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概要

MARVELコミックを基にした実写映画・ドラマのうち、X-MENらミュータントたちを中心とした作品群。

2000年の映画『X−メン』から20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)が配給・製作を全て担当していたが、2019年に同社のテレビ・映画部門を含む大部分の事業がディズニーによって買収されたため、同じ傘下である「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」への編入という形で完結となった。

※映像化の権利関係については、MCUの該当箇所を参照されたい。

ちなみに20世紀フォックスで恒例となっている冒頭シークエンスでは、最後に"20th CENTURY FOX"の"X"のみハイライトされる、という演出がある。

名称について

FANDOMでは「Original X-Men Cinematic Universe」と呼ばれているが、本作品群はメインシリーズと、ウルヴァリンデッドプールといった人気キャラクターを主人公とするスピンオフから成るため、創作用語としてのユニバース」には当てはまらない。

一般的には全体を総合して「『X-MEN』シリーズ」と呼ばれることがほとんどである。

特徴・沿革

近年のアメコミ実写映画化ブームの先駆けとなったシリーズではあるが、完全なユニバースであるMCUやDCUに比べると元々展開を想定していた訳ではない分、各作品間の矛盾が少なくなく、さらに後述する全体の複雑な時系列がストーリーラインを把握しづらくしている事は確かである。

本シリーズの特徴かつ魅力といえるのは、個性豊かなキャラクター達が織りなす群像劇や様々な能力をもつミュータント同士のバトルであり、それらがそのまま作品の見せ場にもなっている。しかしながら、第一作から描き続けられてきたミュータントとしての苦悩や葛藤こそ概要なんといってもシリーズの肝であり、マイノリティに対する現実社会へのメタファーとして、作品を単なる勧善懲悪モノ以上のものにしている。

また、実質的なリブートといえるメイン新シリーズによって魅力が深まったという意見もあり、

  • 幕開けとなった『ファースト・ジェネレーション』は、冷戦期のスパイものとして完成度が高い。
  • 第2作『フューチャー&パスト』は、過去(新シリーズ)と未来(旧シリーズ)、そしてスピンオフ作品群まで取り込んだ上で、単なる集大成としてだけでなくユニバースの一種の完結編として完成されており、MCUの『アベンジャーズ』やDCの『ジャスティス・リーグ』とは別の形で、1つ1つの作品を超えたより大きなストーリーを結実させた成功例として評価されるべきであろう。
    • ひねくれた見方をするならば、アメコミ風の世界観のリセットを実写化シリーズでやってしまったと言うこともできてしまうが……

加えて、スピンオフの『デッドプール』シリーズや『LOGAN/ローガン』といったR指定で公開されたヒーロー映画でも(批評・興行収入の両方で)成功を収めている。

こういった作品ではメインシリーズの流れに捉われない、より自由な作風による製作が可能になっており、事実、MCUに編入後も『デッドプール&ウルヴァリン』はそのままR指定で公開された。

今後の展開

新シリーズも2016年公開の3作目『アポカリプス』にして批評・興行収入の両面で芳しくない結果を残したため、一時期はリブートも検討されていたらしい。結果的には存続したものの、

  • 2018年に公開予定だった『ニュー・ミュータンツ』と『ダーク・フェニックス』は再撮影などの実施に伴う延期が決定し、同年内の公開は『デッドプール2』のみ。
  • 2017年12月には製作・配給を担当している20世紀フォックスをディズニーが買収する事が発表される

など、先の見通しが不透明であった。

後述するように、一応プロジェクトは多数進められており、さらに同じくフォックスが権利を持つ『ファンタスティック・フォー』の関連キャラであるDr.ドゥームシルバーサーファーのスピンオフ企画まで存在していた。

※後者については、過去2度に渡って製作された『F4』の映画シリーズが片やお蔵入り・片や2作で打ち切りとどちらも失敗してしまったことが背景にあったが、これらの企画と本シリーズの関連性は当時不明であった。

そんな中でディズニーによる買収が発表され、2019年3月に完了。

ファン界隈ではMCUにおいてアベンジャーズとの実写での共演がいよいよ可能になると盛り上がったが、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ曰く「元々の計画を変更する余裕はない」らしく、2024年夏現在に至るまで彼らを主役とした作品は前述した『デッドプール&ウルヴァリン』と、アニメ『X-MEN ’97』のみが公開・配信されるに留まっている。

ただキャラクター単位での共演は、スカーレット・ウィッチクイックシルバーが2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』から(ミュータント設定ではないが)登場しており、2022年5月公開『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では本シリーズと同じパトリック・スチュワート演じる老年期のプロフェッサーXが一足早くデビューした。

2023年公開の『マーベルズ』では、ポストクレジットシーンにおいてビーストが登場、さらにはチャールズという人物についても言及された。

そして、一部ではフェイズ7からは「ミュータント・サーガ」となるのではないかという報道がある(公式の発表ではない点には注意)。

作品一覧

映画

No.タイトル全米公開日日本公開日
1X-メン2000年7月14日10月7日
2X-MEN22003年5月2日5月3日
3X-MEN:ファイナル ディシジョン2006年5月26日9月9日
5X-MEN:ファースト・ジェネレーション2011年6月3日6月11日
7X-MEN:フューチャー&パスト2014年5月23日5月30日
9X-MEN:アポカリプス2016年5月27日8月11日
12X-MEN:ダーク・フェニックス2019年6月7日6月21日
4ウルヴァリン:X-MEN ZERO2009年5月1日9月1日
6ウルヴァリン:SAMURAI2013年7月26日9月13日
10LOGAN/ローガン2017年3月3日6月1日
8デッドプール2016年2月12日6月1日
11デッドプール22018年5月18日6月1日
13ニュー・ミュータント2020年8月28日2021年3月31日配信

2024年7月公開。

上記の通りMCUに編入される映画で、元々は『デッドプール3』として製作されていた。

ドラマ

  • レギオン

2017年2月~2019年8月放送。全3シーズン・27話。

プロフェッサーXの息子であるデヴィッド・ハラー / レギオンが主人公。

  • ギフテッド 新世代X-MEN誕生

2017年10月~2019年2月放送。全2シーズン・29話。

マグニートーの娘であるローナ・デーン / ポラリスがメインの1人。

製作が中止された作品

『LOGAN/ローガン』の監督であるジェームズ・マンゴールドが製作を務めており、同作に登場したローラ / X-23のスピンオフとなる予定だった。

『ファイナル ディシジョン』や『フューチャー&パスト』で登場したキティ・プライドが主役のスピンオフ。『デッドプール』の監督であるティム・ミラーが企画を進めており、同役を演じたエレン・ペイジも続投に意欲を見せていた。

主演はサム・ライミ版『スパイダーマン』のハリー・オズボーン役で知られるジェームズ・フランコ、脚本は『ワンダーウーマン』のアラン・ヘインバーグがそれぞれ務める予定だった。

これらの企画は2024年現在続報が全くないため、20世紀フォックスの買収によって立ち消えになった模様。

  • ガンビット(原題)

『ZERO』で登場したガンビットを主役にしたスピンオフ。

決して評価が高くない同作の中でもよい存在感を放っていたものの、なにぶん出番が少なかったため、チャニング・テイタムが主演・製作を務めるスピンオフ企画が始動。2016年公開を目指していたが、脚本作業の遅れや3度にわたる監督降板の結果、2019年に頓挫が発表された

主演のライアン・レイノルズは、当初シリーズ3作目の製作に消極的であり、シリーズの実質的な続編となるのはケーブルやドミノも登場予定とされるこちらではないかという報道もあったが、その後ライアンが『デッドプール&ウルヴァリン』の製作を正式に認めたため、こちらの企画に関する話はほぼ聞かれなくなっている。

アースの1つとして

番号は【10005】。

『フューチャー&パスト』による過去改変後は、ファン界隈では【TRN414】("TRN"は"Temporary Reality Number"の略)とされている。

なおすべてが同じ世界ではなく、『デッドプール2』『デッドプール&ウルヴァリン』には複数の別アースが登場する。これらについては外部サイトを参照。

ちなみに2015年に公開された『ファンタスティック・フォー』のリブート版は、事前情報では本シリーズと世界観を共有した作品になっているとされたが、同作が大コケした上に酷評されたので、この設定は実質的になかったものになっており、【15866】が付けられた。

『マルチバース・オブ・マッドネス』のプロフェッサーの世界は【838】。

『マーベルズ』終盤で登場したビーストの世界は、仮として【TRN1225】と呼ばれている。

時系列

判明している年代(無い場合は発表時期)を基にざっくりまとめると、次のようになる。

改変前改変後その他
1962年ファースト・ジェネレーション (※1)
ZERO(前半)
1973年フューチャー&パスト
ZERO(後半)【18315】ある人物が改変した『ZERO』
1983年アポカリプス
1993年ダーク・フェニックス
X-メン
X-MEN2
ファイナル ディシジョン
2013年SAMURAI
デッドプール【17040】レギオン
【17372】ギフテッド
デッドプール2同左
  • 1つの世界線では【41633】
  • ある未来世界では【66250】
2023年フューチャー&パスト
2024年デッドプール&ウルヴァリン (※2)同左
  • メインのウルヴァリンは【TRN1400】出身
ニュー・ミュータント
2029年【17315】LOGAN (※2)

※1 - 『ファースト・ジェネレーション』は厳密には改変前だが、便宜上ここでは改変後とした。というのも、一応『ZERO』の主人公であるウルヴァリン関係に限れば同作と新シリーズに矛盾はないのだが、特にサイクロップスエマ・フロストの設定が合わないため。

※2 - MCU編入後に制作された『デッドプール&ウルヴァリン』序盤、『LOGAN』が【10005】の出来事で、かつ同作の前に起こったと思われるような説明・展開(詳しくはこちら)があるが、

  • 『デッドプール』シリーズに普通にミュータントや「恵まれし子らの学園」が登場するが、『LOGAN』の「四半世紀に渡ってミュータントが生まれておらず、ミュータントが絶滅の危機に瀕している」という設定と矛盾する
  • 『LOGAN』の劇中で舞台が2029年と名言されている
  • デッドプールは、時間軸の外から(つまり過去・未来関係なく)マルチバースを監視するTVAの職員からこの説明を聞き、タイムパッド(時間軸の好きな時点に移動できるアイテム)を奪って移動した
  • 元々デッドプールはメタ的な台詞・展開が多い作風で、その要素も時系列より公開順が反映されがち

ことから、【10005】でも近い未来に『LOGAN』と似たような出来事が起こる、と考えるのが自然と思われる。

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