概要
正式名称は『モスラ2 海底の大決戦』。
1997年12月13日に公開された平成モスラシリーズの第二弾で、前作『モスラ』の続編となる。
監督は今作が初監督作となる三好邦夫。後に人気女優となる満島ひかりの初主演作でもある。
前作同様テーマは環境問題だが、『怪獣と出逢った子供たちの冒険』の側面が前作以上に強くなっている。
琉球の神話にあるニライカナイは、本作ではアトランティスのような超古代文明となっている。
1954年の初代ゴジラから東宝特撮映画に関わってきた田中友幸の遺作でもある。
あらすじ
デスギドラとの戦いから一年後、沖縄の海にオニヒトデのような謎の生物ベーレムが出現。瞬く間に日本の海全域に広がった。
それはニライカナイの古代文明が環境汚染の解決策として作り出した生体浄化システムだったが、暴走したためニライカナイを滅ぼした大怪獣ダガーラ復活の前兆だった。
沖縄に住む少女、浦内汐里はある日、ゴーゴという奇妙な生き物に出会う。それはニライカナイが生み出した、伝説の秘宝のありかを示す鍵でもあった。
ゴーゴを狙うベルベラと、彼女に焚き付けられた密漁者2人に追われる事となった汐里は、新たな危機を察知しインファント島からやってきたエリアス姉妹から「ニライカナイの遺跡にはダガーラを倒す秘宝がある」という話を聞き、事件に巻き込まれた同級生の宮城洋二と渡久地航平と共に、ゴーゴの力で会場に浮上したニライカナイの遺跡に向かう。
そしてついに復活したダガーラが沖縄に上陸。エリアス姉妹はモスラを召喚する。
地球の守護神と暴走した生体システムの決戦の火ぶたが切って落とされた。
登場人物・怪獣
- モル:小林恵
勇気と決断力を持ったエリアス3姉妹の次女。ゴーゴを探す中で汐里・洋二・航平の3人と出会い、行動を共にする。
- ロラ:山口沙弥加
エリアス3姉妹の三女で、フランクな性格。長姉のベルベラとの対立を嫌がっていた。
- 浦内汐里:満島ひかり
沖縄に住む石垣南小学校5年生の少女で、本作における人類サイドの主人公。ゴーゴと最初に出会った人物で、エリアス姉妹と行動を共にする中でニライカナイの秘宝を解放する者として選ばれる。なお、コミカライズ版には登場しない。
- 宮城洋二:島田正直
イタズラ好きな汐里のクラスメイトで、航平とは仲良し。汐里とは仲が悪かったが、ベルベラからゴーゴを助けたことでエリアス姉妹と行動を共にする。高所恐怖症。
- 渡久地航平:大竹雅樹
洋二と同じくイタズラ好きな汐里のクラスメイト。洋二と共に追われていたゴーゴと汐里を助けたことでエリアス姉妹と出会う。
コミカライズ版では主人公を務めているが映画とは設定が大きく異なり、ニライカナイの秘宝の力で亡き母親と再会したいと願う熱血少年となっている。
本作のキーパーソンとなるニライカナイの生物。汐里たちと出会い、ニライカナイへと導く。
- フェアリー
モルとロラが乗る小型のモスラ。オレンジを基調とした前作とは違い、緑を基調としている。
- 小谷幹夫:奥野敦士
ベルベラとともにゴーゴを付け狙う密漁者で、欲深い性格。
- 長瀬淳一:おかやまはじめ
ベルベラとともにゴーゴを付け狙う密漁者だが、相方の小谷よりは良心的。
コミカライズ版では海上警備のバイトをしている考古学専攻の大学生として登場。映画とは異なり、良心的な好青年で航平の兄貴分である。
- 浦内敏子:紺野美沙子
『PENSION URANAI』を営む汐里の母。
- 木村昭子:細川ふみえ
石垣南小学校の社会教師で、汐里・洋二・航平の担任。糸満から好意を寄せられており、洋二と航平に手を焼いている。
- 糸満達三:佐藤正宏
木村に好意を抱く石垣南小学校の体育教師。洋二と航平によく大目玉を食らわせており、陰で「毛ダコ」と呼ばれる。
- ベルベラ:羽野晶紀
人間を憎むエリアス3姉妹の長女で、衣装は黒ずくめだった前作と比較して銀を基調としている。密猟者の小谷と長瀬を脅迫し、ニライカナイの秘宝を狙う。
コミカライズ版では妹2人と対立するようになった経緯が語られている。
- ガルガルⅡ
ベルベラの相方を務めるドラゴン型ロボット。
強化改修により武装が「シュビビンビーム」から「ドガバン(メガバン)ビーム」にパワーアップ。
- ユナ:野波麻帆
人間の勇気と優しさを信じているニライ・カナイの王女で、作中ではホログラフィーでの登場。
演者は本作が映画初出演である。
ニライカナイ文明が生み出してしまった怪獣。詳しくは当該項目を参照。
コミカライズ版
別冊コロコロコミックスペシャルにて連載された。作者は坂井孝行。
上記の通り映画とは設定が大きく異なり、人間側の登場人物は航平と淳一(および航平の母親)のみ。ストーリーも「同じ日に母親を亡くしたモスラと航平の友情」が主題となっており、執筆した坂井氏自身も「よくこれで脚本からクレームが来なかったものだ」と述懐している。
一方、ダガーラの正体やベルベラの心境、クライマックスの展開など本作独自の見どころも多い。
モスラのたまごっち
たまごっち2年目の1997年には『モスラ2海底の大決戦』が公開された為、何を考えていたのか当時の財団Bはモスラを育てる「モスラのたまごっち」をリリースしている。確認できる範囲であれば、これが初のコラボ品ということになる(※念の為言っておくが、公式品である)。
可愛らしいキャラクターを育成する事が当たり前だったたまごっち界にまさかの怪獣を育成する弾をリリースするのはシリーズとしてもかなり異例であり、パッケージも当時のたまごっちの緩い感じなど捨ててしまえと言わんばかりの劇画調(まあ、97年当時は「オスっち・メスっち」のテスト版に自主規制描写を仕込んでいたのでこれぐらいの冒険はやってもおかしくないだろうが)。
登場する怪獣はベビーモスラ、モスラ(幼生)、モスラ(幼虫)、バトラ(幼虫)、モスラの繭、新モスラ、フェアリーモスラ、バトラ(成虫)、マユラ(眉に足を生やしたような怪獣)。隠しキャラとしてモル&モラ、ゴーゴ、ゴジラが確認できる。
シリーズ化は成されなかったが、その後のバンダイ・WIZの育成ゲーム史にとっては大きな一歩であった事は間違いなく、モンスターの育成ゲームというコンセプトは『デジタルモンスター』、『陰陽闘神機』、『レジェンズ』(ゲーム機名は「タリスポッド」)、『バイタルブレス キャラクターズ』(ウルトラ怪獣やウルトラマン、仮面ライダーを育てられる)などの男児向けゲームに受け継がれている。
特にデジモンとゴジラシリーズが度々関係性が噂されており、『デジタルモンスターVer.5』に登場するモンスターのドットはゴジラ怪獣に似ていると専らの評判で、ダークティラノモンのドットは「モスラのたまごっち」に登場したゴジラのドット絵に酷似しており、フライモンのドットはモスラのドットを一部変更したようにしか見えないフォルムになっている。
ネット上では、ゴジラの育成ゲームに該当ドットを使う予定だったなどの噂が流れているが…真実は誰にもわからない。
関連タグ
モスラ(1996年の映画)←モスラ2→モスラ3