リライアント・ロビン
りらいあんとろびん
節税に主眼を置いた英国車。
要するに日本でいう軽バン、初期のスズキ・アルトのような立ち位置のクルマである。
…が、そこは紳士の国。一癖あるクルマに仕上がっている。
なんとタイヤが3つしか無い、三輪自動車なのだ。
もちろん三輪となったのはちゃんとした理由がある(後述)。
ロビンが三輪となった理由、それは「バイクだ」と言い張るためである。
概要の項目で書いたとおり、ロビンはあくまで大衆車として企画された商品である。
大衆車ということは単に車両の価格が安いだけでなく、出来ることなら買った後の税金も安いほうが望ましい。
一方、ロビンが企画された当時のイギリスの法律では、「車輪が4つ以上付いていないものはバイクと見做す」となっていた。もちろん、税金はバイクのそれのほうが安い。
そこに目をつけて、三輪自動車とすることで「車輪が3つしか無いから『屋根付き三輪バイク』だ。よって税金(とついでに免許)も(割安な)バイクのそれを適用してくれ」と言い張ったのである。
この目論見が見事当たり、「バイク扱いで税金が安い」「バイク免許で乗れる」という点が受けて大ヒットした。
ちなみに車両そのものの価格はMINIよりも若干高かったが、それでも「税金と免許の両方で有利」となり、一時期は「ヨーロッパ最大のプラスチック製品」と呼ばれるまでになった(ロビンの車体はFRP製である)。
ちなみに三輪の自動車自体は、日本でも戦後のダイハツやマツダが盛んに作っており珍しい存在ではなかったものの、それらはパッと見で三輪と分かる外観をしており(当該記事を参照)、本車のようにわざわざ四輪車の外観を残す例は極めて珍しい。
しかし三輪にしたが故の代償もあった。
とにかく安定しない。
三輪自動車は四輪の自動車と比べ、安定性の面で不利である。
もちろん、急旋回やブレーキをかけながらハンドルを切るなんてもってのほか。横転フラグ以外の何者でもありません。
それだけではなく路面のうねりにも弱い。
要するに些細な事ですぐに横転するクルマとなってしまったのだ。
その安定性の悪さはMr.ビーンでネタとされており、同作には前身であるリライアント・リーガルが事あるごとに登場しては横転していた(ただし、これはわざと横転しやすいようにセッティングされていた)。しかし軽いので復帰自体はさほど難しくない様子で、『トップギア』でジェレミー・クラークソンが簡単に復帰させている。
そんなロビンだが英国では熱狂的なファンが少なからず存在しており、オーナーズクラブもある。
モデルライフもかなり長期に渡り、21世紀初頭まで生産された。基本設計はそのままフロントフェイスのコンバートが何度か為され、最末期は90年代によく見かけたコンパクトカー、なのに三輪という一段とアンバランスな風貌になっていた。
リーガル
ロビンの先祖で、リライアントの初代三輪車。初期モデルは1952年まで遡るので、古めかしいデザインをしている。Mr.ビーンに出演していたのはこちら。
リアルト
ロビンの後継で、1982年から1998年まで生産された。ロビンより改良を受けており、最高速100マイル(約160km/h)をマークしたモデルもある。…三輪車なのに。
キトゥン
ロビンの4輪モデル。上記の節税効果は得られない代わりに、見た目、走行性能共に常識的な物となっている。特にハンドリングはこの時代としては割と良かったらしい。