3分ポッキリ
さんぷんぽっきり
ある夜、春日部に現れた巨大な怪獣が野原家を跡形もなく潰していった…という夢を見たしんのすけ。
しんのすけは二度寝でアクション仮面と共に怪人を倒し、「正義の心得」を教わる夢を見た。
翌朝、遅刻したしんのすけを自転車で送ったみさえはそのままうたた寝してしまった。
そこに掛け軸の裏から光を放ちながら宙を舞う謎の物体が現れ、カップラーメンを食べるために怪獣シリマルダシの人形に憑依するが、そこをみさえに見つかってしまい、自分が未来からやって来た時空調整員「ミライマン」である事を話す。
帰宅したしんのすけとひろし達は掛け軸の裏側の世界で怪獣の存在を知り、現実でみさえとミライマンから未来崩壊の危機を知らされ、未来を守るために野原一家は3分後の世界で正義のヒーローに変身し、怪獣と戦う事になる。
しかし、ひろしとみさえは次第に怪獣退治に優越感を感じていき、それに圧迫されるように日常生活が疎かになっていく…。
未来からやって来た時空調整員。
怪獣シリマルダシの人形に憑依し、野原一家がヒーローの姿に変身できる変身アイテムの役割を担っている。
しんのすけが変身するヒーロー
しんのすけマン(CV:矢島晶子)
しんのすけが変身するヒーロー。
ウルトラマンのような見た目だが、怪獣波田陽区との戦闘では彼と同じ格好になった。
股間には金色の球体が付いており、ビームを放つ事ができる。尻の部分が露出しており、オナラで空を飛ぶ(ガス欠すると飛べなくなる)他、その他の攻撃方法も基本的にオナラを用いたものとなっている。
みさえが変身するヒーロー
彼女が変身するヒーローの共通点として、常にハート型の魔法の杖を持っている。
みさえが変身するヒーローその1。
体が若返ったからか、この姿では担当声優が変わっているため、ひろしとしんのすけが気付かなかった程。
メガネをかけたツインテールの魔法少女で、服のパターンは2種類。
星型のプレートに乗って飛行する。
攻撃方法は魔法のステッキから放つ光線や、ステッキを変形させた巨大ハンマー。
声を担当した福圓美里は本作の公開から7年後に本物の変身ヒロインを演じ、19年後にはテレビアニメ版においてひろしの兄の婚約相手を演じることになる。
余談だが、緑のツインテール少女という意味では彼女に似ているが、プリティミサエスの方が先である。
みさえが変身するヒーローその2。
服装は妖艶な魔女のような姿とメイド服の2パターンがある。
メイド服の時は巨大な掃除機、魔女のような姿の時はカッターにもなる帽子を投げて戦う。
マーメイドミサエリアス(CV:ならはしみき)
みさえが変身するヒーローその3。
名前通り人魚の姿になり、水中戦を得意とする。乗り物で飛ぶ他の2形態とは違い普通に空を飛ぶ事ができる。他の形態同様、魔法の杖を武器とする。
ひろしが変身するヒーロー
野原ひろしマン(CV:藤原啓治)
ひろしが変身するヒーロー。
服装は白の全身タイツに初心者マークのプレートが付いたもの、筋肉質で胸に「ひ」と書かれたスーパーマンのような姿のもの、青い競泳水着のような全身タイツの3パターンがある。
初心者マークバージョンでは胸元のマークが巨大化して盾になったり、エアバッグを展開できる。スーパーマンバージョンでは主に肉弾戦メインで、怪力で敵を殴り飛ばしたり、凄まじい風を起こす程の息を吹ける。青タイツバージョンはゴロドロ戦で一度だけ登場。
残念ながらひろしSUNには変身しない。
シロが変身するヒーロー
シロ(CV:真柴摩利)
シロが変身するヒーロー。特に決まった名前はない。見た目は身体が大型犬程度の大きさになっただけ。
作中ではポチタマタロミケと一瞬対峙しただけで、特別な力があったのかは不明だが、少なくとも飛行能力がある事は確認できる。
なお、本編公開から約14年後、二度目のヒーローになる事となった。
本作の最大のテーマは「真のヒーローとは何か?」、そして、「本当の強さ」。
大きく分けて、この二つがメインとなるテーマとして、全編を通して扱われている。
ヒーローになって怪獣と戦うという夢が叶ったら…本作ではそんな願い事が現実になったらという内容が描かれている。
基本的にヒーローとは、全人類の憧れであり、煌びやかで輝かしい夢の存在として描かれる。
しかし、怪獣はヒーローの都合に合わせて出現しない上、ヒーローが負ければ世界の終わりが待っている。
そのため、手のかかる料理や時間のかかる家事をしなくなり、子供すらも放ってヒーロー活動にのめり込む。ヒーローに変身すると、理想の自分になれる上に活躍するとチヤホヤされるためネトゲのようにのめり込んでいく。などのシーンが描かれる事で、野原家を通してヒーローになって悪と戦うという妄想の甘さを打ち砕いていく。
そして何より、強くなっていくのはヒーローだけでなく、悪の側もそうであり、ただチヤホヤされるためだけには戦えないという現実と、悪との戦いは生易しいものではなく、ヒーローも痛みを伴うものであり、それでも最後まで戦わなければいけないという現実が映画の終盤で描き出されている。
傷付き気力のなくした両親を守るためしんのすけが立ち向かうシーンと、そのしんのすけに勇気付けられ親としての責務を果たすため怪獣と戦うひろしとみさえの戦いは、まさしく「ヒーローは何故戦うのか?」「ヒーローは何のために戦うのか?」という、ある種のヒーローとしての普遍的な問いに対するアンサーであり、そして終盤のしんのすけの台詞である「強い人は弱い人を助けるものだけど、強い人も弱い人もなく、助けできるならした方が良い」は、真のヒーローのあり方と、本当の強さに対する、クレしん式のアンサーである。
まさに、『クレヨンしんちゃん』流ヒーロー映画としての傑作と言える作品となっている。
怪獣との戦闘シーンは、変身するヒーローのバリエーションが多彩であり、作品の見所の一つ。ただし一方で、シーンとしては長い、さらに怪獣を倒して終わりというお決まりのパターンのため、同じ事の繰り返しと言われる事も。
コメント
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