概要
車輪が3つ、基本的には前輪一つに後輪2つを搭載しFRとして後部を荷台とした貨物自動車、すなわちトラックを指す。
当初はオートバイの技術を用いたものであったが、需要による改良により専用の駆動システムを持つようになっている。
↑初期のオート三輪の一例
利用状況
この車種は四輪車に比べ軽量かつ安価、かつ未整備の悪路にも構造上強く、小回りが利いたことから1930年代から1960年代にかけて日本中の道路上でその姿がみられた。
具体的には戦前においては低排気量の車両は免許証不要であったこと、四輪自動車と異なり政府の統制を受けなかったため流行した。
戦中は経済自体の統制によりすたれたものの、戦後になると免許が必要となったものの、小型貨物自動車の需要に支えられ、大量に製造され、特に市内での利用にて使用された。
ただし、乗り心地の悪さ及び安定性の不良、それと高速性能の不良により、小型の四輪車、軽トラがまともに製造されるようになったため利用者が離れたこと、それまで舗装されず狭窄であった道路が改良されたことによりメリットが失われたこと、そして免許が廃止され四輪車に統合されたこともあり、姿を消していった。
1960年代から1970年代にかけて本体の製造が終了。その後しばらく存在した車両は一部のファンに使用されたものの、本体の経年劣化もあって2020年現在、現役で走行しているオート三輪は50台以下だという。
ただし、現状において法律などの面で有利な面が出てきたため、電気自動車にてこの乗り物をリメイクする、という流れが存在する。
現代への影響
いまや日本ではほとんど消え去ったオート三輪だが、オート三輪の技術は現在の自動車メーカーの基盤の一つとなっていった。ダイハツやマツダはオート三輪メーカーを自動車業の起点としたメーカーである。また、それ以外にもオート三輪の流れをくむ自動車が存在する。
また、オート三輪の愛称であったバタバタ/バタコという呼称はその衰退後は三輪スクーターのジャイロキャノピーに転用されている。
今日においては目にする機会はほとんど無いと思われるものの、ジブリアニメなど映像作品の影響もあってか、世代が隔絶しているにもかかわらず意外と知名度は高い。
ダイハツハイゼット - 有名なミゼットの後継車両である。この他一時期ミゼットⅡというミゼットを再現した4輪車が登場したが現在ではハイゼットに吸収されている。
マツダスクラム・タイタン - それぞれK360・T1500/T2000の後継。ただし現在はどちらも他社からのOEMとなっている。
スズキジムニー - 元々は軽三輪メーカーホープ自動車のブランドホープスターの流れを汲み、その再起をかけてそれまでの技術を生かして作られた4輪車ホープスターON360であった。製造権を買収したスズキがリニューアルして発売したのがジムニーである。
日産セレナ - 元々はバネットの派生車種として計画されたが、日産は設計と生産をかつてオート三輪ジャイアントを製造した愛知機械工業に委託、最終的にジャイアントで得た技術が導入され、その流れを汲む車両となった。
三菱自動車ミニキャブ・ek - かつて新三菱重工業の水島製作所で制作された三菱号~みずしま及び軽自動車規格版のレオの後継にあたる。ただし、現在ミニキャブは電気自動車仕様を除いてOEMとなっており、ekは日産自動車との共同開発に移行している。
ナンバー
また、三輪貨物自動車の分類番号だった「6」は、昭和48年から49年にかけて行われたナンバープレートの分類番号2桁化の際に「4」と同義の分類となる小型貨物に変更され、乗用三輪車の番号に当てられていた「7」も「5」同様に小型乗用車に分類された。
ただし、その後も実質的には三輪車に「6x」・「7x」を、四輪車に「4x」・「5x」を割り当てていた。平成元年頃から3桁化までの一時期のみ、ナンバーが不足した地域などでは「66」・「77」のナンバーが四輪車に割り振られたが、3桁化により再び「暗黙の了解」の取り扱いに戻った。
また、オートバイの後輪にデフを取り付けて3輪化した「トライク」は新しく作った場合、ナンバープレートは単車用のものとなり、車庫証明が不要の「自動二輪側車付」の扱いになり、250㏄未満ならば車検も不要となる(ただ基本的に二輪車の免許証では運転できず、普通以上の四輪自動車免許が必要となる )。ただし、過去の車両の場合、自動車用の7ナンバーがつけられた三輪自動車扱いとなっている車両が存在し、それは車庫証明や車検などが必要となっている。
海外における利用
欧州
海外、特に欧米では三輪車は税金負担軽減のため三輪としたものが一時流行したものの、低価格4輪車の投入によって駆逐され、あまりこの種の車両は定着しなかった。例外としてイギリスには労働者階級向けとしての側面が色濃い低価格かつ低税率なものが普及した(ただし貨物用途ではなく乗用タイプ)。免許制度の優遇もあり長く市場が存続していたが海外(日本や韓国)の安価な4輪車の流入で衰退傾向にあるとのこと。創作物ではミスタービーンの乗る三輪乗用車が有名である。
三輪のバイク、トライク、例を挙げればハーレーダビッドソンのサービカーなどが流行したことと、イギリスにおけるリライアント・ロビンなどの「オートバイの免許で乗れる乗用車」、イタリアにおけるピアジオのベスパをオート三輪化したアペが挙げられる。
東南アジア
一方アジアにおいては道路の整備が遅れたこと、簡易な性能で走行させることが可能であるため、一定の活躍を見せている。インドにおける「オート・リクシャー」、(ちなみに「リキシャ」は人力車( =力車 )がなまったものである)、やタイにおける「サムロー」、別名トゥクトゥクといった三輪タクシーに使われている。
特に定着した東南アジアでは独自のもの数多く開発・生産され、キャビンが廃されるなど先祖返りのようにオートバイに近づいたような外観のものや、ダンプトラックタイプなど珍しい仕様も使用されているらしいとのこと。
東アジア
また中国の地方都市や農村部では安価かつ小回りが利くなどの特性により、三輪自動車の現代化バージョンが生産されまた、後進国にも輸出されている模様。
アフリカのモータリゼーションに伴い、ここにも広がりを見せている。
pixiv
pixivでは上記の時代に関する、あるいはレトロ感を表す作品においてその姿をみることが多い。
関連イラスト
関連タグ
ジャイロ TRICITY MP3( こちらは排気量に応じ原付/自動二輪免許が必要な三輪バイク )
参照
外部リンク
日本エレクトライク - 電動自動車としてオート三輪を復活させたメーカー
aliveplus - ガソリン車としてオート三輪を復活させたメーカー