“悪”と“悪に負ける弱さ”を描く衝撃の問題作。(帯の文章より)
あらすじ(ネタバレを含みます)
シャーシを日産ディーゼル、荷台を金剛製作所で製造した10tダンプは建設会社に購入され、「こんごう」と命名されました。
はじめは、安全運転を心がける模範的なダンプでした。
しかし、石切り場で不良ダンプにからまれ、性根がやさぐれてしまった「こんごう」は、いつしか「がらっぱち」と名前を変えてしまいます。
そして、軽自動車を煽ったり、排気ガスをまき散らしたり、暴走運転を繰り返す始末。社会の嫌われ者になってしまいます。
最後には、重機運搬車に煽られて無謀な過積載により潰れ、廃車となってしまうのでした。
描写
この物語では、例えば不良ダンプは片側のライトが壊れており、ライトを人間で言う目にあてはめれば「顔つきの悪い人間」になぞらえることができる。
乗り物を正面から見た姿を人間の顔に当てはめる文化が根強く存在していることが見て取れる一冊。
余談
- この物語の初出は1971年7月発行の「キンダーブック」で、当時問題となっていた神風ダンプが自身の行いで身を滅ぼすという教訓めいた内容であったという。前半のトラック工場の様子などは単行本化の際に書き足されたストーリーであるほか、車両も三菱ふそうから日産ディーゼルへと変更されている。なお、単行本化にあたっては、日産ディーゼルと金剛製作所(1987年に会社解散)が協力としてクレジットされているが、これは作画担当の山本忠敬氏が取材を行ったものと思われ、氏が作画をした絵本「ブルくんダンプくん」でも、この2社の名がクレジットされている。
- 旧車系の自動車雑誌「高速有鉛デラックス」にて、この絵本のパロディイラストが表紙を飾ったことがある(ついでに、表紙の煽り文も「ダンプをぱぱらっち」と徹底している)。
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