概要
スカーレット・ウィッチとは、MARVELのキャラクター。
本名「ワンダ・マキシモフ」。
強力な力を持つミュータントの一人。
父はX-MENの宿敵であるマグニートー、双子の兄はクイックシルバー。
最初は兄と共に「アベンジャーズ」の敵として立ちはだかったが、後に紆余曲折を経て一員となった。
人物
能力はヘックス・パワー。「物事の起きる確率を操作する力」であり、これにより目に見える範囲のターゲットに不幸な出来事をもたらす事ができる。
強大な力ではあるものの当初は安定せず、本人の思う通りの結果を出せないことも多かった。が、後に魔女のアガサ・ハークネスに弟子入りし、能力を安定させると共にドクター・ストレンジのような魔法の力も身に付ける。(なお、エピソードによっては、ドクター・ストレンジやDr.ドゥームが「秩序」属性の魔法の使い手とされるのに対して、「混沌」属性の魔法の使い手とされる)
その後も彼女の能力は進化を続け、ついには現実世界を彼女の望む姿に作り替えるという凄まじい代物にまでパワーアップ。現在ではMARVEL世界でも屈指のチート能力の持ち主にまで上り詰めている。
だが一方で、それを操る彼女自身のメンタル面がその強大過ぎる力に追いついていないきらいがあり、しばしば情緒不安定に陥っては上述の現実改変能力が暴走、MARVEL世界全体を揺るがす大事件を起こしてしまうことも(アベンジャーズ崩壊を招いたり、人間とミュータントの立場が逆転した世界を作り上げたり、逆にミュータントが激減する大災害を引き起こしたり……)。
もっともそれらが引き起こされたのには相応の原因があり、彼女一人を責める訳にもいかないのだが。
(チート過ぎる能力が大惨事を引き起し、それでメンタルをやられて、メンタルをやられた状態でチート能力を使い、またしても大惨事を引き起こし……と云う悪循環に嵌っているとの見方も出来る)
一時期ホークアイと付き合っていたが、後にヴィジョンと種族を超えた恋愛関係を結ぶ。
MCU版
演:エリザベス・オルセン、日本語吹き替え:行成とあ
第9作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のポストクレジットシーンにて弟とともに初登場。
当時MCUでは権利関係により「X-MEN」の設定が使えなかったため、2人は生まれつき超能力を持つミュータントではなく、ヒドラによるロキの杖を用いた人体実験によって能力を引き出された事になっている。
ちなみにこの1ヶ月後に公開された『X-MEN:フューチャー&パスト』ではクイックシルバーの家に年の離れた妹がいるが、彼女という(裏)設定があるかは不明。
こちらでの彼女は、主にテレキネシスとマインドコントロール能力を用いて戦う。
登場した当初は上述のような現実改変能力までは身に付けておらず、極端に派手な活躍を見せていたわけではないが、製作スタッフのコメンタリーなどを見ると「彼女はアベンジャーズの中でも最強クラス」である事が示唆されており、今後大幅なパワーアップを遂げることが予想されていた。
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
実質的なデビュー作。
両親の死亡と、弟のクイックシルバーと共に瓦礫の下に二日間埋もれることとなる遠因となったトニー・スターク、及び所属するアベンジャーズに復讐するべく、ソコヴィアで一石を投じる。
そうして出来上がったウルトロンと合流したあとはアベンジャーズ打倒の目的を掲げ、彼と行動を共にしていた。
アベンジャーズとの幾度の衝突の末、ウルトロンは新たなボディを獲得するが、彼の思考から人類滅亡の意図を読み取り、思惑を知ったことで離反。
その後、ソコヴィアでの人類存亡をかけた最後の決戦では、弟とアベンジャーズとともにウルトロンに立ち向かい、弟を殺されるという代償を払いながらも、その野望を打ち砕くことに成功する。
ホークアイとの掛け合いは、必見の名シーンとして名高い。
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ、サム・ウィルソン / ファルコン、ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウと共にラゴスにて、ヒドラ残党とそれを率いるクロスボーンズことブロック・ラムロウを追跡していた。
だが意図せず引き起こした事故により、住民を巻き添えにしてしまう。
その後、トニーからヴィジョンをお目付け役として、アベンジャーズのアパートに閉じ込められるが、ホークアイに助けてもらう。
空港での大乱戦を経て、他のキャップチームの面々と共に拘束されるが、ラストでキャップに助けられる。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
ヴィジョンとともに宛もない逃避行をしていたらしいが、突如インフィニティ・ストーンを求めてやってきたサノスの右腕であるゴーヴァス・グレイヴとプロキシマ・ミッドナイトに襲撃される。
ヴィジョンをあわや破壊されかけたところをスティーブ、サム、ナターシャに助けられ、合流したブルース・バナー / ハルク、ジェームズ・ローズ / ウォーマシンとともにティ・チャラ/ ブラックパンサーが治めるワカンダへと移動。
その後、ヴィジョンのストーン除去を依頼するが、その途中でプロキシマ率いる軍勢が襲撃、スティーブとティ・チャラが先陣を切る形で防衛戦が開始された。
しかし、徐々に追い詰められていき、ストーンの除去が間に合わず、右腕たちを仕留めていくもサノスが現れてしまう。
その後、ヴィジョンの懇願を聞き入れ、彼もろともストーンを破壊。
だがサノスがタイムストーンによってヴィジョンとマインドストーンの時間を巻き戻し、ワンダの目の前で、ヴィジョンの額から、マインドストーンをむしり取った。
そして、すべてのストーンを揃えたサノスが指を鳴らすとともに、ワンダは塵となって消滅した。
「あんたを許さない……あたしから全てを奪った!!」
ここから先は『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれます
アベンジャーズ/エンドゲーム
ハルクと一体化したブルース・バナーの決死の行動によって復活。
その後最終決戦に参加するが、たとえ過去からやってきた別人であろうとも、サノスに対して並々ならぬ復讐心を露にする。
サノスと互角に渡り合ったどころか、念力で武器(しかもスティーブの盾を破壊したシロモノ)を叩き折り、サノス自身も拘束して引きちぎろうと試みた。
もしもサノスの自滅覚悟の一斉砲撃がなければ、ここで勝っていたかもしれないし、ワンダの成長性には驚かされた人は少なからず居るだろう。
サノスとの戦いに勝ち、ターニングポイントとなったホークアイと共に勝利を分かち合う。
だが、失ったものは多く、愛する人は戻ってこない……
ワンダヴィジョン
アメリカの片田舎・ウェストビューにて、ヴィジョンとともに暮らしている。
だが、それはまるで往年のシットコムのようで…
実は、シットコムのように見えたのは、ワンダの能力によるものだった。
『エンドゲーム』にて復活したワンダは、『インフィニティ・ウォー』にて死んだヴィジョンの遺体がS.W.O.R.D.(知覚兵器観察対応局)に保管され、実験材料とされていることを知り、逃亡生活中にヴィジョンが二人の終の棲家として購入していた、ウェストビューの一角に訪れる。
そこで悲しみのあまり、超能力が暴走。町全体を覆う結界「ヘックス」(外観が六角形=ヘキサゴンであることからダーシー・ルイスが名付けた。HEX=魔女とのダブルミーニングであろう)を作り出し、シットコムのような理想の世界を作り出した。
なぜシットコムなのかというと、ソコヴィアでの子ども時代に父親がいつも見せてくれたものであり、ワンダにとって平和と夢の象徴であるため。
ヘックス内部では、ヴィジョンやビリー・マキシモフとトミー・マキシモフの双子の息子などワンダ自身がゼロから作り上げた3人以外は、ウェストビューの住人がワンダに操られている状態であり、ワンダの知覚範囲外にいる住人は全く動けないか決まった動作を繰り返すという悪夢のような状態となっている。
街に元々潜んでいた魔女:アガサ・ハークネスがワンダの記憶を辿った結果、ワンダの能力はマインドストーンによって与えられたのではなく、生来から持っていたものであり、ストーンはそれを覚醒・増幅したにすぎないことが判明。つまり、原作コミックにおけるミュータントに相当、もしくはそれに近い存在である(これによって、死亡したピエトロもワンダと同じ存在だった可能性がある)。
(ヴィジョンや息子たちを生んだ)無から有を生み出すカオスマジックの使い手「スカーレット・ウィッチ」であるとアガサから告げられる。
己の力を自覚したワンダはアガサを撃破、彼女をウェストビューの住人として生きていくように洗脳して操り、元に戻った(=ヴィジョンや息子たちが消えた)ウェストビューから去り、いずこかの小屋で魔女としての研鑽を積むようになった。
それは、肉体の方では普通の生活をしながら、アストラル体で魔術書を読むという、まるでドクター・ストレンジのようであった。
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス
本作ではコスチュームが一新され、(さすがに肌の露出はないが)原作に近いデザインに変更されている。
マルチバースについてストレンジに助けを求められるが…
ここから先は『マルチバース・オブ・マッドネス』のネタバレが含まれます
「同じく禁忌に手を出したのに
あなた(ストレンジ)はヒーローで わたしは悪者
それって、不公平じゃない?」
なんと今作ではストレンジらの前に立ちはだかるスーパーヴィランとして登場。
『ワンダヴィジョン』のラストにおいてアガサから奪い取った禁書「ダークホールド」によって、夢に見るようになった自分と息子たちの生活が他の宇宙では実際に起きている現実であると知ることとなり、その"夢のような"生活を手に入れるため、マルチバースを渡る手段を手に入れようとする。
そしてきっかけは不明だがアメリカ・チャベスがその能力を持っていることを知り、その能力を奪おうと(ただし、奪われるとアメリカは死んでしまう)ダークディメンションの怪物を使って捕まえようとするが、彼女と共に行動していた別世界のストレンジ(一部媒体での呼称は「ディフェンダー・ストレンジ」)に邪魔をされた上、さらにその様子を同じく夢として見ていたストレンジに成り行きで彼女を保護されてしまう。
事情を知らずに助けを求めてきたストレンジが自身の隠遁先を訪れた際は当初無関係を装っていたが、教えられていないアメリカの名前をうっかり口にしてしまったことから事実が露見。本性を現し、彼女を差し出すように要求。
当然ストレンジに断られるが、アメリカを匿った魔術の総本山カマー・タージを襲撃し、多くの魔術師の命を奪う。途中ダークホールドを失ってしまったため、生き残りの魔術師を人質に詳細を知っていたウォンを脅迫し、ダークホールドの大元となった遺跡があるワンダゴア山に移動。
さらに「アース838」という他の宇宙に逃げ込んだストレンジとアメリカを追うため、禁書の呪文「ドリームウォーク」でその世界の自分に乗り移り、大勢の警備ロボットやヒーローチームを文字通り瞬殺。
冒頭に述べたような大幅にアップしたパワーを見せつけたが、その姿は最早ホークアイに諭されて立ち上がった「アベンジャーズの一員・ワンダ」ではなく、負の感情に呑まれた「魔女・スカーレットウィッチ」と化してしまっていた。
※指が黒く染まっているが、これはアガサと同じで、おそらくダークホールドの影響と思われる。
その後、ストレンジ一行と壮絶な追走劇を繰り広げた末、ストレンジと838のクリスティーン・パーマーをさらに別の宇宙へ飛ばし、アメリカのみを自分の宇宙「アース616」に呼び寄せその能力を奪おうとする。
しかし移転先でまた別のストレンジ(一部媒体では「シニスター・ストレンジ」)からダークホールドを奪ったストレンジが、ドリームウォークで616にあるディフェンダーの遺体に乗り移り登場。またしても阻まれた上、覚醒したアメリカが(曰く「正面から戦っても勝ち目がないからこうした」)自分たちのいる遺跡とアース838で息子たちと住んでいる家を直接繋いだことで、その殺気だった異様な雰囲気や、何よりも838のワンダに直接手を出したことから、838の息子たちに「魔女」として認識され、完全に拒絶されてしまう。
そもそも自分がやろうとしていたことが、「別世界の自分を消してなり替わる」「別世界の息子たちのことを何も考えていない」といった独りよがりなものであると、やっと自分の行いが間違いだったことに思い至ったワンダは、838の息子たちを838のワンダに任せるとともに、己を暴挙に駆り立てたダークホールドの原書を遺跡ごと破壊。自らも瓦礫の中へと消えていった。
その後の生死は不明。
- 反響
事前情報では"もう1人のストレンジ"、つまりシニスター・ストレンジやディフェンダーに乗り移った状態の禍々しいストレンジが全ての元凶であるかのようにミスリードされていたこともあって、それまでヒーロー側だったワンダが文字通り悪堕ちしてヴィランになるという衝撃的な展開は観客を驚かせた。
禁忌に触れた事は彼女の言う通りMCU前作のストレンジも同じだが、彼女の場合は今まで失ってきたものが余りにも大きく、結果これまで戦ってきた敵達と同じ様な存在に変わり果ててしまったと言える。
補足すると、宇宙規模の大事件を起こしてしまうのは原作コミックと同じであり、それに加えて『ワンダヴィジョン』ラストでの不穏な描写や、頭から血を流す彼女や上記の台詞が含まれていた予告編など、伏線自体は存在していたが、それでも彼女の自発的な行動だと予想できたファンは少なかった。
ちなみに界隈では、ダークホールドを残した悪魔であり作中でも名前が言及された邪神クトーンが真の黒幕で、ワンダは操られているだけと考える声もあったが、これに関しては逆に、原作でクトーンの存在を知っていたからこそ予想し辛かったとも言える。
なお『シビルウォー』にて両親の死の真相を知った怒りでスティーブと敵対したトニーや、サノスにより家族を消された事が原因で「ローニン」となり、『エンドゲーム』では八つ当たり同然の感情で犯罪者狩りを行っていたクリントなど、ヒーロー側のキャラがヴィランとまではいかないものの暴走行為に走ってしまった例が無いわけではない。
- 838のワンダについて
彼女がかつてヒーローとして活動していたかは不明だが、少なくとも超能力の行使は問題なく行えていたことから、彼女も何かのきっかけで能力に目覚めた、若しくは目覚めさせられたことが推測される。
公開後にインタビューに答えたワンダ役のエリザベス・オルセン曰く「クイックシルバーや(原作における父親の)マグニートーに触れられる可能性があった」ようで、プロフェッサーXがいたことからも、原作と同じミュータントだったのかもしれない。
ただいずれにせよその能力は、この世界のヒーローチーム「イルミナティ」が(ダークホールドに魅入られて危険な存在と化したストレンジの方を危険視していた、という相対的な理由が大きいが)軽視するほど弱かった模様。
また夫が誰なのかも言及されなかったことについては、同じインタビュー内で
「(ヴィジョンのことは)ミステリーにしたかった」「母になって一番重要なのは、子ども」
と答えている。
アガサ・オール・アロング
直接の登場は無いが、作中ではアガサの口から存在が度々言及され、死亡した事が示唆されている(同作クリエイターのジャック・シェイファーによれば、アガサはワンダに呪いをかけられた結果、ワンダの死を(千里眼のように)観測しただけで、現場にいたわけではないので、あくまでアガサの推測である、ということらしい)。
また、今作ではアガサの元へ“謎の少年”が現れるが、その少年がワンダと何かしら深い繋がりがある模様。
関連イラスト
原作バージョン
MCUバージョン(~『エンドゲーム』)
MCUバージョン(『マルチバース・オブ・マッドネス』)