自らに強いた世界の仕組みそのものに向く。
ライトは兄と妹を探し、かつての仲間たちに復讐し、そして何よりも両親をはじめとする故郷の人々の仇を討ち、ゆえにこそ「世界の真実を知り、その仕組みに復讐する」そのため、仲間たちと共に暗躍と進軍を開始する。
※書籍版では、他にダークエルフ種、鬼人種、ケンタウロス種の3種が追加される。
概要
原作者は「明鏡シスイ」(いわゆる「軍オタ」の作者)氏。
同作者作品である『軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!?』とは同じファンタジーでありながらも正反対の世界観(価値観)を持った世界を舞台にしている。
パーティ追放タイプの復讐もの。本作の主人公はソーシャルゲームでよくあるガチャの能力を持っており、追放後にその能力を最大限に引き出せる方法を見つけ、強力な仲間や武器を召喚して自分を追放したかつての仲間達の復讐に邁進し、生き別れた兄妹の探索を行い、そして世界を暗躍する謎の存在の正体(世界に隠された謎そのもの)を探る。
主人公勢が軒並み、いわゆる悪の敵(正義の味方ではない)である一方、対立勢が舞台世界の常識もろともに外道である事が大きな特徴。
2020年4月17日に「なろう」での連載を開始。2021年4月10日に、書籍化とコミカライズ化が発表された。
書籍版は5月19日発売され、既刊4巻。コミカライズ版は5月25日連載開始され、既刊7巻。
キャラクターデザインは『tef』が担当。
登場人物
奈落の底の国
レベル9999
- ライト
本作の主人公。恩恵(ギフト)は「無限ガチャ」。奈落で追放された後に引いたメイに出会い、彼女の助言で奈落の底で無限ガチャの力で王国を作り上げ、仲間や武器や魔法カードを集め、かつての仲間達に復讐し、行方不明になった兄妹を捜索する。
地上で活動する時はアイテム「道化師の仮面」をかぶって顔を隠し「冒険者パーティー『黒の道化師』のリーダー・冒険者ダーク」と名乗っている。
仮面を被っているのは「幼い頃に事故に巻き込まれて(あるいは呪いを受けて)火傷したため」であり、冒険者をしているのは「火傷を治す(呪いを解く)ために必要なポーション(のレシピ)を探すため」と吹聴している。実際にはライトの顔には火傷の跡は無いが、「道化師の仮面」には幻術効果が備わっており、外すと火傷の跡を実際に再現する事が可能。
裏切られた屈辱を忘れないために、ガチャアイテム「不老の腕輪」を用いて体の成長を12歳で止めている。実はかなりの美少年だったりする。
- メイ
肩書きは「レベル9999探求者メイド」
奈落に追放されたライトが最初に引いて召喚された黒髪ポニーテールのメイド。怪物に襲われてやけくそになったライトが咄嗟に彼女を引き、1発でその化け物を倒し、無限ガチャの最大限能力の引き出し方や今後の活動をアドバイスする。戦闘能力が高いだけではなく、恩恵『鑑定』とメイド服から強度が高い糸を使って操る能力を持っている。
「魔力糸(マジックストリング)」を操る能力は応用性が広く、単純に敵を縛って拘束する…どころかレベル1000や2000程度のモンスターであれば締め付ける圧力だけで細切れにしてしまえるほどの力を持つ。他にも上下移動をするためのロープを作る、布状にして壁や地面にする、大きく広げて特殊な結界の下地にするなど。密度を高めてバスタブを作った事もある。
ある程度服装を変えればただの人種の女性に見える外見を利用し隠密や情報収集の活動を主に担当しているようで、初期から登場するが出番そのものは少なめ。
従者としての覚悟を「メイド道」として後述する部下たちに叩きこんでいるが、その部下たちの大半がHENTAIとなってしまっていることに頭を悩ませている。尚、その原因がメイ自身が「ライト様ハァハァ勢」なので説得力が無いためであるという自覚は無い。
- アオユキ
肩書きは『レベル9999天才モンスターテイマー』
魔獣や神獣等を従える事ができるモンスターテイマー。メイの次に召喚された。ナズナとエリーより背が低く猫耳パーカーを被っている。猫のように『ニャー』とよく声を上げており、ケモ属性を持っている。
劇中ではネズミ等の小動物と感覚をリンクさせて情報活動を行っている。
テイマーではあるため配下のモンスターを率いて戦う時が最も強いが、本人は弱いのかと言うとそんなことはまるでなく、レベル7777のスズを含めてレベル7000台の者たちが立ち上がる事すらできなくなる100倍の重力下でも平気で歩き、あまつさえその状態で鎧を着た人間を蹴り飛ばしてボールにするほどの力を持つ。
上述のように、いつもは「ニャー」としか言わないが、実は普通に喋れる。ただ普段は「面倒くさい」のと「実はかなり言動が辛辣である」ために喋らない。しかし一旦、口を開けば壮絶な毒舌による口撃が炸裂する。
猫キャラだが、エリーの「ハァハァ」すら不敬と嫌悪する「忠犬勢の過激派」でもある。
- エリー
肩書きは『レベル9999禁忌の魔女』
様々な魔法や魔術等を極めた魔女。外見がライト曰く魔法少女。ライトを「ライト神様」と崇拝する、ライト神様至上主義最右翼の魔女。もちろん「ハァハァ勢」であり「いつかライト神様からお情けを貰って子どもを産みたい」とか普段から真顔で口走るため、メイからは「ライト様の教育に悪い」とされアオユキからは「我らはライト様のガチャから出た道具(キャラクター)に過ぎないのに、造物主であるライト様に対して不純で不敬だ」と苦言を呈されたりしている。
ライトが3番目に召喚したメンバー。エリー自身は、それを今でも悔しがっていて「メイさんよりも先に私が出ていたら」と愚痴る事、多々。もちろんライトの実質上の「腹心の部下」であるメイには対抗心バリバリである。が、もしもエリーがメイよりも先にガチャ排出されてたら、おそらく本作はノクターン直行であったろう。「禁忌の魔女」の二つ名は伊達ではないのだ。
『奈落』のダンジョンコアの解析・制御を担当した人物で、想像を遥かに超えて広大だった奈落を物理的な手段で脱出する事を断念したライト達が「転移」で外に出られるようになったのは、彼女がダンジョンコアを制御し転移阻害効果を解除する事に成功したからである。
また、単純な戦闘用魔術以外にも、他者の記憶を読む魔術、転移魔術を阻害する魔術など多数の高度な魔術を使いこなすため、ライトの重要な作戦の実働には彼女が関わっている事が多い。
ライトの「復讐」の舞台装置として地上に巨塔を出現させてからは『巨塔の魔女』と名乗って表舞台での活動も行っている。
- ナズナ
肩書きは『レベル9999真祖ヴァンパイア騎士(ナイト)』
銀髪赤目の背の低い吸血鬼少女。なのに胸がでかい。奈落最強火力の持ち主で重そうな甲冑をまとい、自分よりも大きい大剣を軽々振り回し、どんなモンスターにも立ち向かう。
他の3人のように戦闘以外の事に活かせる特技は持たないが、とにかく戦闘力はずば抜けて高く、その強さは同じレベル9999のエリーとアオユキが組んで2対1で戦ってやっと勝負になるレベルで、名実共に「奈落の最大戦力」とされている。
実は魔法に対する抵抗力が僅かに低く、いわゆる「フィジカルが高くて状態異常に弱いキャラ」に相当するのだがレベル差による単純なゴリ押しとプロメテウスによる何でもチートで案外なんとかなってたりする。
ただし単細胞で、少し頭が足りない。手加減がものすごく下手で、すぐに何か壊す。が、そんな所も可愛かったりする末っ子気質の持ち主で、奈落メンバーズからは思いっきり甘やかされている、いわゆるムードメーカー。
大剣以外でも大抵の武器を使いこなす武芸百般だが、ライトが彼女に武器術の教えを乞おうとしたところ、「ズバーッとバシーッと」等と感覚的で抽象的な教え方しかできないため教わるのを諦めた。
「ハァハァ」等の下ネタに関しても大変に疎く、ライトに対しては「忠犬勢」といったところ。
なお「ヴァンパイア」という肩書を持つが、日光は平気、血は飲むものではない、ニンニクは別に嫌いではないと、何一つヴァンパイア要素は無い。日光は苦手(研究者のインドア派的な意味で)、血は好き(研究材料的な意味で)、ニンニクが嫌い(匂いが強いので)というエリーの方がよっぽどヴァンパイアらしいとか。
- 大剣プロメテウス
ライトのガチャから出たカードの一つで、ナズナの元々の所有物ではなかったが、ナズナ以外に使いこなせる人物がいないということでナズナの専用武器になっている神話級武具。
その神話級たる所以の能力は「所有者の命令に応じて摂理を捻じ曲げて書き換える」能力。
ただし何でもありに見えるが本当に何でもありな訳ではなく、いくらかの制限はある。
まず1つは「所有者自分自身に対する行使が最も低リスクで高い効果を得られるが、それを離れるほど高リスクで小さな効果になる」こと。ナズナがよくやる分身や自分のダメージを無かったことにする治癒などは「ナズナ自身に影響すること」なので、反則級の効果を発揮しつつも大して反動は無い。一方で、敵対する相手の弱体化などはできなくはないが、大した効果が無いわりに多大な反動を受けるためにやる意味が無いほど。自分自身に対する効果>>自分の所持品に対する効果>>>周囲の環境に対する効果>>>敵に対する効果の順に効果が弱くなる。また、同じ効果でもやりすぎるとしょっぱくなる。ナズナが分身する際でも、オリジナルと同等の強さを持つ分身は4体まで(本人いれて5人)しか出せず、それ以上出すと人数に反比例して能力と装備品の質が下がっていく。
2つ目は「『摂理を捻じ曲げろ、プロメテウス』と声に出して言わないと発動しない」こと。何らかの理由でナズナが声を出せない場合、摂理を捻じ曲げる力も出せない。
護衛兼冒険者(黒の道化師)
- ゴールド
肩書きは『レベル5000黄金の騎士』
その名の通り頭から爪先まで黄金の鎧に包まれた騎士。攻撃能力こそ高くないが、防御力は特化している。
装備もさることながら戦闘技術も高く、盾で敵の攻撃の力が集中する一点を見抜いて受け流すばかりか逆に武器破壊を仕掛けるといった事も可能。さらにナズナと違って他者に教える事も十分上手い。
戦闘以外でもとてつもないコミュ力の持ち主であるという特徴があり、初対面の人間に話しかけて話題を引き出すなど当たり前、諍いを起こして険悪になったチンピラを纏めて朝まで盛り上がって飲み明かす事さえある。『巨塔の魔女』と魔女と関係を持つ『黒の道化師』一行を公式に敵視している魔人王国でさえ一日で知り合いを作っていたのを見た際は、ライトは「奈落一コミュ力のある存在」だと内心で思っている。
時に人種相手に追い剥ぎのようなマネをしていた外道たちを叩きのめして「黄金の騎士道精神」を注入し改心させている。またライトに対しては、敬意のゴリ押しは却って主君の負担になると考えて敢えてフランクに接している。
唯一の欠点としては装備が派手なこと。いつでもどこでも黄金の鎧を着ているためとにかく物理的に目立ち、隠密行動の類はまるで適さない。パーティのタンク役としては望ましいのだが。
趣味は食べ歩きで、地上でも自由時間の際は色々な買い食いをしていたり、奈落の仲間にお土産を買っていたりする。同じく食を趣味とする(が任務が無ければ滅多に地上に出ない)メラからは有料で地上の珍味の買い込みを依頼されていたりする。
一部の読者からネタキャラ扱いにされてるとの噂が?
- ネムム
肩書きは『レベル5000アサシンブレイド』
『黒の道化師』の斥候役。肩の上より長い銀髪で口元をマフラーで隠している(ライト談)17~18歳の少女。我々の世界で言うくノ一に近い。
奈落勢女性陣の例に漏れずかなりの美女で、頻繁にナンパされるのが悩み。ただ「ハァハァ勢」の中ではライトと一番長く行動できる立場なので、役得の代償と言えなくもない。
ちなみに「ハァハァ勢」がよく希望する「ライトの足への口づけ」は皆なんだかんだで牽制しあって誰もできていないのだが、彼女だけは少数行動の仲間の役得で唯一させて貰っている。
奈落の中の拠点がガチャのお陰で衣食住かなり高水準で揃っている(が、ゴールドほど自分の足で食べ歩いて探すほど熱心でない)ことや、ネムムに言い寄ろうとするばかりにライト(とゴールド)に危害を加えようとする輩まで定期的に出てくることから、地上の人間とはトラブルを起こさないまでも積極的に仲良くなろうとはしない。少なくとも男性にナンパされると100%塩対応で返す。
ただしゴールドが度々コミュ力を生かして功績を挙げてくるのを見て少しは改善した方が良いのかも、程度には思っている。
レベル7777
※ライトの「無限ガチャ」により召喚されたメンバーは成長(レベルアップ)できない。
- メラ
肩書きは『レベル7777 キメラ』
肩書きの通りキメラ(キマイラ)であり、自らの細胞を分割させ、自分に合成されている様々な動物に変じさせて使役する力を持つ。ある意味では変則的な分身能力の持ち主ともいえ、通常の分身もこなせる。変化させないままでも体の一部を分離する事もでき、相手の攻撃で腕をちぎられたと見せかけて取れた腕を食ってまた生やしたり、首を自分で引っこ抜いて見せることもできる。
また細胞の構成を組み換えて四肢だけを別の生物に変えたりロリ化する事も可能。
言動も言葉の頭に「ケケケケケ」という怪しい笑いをつける口癖があるため怖いイメージを持たれがちだが、面倒見が良く仲間思いの性格。適度に冷静で常識も持ち合わせ、遥かに格下の存在であっても理のある意見や自分に非がある状況は素直に認めて受け入れるなど、すごくまともな人。
奈落勢の中でもライトやメイ、エリーと並ぶ『何でもありキャラ』で出番もかなり多い。
- アイスヒート
肩書きは『レベル7777 炎熱氷結のグラップラー』
左半身が青色の髪、右半身が赤色の髪という、なかなかにサイケな見た目の少女。左半身で氷雪系魔術を、右半身で炎熱系魔術を同時に扱い、これらを己の拳に乗せたり敵に放ったりして戦う、というどっかの外道や大魔道士師弟に似た戦闘スタイルを持つ。
しかし性格は某外道とは異なり生真面目で思い詰めやすく、基本的には戦闘時手加減不可能勢のひとり。その事を気にしており「自分はライトさまのお役に立てていないのではないか」とくよくよ悩み、見かねたメラに慰められる、というのが日常のパターン。悩んだ末に開運グッズを収集するという努力の方向音痴な努力を重ねること多々。
しかし奈落ではメイの直属の部下であり、妖精メイドたちを束ねる副メイド長の任を拝命している。その関係で奈落内をライトが移動する際の側近としてライトに付き従っている事が多く、ある意味でネムムに次いで「役得」な立場ではあるのだが…。
メラが茶の席で口を滑らせて本人の知るところとなった奈落内での噂では、半分赤で半分青という目立つカラーリングをしているのに逆に個性が薄い、などと言われていたりするんだとか。
なお運の悪さに関してはよく愚痴を聞かされるメラは「たまたまだ、アイスヒートの持つ性質が極端なために適材適所で選ばれない事があるだけだ」と慰めているが、仲間たちにライトの無限ガチャのボタンを代わりに押させてみるという番外編では、ライト自身ですら奈落に来てから一度も出したことが無い最下レアリティの「E(エラー)」カードを奈落の最奥部で引き当てるという運の悪さを見せた。
- スズ&ロック
肩書きは『レベル7777 両性具有(ダブル)ガンナー』
ハンチング帽にインパネスコートを着たスナイパーの少女「スズ」と、彼女が操る『意思ある武器(インテリジェンスウェポン)』であるマスケット銃型ライフルの「ロック」によるコンビユニットのカード。
スズは恥ずかしがり屋で内気な少女。無口な筋金入りのコミュ障。メンタルは思いっきり乙女で料理や人形作り(裁縫)が趣味な家庭的な側面を持ち上にそこそこのものがついてるのだが、肩書きの通りに下にもしっかりついている(何がとは言わんが)。なお、下についている事を指摘されると(自身の性自認が女の子である事もあいまって)キレる事がある(もっとも奈落勢は読者と違って両性具有の形状について全く分かっていない者が多いという事情はある)。しかし、その内気や男女の美しさを併せ持ってしまった性質からか、不敏な事に本作を代表するヘンタイホイホイでもあり、物語が進むにつれ「そちら方面」でとても苦労している。ライトに自分の手料理を美味しく(できれば毎日)食べてもらう(ライトのために毎日料理を作りたい)のが(大それた)夢。
ロックはスズが持つインテリジェンスウェポンで、無口なスズの代弁者。スズによってロックから打ち出される弾は、いわゆる「魔力弾(魔法弾)」で毒にも薬にもなる様々な効果を持つ。スズの事を「相方」と呼ぶも、その相方に対しては、大事に思うがゆえに辛辣。時々やりすぎて「立派なモノがついてるのに」とまで言いきってしまいキレられ、あちこちの硬いモノにガンガン叩きつけられる。相方に一歩を踏み出すよう発破をかける事も多いが、内気なスズにはハードルが高く、いつもやきもきしていたりする。
遠距離狙撃を得意とするスナイパーである関係上索敵能力に優れ、かつ様々なバッドステータスを付与する魔弾を扱う性質上、隠れて潜む暗殺者を素早く無力化する、目撃させたくない非戦闘員を眠らせる等の裏方仕事に高い適正を持ち、索敵能力だけならアオユキに一歩譲るものの、色々な作戦において裏方役として割と引っ張りだこな子。
なお内気で恥ずかしがりのため表に出してはいないが、ライトに対するハァハァ度は仲間の中でもかなり高い方らしく、ライトの無限ガチャを代わりに押させてもらった際は、「押した本人の願望が反映されていると思わしきガチャ結果」が続いている流れでどぎつい勝負下着を出すという、顔から出火間違いなしのオチを見せた。
- ジャック
肩書きは『レベル7777 鉄血鉄壁』
奈落一の防御力を誇るアニキ。周囲(ライト含む)に自分を兄貴分呼ばわりさせようとする。ゴールドやライトなどはそのあたりを尊重して接しているが、奈落のハァハァ勢や忠犬勢からは「ライト様に対して不遜」として眉を顰められる事、多々。
肩書の鉄血鉄壁とは彼自身が持つ自らの血液を硬化させて鎧として纏う能力の事。腕や胸に刺青らしき文様を持っているが、実はこの文様は自らの血液の噴出孔である。
レベル8888
- カオス
肩書きは『レベル8888 混沌の申し子』
書籍版で追加されたキャラ。
ライトの影武者として顕現された銀髪の少年で、(色の違いはあるが)容姿が非常にライトと似ている。ぶっきらぼうな性格で、他者と積極的に交流することはほとんどない。奈落メンバーの中ではオルカと同様一番の新顔であり、当初はメラから新入り扱いされていた。「強者が弱者を守るべき」「弱者は無理をせず強者に守られるべき」という所謂「弱肉強食」の考えを持っており、他のメンバーと違い顕現された際は(無条件で)ライトの配下になることを拒んでいた。しかし後にライトの提案で行われた決闘にてその実力を目の当たりにし、ライトの配下となることを受け入れる。その後はオルカと共にエリー直属の配下となり、地上では主に『巨塔の魔女の配下』として活動している(尚、地上での活動時は『カオスはオルカの弟』という設定になっている)。
近接戦闘も魔法も高水準でこなせる万能前衛型であり、劇中では決闘にてライトに傷をつける程のダメージを与えていたことから、戦闘力の高さが窺える。武器として身の丈程もある大鎌『混沌の大鎌』を装備しており、他にも『創生の右手・混沌の左手(ジェネシス・オブ・ケイオス)』などのスキルも使用できる。
- 混沌の大鎌
カオスが使用する身の丈程ある大鎌。武具ランクは不明だが、後述の能力からかなり高ランクであると考えられる。
一定レベルに満たない物理攻撃や魔術を無効化し、すり抜けることができる。また無数に増殖させ、増やした鎌全てを遠隔で操作することが可能であり、ライト曰く「並の相手ならこの大鎌だけで完封できる」とのこと。
- オルカ
肩書きは『レベル8888 幻楽師』
書籍版で追加されたキャラ。
『巨塔の魔女』ことエリーの配下として顕現された美青年で、三つ編みになった白と黒の長髪が特徴。非常に穏やかな性格で常ににこやかな笑みを浮かべており(一部例外あり)、腰に下げたヴァイオリンを弾いていることが多い。また他者の考えを読む能力に長けているらしく、ライトに挑戦的であったカオスの行動は、ライトがこれ以上傷つかないよう彼を前線から遠ざけるためのものだったという真意も見破っていた。
『幻楽師』の名の通り先述のヴァイオリンを弾くことで、奏でた曲に応じたバフ・デバフを敵・味方に与えることができる。その威力と効果範囲は凄まじく、恐慌状態に陥った2000人もの人種の集団をものの数秒で落ち着かせてみせた。一方で戦闘力に関しては本人も自覚している通り(カオスと比べると)かなり低めで、典型的な支援特化の完全後衛型と思われる(とは言えスズの魔弾の効果からも分かるように、デバフにはそれ自体がダメージになるものがあるため、一概に弱いと断ずるのは早計だろう)。
その他
おそらく世紀末漫画によく登場するザコ敵に似た人種の冒険者達。ご丁寧にあのセリフを発している場面まである。
が、格好と言動が不穏なダケで実は超善人。
「ヒャッハー! 奴隷の女の子を見つけたぜ! 商人に渡す際に傷だらけだと値が下がるから、超高級ポーション(王族でもおいそれとは使えない)で傷を直してやるぜ!」
「ヒャッハー! だったら俺はこれ以上足が傷つかないように靴を作ってやるぜ!」
「ヒャッハー! 連れてく時に疲れたら手間になるから杖を作ってやるぜ! 疲れて立ち止まったらモンスターに狙われやすくなるから、おんぶして連れてってやるぜ!」
と、まぁ良い事を悪ぶってやってるので誤解されやすいが、やってる事は超真っ当(どころか時にお人好しに片足突っ込んでる)である。
実はライトが召喚したガチャカード(リアリティはN、レベルは20~25、カード名はモヒカンズ)であり、地上の情報収集の為に商人と共に各地に散らばっている。勿論人助けもする。本作の癒し枠。
- 妖精メイド
奈落の王国で作業しているメイドの妖精。基本的にライトに対して愛想はいいが、彼の復讐相手や同額の小悪党に対しては養豚場の豚を見るような目的な態度をとる。
彼女らをピックアップした話では容姿が整いすぎて逆に特徴が全く無い量産型メイドA、ギャルメイド、訥弁地味ヲタメイド、優秀っぽく見えるが実はそうでもない詰めダダ甘の眼鏡っ娘メイドによる「メイド四人衆」によるドタバタが描かれる。
なお量産メイドとは言えそれぞれがレベル500程度はあるため、並の悪党や暴漢であれば容姿を目当てに襲おうにも全く歯が立たない…どころか一般人の2桁以下のレベルだと殺気で威圧しただけで失神しかねないレベルである。
なお上述のモヒカンズの一部にはこの妖精メイドの威圧を間近で見たせいで女性の好みに関してトラウマを抱えてしまった者もいる。
- 神獣・始祖フェンリル
無限ガチャから排出されたURカードで、レベル9000の美しい毛並みを持つ氷の狼。
ガルーに復讐する際、ガルーがレベル500の「魔獣フェンリル」を魔獣球で呼び出したのに対し、その場でカードから召喚して見せた。
ガルー曰く「豪邸数件分」のとっておきの切り札を、ため息の一つで消し飛ばして見せた。
『種族の集い』元関係者(ライトの復讐対象)
- ガルー
獣人ウルフ種。ライト抹殺の功績により資産と獣人ウルフ種の次期トップ候補になった。
ライトが最初に復讐を行った相手で、ライトの王国が地上の国家に対して通用しうるかを試すための確認に使われた。
レベルは『種族の集い』当時は150程度で、人種よりは遥かに強いが、エルフ種や竜人種などにはへいこらしなければならない程度の実力。
- サーシャ
エルフ種の女性。レベルは『種族の集い』当時は300。ライト抹殺の功績によりエルフ女王国最強の騎士団『白の騎士団』の副団長ミカエルとの結婚(玉の輿)を成し遂げる。
しかし本格的な侵攻を開始したライトたちの『巨塔』がライトの仕業なのではないかと疑い、もしそうであればライト抹殺の功績による今の栄華が全て崩れてしまうと恐れたためにミカエルら白の騎士団と共に自らライトの待つ『巨塔』に向かってしまう。
ライトの狙い通りにおびき出された彼女はライトの待つ最上階へと誘導され、圧倒的な力の差の前にミカエルと命惜しさの醜い痴話喧嘩を繰り広げた挙句、服を脱いでライトに色仕掛けで媚びるも無視され、捕らえられて奈落へと連行された。
- シオン
ダークエルフ種の女マッドサイエンティスト。原作web小説版にはダークエルフ種そのものが未登場であるため登場していない。
人種の『ギフト』を引き剥がし別のダークエルフ等に与える研究を進めるための研究所と研究資金を得るため『種族の集い』に参加した。
ライト殺害の報酬で自身の研究所を持ち実験に勤しんでいたところ、偶然「ソウルドラゴン」と邂逅し、自身が存在の証明をするところから研究していた「魂」というものを可視化し意のままに操って見せるソウルドラゴンの力に魅せられる。
そのままソウルドラゴンと半ば一体化した状態で研究を続けていたが、そのせいで研究所内がダンジョン化し、中にいたシオンが(外部から見て)生死不明になったことから冒険者に捜索依頼が出されライト達に乗り込まれる事になる。最終的にはライトたちにソウルドラゴンを滅ぼされた上に研究の無価値さを煽られ、復讐として捕らえられた。
- ナーノ
ドワーフ種の鍛冶屋。レベルは『種族の集い』当時は300程度。
ドワーフ種全体の特徴に漏れず彼も鍛冶を学んでおり、いつか伝説の武具を作る事を夢見ていたが一向に果たせず、「ますたー」に接触する事にその可能性を見出し『種族の集い』に参加する。結果としてライトは「ますたー」ではなかったため何の成果も得られなかったが、「ますたー」に感づかれる事を避けるために一度ますたー候補捜索に関わったものは二度は採用しないという国の方針によりその道も断たれ、やがて製法を所持しているだけでも重罪とされる呪いの武具に手を出し始める。
- ディアボロ
魔人種の青年。「ですねー」など語尾を伸ばす喋り方が特徴。貴族だからかテーブルマナーや女性のエスコートマナーなど礼儀作法にうるさく、『種族の集い』時代にはライトによく礼儀作法を教えていた。
レベルは『種族の集い』当時は400だったが3年後も400で変わっていない。
貴族だったが長男でなかったためスペアとしか見られておらず、長男である兄が子を授かって家督の相続が決定的になった時に家から追い出され冒険者に身をおいていた経緯を持つ。
そこで『種族の集い』に参加しライトを殺害する任務を受け、それに成功した報酬として兄から当主の座を奪い貴族に返り咲いたため、ライトが生きていた事の発覚による「報酬の取り消し」を事の他恐れている。
- ドラゴ
竜人種の青年。各種能力に優れる竜人種である事に加え、レベルも500とメンバー中最も高かったため『種族の集い』のリーダーを務めていた。理知的でとても強く優しい人(裏切られる前のライト談)。
『種族の集い』の各メンバーがライトを殺害した報酬で自国での地位や財産を築いていたのに対し、ドラゴはその手のことよりも『P・A』なる計画の対象に選ばれるようにする工作に腐心しており、ライト殺害の報酬でそれを成し遂げていたようだ。
地上の人々
- ミヤ
ライトがダークとして冒険者活動を始めた際に知り合った駆け出し冒険者パーティーの後衛魔術師。
ダークが仮面をつけているのを「幼い頃に負った火傷の傷を隠すため」と聞き、手持ちの火傷の薬を渡した心優しい少女。
人種には珍しい魔術の才能を持つ娘だが、家は貧農であったため魔術の勉強ができる環境になく、兄たちの説得により魔術学校への入学資金(入試受験費や入学後の学費)を稼ぐため幼馴染でパーティーを組んでいた。
のち「冒険者狩り」騒動に巻き込まれた結果、パーティーは兄と自分を遺して全滅。冒険者を引退し、故郷の村で薬師見習いとして働く。
が、数奇な縁からライトたちの活動に知らず知らず事ある毎に関わっていく事になっていき、本人は望んでいないまま成り上がっていく。
- エリオ
ライトがダークとして冒険者活動を始めた際に知り合った駆け出し冒険者パーティーの剣士でリーダー。ミヤの兄。頼れるリーダーではあるが駆け出しパーティーでもあるため経験は乏しい。ミヤの学費を稼ぐため幼馴染のギムラとワーディと共に冒険者となった。
モンスターとの戦いの際、ダークパーティー(黒の道化師)から助力を受け、ゴールドから戦い方の指導を受けた。
「冒険者狩り」に遭遇した時には体を張ってミヤを逃がし、自らは死を覚悟して敵を足止めした。そしてゴールドからの教えを忠実に守り「冒険者狩り」に(ノーダメージだったが)一矢を報いる屈辱を与えてみせた。
パーティーの壊滅によりミヤと共に冒険者を引退し、故郷の村で冒険者経験とゴールドの教えを活かして村の自警団の団長となって村の若手を鍛えるようになる。また時折、村に出入りする商人の護衛をしている。
「妹を護る兄」という立場からライト(ダーク)からは、ものすごく親近感を持たれて気に入られており「もしもぼくが復讐の道を選んでいなかったら親友になれていたかもしれない」と評されている。そのためミヤともどもライトから常々、気にかけられている。
- シリカ
エルフ女王国に属するエルフ商人によって(鉱山のカナリア的な)モンスター避けの囮(消耗品)として「買(飼)われ」た人種の少女。巨塔の出現によりモンスターが徘徊するようになった街道筋にて囮に使われるが、それらのモンスターは全てアオユキが使役する「人種だけは襲わないモンスター」であったために雇い主だけが全滅し、直後モヒカンズによって保護された。
もともとは街から街を渡り歩く行商人の娘であり、その生い立ちから読み書きと計算が出来る。両親が行商の最中にモンスターに襲われて孤児となった事から奴隷にされていた。
その後、巨塔の魔女(エリー)による人種保護によって塔の麓に開拓された「巨塔街」に住む事となり、その経歴(読み書きと計算ができる商人の娘)から街の面倒を見ている妖精メイドより店舗を任され、成り行きとはいえ亡き親の夢を叶えた孝行娘となれた。
親の行商についていった過去により見識が広かった事から巨塔街の雇用創出に悩むエリーに目をつけられ、彼女の公共事業展開に知恵を貸す羽目になる(そしてエリーに評価されて目をかけられ、のちには直接エリーに謁見する権利も貰ってしまった)も、そのプレッシャーから胃痛持ちになってしまう。
- リリス
人種王国の第一王女。特に『恩恵』は無く、レベルで言えば7の非戦闘員。
国家の主権が建て前でしかなく、国家主席の後継者も関税も自主的に決める事を許されていない家畜同然の扱いを受ける人種王国だが、父である国王と兄の第一王子が「下手に逆らって余計に事態を悪化させる事はできない」と現状を受け入れているのに対し、現状を変えるために機会を狙う野心家。
ライトの実妹であるユメが行き倒れていたのを保護した事が切っ掛けでライト達と知り合い協力関係を結ぶ。現状打破・改革のためにライトに協力を仰ぐ事が一部の奈落メンバーに「いくらユメ様を保護していた恩があるとは言え図々しすぎではないか」と思われて反発を買うが、ライト自身は自身の復讐を優先させているものの人種の待遇を改善しようという思いはあり、それを確固たる意志で推進してくれる立場のある人間はライトにとっても代えがたい人材であることから、ライト自身は彼女への協力に積極的。
なおライトと初めて会った当初はレベル7の一般人だったが、後に暗殺対策の一環としてライト達に手伝ってもらってレベリングし、レベル100程度まで上昇。そこらの暴漢や兵士程度であれば蹴散らすくらいの強さにはなっている。
- ユメ
ライトの実妹。ライトが奈落の中にいる間に地上の故郷の村は滅ぼされてしまったが、死体が見つかった両親とは違い、「にーちゃん」とユメの2人だけは死体が見つからなかった事から、僅かに残る生きている可能性に賭け、復讐と並行して捜索していた。
後に人種王国で保護されているのが発見され、引き取られて奈落の最奥部の王国内でライトと共に暮らすようになる。奈落勢の中ではナズナと最も仲が良く、ナズナが「お姉ちゃん」呼びされて嬉しがること、ナズナが手加減が下手で作戦に頻繁には駆り出されないこと、ユメの護衛には最大戦力を付けたい兄の心配などから、ナズナと一緒にいる事が多い。
- カイト
エルフ種の男性。200歳程度で、レベルは1500。
最年少で「白の騎士団」に入団し次期団長を囁かれており、「女神に英雄の勇者と認められる存在」と自称していたが、レベルが1500で頭打ちになってしまったこと事から周囲に次第に失望され始め、焦りを覚えてエルフ女王国の幻想級の宝剣「グランディウス」を盗み出して脱走するという不祥事を起こした。
本来、カイトの200歳でレベル1500というのは破格の実力なのだが、そこで成長限界が来てしまったこと、「白の騎士団」にはレベル1500以上の猛者が多数いることから、これでも周囲には失望されることになった。
宝剣を盗み出し脱走した後はがむしゃらにダンジョンでモンスターを狩り続けていたが一向にレベルが上がらない事から焦りは強くなり、過去に聞いた「他の人間種族を殺害したら成長限界を突破した」という噂話から殺人に手を染め「冒険者狩り」を行っていた所、ライト(ダーク)達と敵対し討伐される。
劣等感から脱走し、非道な行為に手を染め、エリオやミヤには「負け犬」と断じられ、ライトの前では無様な姿を晒したせいであまりに小物感が強い彼だが、白の騎士団の精鋭と比較しなければエルフ種の中でも抜きんでた実力者である事は間違いなく、実際に彼も「さぶますたー」の一人であり、一般的なエルフ種の成長限界の1000は超えている。また少なくとも当初は曲がりなりにも戦闘経験を積むことで真っ当に限界突破を目指していたため、剣技および『グランディウス』を使いこなす技量はかなり高い。特に彼のグランディウスの刃の分身体の活用技術は、それに襲われたミヤ自身が魔術「アイスソード」の活用に置いて参考にしているほどで、その活用センスを認められてシックス公国魔術学園への入学が認められているほどである。
原作web小説版では単独行動しているが、コミカライズ版では同じく成長限界の突破について研究するダークエルフ種の科学者と組んでおり、噂話ではなく彼の人体実験のために冒険者狩りをしていることになっている。
- ハーディー
エルフ国女王の息子であり、「白の騎士団」団長。
レベルはエルフ種の成長限界と言われる1000を大きく超えたレベル3000の猛者で、「国をも滅ぼせる戦力」とさえ言われる白の騎士団の中でも戦力の中核を担う。
「静寂のハーディー(コミカライズ版では『静かなるハーディ―』)」の異名を持ち、レアスキル化するまで進化した魔術「サイレント」の使い手。通常のサイレントは外部に音を漏らさない遮音の結界を張る程度の魔術だが、彼のサイレントは領域内の一切の音が完全に聞こえなくなり、長く結界内にいると自身の鼓動の音すら聞こえない無音の空間が精神を蝕みやがて発狂するとされる。またサイレントの結界を剣の形に押し固め、自身以外には視認も感知も不可能な「見えざる剣」を作ることができる(「見えざる剣」の効果はコミカライズ版のみ登場)。
加えて、サイレントの領域内にいる「ハーディが敵と認識した者」のステータスにデバフをかけ続ける効果を持つ。「静寂」の異名は、サイレントで音を消す事だけではなく、このデバフ効果があまりにも静かに気づかれる事無く忍び寄る事に由来する。さらにハーディー本人とエルフ国女王の2人しか知らない隠れた効果として、これによって下げた相手のステータスを吸収してストックし、任意のタイミングで自身に還元しステータスの底上げをする力まで備える。
常に冷静で相手を分析する性格だが、巨塔で一騎打ちになったナズナの実力を見抜くことができず、ナズナの小手調べの一撃で即死…していたのをエリーが塔全体に施した魔術のお陰で強制的に生き残らされ、それを「油断していたが運が良かった」と勝手に解釈し立ち上がってサイレントの奥の手を全て発動し全力でぶつかるも、「もっと手加減した素手の一撃」で完全に戦闘不能に追い込まれて敗北、捕らえられた。ナズナが終始戸惑ったり追撃を躊躇うようなそぶりを見せていたのを「実戦経験が無いため」と解釈していたが実際は手加減の仕方を必死に考えていただけであり、最後までナズナとの実力差には気づかないままだった。
その後の消息は不明だが奈落でエリーに記憶を読まれた事が語られており、エルフ国で女王に最も近い立場であったために他の人員よりも情報を持っていた模様。「ますたー」の「文明を加速させすぎて滅ぼす」と言う情報は彼の脳から読み取られた情報である。
- ユド
ダークエルフ種のAランク冒険者。
マジックアイテムのコレクターでもあり、それらを駆使して戦う様から「アイテムマスター」の異名を持つ。ただし本人は「マジックアイテムが無ければ弱いと言われているようだ」という理由でこの呼び名を余り好んでいない。
シオンの研究所がダンジョン化した事件において捜索隊に加わる冒険者の一人としてライト(ダーク)と出会い、ダンジョン内にて『恩恵』持ちの人種を攫ってはシオンに実験材料として提供していた事が明らかになり、ライト(ダーク)一行と敵対する。
ゴールドとネムムを配下の2人の女に任せて自身はライトと対峙するが、マジックアイテム全開の初手の奇襲を簡単に防がれ、奥の手の即死アイテムを使うも全く効果が無く、為す術なく敗北。「ますたー」に関する情報を抜き取るために奈落へと連行された。
ライト達に捕らえられたことで他種族国へのスパイ行為を行っていた事が明らかになり(この手のスパイ行為はどの種族の国も他国に対して行っているが、明確な証拠つきで存在が明らかになっていないだけ)、ダークエルフ国への脅迫の材料として使われる。
原作web小説版ではシオンおよびダークエルフ種自体が登場していないため、ユドも登場していない。
用語
- 恩恵(ギフト)
いわゆる特殊能力。人種にのみ10歳になると極稀に発現すると言われる。
ただし本当に極稀であるため、大半の人種はギフト無しで「劣等種」として迫害の対象になっている。また、発現しても奈落に落ちる前のライトが思われていたように有用でないハズレの効果である場合もある。
- 成長限界
どれだけ経験を積んでもそれ以上レベルが上がらなくなるとされる境界。
エルフ種、竜人種はレベル1000、魔人種は個体により300~1000、ドワーフ種は500、獣人種は300、人種は100程度とされるが、この成長限界を超えたレベルまで成長している者も少ないながら存在する。
なお召喚された時から様々な知識を持っていたメイがこの概念を知らなかった事、ライトは修行し始めてから割と短時間でレベル1000程度までは到達していた事から、メイの推測によれば「限界などは本当は無く、単にレベルが上がるまでの経験値が劇的に増えるラインがあるだけではないか」とのこと。
- 武具ランク
この世界に登場する武具にはランクがあり、下から
- 一般級(コモン・クラス)
- 希少級(レア・クラス)
- 遺物級(レリック・クラス)
- 秘宝級(アーティファクト・クラス)
- 叙事級(エピック・クラス)
- 幻想級(ファンタズマ・クラス)
- 神話級(ミトロジー・クラス)
- 創世級(ジェネシス・クラス)
がある。無限ガチャから排出される武具カードにもこれらのランクはある。
一般的には秘宝級まで来ればかなり値の張る業物、叙事級で個人所有の限度、幻想級ともなれば国家が秘宝として所有するレベルになるが、無限ガチャによって大量のレア武具を所有するライト達は世間一般とは感覚がズレている。創世級はたったの1つ、神話級でも3つしか排出されていないが、その下の幻想級までであれば主要なメンバーに支給しても余るほどに所有している。
- 魔術
体内を流れる魔力を用いて外部に現象を起こす技術。
「戦闘級(コンバット・クラス)」「戦術級(タクティクス・クラス)」「戦略級(ストラテジー・クラス)」の3段階があり、後者ほど高度で高威力・広範囲の魔術になる。
戦闘級は個人で行使する基本的な魔術、戦術級も個人魔術だがこれが行使できるかが一流の魔術師かどうかの壁になるほど高度な魔術、戦略級は複数人で発動する魔術。
基本的に魔術ごとに決められた詠唱を行って発動するが、ごく限られた実力者ならば詠唱を破棄して発動させる事が可能。ただそれでも、レベル限界が高く魔術にも適性の高いエルフ種の魔術師でも戦術級の詠唱破棄は難しい。
無限ガチャから排出されるカードには魔術カードもあり、それを「解放」すると魔術を使ったのと同じ効果が得られるが、カードの解放には当然詠唱が無いため、カードの魔術を使うライト(ダーク)は「戦術級の詠唱破棄を使いこなす魔術師」と一般的には見られている。
エリーは自力で戦術級程度なら詠唱破棄で軽々と使いこなす。
また一般的には知られていないさらに上の「極限級(アルティメット・クラス)」の魔術も存在するが、これはレベル9999であるエリーでも1日1回が限度という規格外の難度を誇る。
- 無限ガチャ
ライトの恩恵であり、最大の主力である。メイ曰く、魔術師などが魔術を使う際に使用する魔力は空気中にも漂っており、その魔力を吸収しカードを排出する。使用の際は「解放(リリース)」と宣言する事で発動・召喚が可能。その吸収した魔力の濃度が高いほど高ランクのレアカードの排出の確率が高くなる。
一見便利そうな恩恵だが、この魔力濃度に関する特性を知らなかった上、ライト自身がレベル10程度の弱い人種だったために魔力濃度の高い場所で試す機会が全く無く、当初はゴミカードしか出ないハズレ恩恵と思われていた。ライトは「種族の集い」に裏切られ奈落の最下層に落とされて初めて、この恩恵の特性を知ると共に高ランクレアを排出した。
排出されるカードはソーシャルゲーでお馴染みの人や武器にアイテムとモンスターの召喚やパンや水等の日常必需品、意外な物はプレハブまである。
レアリティは低い順から「E(エラー)→N(ノーマル)→R→SR→SSR→SSSR(スリーエスレア)→UR→SUR→EX」となっている。
現在はとある方法で『自身が無限ガチャを発動せずにカードを引き続けている』ようである。
メイを引き当て生き延びる事に成功した後でも引き続け、SURまでは複数枚引き当てているが、EXカードは作中でもたった1枚しか登場していない。
このガチャによって出たカードは「○○○○(カード名)、解放(リリース)」の掛け声でライト自身以外の人物でも使用可能。
人格のあるキャラクターが顕現する事もあるが、このカードにより生まれた存在は例外なく、(例えライト以外の第三者に向けて使われたコピーのようなカードであっても)ガチャの持ち主であるライトに対して忠誠心を持つ。その主であるライトが男性であるため、男性キャラは敬愛や純粋な忠誠に留まるが、女性キャラの場合は忠誠を超えて愛情のような感情を抱いている者も少なくない。
- 鑑定
恩恵の1つ。本人のレベルに応じて、人や物などを判定することができる。これを得たものは(人種にとって)一生仕事に困らない。メイは固有スキルとして使用でき、これによって無限ガチャの隠れた特性を知る事となる。
- 神葬(しんそう)グングニール
ライトの無限ガチャで唯一出たEXレアのカード。
武具のランクで例えるなら最上級の「創世(ジェネシス)級」であり、メイとエリーが2人がかりで鑑定しても断片的な一文が見えただけでほぼ全く何も分からなかった。
ただあまりにも禍々しいオーラから「危険」と判断され、ライト・メイ・エリー・アオユキの4人のレベル9999の魂を使って分担して受け持った封印術式により力を抑え込まれ封印されている。(ナズナが参加していない理由は不明。未召喚だったか、魔術が不得手すぎたからか)
ライト自身の奥の手の武器でもあり、復讐対象に絶望を与えるために使う事がある。封印のうちライトが受け持つ1/4を解除しただけでも「幻想級」の防具を紙のように引き裂く攻撃力を発揮すると共に、持っているだけでもレベル9999のライトの手を呪いで蝕んでいくリスクを持つ。
- UR「2つ目の影(ダブル・シャドー)」
使用した対象の完全なコピーを作成するカード。3年でたった3枚しか出ていないかなりの希少カードだが、3枚とも使用済みである。
使用した対象と寸分たがわぬクローンを生み出し、使用された時点での記憶・技能・癖などあらゆる点を完璧に模倣、『鑑定』でも見破る事はできない。コピー元が『恩恵』を持つ人種であった場合、多少劣化するものの恩恵すらコピーできる。
これによって作られたコピーは誰が使用して誰をコピーしたものかに関わらず、全てガチャの持ち主であるライトに対して忠誠心を持つ。
1枚目はライト自身に対して使われている。ライトが奈落を離れて活動することによって無限ガチャのカードの供給が停止しないように、奈落最奥部に残ってガチャのボタンを押し続ける役を担っている。
2枚目はライトの実妹・ユメに対して使用。リリスの下で保護されている事を知ったライトが、正式に引き取る手続きをするよりも先に奈落に保護するための影武者として使用。当初はただそれだけの理由で使われたものだったが、リリスと正式に協力関係を結んだ後も王女付きのメイドとして引き続き働いており、これが後に人種王国の間者を一掃する計画に役立つ事になる。
3枚目は人種王国王女、後に正式に女王になったリリスに対して使用。ライトや『巨塔の魔女』から援助を受ける関係で奈落に足を運んで非公式に会合を持つ事がある関係上、影武者として置いておくために作られた。
- 獣魔球(じゅうまきゅう)
遺跡やダンジョンで稀に発見されるマジックアイテムで高レベルの魔獣が封印されているピンポン玉サイズの球。これを割ることで、約1時間ほど封じられたモンスターを召喚し、配下に置くことができる。ピンチに陥った一流の冒険者が切り札として所持している事が多い。希少品かつ消耗品の為に値段が高く、日本円で例えるなら最低でも1億は軽く超えるらしい。
小説版では上記の名前だが、コミカライズ版では「魔獣球(まじゅうだま)」と書かれている。
- ますたー
ライトが騙され殺されかける要因となった謎の存在。人種の中から現れる稀有な恩恵とズバ抜けて高い魔力適性・レベル限界の持ち主で各国が血眼になって探し出して取り込もう(あるいは取り込めないなら力の弱いうちに抹殺しよう)としている存在。
各国が血眼になって「ますたー」を探すのは自陣営を強化するためだけではなく「ますたーを野放しにすれば世界が滅びる」ためで、なぜ世界が滅びるのかというと「ますたーの恩恵によって様々な技術や価値観が加速発展していくため(世界および文明の老化が加速して寿命が縮んでしまう)」ためであるという。
なお過去代において各国に取り込まれた「ますたー」は、各国(特にエルフ種)より伴侶をあてがわれ、血縁を残している。「ますたー」の血を受け継いだ子孫は、そうではない同族よりも高いレベル成長や魔術適正を示す事が多く、そうした存在を「さぶますたー」と称する。
だが、ますたーの血を受け継ぐ「さぶますたー」の中に人種はいない。(普通に考えれば取り込まれた種族の血が遺伝子的に強く取り込まれただけ、という考え方もできるが、この世界の価値観的にそもそも「ますたー(の血脈)を人種には渡さない」事もさる事ながら「産まれた「ますたー」の子がますたーの因子を強く継いだ人種だった時は産まれてすぐに殺す事が国家間の約束事として厳守されている」という可能性も十分に考えられる)
- 人種(ヒューマン)
この世界において最弱の種族。自らを守る力を持たず、魔力適正は弱く、レベルの成長も遅い。ゆえに他の種族からは侮られて搾取される事が常である被差別種族とされており、常に種族もろとも理不尽に晒されている。
人種の国家は存在するが、自国民を奴隷として他国に売り渡すような真似を甘んじて受け入れなければならないほどの国勢であり、新しい国家元首を決める権利もない(他の人種の国の代表者からの承認が無いと認められない)。
しかし「『ますたー』や『恩恵(ギフト)持ち』は人種にのみ現れる」「人種を弾圧し過ぎた種族は魔王認定され勇者によって討滅される」「勇者も人種の中からしか現れない」など、実はかなり特殊でかつ謎の多い種族でもある。
人種への差別には人為的なものを感じる読者も多く、物語の謎を解くカギになると思われている。
- 女神教
「女神」を信奉する宗教。宗教故に特定の政治組織の介入を嫌い、シックス公国に総本山がある。
どの種族の国にも広がっているが、人種以外の種族の国にはいずれも「自分の種族が最も優れている」と言う自尊心があるためあまり信者はいない。人種王国が最も信者が多いとされる。
また、教えの下地となっているのが「女神に使命を受けた聖剣・聖槍・聖鎧・聖印の4人の勇者が魔王を討伐する」と言う伝説だが、この伝説が実際にあった出来事だとは到底思えないほど様々に脚色され世界各地で伝わっているおとぎ話レベルのものであるため、宗教そのものが各国であまり本気にされていないという面もある。