イラガ(刺蛾)とは:
総称としてのイラガ
幼虫(芋虫)はずんぐりむっくりなグミのような見た目で、頭部や脚が下に隠れて目立たない。芋虫として例外的に腹脚が退化し、カタツムリやナメクジのように腹面を床に密着しながら移動する。
背面に毒針である棘を有し、すなわち毒虫である種類が有名だが、滑らかなで無毒、触れても大丈夫な種類もいる。
成虫は無毒で、口吻が退化し何も食ずに生殖行動だけ行って死ぬ。
成虫は色の地味さや無毒ということもあって、知名度が低く、一般に言われる「イラガ」は幼虫のイメージである。
イラガとよく似た近縁な科としてメガロピゲイラガとダルセライラガが挙げられる。これらは日本には生息せず、グループ自体も日本では知名度が低いが、それぞれ「プス・キャタピラー」と「ジュエルキャタピラー」と呼ばれる幼虫は独特な姿をしており、しばしばネット上で話題になる。
主な種類
- イラガ:幼虫はライムグリーンで、前後に茶色の斑紋と先端が黒い棘を持つ。詳細は後述。
- アオイラガ:幼虫は黄色い棘が密生し、正中線に緑色の模様がある。
- ナシイラガ:幼虫は緑色で前後の棘が赤~黄色を帯びる。
- クロスジイラガ:幼虫は盛り上がる葉っぱのような見た目、無毒。
- ツマジロイラガ:幼虫は薄緑色のおもちのような見た目、無毒。
種としてのイラガ
柿や梨の木などの広葉樹に群生する事が多く、幼虫はライムグリーンのボディに茶色の模様を持つ特徴的なフォルムが知られており、体に並んだ突起から生えたトゲの中に毒針があり、刺されると猛烈な痛みや痒みに襲われ、水ぶくれが出来る。間違ってお尻で踏んでしまおうものならば、体操服のズボンぐらいであれば余裕で貫通してしまうので見かけたら潰そうとしてはならない。
痛みは約一週間程続き、蜂毒などに有効なアンモニア水も効果は無い。刺されたら粘着テープで毒針を取り除いて流水で傷口を洗い、虫刺されの薬、抗ヒスタミン剤などを塗るのが良いとされる。
蛹化の時、木の枝などにウズラの卵を思わせる硬い繭を作り、「スズメノショウベンタゴ」などと呼ばれる。
この激しい痛みが電気を思わせるため「電気虫」や「オコゼ」の異名を取る。