広義のドクガ
ドクガ科に分類される蛾の総称。しかしこの総称は、誤解を召きやすいものである。何故なら、その中で毒を持つ種類は後述のドクガ属などでしかなく、少数派である。
英語名も幼虫(毛虫)のふさふさな草むら(Tussock)のような体毛から「Tussock moth」(直訳:フサガ)と呼ばれ、「毒」要素に因んでいない。
リンゴドクガが本グループの無毒種の著名な一例である。
狭義のドクガ
ドクガ科のうちドクガ属に分類される蛾の総称で、通常はその中の一種「Artaxa subflava」を示す。翅を広げた大きさは約30~40mm。体色は黄色で、前翅に「く」の字型をした褐色の暗色帯と黒色の小点がある。
2齢以降の幼虫は名前の通り、体に毒針毛が生えた毛虫で、刺されると激しい皮膚炎(かぶれ)が週数間続く。毒針毛は硬くて脆く、皮膚に折れ残り易い。直接触れなくても、毒針毛が風で飛んで来る事もある。
蛹になる時に作る繭には幼虫の時の毒針毛が張り巡らされている。成虫になる時にこの毒毛針を尾部に付着させ、卵に防御のため貼り付けるなど一生を通じて毒針毛を利用している。
害虫な蛾として知名度が高い種類で、蛾モチーフのキャラクターは人間との関わりが大きいカイコか、このドクガが大半を占める。
対処法
刺された場合、かきむしると毒針毛が皮膚により深く刺さって悪化するので、セロハンテープなどで毒針毛を取り除いたり、患部を冷水で洗い流す。
というより、皮膚科に行った方が早いかもしれない。
成虫を駆除した場合、死骸を放置すると風で毒針毛が飛び散る可能性があるので、土に埋める。