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概要編集

2004年4月17日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ12作目『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』


恐らく劇場版シリーズで最もギャグ色が薄くハードでシリアスな作品で、同じ水島努が監督した前作『ヤキニクロード』の作風とは正反対。

余談だが、OP曲として9年ぶりに「オラはにんきもの」が使用されている。


解説編集

映画のタイトルからも分かる通り、冒頭・終盤のシーン、そしてラストシーンのやり取りまで一貫して、今作は野原一家の「家族の団結」よりも「かすかべ防衛隊の「友情の団結」が強く描かれている。

このため、しんのすけ以外の4名の隊員達はこれまでの映画と違いなんらかの理由で途中退場することがなく、最後まで主役レベルの活躍をする。


また、本作の持つもう一つの特徴として、しんのすけの悲恋が描かれている。

悲恋ものと言う意味ではアッパレ戦国大合戦廉姫井尻又兵衛と言う前例があるが、今作ではヒロインである14歳の少女のつばきに対してしんのすけは彼女に本気で恋をするが、最終的に結ばれようがない恋であった事実を突き付けられるという悲恋の当事者になるという点が違う。

普段は大人のお姉さんにしょっちゅう目移りする上に、対象年齢が女子大生以上と言うしんのすけだが、大原ななこを除いて彼が本気で恋に落ちたのは映画・テレビを通してつばきが初めてのことである。


更に本作の特徴として、暴力の描写が従来作以上に克明に描かれていると言う点が挙げられる。

銃撃戦や格闘戦など、戦闘の中での暴力は従来作品でも描かれることは多かったが、今作では黒幕であるジャスティス・ラブを初め、悪役たちが人々を奴隷扱いしてムチ打ちする。ルール違反を起こした人物を馬で引きずり回す。戦意の無くなった風間くんを車で轢き殺そうとする。など、弱者に対して一方的に振るわれる「理不尽な暴力」が特に強く描かれている。点が従来作との相違点になっている。

また、ゲストキャラの扱いについても、基本的には映画内の一時のトラブルを解決するためのお助けキャラとして描かれていた従来作に比べ、本作では良くも悪くも生活に深く関わり、精神的に大きな影響を与えるキャラと言う、かなり特殊な扱いになっている。


ちなみにかすかべ防衛隊に協力した7人のガンマンは、『荒野の七人』のそっくりさん達であり、ちょっとしたパロディになっている。



あらすじ編集

高鬼の最中に、潰れた映画館「カスカベ座」を見つけたしんのすけ達5人。探検しているうちにみんなは姿を消し、一人だけ家に帰るしんのすけ。みんながまだ帰っていないと聞き、映画館へと向かう野原一家。そこでスクリーンに見入っていると、いつの間にか画面と同じ荒野にいた。そこは荒くれ者たちが闊歩する西部劇の世界。

映画の中に迷い込んだ野原一家は日常に戻れるのか?


ゲストキャラクター編集



用語編集

  • カスカベ座

町中の人目に付かない場所に存在する古びた映画館。既に潰れている為閉鎖されており、中は暗い。何故か西部劇の映画を一つだけ上映しているが、見ているとその人物を映画の中に取り込んでしまう(作中では映画自身が「終わりを迎える」ことを望んでいるからと説明された)。映画の中にいると徐々に前の世界の記憶が消えて行ってしまう

監督の水島努のブログによると、劇中内の西部劇の映画は、バブル時代1980年代後半~1990年頭)の頃に製作されたが、バブル崩壊によって頓挫したとの事。カスカベボーイズが(映画公開日と同じ)2004年の話なので、12~18年くらい経っているという感じらしい。


  • ジャスティスシティ

ジャスティスが治める小さな西部劇風の町。この他に町は何も無く、線路の先には何もない(実際には重要な拠点が存在している)。また太陽が全く動かないため、一日中ずっと昼間である。オケガワ博士が馬に引きずられるのを数えればこの世界に来て何日後かわかるという。


  • ジャスティスロボ

野原一家が映画の中の世界に来てすぐに発見したカウボーイ型の巨大ロボット。

実はジャスティスが奥の手として所持しているロボットであった。テンガロンハットの頂上が操縦席になっている。木製のカラクリ仕掛けだが、かなり俊敏に動き、肛門の部分にジェット推進器のような機能が備わっていて短時間の飛行が可能。両目にはガトリング砲、口部には巨大なムチが収納されていて胸部からはダイナマイトを発射する。

あと一歩パワーアップ手前のカスカベボーイズを圧倒し追い詰めたが、パワーアップしたカスカベボーイズにより武装を鹵獲されるなどで終始圧倒され、ジェット噴射で逃走を図るも、最終的にカスカベボーイズの5か所からの包囲攻撃を喰らい敗北し、炎上して落下した。それでもなおジャスティスの悪足掻きにより動き続けたが、最後は封印が解かれた「おわり」の文字のひとつに押し負け木っ端微塵になった。ポスター版ではデザインが異なる。


  • カスカベボーイズ

かすかべ防衛隊がオケガワの開発したヒーローになれる赤いパンツ(正式名称不明)の力で変身した姿で、変身すると強力な能力を発揮する。ジャスティス及びジャスティスの部下達との戦闘シーンにおいて、普段のかすかべ防衛隊からは想像もつかないほどの抜群の戦闘力を見せ、ジャスティスとの最終決戦でよりパワーアップし、戦闘機の様な翼が生えた事により飛行能力も身につけた。

    • しんのすけ

襟付きジャケットに青いスカーフが特徴。武器はカンチョー。パワーアップ後は赤い翼が生える。

    • トオル

青いステージ衣装に武器になる大きなシルクハットを被っている。パワーアップ後は青い翼が生える。

    • マサオ

イエローハットに電飾付きの服。体術で戦う。パワーアップ後は緑色の翼が生える。

    • ネネ

ウェーブがかったロングヘアーでドレス姿。体術や巨大なウサギの幻を出す強力なパンチで戦う。パワーアップ後は黄色い翼が生える。

    • ボーちゃん

パンクファッションにブーメランにもなる大きなモヒカンヘアが特徴。鼻水による大きな強力なパンチで戦う。パワーアップ後は紫色の翼が生える。

  • 「おわり」の文字

ジャスティスシティの線路の先にて巨大な鉄製の封印扉で封印された三文字にしてジャスティスの最大の弱点。封印が解けると3つの巨大な光の塊が地形を破壊しながら上空に花火の如く「おわり」の文字が輝き、映画の中に取り込まれていた人物は(映画が終わる事で)現実世界に帰還できる。

これの封印が解かれると映画が終わってしまう≒ジャスティスの存在が無くなる為、ジャスティスはこの三文字を封印していた。


余談編集

ゲストキャラについて編集

本作にゲスト出演した声優の多くがウルトラマンシリーズに出演しており、 その内2ラスボスを演じている。


関連タグ編集

カスカベボーイズ つばきちゃん 荒野の七人 ビューティフルジョー ○あげよう


ヤキニクロード←前作 次作→3分ポッキリ

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