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オトナ帝国の逆襲

おとなていこくのぎゃくしゅう

2001年4月21日に公開された映画『クレヨンしんちゃん』第9作。正式タイトルは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。
目次 [非表示]

未来はオラが守るゾ!


概要編集

21世紀最初の作品として公開されたクレしん映画第9作。監督原恵一


  • 第三十三回星雲賞メディア部門参考候補作選出。
  • 第23回ヨコハマ映画祭日本映画ベストテン第8位。
  • キネマ旬報オールタイムベスト・テン アニメーション部門7位。
  • 日本のメディア芸術100選アニメ部門選出。
  • 日本オタク大賞2001オタク大賞受賞。
  • 雑誌『映画秘宝』2001年度映画ベスト10で1位獲得(洋画・邦画全て含めた総合ランキングで1位を獲得した初めての邦画)。

…という経歴からわかる通り、クレしん映画でもこれと次作であるアッパレ戦国大合戦は双璧をなす名作と名高い。20世紀への哀愁、野原一家の絆など、どの世代が見ても心打たれる演出とシナリオを有する傑作。

大人からは懐かしく、子供からは新鮮な昭和ノスタルジーを題材にしており、往年のギャグ名台詞名車も数多く登場している。

本作に出演したゲスト有名人は小堺一機関根勤であり、彼らの持ち前のモノマネを駆使して名台詞を再現した。


主題歌は小林幸子『元気でいてね』


あらすじ編集

2001年日本全国で「20世紀博」というテーマパークが開催されていた。みさえやひろしは子供時代を思い出してわくわくするが、連日連夜付き合わされるしんのすけは辟易していた。日本では狂ったように20世紀ブームがはびこり、テレビも古い番組の再放送だらけになる。そんなある日、20世紀博から「明日、お迎えにあがります」というメッセージが放送された。

翌日、春日部中から大人たちの姿が消えた。大人たちは(高校生も含む)記憶を失い、まるで小さな子供のように(幼児退行したかのごとく)遊び呆けていた。そして20世紀博のオート三輪が突如としてあらわれ、大人たちはみなそれに乗って20世紀博へと向かっていった。

20世紀博の開催者であるケンチャコは、「なつかしいニオイ」を使って大人達に未来へ進むことを放棄させ、永遠に昭和の時代に捉えて生き続けさせようとする計画「イエスタディ・ワンスモア」を実行していたのだ。

子供達でさえも20世紀博に幽閉し、再現された昭和の時代に取り込もうとするイエスタディ・ワンスモアに対し、かすかべ防衛隊は大人たちを救い出し明日を手に入れるために戦いを挑む。


ゲストキャラクター編集


用語編集

20世紀博編集

日本全国で開催されているテーマパークの一つで、特に昭和30~40年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した20世紀の世界を楽しめるというコンセプトを表している。詳細はリンク先を参照。


イエスタディ・ワンスモア編集

ケンが「汚い金」や「燃えないゴミ」が蔓延する21世紀の日本を憂い、まだ人々が「心」を持って生きていた20世紀への逆戻りを企てるため組織した秘密結社。20世紀博内で「懐かしい匂い」を作り出し、来場した大人達を洗脳した。

隊員たちは全員「懐かしい匂い」によって幼児退行しており、エアガンなどの玩具を武器にするなど戦い方や行動がどこか子供っぽく抜けている。

男性隊員は青、女性隊員は黄色の制服で、男女共通で制服の色に合わせた帽子を被っている。基本的に男性隊員が戦闘員で、非戦闘員となる女性隊員は主に20世紀博のガイドをはじめとしたサポート役を担っているため、男性隊員より表に出ることはあまりない。

大人たちの「過去を懐かしみ戻りたい」という気持ちを原動力とした計画の最終段階において、東京タワーの各所に設置された監視カメラから流れた映像で野原一家の奮闘を視聴した大人たちの懐古心の収まりにより計画は頓挫した事から、組織は解散となった。

組織名の由来はカーペンターズ1973年に発表したシングル「イエスタデイ・ワンス・モア」から。


考察・余談編集

「オトナ帝国」という名前について編集

タイトルにもなっている「オトナ帝国」だが、本編中においては、


風間くん「春日部中の大人が居なくなっちゃうなんて」

マサオくん「一体どこ行っちゃったんだろう?」

ネネちゃん「20世紀博に行ったんじゃない?」

マサオくん「何しに行ったのかな?」

ネネちゃん「遊びにでしょ? きっと私達捨てられちゃったのよ!」

マサオくん「えぇ!? うわーやだやだ!!」

しんのすけ「大人達、本当にあの中で遊んでんのかな?」

ボーちゃん「こっそり、大人たちの国を、作ってるとか」

しんのすけ「おぉー! オトナ帝国ですな!」

風間ネネマサオ「オトナ帝国!?


……と言うやり取りで登場するのみであり、ケン達イエスタデイ・ワンスモアがそう名乗ったシーンは一度もなく、また「彼らの実態」を表す言葉としても、そこまで的確なものとは言い難い。

とはいえ作中で示された通り、しんのすけ達子供には理解が出来ない「ノスタルジー」を武器にする彼等に対し、そう言った適当な名前を付けてしまうのは致し方ないと言える(上のやり取りや下記のひろしを見た時の反応を見れば分かるが、しんのすけもまさか大人達が本当に遊び呆けているとは、夢にも思っていなかった事が窺える)。

更に言えば、クレしん映画のタイトルはおおよそ主人公であるしんのすけの視点で付けられている物なので尚更である。


大人達の異様さ編集

先述したように大人達が幼児退行したかのような描写があるが、特にひろしが居た万博のシーンはしんのすけの視点から見て考えた場合、しんのすけが必死に説得していたのも無理もない事が読み取れるのである。

それはひろしが涙ながらに我を取り戻した際の部屋の状況にあり、『万博のミニチュアとはお世辞にも言えないハリボテが並んだ、薄暗い部屋』『その中で幼児退行している父親の姿』を目の当たりにすれば、さすがのしんのすけでも愕然とするであろう。シーン自体はひろしの幼少期の記憶の中に、しんのすけが入ってきたように描かれているが、現実的に考えると異様としか言い様がないのである。

この事はひろしが我を取り戻し、みさえを見つけた際の様相で第三者には異様に見えている事を実感したからである。


オトナ帝国

「オラ…とーちゃんやかーちゃんやひまわりやシロと…もっといっしょにいたいから」

「ケンカしたり、あたまにきたりしてもいっしょにいたいから…」

「あと…オラ、オトナになりたいから

「オトナになって、おねいさんみたいな

 きれいなおねいさんといっぱいおつきあいしたいから!」


振り返る過去が無いからこそ、未来へ向いてただ走ることが出来た。

かつての自分達だってそうやって子供から大人になった。

しかし過去に囚われ、時代の流れから目を背け、未来を見捨てた大人達のエゴは、

ただ未来を信じる子供達のガッツの前に敗北したのであった。


※(ちなみにその後飛び降り心中を試みたが、「またしても“家族”に邪魔された」とのことである)


しんのすけ「おじさん、バンジーは?」(単純に身投げをバンジージャンプと勘違いしていた)


ケン「やっぱりやめた」


しんのすけ「なんで?お股ヒューってなったの?」


ケン「……ああ」


ちなみに、観覧者には特に子を持つ親は物語の20世紀博の風景が描く懐かしさとひろしが正気を取り戻すシーンで涙した者もいたらしい。


関連イラスト編集

クレヨンしんちゃん白い色は恋人の色クレヨンしんちゃん


関連項目編集

クレヨンしんちゃん クレしん映画

昭和 20世紀 21世紀 ノスタルジー 昭和レトロ


襲来!宇宙人シリリ:こちらは本当にひろしとみさえが幼児退行してしまう映画。但し本作との決定的な違いとしてひろしとみさえは体だけ小さくなり心は大人のままという正反対なものとなっている(みさえがしんのすけと同じく寝坊助になっていたりはあるが)。しかし終盤ではみさえが…。


21世紀を手に入れろ:クライマックスシーンで流れるBGM。


20世紀少年:同様に大阪万博を「20世紀の象徴」として扱った作品。


メガゾーン23:ある意味「20世紀博」の行きつく先。


バースデーワンダーランド:本作の監督が担当しており、初代しんのすけと初代ひろしの声優を担当した矢島晶子藤原啓治が共演している。


Over_Quartzer:同じく子供向け映画で元号に関連しており作中で最も新しい時代を否定するが登場している。


昭和ノスタルジープロジェクトXと並んで2000年代の昭和ノスタルジー先駆けの作品。


今日までそして明日から:エンディング前に流れる挿入歌。


嵐を呼ぶジャングル←前作 次作→アッパレ戦国大合戦

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